○作物名 : ハクサイ、キャベツ、ダイコン
○病害名 : べと病
ハクサイやキャベツ、ダイコンなどのアブラナ科野菜の葉に発生する最も一般的な病害である。降雨が比較的多く、気温が低くなる秋から冬、あるいは春に発生が多い。
○病徴と診断
ハクサイ;主に葉に発生する。葉では、黄緑色の不規則な形をした病斑ができ、これが拡大し、葉脈でしきられた多角形となる。病斑の色は淡黄色で、その裏には汚白色のかびが生える。
キャベツ;外葉の下葉から発生する。はじめ輪郭のはっきりしない黄色の斑点が現れ、しだいに拡大してくると葉脈の間に淡褐色、不正形の病斑ができる。多角形をした病斑もできるが、ハクサイのようにははっきりしない。病斑の裏側のは汚白色のかびが霜のように生えているが、病斑が古くなると消えてしまう。幼苗に発生すると、子葉の裏に同様のかびがびっしり生え、枯れてしまうことがある。
ダイコン;葉の被害が最も多いが、根などにも発生する。葉では、はじめ輪郭不鮮明な黄緑色の斑紋ができ、しだいに拡大して灰白色の病斑をつくる。その裏には灰白色の紛状のかびがみられる。その後、このかびは消えて黒〜紫黒色の不正形斑紋となる。根に発生すると、表皮下に大小不同の褐色斑点ができ、透かしてみると健全なものにくらべて黒ずんで見える。
○発生生態
病原菌は被害株中で、菌糸または卵胞子という耐久性の強い特殊な胞子で生存し、条件が整うとさらにここで胞子をつくる。これが風によって周囲に飛ばされ葉上に伝搬され、ハクサイなどに侵入する。さらに病斑状につくられる胞子が飛散して二次伝染をおこし、まん延する。
キャベツでは10〜15℃の温度が発病適温とされており、ハクサイでは気温が8℃以下のとき最もよくまん延する。また、ダイコンの場合には秋、平均気温が10℃以下になると一時的に発病し、春は8℃くらいで雨にあうと発病が多い。肥料切れになると発生が多くなる。