2009年4月23日23時58分
来春から都道府県別の定員枠を厳しく設定することにしている新卒医師の臨床研修制度について、厚生労働省は23日、一部を修正することを決めた。研修医が集まる病院に限り、今春時点の定員数枠を保証する仕組みを取り入れる。地域の反発を受けて改善する。
同日午後に開かれた医道審議会の部会で案を示し、了承された。修正案では、来年度の研修医募集については、今年度研修を始めた研修医と病院側の採用希望をコンピューターですりあわせた「マッチング」の実績を考慮する。
具体的には、昨年8月に登録受け付けが始まった今年度分のマッチングで、病院が示した募集定員枠いっぱいに研修医が集まった病院については、来年度も今年度実績を確保する。その結果、都市部に厳しい都道府県別の定員枠を超えても、経過措置として認める。11年度分以降は改めて検討する。
研修医の募集定員は従来、研修病院が自由に設定できた。08年度は約8500人の希望者に対し、全国の総定員数が1万1563人。実際に働き始めた新卒の研修医7735人の44%が東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県に集中した。
厚労省は、04年度に始まった同制度で都市部に若手が集まり地方の医師不足を招いたと批判を受け、来年度の新卒医師から都道府県別の定員上限を設けて地方に若手を誘導しようと一部変更を決定。来年度の総定員を08年度に比べて15%少なくし、上限を超えた都道府県では県内の病院で調整する案を3月に示した。削減幅の大きい京都府など都市部の自治体から「地域への医師派遣や救急医療ができなくなる」などと反発が出ていた。(権敬淑、林敦彦)