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尼崎脱線4年 時間たつほど深まる苦悩

 百七人が亡くなった尼崎JR脱線事故から二十五日で四年。遺族や負傷者らの怒り、悲しみは癒えず、将来に対する不安など苦悩は深まる。安全な鉄道への信頼回復へ向けたJR西日本の取り組みに終わりはない。

 JR西の山崎正夫社長は事故から四年になるのを前に、安全対策は「徐々に成果が上がっている」と述べた。昨年四月からスタートさせた五年間の安全基本計画の進み具合に手応えを感じているのだろう。

 基本計画では、自動列車停止装置(ATS)設置などハード面の対策だけでなく、運転士などの報告を基に予想される事故の危険性を事前に分析・評価する「リスクアセスメント」を導入した。鉄道運行での活用は初めてとされ、JR西は「事故の芽」に着目して的確に対策をとることで安全対策の切り札になるとしている。報告に基づく改善も始まっているという。

 リスクアセスが期待通り機能する大前提は、現場の社員が正確な報告を怠らないことだ。しかし、JR西は上意下達の社風で、現場の声にほとんど耳を傾けず、ルールへの絶対服従を求めてきた。脱線事故が起きた背景には、社員を締め付ける「日勤教育」など、風通しの悪い企業体質があったとされる。リスクアセスに関し、最大労組の西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)が昨年末から一月にかけてアンケートを実施したところ「情報を報告しやすい」と回答した社員は半数以下にとどまった。社内の意思疎通の悪さは改善されたとはいえない。

 悲惨な事故を二度と起こさないためには、全社を挙げた安全最優先の企業風土づくりがなによりも大切だが、長年の硬直的な社風からの脱皮は生易しいものではあるまい。自由な意見交換ができる職場を目指し、不断の努力が必要だ。

 対話の重要性は、脱線事故の遺族らに対しても同じだ。山崎社長は「遺族は今も癒えることのない悲しみ、苦しみの中にいると認識している」と語っている。事故を起こした責任の重さをかみしめ、真摯(しんし)に話し合わなければならない。

 遺族でつくる「4・25ネットワーク」は、遺族が参加して事故原因などを分析する検証委員会を設置するようJR西に文書で要望している。遺族らはJR西の事故原因の説明は不十分だと納得していない。「加害者と被害者が向き合い、疑問点を解明したい」という思いをくみ取らなければ、遺族は癒やされることはなかろう。


エコ偽装 消費者への説明が必要だ

 リサイクルの樹脂材料を活用し、二酸化炭素(CO2)排出量を削減した最新モデルの冷蔵庫と宣伝しながら、実際はほとんど活用していなかったとして、公正取引委員会は景品表示法違反(優良誤認)で、製造・販売した日立製作所の子会社の日立アプライアンス(東京)に排除命令を出した。

 このところ食品偽装が相次いでいるが、今度はエコ偽装ともいうべきケースである。消費者の環境保護志向につけこんだ悪質な商法といわれても仕方がなかろう。

 同社は日立ブランドの大型冷蔵庫シリーズ九機種に、使用済み冷蔵庫の樹脂材料を真空断熱材として活用し、製造工程でのCO2排出量を約48%削減したと表示、宣伝していた。

 ところが、実際はリサイクル樹脂は全く使われていないか、部分的に従来の材料と混ぜて使われているだけで、削減率も48%を下回っていた。

 この商品は拡大する大型冷蔵庫市場でトップシェアを占め、約十五万台、約三百億円の売り上げがあった。しかも、経済産業省の二〇〇八年度「省エネ大賞」に入賞していたというからあきれる。

 同社は不当表示を認め、賞を返上したという。当然のことであろう。だが、不当表示の原因は社内の情報伝達に不備があったためで、商品の性能・機能自体の問題はないとしている。

 政府は地球温暖化対策を景気浮揚につなげるため、省エネ家電を買えば価格の5―10%分が次の買い物に使える「エコポイント」を五月十五日から始める。しかし、今回のケースは販売者側の商機に水を差し、消費者の不信を招くものだ。

 メーカーは責任の重さを十分に自覚し、消費者へ納得のいく説明をしなければならない。

(2009年4月25日掲載)
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