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当直医へ時間外手当、1500万円支払い命令 奈良地裁(1/2ページ)

2009年4月22日23時35分

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 当直勤務時の賃金が一律支給で済まされ、過酷な労働に見合う時間外手当(割増賃金)が支給されていないとして、奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、04、05年の未払い分として計約9200万円の支払いを県に求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「分娩(ぶんべん)や救急外来など、通常と変わらない業務をしていた」として、産科医としての2人の当直は時間外の支給対象となると認定。県に計約1540万円の支払いを命じた。

 県は当時、当直1回につき2万円を支給するだけだった。原告の代理人弁護士によると、医師の当直に時間外の支給を命じた判決は全国初。当直勤務に一律支給を導入する例は全国的にあり、各地の病院に影響を与えそうだ。

 訴えていたのは、産婦人科の40代の男性医師2人。夜間や休日の当直業務が、割増賃金として労働基準法で規定された時間外手当の支給対象になるかが争点となった。

 県側は時間外の適用が除外される労基法上の「断続的労働」にあたると主張していたが、判決は断続的労働について「常態としてほとんど労働する必要がない勤務」と指摘。原告の勤務は「1人で異常分娩に立ち会うなど、睡眠時間を十分に取ることは難しい」などとし、医師の当直を断続的労働とした県人事委員会の規則は適用除外の範囲を超えていると判断した。

 そのうえで、賃金など労働債権の時効(2年)となる期間を除いた当直計約250回を対象とし、給与をもとに算出した時給約4200〜4400円に割り増し分を加えた手当の支払いを命じた。

 交代で自宅で待機する「宅直」については、「医師間の自主的な取り決め」として時間外と認めなかった。

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