サイゾースタッフ
パブリッシャー/揖斐憲
プロデューサー/川原崎晋裕
エディター/佐藤彰純
デザイナー/cyzo design
Webデザイナー/石丸雅己※
広告ディレクター/甲州一隆
ライター(五十音順)
竹辻倫子※/田幸和歌子※
長野辰次※/平松優子※
※=外部スタッフ
北野誠の無期限謹慎とバーニング騒動に芸能マスコミの未来を憂う
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
タレントの北野誠の"不適切発言"で所属の松竹芸能は、北野に"無期限謹慎"という厳しい処分を言い渡し、自らも日本音楽事業者協会を脱退することでケジメをつけた。この"無期限謹慎"が意味するものは、関西における芸能ジャーナリズムの稚拙さと、吉本興業をはじめとして、関西芸能プロの東京進出の難しさを浮き彫りにしたように思える。
北野がパーソナリティを務めていた関西ローカルのラジオ『誠のサイキック青年団』(朝日放送)が、約21年間にわたって芸能界の裏ネタ情報を暴露してきたことを、筆者は今回の騒動で初めて知った。騒動のキッカケは、熱心なリスナーが、番組と関連のトークイベントを録音して、芸能関係者の送りつけていたこと。それにより、北野の発言が発覚したのだった。
そのことを受けて、そのリスナーを「ケシカラン」というマスコミ関係者もいるようだが、果たしてそうだろうか? 芸能裏ネタを、裏も取らずにメディアが報じたものに多少の色をつけて放送する。しゃべるほうは軽いネタのつもりだろうが、聞いているリスナーは信用してしまう。それを、関西ローカルでしゃべり続けてきた。「わからんやろ」「許されるだろう」という感覚で続けてきたと思わざるを得ない。
これは、関西のワイドショーで、東京では話せない裏ネタをしゃべり続けてきた"関西出稼ぎ芸能リポーター"たちにも同様のことが言える。以前から、東京の大手プロを中心にした芸能プロが加盟する日本音楽事業者協会は、こうした関西のワイドショーなどを苦々しく思っていた。ましてや、"芸能界のドン"と呼ばれているバーニングプロダクションの周防郁雄社長を、北野が「やくざみたいなもんやから」と言ったというのだから、音事協がクレームをつけるのは時間の問題だったと言える。
推測するに、北野は所属事務所の力も過信していた節がある。確かに松竹芸能は、今でこそ吉本興業にリードされているが、関西では吉本と並ぶ大手プロである。しかし、東京では事情は違ってくる。かつて、東京の事務所が、関西の番組に出演したいとアプローチし、ことごとく関西の大手プロの圧力によって、潰されてきたという現実があるのだ。そのことをいまだに恨みに思い、関西の大手プロが音事協に加盟することを反対した元音事協の重鎮もいた。それでも、吉本も松竹芸能も、音事協に加盟することで、東京の芸能界とのバランスを保ってきた。
それを、北野の"不適切発言"が崩してしまったのだ。松竹芸能としては、すでに、東京で活躍している笑福亭鶴瓶や鶴光らを守るために、北野に無期限謹慎という詰め腹を切らせて、音事協を脱会というケジメのつけ方しかなったのかもしれない。知り合いの芸能リポーターは「音事協による言論統制だ」と憤るが、北野や関西のリポーターたちのやってきたことはあまりにも、芸能ジャーナリズムとはかけ離れた、興味本位の裏ネタ暴露ばかり。
筆者は周防と暴力団との"黒い交際"について、30年近くにわたる取材で裏付けまで取っている。そのほか、この"ドン"の行動をウォッチし、問題点は批判し続けてきた。そのため、幾度も法廷で戦うことになってきた。裏ネタを扱うということは戦いなのだ。
今回、戦う精神を持たない輩が、裏ネタを扱ったことで、あっけなく「全面降伏」した。こうした前例が、マジメに取材活動を続ける芸能ジャーナリストを追い詰める結果にならなければいいが。
(文=本多圭)
何を言うたんや......。
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