【国際】感染1000人超、死者68人に メキシコの豚インフル2009年4月25日 夕刊 【ニューヨーク=阿部伸哉】世界保健機関(WHO)がメキシコを中心に感染を確認した豚インフルエンザについて、同国政府は24日、感染が疑われる患者が1004人に達し、関連があるとみられる死者数は68人に上っていると発表した。WHOは同国に調査チームを派遣するなど感染拡大防止の緊急対策に乗り出した。 メキシコのコルドバ保健相の発表によると、豚インフルエンザによる死者と確認されたのは20人、さらに他の死者48人も感染の可能性がある。感染は首都メキシコ市が中心だが、北部の米国国境付近でも4人が感染したとみられる。死者の多くは25−45歳の比較的体力のある年齢層という。 米国の疾病対策センター(CDC)も、メキシコと国境を接するカリフォルニア、テキサス両州で計8人の感染を確認し、いずれも豚との接触がないことから、人から人への感染と断定した。ほか9人に感染の恐れがあるという。 WHOによると、米国で確認された豚インフルエンザのウイルスはこれまで豚では見つかったことのない型。メキシコからの検体をカナダの保健当局が調査し、18の感染例のウイルスは豚インフルエンザ「A/H1N1」と特定。うち12の検体は米国で発生した人への感染事例と同じ遺伝子構造と確認した。 CDCによると、豚インフルエンザの人への感染は米国で2005年から12例が報告されているが、今回のウイルス検出は初めて。 <新型インフルエンザ> 毎冬流行するインフルエンザとは異なり、人に感染しにくかった鳥や豚のインフルエンザウイルスが人に感染しやすいよう変化して発生すると考えられている。大半の人が免疫を持たないため、世界で爆発的に流行する恐れが強く、日本政府は発生時には国内で最大64万人が死亡すると推計。アジアなどで鳥から人への感染が続く鳥インフルエンザ(H5N1型)が、新型に変化する事態が最も心配されている。
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