メキシコ豚インフルエンザ ウイルスの遺伝子、豚・鳥・ヒトのインフルエンザの混合型
メキシコで豚インフルエンザに感染した疑いのある死者が68人、患者は1,000人を超えた。一方、アメリカでも8人が感染し、ヒトからヒトへの感染と断定された。WHO(世界保健機関)は緊急会議を開く。
メキシコ市の病院では、マスクをつけて並ぶ市民の姿が見られた。
メキシコ市民は「人に近づきすぎないようにしている」と話した。
メキシコの保健当局は24日、国内で豚インフルエンザに感染した疑いのある死者が68人、患者は1,000人を超えたことを明らかにした。
首都メキシコ市では、すべての学校が休校となり、コンサートなど多くの人が集まるイベントも中止となった。
一方、アメリカでも、カリフォルニア州などで8人の豚インフルエンザ感染を確認した。
アメリカ疾病対策センターのベッサー部長代理は「深刻な事態と受け止め、積極的な対応を行っている」と述べた。
通常、豚インフルエンザウイルスは、豚からヒトへの感染でとどまるが、今回、感染が確認された8人の患者は、いずれも豚との接触はなく、ヒトからヒトへと感染が広がったと断定された。
疾病センターがウイルスの遺伝子を分析した結果、今回のウイルスは、今まで発見されていないもので、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、そして、ヒトのインフルエンザとの混合型であることが明らかになった。
このウイルスについて、国立感染症研究所のインフルエンザウイルス研究センター・田代正人センター長は「H5N1の強毒型の鳥のウイルスとはまったく違ってですね、通常のインフルエンザと同じような病気を起こすだろうと」、「ヒトの間でウイルスの伝播(でんぱ)・流行が繰り返されてきますと、そこに突然変異がどんどん蓄積していきますので、人型のウイルスですね。新型のインフルエンザウイルスに変異する危険性があります」などと語った。
メキシコとアメリカで相次いでいる感染。
WHOは、両国の患者から採取したウイルスが一致したことを明らかにした。
事態の進展を受け、日本時間25日夜、世界の専門家による緊急協議が行われる。
一方、日本国内では、水際対策に乗り出した。
成田空港はすでに、メキシコからの帰国者などの発熱を確認するため、サーモグラフィー検査を強化し、また、ポスターを張り出して注意を呼びかけた。
ツアー添乗員は「ちょっとタイミング悪いっていう感じですよね」と話した。
メキシコへの旅行者は「マスク、急きょ買ってきて、さらに手洗いを頑張ろうと」と語った。
政府は、首相官邸内に情報連絡室を設置し、午後には、関係省庁の課長級を集めて今後の対応を検討した。
政府は、WHOが警戒水準をヒトからヒトへと感染が拡大する「フェーズ4」に引き上げた場合、麻生首相を本部長とする対策本部を設置する方針。
また、全国の検疫所には、生きた豚が輸入された場合に、念のため検査を行うよう通知が出された。
農林水産省によると、食肉として処理された豚肉にウイルスが付着している可能性は小さく、加熱すればウイルスは死滅するため、感染するおそれはほとんどないという。
厚生労働省は25日から、電話相談窓口を設置し、対応にあたっている。
電話相談は(03-3501-9031)まで。
(04/25 17:54)