雁屋哲の美味しんぼ日記


草彅氏の不当逮捕

2009年4月24日(金)@ 11:38 | 雁屋哲の美味しんぼ日記

 草彅剛氏が、酒を飲んで全裸になったのを公然わいせつ罪で警察に捕まったという事件が、テレビ、新聞、ネットで大々的に報じられている。
 私は、草彅氏については良く知らない。
 しかし、公然わいせつ罪として警察が捕まえるようなことか、と思う。
 また、テレビや新聞で、まるで大犯罪、大破廉恥罪を犯したかのように報じているのを見て、それはないだろうと思う。
 報道されている事実をまとめると、深夜酒を飲んで赤坂の公園で全裸になり何か喚いていた、と言うことである。
 いったいこの何が悪いのか。
 確かに大声で喚いて周囲の家の人々の安眠を妨げたのは良くないことだが、あの辺りに住んでいる人には珍しくもないことだろう。
 もっと凄い騒ぎになれているはずだ。
 警察を呼んで捕まえるほどのことか。
 誰かに猥褻な振る舞いに及んだというわけでもなく、全裸であちこち飛び回ったというわけでもない。薬物反応も出なかったと言う。
 こんな物を犯罪扱いする方がどうかしている。
 私がその警官だったら、「おお、いいご機嫌だね。ま、騒ぐと迷惑だから、もう家に帰って寝た方がいいよ。服を着たくなかったらそのままでいいよ。パトカーに乗せて送ってあげるから」
 と言う扱いをしただろう。

 私も酒飲みだから、草彅氏の気持ちがよく分かる。
 ぐでんぐでんになったときに、人の本性は現れる物である。
 それまでの鬱屈、自分を押えつけている拘禁具のような仕事関係の人達。
 そんな物を、えいっとばかりに、一気に脱ぎ捨てて、生まれたばかりの清浄な自分の姿に戻りたい、そう思ったのではないかと私は推測する。
 草彅氏は、あのジャニーズ所属の芸能人である。
 ジャニーズ事務所がどんなに陰惨悲惨な魔窟で有るか、マスコミ関係者なら誰でも知っていることだ。
 しかし、それを週刊誌に書いたり、新聞に書いたり、月刊誌に書いたりすると、ジャニーズ事務所出入りお断りになる。
 一つの出版社の何かの雑誌が、ジャニーズ事務所の気にいらないことを書くと、その出版社の全ての雑誌が出入りお断りになる。
 大きな出版社は若い女性向けの雑誌を出しているところが多い。
 若い女性にジャニーズ事務所の芸能人は大変に人気があるのである。
 それが怖いから、全ての週刊誌や新聞はジャニーズ事務所の負の部分を書かない。
 ましてや、テレビは絶対にジャニーズ事務所の負の部分を取り上げない。
 ジャニーズ事務所には、毎日のように、自分の息子をジャニーズ事務所に入れて貰いたいと言う母親が、息子を連れて何人もやって来るという。
 みんな中学生か高校生の若い少年たちだ。
 その少年たちを見て、舌なめずりをしている男たちが、ジャニーズ事務所にはいるのである。

 芸能人としてテレビに出られるようになるのは大変だ。
 草彅氏のように有名になるのは、数千人に一人、いや、数万人に一人、と言うくらいの割合だろう。
 私も、民放のプロデューサーなどとつきあったことが何度か有るが、芸能界と言うところはすさまじいところである。

 私には、吉本興業につとめている親友がいる。
「美味しんぼ」の「日本全県味巡り」で大阪を巡ったとき色々とお膳立てをしてくれた。
 彼は敏腕ではあるが、汚い部分には近寄らず、妻と娘を大事にしている。

 だが、残念ながら私の友人とは裏腹の人間が芸能界には多い。
 ましてや、ジャニーズ事務所だ。
 あの若さで、草彅氏は私などには思いもよらぬ苦労を重ねているのだろう。
 それが、酒に飲まれて、つい、公園で裸になってしまったのだろう。

 まあ、そんな彼の事情はともかく、そんなことを大犯罪のように扱い、全てのコマーシャルから、番組から、彼を外すという。
 ああ、なんと言う偽善だろうか。
 私は、いつもよい子の顔を保っている草彅氏の、人間らしい姿を見て、却って良い感じを得た。コマーシャルなんて、どんどんやれ、ドラマにもどんどん出せ、と思う。

 草彅氏がこれだけ叩かれるのは、有名な芸能人、それもよい子の芸能人だったからだろう。
 こういう扱いは不当である。
 不当と言えば、警察は何を考えておるのか。
 草彅氏の家宅捜索までしたという。
 薬物反応が出たならともかく、酔っぱらっただけで家宅捜索はないだろう。人権侵害も甚だしい。

 警察や、検察は、他にすることがあるはずだ。
 小沢一郎よりも西松建設にどっぷりつかっている自民党の二階は放っておくのか。
 小沢が不自然な蓄財をしていることは数年前から知られていて、私は何故検察が放置しておくのか不思議で仕方がなかった。
 今回ようやく秘書を捕まえたのはよいが、二階を放っておくから、国策検挙、などと言われるのだ。
 このままでは確かに国策検挙だ。
 次の選挙で、民主党が大勝する目は見事につぶした。
 それなら、二階も捕まえなくては理が通らないだろう。

 もう一人。
 今度の千葉県知事を何故放っておくのか。
 自民党の地区支部長を務め、自民党から一億五千万円の献金を受けているのに「完全無所蔵」をうたうのは、公職選挙法にふれるはずだ。自分の身分について、虚偽の宣伝をした。
 大学を出ていないのに大学を出ていると届け出て、当選した後で大学を出ていないことが分かって、辞職した議員が公職選挙法違反で何人か辞職した。
 この千葉県知事も明らかに虚偽の申告を行い、選挙民をだました。
 これは明確な犯罪ではないのか。
 さらに、この男は、禁じられている外資からの献金もうけている。
 これも政治資金法に触れる。
 この点でも有罪だろう。

 二階と、千葉県知事になにも手を付けないのなら、もう、検察の立場ははっきり分かる。
 検察は正義を口にするべきではない。
 自分たちは、自民党と、官僚たちの犬だと、しっぽを振ってはっきり言いなさい。
 この、検察官たちは、裸になって、公園で喚くだけの精神力もないんだろうな。

 草彅氏よ、がんばれよ。


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