漢検の理事長は悪党だが受験者はバカだ
2009年4月26日(日)10時0分配信 日刊ゲンダイ
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●そもそも学校があるのに漢字能力検定協会とか試験がなぜ必要なのか
財団法人である日本漢字能力検定協会を食い物にした大久保親子はカネの亡者だ。脱サラしたオヤジの大久保昇前理事長(73)が75年に任意団体を立ち上げ、92年に財団法人の認可を受けると、濡れ手で粟のボロ儲けが始まった。親子がトップのファミリー企業に業務を丸投げし、そこから給与として利益を還流。オヤジが年間約7000万円、長男の浩前副理事長(45)は5000万円以上、ほかの家族3人も3980万〜7110万円の報酬を受け取るだけでなく、一族は、ファミリー企業から年間7800万円もの株式配当金までもらっていた。やりたい放題だったのだ。
大久保親子はどうしようもない悪党だが、こんな検定に群がった受検者も浅はかだった。カネを返せといっても後の祭りである。漢検の暴走を事実上、黙認してきた文科省の責任も重大だ。法大教授の尾木直樹氏(臨床教育学)はこう言う。
「漢検バブルは文科省のゆとり教育が招いたのです。02年4月導入前、学力低下批判にアワを食った遠山文科相(当時)は『学びのすすめ』なるお達しを出し、漢検を推奨した。文科省の言いなりの現場は、漢検に飛びついた。それで、高校や大学の単位認定や受験で漢検資格が評価されるようになったのです。
年間280万人の受検生の8割が学校や予備校などによる団体受検で、漢検の根幹を支えている。行政の後押しがなければ、こうまで漢検が幅を利かせることはありませんでした。本来、漢字の学習は学校教育の一環で身に付ければいい類のものです」
漢検が履歴書に堂々と記入されるようになり、テレビで漢字クイズがもてはやされるようになったのも文科省が太鼓判を押したからだ。
税務署の怠慢もひどいものだ。公益法人は原則非課税で、収益事業でも税率は3割。大久保親子はこの税制優遇を存分に悪用してカネをたんまり貯めこみ、使い込んだ。協会のカネを流用して、京都の一等地に約6億7000万円もの豪邸を構え、まだ生きているくせに自分らを供養する墓碑を約350万円で建立していた。こんなもの大久保親子の「所得」とみなして課税するのが当然だろう。「公益法人である以上、監督官庁が大ナタを振るわない限り、手も足も出ない」(国税関係者)というが、不合理にメスを入れるよう働きかけることぐらいできたはずだ。
結局、バカを見たのは漢検に踊らされた受検者だった。
(日刊ゲンダイ2009年4月23日掲載)