2009年4月26日10時2分
正社員には賃金の抑制だが、非正規社員は解雇――。内閣府が上場企業に行った「企業行動に関するアンケート」で、景気悪化に伴う雇用調整の方法に大きな「格差」があることがわかった。契約を更新しない実質的な解雇も多いとみられ、非正規社員の弱い立場が浮き彫りになっている。
調査は毎年行っており、今年は2月に上場企業1027社から回答を得た。
景気減速のなかで利益を確保するための取り組みについて(複数回答)は、45%の企業が雇用調整を行っていると回答。雇用調整の方法(同)は、正社員が対象の場合は「残業削減」が85%で最も多く、「採用抑制」が50%、「賃金調整」が40%で、「解雇」は4%にとどまった。
一方、正社員以外に対する雇用調整の方法は、6割程度の企業が「残業削減」と「採用抑制」を行ったと回答したほか、29%の企業が「解雇」を行ったとしている。
内閣府によると、「採用抑制」には雇用契約を更新しないケースが含まれている可能性がある。実質的に解雇を行った比率はさらに高いとみられる。
このほか、09年度から3年間の雇用者数は毎年0.2%減る見通しで、賃金上昇率も09年度は0.52%と、08年度の1.25%から大幅に縮小。景気悪化で企業が雇用、賃金に手を付けざるを得ない状況が鮮明になっている。(橋本幸雄)