読売新聞 |
【ジュネーブ=金子亨、ワシントン=山田哲朗】メキシコや米国で豚インフルエンザ感染者が続出している問題で、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は25日、専門家による緊急委員会の後声明を出し、「国際的な公衆衛生上の緊急事態である」と認定した。
メキシコ政府によると、同日、豚インフルエンザが疑われる同国の感染者は1324人、死者は81人に増えた。ニュージーランドやフランス、スペインでもメキシコ帰りの人々に感染の疑いが浮上、感染は世界的な広がりを見せている。
チャン事務局長は、緊急事態認定に当たり、「インフルエンザ様の症状の異常な流行や重篤な肺炎」の監視措置を徹底するよう各国に勧告した。一方、WHO緊急委は、6段階(フェーズ)からなる新型インフルエンザの警戒レベルに関しては、「臨床的、疫学的な情報が不十分」として、現行の「3」から「4」への引き上げを見送った。世界金融危機のさなか、拙速な判断が世界経済に与える影響も考慮したと見られる。緊急委は28日再度開かれ、改めて警戒レベルの見直しを協議する。
発生国のメキシコでは、カルデロン大統領が25日、当局による感染者の強制的な隔離や交通制限を可能とする「非常事態宣言」を発令した。
米国では、カンザス州の保健当局が同日、州内の夫婦2人が豚インフルエンザに感染したと発表。うち夫は最近、メキシコに旅行しており、現地で感染したとみられる。すでに6人の感染者が出ているカリフォルニア州でも同日、新たに35歳の女性の感染が確認された。また、米疾病対策センター(CDC)は26日、最近メキシコを旅行した生徒を含むニューヨークの高校生8人の感染を確認。全米の感染者は、テキサス州の2人を合わせ19人となった。
ニュージーランド厚生省は26日、メキシコから帰国したばかりの高校生10人がインフルエンザにかかっていたと発表。豚インフルエンザの疑いがあり、WHOに検体を送り検査する方針だ。またロイターやAFP通信によると、メキシコから最近帰国した人のうち、スペインで3人、フランスで4人、イスラエルで1人に感染の疑いが出ている。
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