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レセプト電子化めぐり開業医245人が提訴 大阪地裁

2009年4月24日

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 医療機関が健保組合に提出する請求書「診療報酬明細書」(レセプト)のオンライン処理の原則義務化をめぐり、医師・歯科医師245人が23日、国を相手どって、義務がないことの確認と一人あたり110万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。オンライン化は08年度から段階的に始まり、11年4月に完全実施の予定。開業医の高齢化が進む中、IT機器を扱えない医師は廃業せざるを得ず、地方の医療崩壊に拍車をかける、と訴えている。

 原告は大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、山口、福岡の2府5県で開業している。同様の訴訟は1、3月に計1744人が提訴した横浜地裁に続き全国で2件目。

 訴状で医師らは、オンライン化で専用コンピューターなど300万円以上の設備費や入力のための人件費がかかり、小規模の病院や診療所に重い負担を強いる、と主張。廃業を余儀なくされれば憲法が定める職業選択の自由や生存権を侵害するとし、データ送信の過程で患者の個人情報が漏れるおそれがあるとも指摘している。

 原告の一人、森口英世さん(61)が会長を務める富田林医師会(大阪府)は昨年11月、全国947郡市区の医師会を対象に独自の調査を実施(回収率51.6%)。オンライン化反対は92%、賛成は2%だった。地域医療に与える影響として8割以上が「崩壊に拍車をかける」と答えた。

 また、これを機に廃業を考えている医師は、日本医師会調べで8.6%、全国保険医団体連合会調べで12.2%だった。診療所開設者の平均年齢は59.4歳(06年末、厚労省調べ)で、同医師会は「独力で入力できない世代が約半数を占める」とみる。

 原告団長の高本英司さん(61)は「廃業する医師が、昨年度から目立ち始めた。医療情報が漏れれば、患者にとっても不利益ははかり知れない」と話している。(阿久沢悦子)

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