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【国際】WHO局長『事態深刻』 豚インフル 警戒水準引き上げも2009年4月26日 朝刊
【ロンドン=松井学】メキシコ、米国両国で豚インフルエンザ感染が広がっていることを受け、世界保健機関(WHO)のチャン事務局長は二十五日、ジュネーブで記者団に対し「事態は急速に進行しており、深刻な状況にある」との認識を示した。WHOは同日、ジュネーブの本部で世界の専門家による緊急委員会を開催。感染の拡大防止策を協議し、新型インフルエンザの世界的な大流行に備えて警戒水準を上げる必要があるか検討したもようだ。 ロイター通信などによると、緊急委に先立ちチャン事務局長は現時点では「(メキシコや米国以外の)世界の他の地域で感染が拡大する兆しはない」と説明。感染が大流行(パンデミック)につながるかどうかについて「断定はできない」と慎重に発言しつつ、「その可能性はある。人に感染しているからだ」との懸念も表明した。 同局長はまた、ウイルスについて「情報がほとんどなく不明」とし、各国に対して監視強化を要請。感染が確認されたメキシコや米国への渡航自粛勧告については、緊急委が出した結論から判断する考えを明らかにした。 一方、メキシコではこの日、感染拡大防止のため、メキシコ市長がすべての公的行事を十日間取りやめることを決めた。 国境を越えた地域で感染が確認された事態を重くみて、緊急委は感染の拡大防止策を協議。これまで人がかかったことがない新型のウイルスによってうつっているかどうか、感染しやすいか−などについて確認を急ぐとみられる。 WHOは、新型インフルエンザの世界的な大流行に備えて警戒水準を六段階設けている。現在は「3」で、人から人への感染が極めて限定的な段階だが、緊急委は「4」の人から人への感染が拡大する兆しがある段階へと初めて引き上げることを検討し、結論をチャン事務局長に進言する見通し。 豚インフルエンザをめぐっては今回、メキシコで六十人以上が感染によって死亡した可能性があるほか、国境を挟んだ米国のカリフォルニア、テキサス両州で計八人の感染が確認された。WHOは米国で確認された豚インフルエンザのウイルスが従来、豚では見つかったことのない型だったと指摘。これがメキシコからの検体十二人分と一致している。 ◆外務省が渡航情報メキシコ市などで豚インフルエンザの人への感染が広がった問題で、外務省は二十五日、メキシコに渡航する予定の人に対し、渡航の是非について検討するよう求める渡航情報を出した。 政府は同日、関係省庁の担当者による対策会議を内閣府で開催、今後のWHOの判断を踏まえた上で、政府の新型インフルエンザ対策行動計画に沿って、ウイルスの国内侵入防止などの対応を進めることを確認した。 WHOの専門家会議の結果、新型インフルエンザ発生の警戒レベル引き上げが宣言された場合には、正式な関係省庁対策会議を招集し、首相とすべての国務大臣で構成する新型インフルエンザ対策本部を設置する。 厚生労働省は、メキシコや米カリフォルニア州などに渡航する人に対し、感染予防のためにマスクの着用や手洗いを行い、発熱やせきなどの症状が出たら医療機関で受診するよう注意を呼び掛けている。
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