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書評の鉄人

新鉄人誕生! “ぱせりん”さん

“ぱせりん”さんは文芸書、実用書、マンガなど幅広いジャンルの本に書評を書かれている方です。ズバリと本音を書き綴る姿勢が痛快、鋭い洞察で読む者を唸らせます。文章の底には優しさと暖かさがあり、安心して読むことができます。

(オススメ:マンガ担当者)

オススメ評者のなかでもとりわけ個性的な方々、「鉄人」の書評をご紹介します。
★ 毎週金曜日の更新です。
リンク
専用バナーをご自由にお使いください


とろける鉄工所 1 ★★★★★
ぱせりん/溶接に萌え
溶接工だった作者が自身の経験を生かしたお仕事漫画です。ネイティブな広島弁とカープ愛がステキです。基本はほのぼの溶接ライフなのですが、作中の痛い話がもう痛くて怖くて!最後まで読めなかったエピソードがあるマンガは実は初めてです。それでも、面白いのですよ!痛いし怖いのだけれど、それを上回る萌えがあるのです。それはおそらく、登場人物が全員仕事に対する静かな誇りを持っているからだと思うのです。危険で過酷な労

MartホームベーカリーBOOK ★★★★★
ぱせりん/付属のレシピ本に飽き足らなくなった方に
ナショナルのホームベーカリーを使用したレシピのようですので、多機をお持ちの方は実際に作るときは微妙な修正が必要かもしれません。ムック本ですので紙も薄くて気軽にぱらぱら眺められるところが良いですね。この手のレシピ本は、配合と出来上がり写真くらいしか載っていないものが多かったりするのですが、この本では要所要所での工程写真が載っているところがありがたいです。失敗例とその改善策も写真付きで載っていますし、

地獄 ★★★★★
中村びわ/即物的な現象を目の当たりにするのではなく、得体の知れない「何かがいる」「何かがある」と感じ取る脳力がもたらす恐怖――それを捉えた古典的な3作の名篇。
そういう人は他にもいると思うのだが、私は複数作家の作品が編まれたアンソロジーがやや苦手なのである。特に短篇集で、数十ページずつの作品が次から次へと現れるもの。不器用なもので、それぞれに個性が豊かだと、読み進めるのに何やら忙しい思いをしてしまう。しばらく読んで、ようやっとその作家の作風に慣れた気になれたら、もう次の作家の作品世界に入っていかなければならないなんて……。場合によっては、作家の世界に十分

手紙 ★★★★★
読み人/この本は、ほんと凄い!!感動の一冊です。
本書、誰もが、感動し、薦める話題の一冊なのですが、東野さんが上手いのは、知っているよ、ぐらいの軽い気持ちで読んでみたら、本当に凄い。正に、感動の一冊です。貧しい家庭で兄弟で支えあって生きてきた、兄剛志と弟の直貴。兄剛志が、強盗殺人を犯し、服役します。しかも、犯行の動機には、弟直貴の学費を助けるためという目的すらあったのです。その後、直貴には、獄中の兄からは手紙が届きます。兄にとって、支え、人とのつ

青い城 ★★★★★
まざあぐうす/モンゴメリの幻の名作の文庫化 愛を描いた心温まるハッピー・エンディングストーリー
主人公のヴァランシー・スターリングは29歳になる独身女性。母親と従姉のスティックルズと3人で貧しくひっそりと暮らしている。住んでいる家も与えられた部屋も醜い。平均を下回る身長、美しくも醜くもない容姿に加え、子どもの頃から病弱だった。性格も内気で陰気と見なされ、母親や従姉をはじめとする親族に虐げられるように生きている。自分の服装や髪型を決めることから、図書館で本を借りること、医師の診療を受けることに

だれでも詩人になれる本 ★★★★★
wildcat/どこかに珠玉の言葉があり、それが心の琴線にふれ、共鳴の音をひびかせれば、それでいいんだ。
詩が読めるようになってみたかった。いや、詩が読める!という感覚になってみたかったのかな?それで、詩の歴史、みたいなものを、まじめに読んでみたら、ちょっとは詩が分かったような気になれるかな、と思った。図書館の端末で検索をしてみたけれど、そのような目的に合う本はここでは所蔵していないようだった。なんとはなしに、新刊書架を眺めていて、この本に出会った。その本が目的の本かどうか教えてくれるのは、検索語をた

ふたりが遺したラブレター ★★★★★
wildcat/両親が遺した手紙との対面は、両親と再会する旅だっただけでなく、自分を再発見する旅だった。
本書は、『親の家を片づけながら』の続編である。著者は、母が亡くなった後、父と母が住んでいた家を整理したのだが、そのとき、開けずに自宅に持ち帰ったものがあった。それは、3つの段ボール箱だった。著者は、その中身が「出会いから結婚までの3年間に、両親が送り合ったラブレター」だということは知っていた。1946年9月末に始まり、1949年12月1日までつづいた恋のやりとり。著者は悩んだ。「父と母がどのように

昭和史発掘 8 ★★★★
浦辺 登/軍部大臣現役制復活を広田弘毅の責任とする意見は愚論であることを証明する内容。
この一冊には二・二六事件の終焉と裁判に向けての過程を下記の三章に分け、松本清張の視点で解説が加えられている。・奉勅命令・崩壊・特設軍法会議日本を破滅の極地に追いやった東條軍事政権の登場にあたり、広田弘毅が軍部大臣を現役将官に限るとしたことが原因という説を唱えられる方がいる。しかしながら、二・二六事件を取り扱った本書を読み進んでいくと、軍部内閣の登場を画策した皇道派のリーダーである真崎甚三郎、荒木貞

寒椿ゆれる ★★★★★
みーちゃん/私の感じですが、この作品で近藤は宮部みゆきに追いついた、いえ、ある意味で超えたんじゃないか、って思います。とくに伏線の張り方が見事。しかも言いお話。文句なしの★五つ。
ある時期から出るたびに読むようになった近藤史恵ですが、『猿若町捕物帳』シリーズは未読でした。私の場合、今までの本が文庫だったから敬遠したんだと思います。でも、今回、つくづく、読んでおけばよかった、だってこの人、どんどん上手くなっているもの、って思いました。なにより人や江戸に対する見方、距離感がとてもいい。だから話が甘過ぎず、辛過ぎない。それと伏線の張り方。これはもう、見事としか言いようがありません

伴天連の呪い ★★★★★
みーちゃん/ちょっと笑いを意識しすぎたんじゃないか、とは思います。とくに鞠婆は笑えます。お話は前作ほどではありませんが、でも見返しの表もふくめて大変親切な時代小説、って言えるんじゃないでしょうか。
なんだかなあ、子連れ狼の表紙みたい、なんて感じの装画は山野辺進、それに倣ったというか、それを良しとした装幀は石崎健太郎。でも、言わせて貰えば魅力なし。この本でいいのは、見返しに出ている「江戸時代の時刻」と「江戸時代の単位距離・長さ時間の長さ貨幣の目安(江戸後期)」とくに、「江戸時代の時刻」については時代小説には必ずつけて欲しいとお願いしたくなる優れものです。と書いてから気になって自分の逢坂剛『道連

暗黒街の女 ★★★★★
みーちゃん/これぞノワール、っていっていいんじゃないでしょうか。近年のポケミスにこれほどの暗黒小説はなかった。それを助けているのが訳文、それが揃った傑作です。映画にしても賞候補間違いなし。
読んでいて気持ちがいい訳文です。とくに主人公の気持ちの揺れみたいなものがよく伝わってきます。原文はともかく、この翻訳なくしてここまで楽しめたか、と漆原敦子を賞賛したいところです。若い女性を描こうとして軽薄な言葉を使う、そういうことは全くありませんが、それでいて主人公の若さ、未熟さがいやでも伝わって来ます。漆原は訳者としてあとがきも書いていますが、それがたったの3頁にも満たないのに、著者アボットのこ

イノセント・ゲリラの祝祭 ★★★★
みーちゃん/やっぱり本当の会議がおもしろくないから、それを模した会議もおもしろくない。役人も医者も警察も、医者も教授も事故の被害者も自分のことだけしか考えていない。現実だとしても夢を感じないなあ・・・
相変わらずチープなデザインな本です。ともかく、人目をひけば勝ち、といった雰囲気の色使いが下品で、赤津ミワコの装画を殺しています。同じ医療機器を表紙に持ってきても、講談社の『ブラックペアン1988』とは雲泥の差。ちなみに雲の上のデザインを担当したのは鈴木成一デザイン室、カバーCGは桑原大介。装幀者の力の差なのか、それとも出版社の考え方、センスの問題なのかはともかく、こりゃないぜレベルのカバーではあり

亡き妻へのレクイエム ★★★
みーちゃん/なぜ、今になってニーリィか、なんて思います。タマが無くなった? そういうレベルの作品、ニーリィのなかでも並以下のお話じゃないでしょうか。
最近になって未訳だった旧作が続々翻訳されているリチャード・ニーリィですが、私的には「なぜ今頃になって?」という感が強いです。特に、読んで損したとまでは言いませんが、取り立ててどうということもないレベルの『愛する者に死を』を読んだ後では、尚更の感が強いです。それなら早川ブランドではないものの、ジャプリゾの方が発掘する価値があるんじゃないでしょうか。仁賀克雄は訳者あとがきで本書は彼の作品の中では、内容

終りなき戦い ★★★★★
消息子/リドリー・スコットが映画化するって。俺にも書評書かせろ!
出版当初、ハインラインの『宇宙の戦士』のアンチテーゼのように取り沙汰された作品である。単行本で読んだけれど、20年以上前に出た文庫版が現役なのだ。『宇宙の戦士』はヴァーホーヴェンが原題は同じ題名で映画化し、『スターシップトゥルーパーズ』の邦題で公開されたが、戦意高揚的なハインライン作品を確信犯的に愚直に映像化することで、高邁な闘いは徹底的に戯画化され、厭戦的な気分になるという高度な戦略的B級映画で

本は世につれ ★★★★★
夏の雨/「行列ができるラーメン屋」にあなたは並びますか
ベストセラーだから読む、という嗜好はない。また、逆にベストセラーだから読まない、という天邪鬼でもない。「行列ができるラーメン屋」に並んでまで食べるかといえばそこまでしない。そんな気分だろうか。ただ今どのような本が読まれているのかは気にかかる。へええと驚くこともあるし、同感と納得することもある。時にはあわてて「行列」に並ぶこともあるし、まったく無視することもある。私にとって、ベストセラーはそういうも

中国怪奇小説集 ★★★★★
東の風/怪談の名手が差し出す中国志怪の文章の妙
六朝(りくちょう)時代の『捜神記(そうじんき)』から、唐、五代、宋、金、元、明と来て、清朝の『閲微草堂筆記(えつびそうどうひつき)』まで、中国歴代の小説・筆記の中から二百と二十の怪談、奇談を抄出した一冊。岡本綺堂の訳文が、まず、素晴らしいですね。変にあざとかったり、自己主張したりすることのない、いっそ清々しいほどさっぱりとした訳文の心地よさ。さすがに、怪談の名手だけありますね。話の素材をよく活かし

ねむり姫 ★★★★★
東の風/六つの美しい珠を収めた宝石箱
平安時代から江戸時代にかけての妖異譚が六つ。「ねむり姫」「狐媚記」「ぼろんじ」「夢ちがえ」「画美人」「きらら姫」。澁澤龍彦の小説のなかでも殊に魅力的な『高丘親王航海記』(1987)や短篇集『うつろ舟』(1986)に先立つ1982年~1983年(昭和58年)にかけて書かれた、これも本当に魅力的な短篇集。「ねむり姫」の、ひたひたと満ちてくる“水”。「狐媚記」の、夜光る“狐玉”。「ぼろんじ」の、小さな“

崩れ ★★★★★
和田浦海岸/井伏鱒二詩「なだれ」と、この「崩れ」と。
井伏鱒二著「厄除け詩集」(講談社文芸文庫)の巻頭の詩は「なだれ」。峯の雪が裂け雪がなだれるそのなだれに熊が乗つてゐるあぐらをかき安閑と莨(たばこ)をすふやうな恰好でそこに一ぴき熊がゐるなぜ、この詩が巻頭に置かれるのか、私は不思議でした。そして、気になっておりました。ところで、最近「幸田文しつけ帖」、「幸田文台所帖」(ともに平凡社)の2冊を読んだのですが、魅力でした。それでもって、幸田文著「崩れ」を

五月の独房にて ★★★★★
kako/エグイ!
エグイ!なんて岩井さんらしい作品なんでしょう。読めば読む程ひんまがった人間の感情が露わにされていきます。自分が持つ自分の評価と他人から見た自分の評価。見事に食い違っていく自分の像を、頑なにプライドをもって守っていく主人公が、だんだん落ちていく様を読んでいくと微妙に快感。。。「あぁ、私もひんまがってるわぁ」と正直思います。作品の前半ほとんどは刑務所内での生活と、主人公による事件の回想です。バラバラ殺

どこから行っても遠い町 ★★★★★
トラキチ/川上弘美の世界観が十分に表現された作品。
初出小説新潮及びyomyom。心地よく流れるような文章に身を委ねれる時間。本好きにとって最も至福の時なのであるが、川上さんの作品を読むと知らぬうちにその世界に入り込んでいる自分に気づく。舞台は東京の下町の商店街。11編からなる連作短編集といったらいいのでしょうね。いろんな人の視点から物語が語られます。川上さんは人間の不思議さ・滑稽さを引き出すのが巧みですね。嫁の不倫相手だった男と一緒に住む男(平蔵

キネマの神様 ★★★★★
トラキチ/作者の父親に対する愛情が滲み出た作品、映画好きな人は必読ですね。
原田マハさん、初挑戦しました。ご存知の方も多いと思いますが、原田さんは作家の原田宗典さんの実妹にあたる。2006年に第1回日本ラブストーリー大賞(宝島社主催)を『カフーを待ちわびて』で受賞し作家デビュー、同作は先日映画化された。デビュー作からしてイメージ的に“恋愛小説専門の作家”かなという先入観を持って少し構えて読んだのであるが杞憂に終わった。“恋愛”だけじゃなくもっと深い意味での“愛”を紡げる作

七つの海を照らす星 ★★★★★
かつき/孤独な子供たちに居場所を
鮎川哲也賞受賞作にしては、連作短編で日常のミステリーという珍しいケースです。しかし日常のミステリーとはいうものの、題材は重い。児童養護施設を舞台にしており、親との縁が薄い子どもたちが集まる場所のためもあり「存在を問うミステリー」となっています。第一話「今は亡き星の光も」では、死んだはずの玲弥が現れいじめっ子たちから葉子を助けてくれる。そして「勇気」を与えてくれる。第二話「滅びの指輪」においては、1

ロロ・ジョングランの歌声 ★★★
かつき/ODA,NPO、ボランティアで日本はなにをしてきたのだろう
菜々美は、学生時代に、かつて自宅に下宿していた従兄・稔が紛争地帯の東ティモールで殉職した過去を忘れられません。彼女は新聞記者だった彼の後を追うように、同じ新聞社に入社し雑誌記者としてキャリアを積み重ねつつある28歳。インドネシアでの地震取材をきっかけに稔の謎の死に徐々に迫っていきます。ODAや途上国でのボランティア活動、NPOやNGOなどの題材がリアルに描かれます。ただ説明に従事してしまった部分も

アメリカン・ゴッズ 上 ★★★★★
峰形 五介/オール神様大進撃
食事シーンが多い作品である。ただし、豪華な食事は出てこない。質より量のファストフード、もしくは素朴な家庭料理ばかり。ピザ、チリ、パンケーキ、パスティ(これは美味そう!)、マカロニチーズ、デビルドエッグ、ポテトサラダ、リンゴ酒、蜂蜜酒、手作りのビール、アイスクリームサンデー、キャンディバー、特大のチョコレートクリームパイ、KFCのフライドチキン、焦げたフレンチフライ、ぱさぱさの七面鳥、冷めたハンバー

大統領特赦 上 ★★★★★
ドン・キホーテ/米国大統領の発した特赦にまつわる逃走劇
グリシャムは法律、法廷ストーリーの作家として登場し、話題作を提供してくれていた。このところ新作を見る機会がなくなったが、ペリカン文書や法律事務所など、映画化もされて一躍有名にもなった。本書は文庫本2冊の長編である。筋は法律や法廷とは少し離れている。登場人物は大統領、CIA、FBIなどの国家機関であるが、主人公は元弁護士で、いわゆるロビイストである。法律との関わりでは主人公が法律事務所を経営し、ロビ

それから ★★★★★
としりん/読みやすい文庫で読む名作『それから』
漱石の『それから』は、新潮文庫や角川文庫などでも読むことができる。しかし、このワイド版岩波文庫は本のサイズは大きくなるが、活字の大きさや行間の幅など大変読みやすいことが特徴である。他にユニークな文庫として、舵社のデカ文字文庫がある。活字のサイズがデカく、本のサイズ自体もデカく分厚く重くなる。こちらは持ち運び易さに難がある。かなり視力が弱った人向きだろう。さて、漱石文学では、評者の独断と偏見で『ここ

死日記 ★★★★★
どーなつ/とても悲しく、かつ救いようがない作品ではあるのですが、できるだけ多くの人がこの本を手にし、それぞれ何か考えることがあればな、と感じた作品でした。
「県庁の星」で有名な桂望実氏のデビュー作。14歳の少年、田口潤が中3への進級を機につけはじめた日記がメインとなります。物語冒頭から、いきなり少年が母親の同棲相手である男の首に手を伸ばすシーンからはじまる、衝撃度の高い作品。潤少年の実の父親も、酒に酔うと母親を殴ったりしてどうしようもない人だったようです。けれど、父親は交通事故で死に保険金がおりました。ようやく母親との静かな生活が望めると思っていたの

勝間和代成功を呼ぶ7つの法則 ★★★★★
夏の雨/勝間和代、ヌードになる !?
勝間和代、ヌードになる!?といっても、勝間和代さん自身が本書の最後のページに書いているように、あくまでも「精神的なヌード写真集」である。うまい比喩ではあるが、いささかときめく。裸になるということは自分の肉体をさらすということであるが、本書でも勝間さんの著作だけでなく、(ある程度の)私生活まで明らかにされている。「勝間和代」とは何者であるか、まだ未知の読者にはお薦めの一冊である。そもそも私が勝間和代

脳を活かす生活術 ★★★★★
夏の雨/希望にみちたこの世界
『脳を活かす勉強法』『脳を活かす仕事術』につづく、脳科学者茂木健一郎の<脳を活かす>シリーズの三作めである。今回は、「よりよく元気に生きていく」ための、生活全般における脳の活かし方であり、先の著作よりも幅広い読者層に向けられたものといっていい。最後は「希望」や「愛」の領域まで話が進むのであるが、「元気」な人はその理由に気づくだろうし、「元気」でない人はそれを解決する糸口が見つかるかもしれない。そん

ビジョナリーカンパニー ★★★★★
龍./経営書としては、もはや古典と言ってよいでしょう
経営書としては、もはや古典と言ってよいでしょう。優良企業と超優良企業は、どこが違うのか?ビジョンを持っているか、どうかでその違いが生まれるということです。ビジョンは持っているだけではだめです。それを組織に浸透させていることが大切。よく「××のDNA」という言葉を使いますが、その会社のDNAをビジョンに乗せて脈々と受け継いでいくイメージです。ビジョンは長期的な視点。しかし、ビジョナリーカンパニーは長

キャッシュレス、伝票レス、社員レス!ココまでできる経理の合理化 ★★★★
龍./経理関係の人にはお勧めの一冊。
経理関係の人にはお勧めの一冊。特に経理業務にそれほどマンパワーをかけられない中小企業にとっては、経理の合理化は必須の課題です。なぜ伝票をつけるのか。なぜ現金が必要なのか。これら経理の常識について、その本質を考えることで答えが見えてきます。伝票をつけるのは、取引記録を社内の別のだれかに伝えるため。現金が必要なのは、経費の精算を都度おこなうため、など。はたしてそれがすべての会社に必要なのか?そんなこと

読書力 ★★★★★
龍./本を読む人は、自分の未来を切り開いていく力をもっている。
本を読む人は、自分の未来を切り開いていく力をもっている。目的をもった本の読み方のすすめです。本の読み方について、具体的な方法を解説してくれています。人生の基本が読書によって培われるというイメージでしょうか。弱い自分を強い自分にかえるための重要な要素が、読書にはあるのです。具体的に気になったところ・・・「学校よりも読書が大切である」学校に行くな、ということではないにしろ、読書は自発的な行動です。自発

すごい会議 ★★★
龍./会議の目的を明確にすることで、会社の業績アップが可能になるという本です。
会議の目的を明確にすることで、会社の業績アップが可能になるという本です。たいていの場合、会議と名のつくものは非常に無駄な時間を過ごすことになります。なぜなら、目的が明確ではないから。よくあるのが、だらだらと話だけで終わるもの。そこには結論はありません。あとは、社長の演説になってしまうもの。社員としては、「またか」と思ってしまいます。「なんのために会議をするのか」これを考えないと意味がありません。会

脳と心の洗い方 ★★★★
ショートチョット/リップル・マーク
「我々はすでに知っているものしか認識できない」知っていることの”棚卸し”と”感情の組み換え”が本書のテーマだ。では知らないことに対してどうするか。一番の肝は「知らない」ということを「知る」ということだ。なぜ「一生懸命、働くことが善なのか」というような「何故なぜ思考」がポイント。頑張った結果、収入が増えた。これは事実かもしれない。しかし、収入を増やしたいから頑張る、これは「逆は必ずしも真ならず」はご

コトバを変えなきゃ売れません。 ★★★★
リーマン・シスターズ/「言葉は心をのせて伝える器、相手の心に届けるための」
恋愛を恐れると言葉が出てこない。年齢も立場も諸条件も関係ない。そう、一人は男で、ひとりは女。ただ、それだけだ。良いところを一つは見つけて、口に出す。ほめて、ほめて、ほめまくる。本当にいいと思っているのだから嘘はない。相手が謙遜しても、自分の気持ちに嘘はないのだから堂々と、言い続けることができる。もし、こころが違う方向むいていたら、言葉は通じない、届かない、動かない。器と中身が合っていないのだから。

クラウド・コンピューティング ★★★★
Kana/要点をおさえ,エピソードもおもしろい
非専門家の目でクラウド・コンピューティングをみている.ソフトウェアのハードウェアからの分離(アンバンドリング)やブロードバンド・ネットワークの普及によってパソコン上にソフトウェアがなくてもよくなってきたことからはじめて,iPhoneなどの話題もはさみながら,ゆっくりとクラウド・コンピューティングにちかづいていく.しかし,クラウド・コンピューティングの特徴やユーティリティ・コンピューティングとの比較

クラウドの衝撃 ★★★
Kana/常識的だがクラウド・コンピューティングがクリアにわかる
クラウド・コンピューティングをちゃんと定義し,グリッド・コンピューティングやユーティリティ・コンピューティングなどの類義語とのちがいを明確化するなどして,クラウド・コンピューティングというものがクリアにわかるようにしている.そして,グーグル,アマゾン,ヤフー,マイクロソフト,IBMなどの企業がどういう戦略をもってそれにのぞんでいるかを分析している.しかしながら,内容は常識的であり,それ以上に注目す

アンビエント・ファインダビリティ ★★
Kana/アンビエントな内容
さまざまな情報を実世界やWWWからみつける(みつけられるようにする)ことに関する本である.カラー写真を駆使して論じる個々の話題はおもしろい.しかし,それらの関係はアンビエントである.「アンビエント・ファインダビリティ」ということばの意味もよくわからないままである.もうすこしはっきりしたものがほしい.

環境知能のすすめ ★★
Kana/おもしろさがうまくつたわってこない…
さまざまな分野の論客による環境知能の本ということで期待したのだが,はずれてしまったようだ.第1部はシンポジウムの記録であり,おもしろい研究の紹介であるはずだが,テレビなどにくらべるとおもしろさがなかなかつたわらないようだ.それ以降はかなり哲学に傾斜しているが,それほどあたらしさを感じなかった.わすりやすくするために小説のようなスタイルなど,ストーリー性をあたえた部分もあるが,成功していないようで残

戦略PR ★★★★
ソネアキラ/PRの3種の神器とは。
日本では、PRというと、企業広報やプレス、もしくはPR会社で、ニュースレリースをまとめたり、パブリシティ展開などで、マス広告に比べてなんだか地味という印象があった。個人的感想。そういえば、小泉総理時代に、自民党が躍進してバックアップしたPR会社が脚光を浴びたことがあったけど。ところが、従来のマス広告の効果に疑問が持たれたり、ネット広告が台頭したり、また不景気を迎えて、改めてPRがスポットを浴びてい

新・細胞を読む ★★★★★
銀の皿/機能を説明できる形態がこんなに見えてきている。
電子顕微鏡や蛍光顕微鏡など、最新の画像をふんだんに使ったわかりやすい「微細形態学」「顕微解剖学」の本。というか、写真集ともいえる。電子顕微鏡写真が中心であるが、解説が親切なので難しくはない。それこそ教科書に「とりあえずは」でてくる人体の臓器の絵から始まり、要所要所になじみ深い模式図とか、簡略化したイメージなどが上手に取り入れられているので、段階的に見える大きさのイメージからつなげることができるから

現代イタリアの思想をよむ ★★★★
半久/練達のよみ手が、イタリア思想の湖へと誘う
本書は、1986年に刊行された『クリオの手鏡』を改題したもので、大幅に増補し新版として甦った。全15本の論考のうち、9本が新たに追加されている。イタリアには関心のある日本人も多いだろう。とくに歴史と文化。ローマ史は人気が高く、ルネッサンス期の芸術、ファッション、グルメ、マテリアルデザインなど尽きせぬ魅力がある。ところが20世紀以降のイタリアの思想、それも政治との関連が深いものとなるとどうだろう。一

わかりあう対話10のルール ★★★★
半久/きたるべき「対話」のために
本書における対話とは、論証によって支えられるタイプの対話だ。共感によるわかりあいではなく、《ロジックをベースとしたわかりあい》がテーマである。この対話を議論と読みかえても私はかまわないと思う。勝手な命名をすると、本書は著者の議論シリーズの第3弾になる。基礎編は、「論証とはなにか?」について基本的な解説がなされる。あれもこれもと詰め込まず、ベーシックな概念について、かみ砕いたていねいな説明をしている

大原さんちのダンナさん ★★★★
カフェイン中毒/神経症でも楽しそうって思うのは、底抜けに明るいせい?
パニック障害だの、視線恐怖だの、数々の神経症を抱えた男性と交際2ケ月で結婚。外出はマスクに帽子、妙なこだわりや潔癖…と、他人ならともかく、一緒に暮らすとなると大変そうな男性、大原氏。精神科にも神経症にも偏見のない私ですら、こりゃ面倒かもと思ってしまうような彼と一緒になったのは、著者であるユキコさん。ほぼ無職であるダンナさんが主夫をし、ユキコさんは外での仕事を続けます。家に帰るとダンナさんが作る美味

私とは何か ★★★★★
wildcat/3つの問いは1つの問い
『魂とは何か』、『私とは何か』、『死とは何か』は、文筆家・池田晶子の残された未発表原稿と書籍未収録原稿を3つのテーマに集成したもので、著者が記した墓碑銘、「さて死んだのは誰なのか」を共通のサブタイトルとする「最後の新刊」である。3冊の帯の表は、それぞれの本の固有のメッセージが書かれ、裏は共通メッセージが書かれている。本文が終わってレファレンスの部分が始まる前に、過去の作品から短い印象的な言葉が3つ

死とは何か ★★★★★
wildcat/生死の不思議、自然の不思議、宇宙の不思議、存在の不思議
『魂とは何か』、『私とは何か』、『死とは何か』を3冊読了し、なんとなく、この順番で読んでよかった、ような気がしている。3つのテーマはつながっているし、時間的にも同じ時期に書かれた作品群なので、どれが先でどれが後というわけでもないのだが。「生きている」ということは、当然「死んでいる」ということの反対です。死がなければ生がないのだから、生とは何かを知るためには、死とは何かを知らなければならない。しかし

生き延びるためのラカン ★★★★★
T.コージ/『ヨシモトで読むラカン』という本が一冊書けそうな…
ラカンに転移してしまった著者が「日本一わかりやすいラカン入門」を目指して6年の月日をかけ、中学生にも読めるように書いたのが本書。サブカル論議や精神分析、心理学フェチなら当然知っているレベルの用語だけで見事にラカンが解説されている。難解な専門用語が排除されているわけで、そこに<父の排除>を察する読者からは反発もあるけど、それこそこの本が成功してる証だとすればOK。吉本に転移している自分からすると、本

不平等社会日本 ★★★
BCKT/『村上泰亮をいかに超えるか』が結局この本のテーマ
序章お嬢様を探せ第一章平等のなかの疑惑実績VS努力第二章知識エリートは再生産される階層社会の実態第三章選抜社会の空洞化粘土の足の巨人第四章「総中流」の落日自壊するシステム第五章機会平等への途効率と公平終章やや長いあとがき著者は1963年(広島県)生まれ。東大文学部社会学科卒業後,博士課程途中で東工大に就職。いいなぁ。本書刊行時点で東大総合文化研究科(助教授)。社会学博士(授与校はたぶん東大だろうけ

ブリッジブック裁判法 ★★★
半久/裁判制度とその周辺
本書は、日本の裁判制度をめぐる基礎知識について解説しようとしたもの。学生であれば、解釈学としての法律学を学ぶうえでの前提として知っておきたいことであるし、一般市民としても基礎教養として押さえておいても損はない分野だと思う。大きな方針としては、司法改革が進む現在の動向と未来の方向性をふまえ、1.日本の司法制度の全体像と、2.その課題について考察している。そのできについてだが、1についてはもの足りない

団地が死んでいく ★★★★
半久/集合住宅の孤独
「団地が死んでいく」とは二つ意味があって、一つめは住居としての団地が老朽化していくことです。建てかえで対応という所がでてきますが、そうしたからといってうまくいくとはかぎりません。都営戸山団地がその例として登場します。高層化と現代的な遮断性の高い構造は、住民の孤立化を助長しているようなのであります。「鉄筋コンクリートの建物の耐用年数は30年なので、その周期で建て替えるべきだ」という説が吹聴された時代

左翼はどこへ行ったのか! ★★★
半久/いちおう、「応援本」であるらしいが・・・
元をふくめた最近の左翼の人間模様をルポした本。立ち位置について、左翼か右翼かということにこだわらず「そう呼びたいなら、それでもいい」という態度の人も登場する。広い意味で、「左翼的」な人たちを含めた本だと考えていいと思う。沖縄で1章もうけているのはいいが、全共闘世代の記事がすくない。人選に難があるわけで、これはまたの機会があれば取りあげたいとのことだそうだ。トップバッターは「マクドナルド裁判」を支え

オバマ危険な正体 ★★★★★
りっちゃん/やっぱり・・・
うーん、やっぱりかぁ。残念だけれど、オバマ人気はつくられたもののようです。どうしてアメリカの人は簡単に騙されてしまうのでしょう。“Yes,Wecan”はステキだよね。「何が」というのがこれからの問題だとは思っていたけれど・・・「アメリカは一つ」あたりから、やばいなぁとは思っていたんだ。黒人を大統領に選んだだけでもアメリカは変わってきたと思っていたけれど、それもこの本を読むと、やばい!著者はルーズベ

新しい教養を求めて ★★
塩津計/「教養」がなぜ衰退したのかくらいわからない奴は、それこそ「キョウヨウ」がない奴だ(笑
「新しい教養を求めて」と、「教養」について書き下ろしたのかと思い手にしてみたが、中身は、あちこちの雑誌等に筒井氏が書いた掌編を寄せ集めたに過ぎない。以前読んだ竹内洋「学問の下流化」も似たようなつくりだったが、改めて見ると出版元は同じ中央公論新社である。掌編だけでは頁が足りなかったんだろうが、タイトルとほとんど関係ない「書評」を増量剤として用いる安易な手法はやめてもらえないか。もしどうしてもというな

絶対貧困 ★★★★★
塩津計/相対的貧困などとふざけたお遊びごっこをやめ、本当の貧困を括目して見よ!
私は常々子供たちに語りかけている。「現在の日本に生まれたということは、生まれながらにして宝くじに当たったようなものだよ」と。日本ほど平等で、平和で、犯罪発生率が少ない、安全な素晴らしい社会はないのだ(ちなみに昨今、日本における見かけ上の犯罪発生率が増えたように見えるが、その実態は「天下の回りもの」状態になった駅前に乗り捨てられている自転車の盗難=自転車盗の増加による。重大犯罪は増えていないし、その

歪んだ正義 ★★★★
dimple/検察が抱える問題点~裁判員となる前に一読しておいて損はない。
『歪んだ正義特捜検察の語られざる真相』(宮本雅史、角川学芸出版、2007年)を読了した。産経新聞社・社会部編集委員による著書である。本書は、東京地検特捜部の抱える問題点として、主に、(a)検察が作り上げたストーリーに基づいた供述調書の録取、(b)マスコミ世論との関係、(c)政界との関係を挙げる。そして、これらの問題点が浮かび上がった事件として、造船疑獄事件(1954年)、ロッキード事件(1976年

ニッポンの岐路裁判員制度 ★★★★
Kana/裁判員制度を理科系的な目でみた貴重な内容
裁判員制度に関する本はおおいが,大半は法律の専門家が書いている.この本は理科系的な目からみた貴重なものである.裁判員制度は市民の常識を裁判にとりいれる目的で導入されるのに,法律家の常識でしきられようとしていることへの疑問,グラフやマルチメディアに関する十分な知識がないままにそれらがとりいれられようとしていることの危険などは,他の本にはほとんど書かれていない貴重な指摘である.また,法律家をはじめとす

小泉政権 ★★★
Kana/日本の政治をおおきくかえた小泉の 「アイディアの政治」 とは?
「パトスの首相」,「強い首相」という観点から小泉元首相の政治手法を分析し,内政,外交をそれぞれ分析している.そのうえで日本の政治のながれを「利益の政治」と「アイディアの政治」の対立という視座からとらえて,小泉が「アイディアの政治」を復活させ,日本の政治をおおきくかえたとしている.しかし,「アイディアの政治」の意味が十分説明されていないので中途半端になっている.「あとがき」で著者は過小評価していた小

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか ★★★★
峰形 五介/"We blew it"とキャプテン・アメリカは言った
アメリカ在住の映画評論家・町山智浩のコラム集である。ベストセラー『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』の姉妹編のようなもの(どちらの本も『週刊現代』に連載されていたコラムが中心になっている)だが、本書のほうは――NASA製の紙オムツをつけて大陸を横断したストーカー宇宙飛行士!全身全霊をかけてドンキーコングに挑む中年男!億万長者が遺産を残した相手は愛犬のマルチーズ!ストリート・ギャングを

観光コースでないベルリン ★★★★
オタク。/ドイツ民主共和国の首都である「民主主義のベルリン」についての本。
版元からして第三帝国時代の話しか、と思って買って読んだら、DDRの首都だったかつての東ベルリンの事が殆どだった。何か意外な感じがした。将来、平壌についても出すのだろうか?それなりには興味深い内容なのは確かだ。今でもFDJが存在しているのを初めて知った。機関誌名までヒトラーユーゲントのそれを使っているのも。しかし変だな、と思う点も多々ある。Uボートとして地下に潜伏して第三帝国時代を生き残ったが、ソ連

せめて一時間だけでも ★★★★★
オタク。/同化ユダヤ人と「普通の人びと」。
ドイツ社会に同化したユダヤ人家庭出身の人が第三帝国時代を如何に色々な人の善意と官僚的な間隙によって生き延びたか、を書いた本。だから「ホロコーストからの生還」という邦題にある副題は?がつく(これではドイツから「東方」のゲットーを経て強制収容所から「生還」したという印象を受ける)。ハーリヒのような戦後、DDRで体制に批判的になったマルクス主義者(彼のような脱走兵{第三帝国には今のドイツみたいな兵役拒否

知っておきたい日本の神様 ★★★★
菊理媛/日本人なんだから、知っとかなくちゃ!
昨今、パワースポットとして、山や大木のある“自然”と並んで神社の名を聞くことがよくある。ほんとーにビギナーで申し訳ないくらいの知識しかないので、日本人として申し訳ないくらいなのだが、自然万物に神を見る神道というものには好感を持つ。よく言われるように、「学問の神様に縁結びを願うなどもってのほか」という意味は理解できるのだが、この神様がなぜ「縁結び」の神様と言われるのかまったく分からないし、その縁起な

散るぞ悲しき ★★★★★
読み人/辞世の句まで改変。
日米ともに多大なる死傷者をだした壮絶なる戦い、硫黄島の戦い。米軍から最も恐れられた日本軍の指揮官栗林忠道に迫ったノンフィクションです。硫黄島での戦闘そのものに迫るというよりは、女性の書き手らしく、栗林個人、人間としての栗林に焦点をあてて書いてあります。指揮官としては、あくまで旧軍の特徴である精神力を重んじるのでなく、あくまでも合理主義を貫き、軍中央が推奨する水際殲滅戦の無効を見抜き、ゲリラ戦を徹底

海の史劇 ★★★★★
拾得/坂の上に雲はあったか
「第二次世界大戦であれだけ負けておいて、いまさら戦勝気分に浸れない」という、まったくもって時制を無視した感慨から、「日本海海戦もの」は意識的に遠ざけてきた。ところが、「戦艦武蔵」「陸奥爆沈」「海軍乙事件」「大本営が震えた日」・・・と、独自の戦記物を著わしてきた吉村昭氏が、日本海海戦をとりあげていたことを遅まきながら知って、あわてて手に取った。氏の姿勢は、声高に戦争を非難するわけでも、何かの「理由」

天誅と新選組 ★★★
龍./ルールなしの暗殺。
ルールなしの暗殺。幕末には、さまざまなイデオロギーと利害関係と感情が絡み合って、「天誅」という名のもとのテロが横行していました。本書では、幕末のテロの様子と背景を中心について書かれています。思想の変化と政情の変化により、昨日までの味方が的に変わることもしばしば。スパイでその組織にもぐりこんだにもかかわらず、思想に染まってしまい結局テロに参加というパターンも見られます。現代では、テロという手法をつか

あぶあぶあからの風 ★★★★★
wildcat/「あぶあぶあ」の精神は、「人の喜びは自分も一緒になって喜び、自分の喜びは人の喜びでありたい」と思うこと。
1982年4月、神戸市にて、当時、高等養護学校を卒業したばかりの人や在籍中の人6人と音楽好きの障がいをもたない2人の女性が加わって、「楽団あぶあぶあ」が誕生した。「あぶあぶあ」は、初めての集まりで、みんなが喜んでつけた名前だという。結成メンバーの一人でもある著者は、その日こう語ったのだという。「私ね、歌が大好き。赤ちゃんのとき、初めてお母さんと歌った歌は、ぶあぶあぶあ。人はね、みんな生まれたときか

LD・学び方が違う子どものためのサバイバルガイド ティーンズ編 ★★★★★
wildcat/自分がどんな種類の人間になるかは、自分で決めることができる。
本書は、『LD・学び方が違う子どものためのサバイバルガイドキッズ編』と同じ著者によって書かれたティーンズ編である。はじめに1.LDを理解する2.法律とあなたの権利3.どのように自己主張をするか4.仕事に就く:仕事をするほうが良いか?しない方が良いか?5.どうやって仕事を見つけて続けるか6.将来の計画を立てる:職業の目標を設定する7.自立に備えるには8.ひとりで出かけられるようになる9.友だち作り、

LD・学び方が違う子どものためのサバイバルガイド キッズ編 ★★★★★
wildcat/「学び方が違うこと」の意味を子どもたちにわかるように伝える1冊
本書は、LDについての質問に答えていきながら、LDの子どもたちが、自分自身のことを理解する手助けをすることを目的として書かれた米国の本を日本向けに注をつけながら、翻訳した本である。章題には、問いや呼びかけがそのまま使われている部分が多い。まえがき1.LDって何?2.どうしてLDのある子は学習するのが大変なの?3.7つのLD4.LDのある子どもが学ぶのを助けてくれる法律5.LDプログラムに参加しよう

あきらめないでまた明日も ★★★★★
wildcat/点訳絵本を生み出した女性の半生
本書は、「ふれあい文庫」の創始者である岩田美津子さんの半生を描いたものである。てんやく絵本は、見えない彼女のささやかな願いから生まれたものである。ある日、幼い息子が絵本を持ってきて、「これなあに?」とたずねてきたが、つるつるした紙の絵本にさわるだけでは何も分からない。いいようのない空しさを感じただけで引き下がる彼女ではなく、市販されているダイモテープに点字で文章を書き写し、それを文字や絵のじゃまに

論争・英語が公用語になる日 ★★★★
BCKT/英語公用語化をめぐる賛成派と反対派の主張を編纂
I英語を公用語にII反対の論点IIIさまざまな視点IV解説と資料編著者は1953年(東京都)生まれ。北大(文)卒。東大大学院(総合文化研究科)修了(博士)。単著にインド言語政策を研究した『あふれる言語あふれる文字』(01年)。勤務先不明。どうやって食ってるんだろう・・・。心配だ。本書は,学者16人,2組織,評論家,法律家,朝日新聞,ジャーナリスト,世界出版研究センター代表などで総勢26人のコンピレ

幼稚園から中学までお母さんの学校スピーチ ★★★★★
星の砂/頼りになる一冊
私は、高校2年生、小学校5年生、幼稚園年少に入園したばかりの子どもを持つ母親。母親歴は16年もあるけれど、いまだに学校などに連絡するときの“言葉選び”に苦労する。この本は、大勢の前でのスピーチだけではなく、先生に対してのあいさつ、お礼、おわび、相談、幼稚園、学校で行われる行事、保護者会、懇談会での話し方、届出、連絡帳、手紙の書き方など、様々なシーンの実例をたっぷり盛り込んでいる。実例をもとにしなが

幸田文台所帖 ★★★★★
佐々木 なおこ/エッセイと極上の小説が一編
桜の咲き始めた頃から読み始め、そしてしみじみとかみしめながらようやく読み終わったときは桜の花が散ったあとでした。表紙の桜の花、なんと美しいことでしょう。幸田文さんのいろんなエッセイと極上の小説が一編。この本を編んだのは文さんの娘、そしてお孫さんで随筆家の青木奈緒さんがあとがきを書かれています。幸田文さんの文書はこれまで何度となく読んできたように思いますが、今回もまた深く深く読み込んでしまいました。

部長!ワイシャツからランニングがすけてます ★★★
cuba-l/ファッション指南は、迷えるおじさんの救いか、余計なお世話か
想定読者は40才前後から始まって主体は50台以降のホワイトカラーおじさん層の、ファッション評論本である。日本のおじさん(じいさん)ファッションというと、平日は型にはまったスーツ姿と、休日は背広・ジャージ・靴下・つっかけサンダルのような、とことんイケていないスタイルが主力のような気がするが、この本ではとりあえず、そこまでの底辺(?)層はあまり相手にしていないらしい。近年はビジネスカジュアルだのクール

自分へのごほうび ★★★★★
オタク。/随分男っぽい文体で書かれる方だ。
平成8年にNHKに入局した(つまり民放なら「30歳定年制」で、外野席等からお局様扱いされる年齢になる)バツイチ(この本には出ないが本人が「週刊プレイボーイ」でのインタビューで答えていた)の、いつの間にかNHKの看板アナウンサーの一人となった方が書いたエッセイ。NHKであれ民放であれアナウンサーがエッセイを書かれると「ですます調」が多いが、この方は見た目と違って随分男っぽい文体で書かれている。しかし

洋菓子の経営学 ★★★
かつき/密集するケーキ屋が繁盛するワケ
20代の2年半を神戸で過ごしたのでまさにこの本に載っているスウィーツの店にはよく行きました。本書でも書かれています。「半径350mのなかにケーキ屋が15軒ありそのどの店もが繁盛し、なかには行列を作っている。」それは神戸ならではの風景ではないでしょうか。その繁盛の戦略秘話に、パティシエたちの経営と人材育成の姿勢、原材料提供業者のルール、神戸の歴史、顧客の厳しい選別などから迫っていきます。弟子を育てる

初女お母さんの愛の贈りもの ★★★★★
浦辺 登/たかが「おむすび」、されど「おむすび」。
この本を読み始めたら、むしょうに「おむすび」を食べたくなる。真ん中に梅干しが入っていて、ご飯には軽く塩味が染みていて、しっとりとした海苔の香りが立ち上がる。不思議なことに、お茶碗によそったご飯では食がすすまない朝でも、「おむすび」だと食べてしまっている。これに味噌汁とほんのわずかの漬物が添えてあれば、なんの不満もない。たかだか、人間の掌の中で握り固めただけの飯粒が美味しいのはどうしてだろう。ところ

わたしと小鳥とすずと ★★★★★
サムシングブルー/森鴎外は言う。 「童謡は詩の芽である」
金子みすゞさんは、明治36年山口県仙崎村(長門市仙崎)に生まれました。仙崎は日本海に面した漁師町です。本屋を営む母に育てられた彼女は、小さいころから本が大好きでした。女学生を卒業した彼女は、下関の本屋さんの出店で働きながら、西條八十が選をしている雑誌『童話』に童謡『お魚』を投稿します。その作品は、西條八十に絶賛されましたが、彼女は26歳の若さで亡くなってしまいます。みすゞさんの512編もの童謡は、

でんせつ ★★★★★
銀の皿/ヒトなら「すたすた」?「おいおい」?
詩と絵の本なのですが、それぞれのタイトルは「しましま」、「てんてん」、「うとうと」・・とそれだけではなんのことかちょっとわかりませんね。「しましま」はトラ、「てんてん」はテントウムシ、「うとうと」はクマ。工藤直子さんの詩、あべ弘士さんの絵を知っているなら、どんなものかがなんとなくわかってくるのではないでしょうか。見開きを二回使って、一つの動物の「でんせつ」が描かれます。この「二回」というのがなかな

ツバメのたび ★★★★
うっちー/なるばる日本にやってくるツバメが、ますます愛おしくなる。
毎年、日本にやってくるツバメが、どんなところから、どんな風に飛んでやってくるのかを描いた絵本。日本から5000キロも離れたマレーシアで、1羽のツバメが、何かに呼ばれているような気がして、そこをめざして出発する。村の上から、海辺へと。そして、仲間も一緒に、海を越え、どこか遠いところをめざして飛ぶ。海の上や船、雨の日、灯台、漁船の小船など、ページごとに描かれる景色が美しい。そして、日本の春の風景が見え

勝てる読書 ★★★★
夏の雨/かわいい由美ちゃん
豊崎由美といえば、歯に衣を着せない辛口な書評で人気のある書評家だが、本書の表紙折り返しの著者からの<Message>に「本はあなたとわたしとつながっています」とことのほか淑やかである。トヨザキ、熱ある?と心配しながら読み始めたのであるが、まあ最初のうちはそれでもいつものトヨザキ調は健在なのだが、章を読みすすむうちに、いつものトヨザキは影をひそめ、優等生由美ちゃんに大変身してしまうのであります。こと

チョキチョキおじさん ★★★★★
まざあぐうす/切り絵の恐竜王国の世界でお母さんを探す冒険物語を楽しんでみませんか。
「これを切ったら恐竜劇場のはじまりだ」チョキチョキおじさんのアトリエから絵本の物語が始まる。主人公は、マイアサウラの男の子。おじさんが作る切り絵でできた恐竜王国の中に入れられて、お母さん恐竜を探す冒険物語。切り絵の石頭恐竜の親子、アラモサウルスの群れ、肉食恐竜のティラノサウルス、森の木々、昆虫や鳥たち、山や川や湖の自然、稲妻や雨や雨雲、そして、洪水の自然現象…それらの全てが切り絵で巧みに描かれてい

吸血鬼の花よめ ★★★★★
mikimaru/粒ぞろいの12話
ブルガリアの昔話というのは珍しいと、とりあえず読んでみた。モチーフとしてはともかく、全体の流れとして知っている話はなかった。けっこう昔話は読んできたつもりだが、まだまだ世界はひろいのだと実感。困っている生きものを助けて不思議なものをもらう話は諸国にあるが、ブルガリアにもP.35「パーベルじいさんの光る石」がある。また、何かを決めるときにものを投げてその転がる方向に進んでいく話も、収録された12話の

ロシアの昔話 ★★★★
mikimaru/おもしろいが、惜しい
幼少時に好んで読んでいた「金の魚」の話は、ロシアの昔話だったようだ。命を助けられた魚がおじいさんの願いをなんでも叶えるのだが、強欲なおばあさんの要求をつぎつぎに伝えるうち、やがて魚の堪忍袋の緒が切れる。そして最後は文無しになってしまう話だ。あれを読んで「ほどほどにしておけばいいのに」と考えたことを思い出した。収録された33話には、動物譚、魔法、旅や苦労の末に伴侶に巡り会う王子の話などがちりばめられ

幼ものがたり ★★★★★
夏の雨/読んだところからはじまる本
児童文学者石井桃子は百一歳という長寿をまっとうし、昨年(2008年)春亡くなった。その石井が七十四歳のときに書いた自伝的物語がこの『幼ものがたり』である。書かれている内容がほとんど小学にあがるまでのことがらであることを思えば、石井の記憶力といえばいいのだろうか、創作力といえばいいのだろうか、老いてもなお彼女が現役の作家であったといえる証左ではないだろうか。(石井はこのあとも『幻の朱い実』という作品

まいなす ★★★★★
みーちゃん/これ、拾い物でした。舞の性格、これが悪く働くときもあればうまく働くときもある、人間なんてそんなものですが、それが後半になってじつにうまく回り始める。欠点を補う良さがあります。
それにしても、このカバーは予想外でした。ミステリーYA!ではなく、ポプラ社の児童書かな、と思ったほど。ベースの水色がYAというより児童書。おまけにイルカ?シャチだよね、これって、と言いたくなるシンプルなおさなかがドーン。で、出版案内をよーく見ると、これが違うんだなあ、次児童書じゃなくてやっぱりミステリーYA!。それなら読まなきゃ、と手にしたんですが、これが意外や大当たり。この叢書中一、二の出来なん

100万回生きたねこ ★★★★★
サムシングブルー/この絵本を、あなたはどなたと読みますか
『心と響き合う読書案内』で紹介されていた佐野洋子作・絵の絵本『100万回生きたねこ』を読みました。子どもが小さい頃、よく絵本を読みました。絵本のページをめくるとき、ちらっとのぞき見る子どもの顔は、きらきらしていて、愛らしくて、幸せなひとときでした。今回は一人で絵本を読みました。実は、私、ねこが苦手なんです。ねこを抱っこしたことがありません。ねこの目が怖いのです。表紙のねこはエメラルドグリーンの眼を

日記をつける ★★★★
テレキャットスター/人の日記を覗くと、自分でもつけたくなる
日記のつけ方やテクニックを解説している本、ではない。ただ、日記の面白さ、自由度の高さを教えてくれる一冊だ。サンプルとして、さまざまな日記が登場する。これが面白い。その多くが著名人によるものだが、内容もスタイルもいろいろ。例えば、内田百間の日記には天気と就寝時刻しか書かれていない。それと、食事のメモ。「鳴門のわかめ」のことを「泣キタクナル程ウマイ」などと評価していて、ちょっとかわいい。山田美妙は、性

ニッポンはどうすれば勝てるのか? ★★★★
さざなみ/躍進に躍進を重ねてきた日本人魂今も生きている
日本列島を桜前線が覆い尽くし、野球だ、サッカーだ、相撲観戦とスポーツは花盛り。先頃のWBCには日本中が興奮の坩堝となった。「柔、剛を制す」ではないが、判官ビイキの日本人にとっては、筋書きのないドラマに酔いしれてしまった。だが、喜んでばかりいられない。外国人力士に土俵を明け渡してしまったのか?日本人力士の不甲斐なさ、この無念さはいつ晴らせるのだろう。相撲だけではない、サッカーにも一抹の不安はつきまと

れでぃ×ばと! 8 ★★★★★
DSK/相変わらずの読みやすさでサクサク進むが恋の進展は……?
読みやすくてサクサク進む割に物語の進展がちっとも進まないシリーズだが、本巻では少しだけ、というか朋美の心境が少し変化したようである。【第十九話】文化祭的位置付けの『麗美祭』で急遽行われることとなったミスコンの顛末。冒頭で程良く出てきた理事長&深閑の驚愕(?)の事実が発覚する。ただ、肝心のミスコンは四季鏡(姉)の振る舞いを除けば意外な結果となり少々肩透かし。むしろ次話への導入といった感じである。【第

コピーフェイスとカウンターガール 2 ★★★★★
DSK/前巻の雰囲気そのままに大きくレベルアップした秀作
前巻の書評で「シリーズ化は難しい」と記したが、それを訂正してお詫びしなければならない続巻である。しかも前巻で脇役という名の黒幕を演じた姉【早苗】をメインに配しつつ、新キャラもふんだんに登場させながら良平と早希の関係はそのままに、平良家の親戚陣もしっかり活躍させる構成が秀逸であり、さらには実に見事な結末まで用意している。もしかしたらこれは良平向けか?という早苗の思わせ振りなプロローグも、実際は誰に向

クール・ブラザータフ・シスター ★★
にい/中途半端
能力=キャラクターとなってしまっていて、それぞれの性格が出せていない任侠とメイドも「なんちゃって」感が強く、互いのギャップが出せておらず見せるべき部分が潰れているストレートにストーリーを追いすぎてキャラクター同士の絡みが薄い何を見せたいのかをはっきり打ち出して、無駄なシーンは削り、キャラクターをしっかり描かないと中途半端すぎて面白くならないでしょう

メグとセロン 4 ★★★
にい/ストーリーに意味がない
ミステリーっぽいけど、ストーリーは一本道でひねりがないキャラクター話ばかりで、同じネタの繰り返しジェニーにスポットが当たるかと思いきや、すっかりスルーヤマなし意味なしオチなしの展開です

魔王さんちの勇者さま ★★★
にい/薄い内容と舌足らずな展開
悪くはないがありがちな展開で内容は薄い女の子かわいい、という話世界全体としての描写がなく、主人公も脱力系というか普通の人クライマックスに行く前に、もう一捻り欲しいところです

ソードアート・オンライン 1 ★★★★★
くまくま/恋をするのは心か、身体か
脳からの信号をインターセプトして肉体との接続を切り、仮想空間での五感の再現を行う技術。そしてそれを背景とした多人数参加型のネットワーク・ロールプレイング・ゲーム、「ソードアート・オンライン」。1万人限定で運用が開始された仮想世界は、同時に管理者によって現実世界から切り離された。一度ログインしてしまえば、ログアウトするにはゲームをクリアするしかない。現実世界でゲームのインターフェースを物理的に外そう

ご主人様は山猫姫 辺境見習い英雄編 ★★★★★
くまくま/山猫姫と紅い塩
舞台設定でいうと、唐の時代くらいの社会基盤を持った世界。海に開けた延喜帝国と遊牧民族で構成されるシムールは、内陸の国境線をめぐり百年に亘って対立していた。しかし、月原弦斉という帝国の高級官吏が中央の政争に敗れ辺境に赴任してくると、シムールの一支族シャン族と和議を結ぶことに成功してしまう。彼の功績を嫉む中央政府は、支族の族長の娘を後宮に差し出すことを条件に和議を認めるとの決定をするが、月原はその条件

世界平和は一家団欒のあとに 7 ★★★★
くまくま/世界の危機と秘密基地
当然のように今日も世界の危機が寄ってくる星弓家。今回の危機は宇宙規模のどでかいものなのだけれど、お相手をするのは七美ではなく刻人。真面目だけれど融通がきかず、パワーはあるけどスピードがない彼にはちょいと役者不足ではあるまいかというなかれ。彼の男気あふれる、でもちょっと無謀かもしれない行動には感じ入るところがある。すべての行動には理由がある、というわけではないかもしれないが、過去の出来事が現在の行動

アスラクライン 12 ★★★★
くまくま/利益相反する命題とブレークスルー
二巡目の世界の夏目智春は、一巡目の世界でこれまで出会ってきた人々に巡り会う。元の世界では悪魔だったり、副葬処女だったり、敵対していた人々も、自分の知っている姿とは少し違っていたけれど、本来あるべき姿で生きていた。そして、世界が滅びゆく形も知る。Aを生かそうとすればBは死ぬ。Bを救おうとすればAは滅ぶ。そんな利益相反する命題に対して過去に出されてきた解答は、無情だけれど現実的で、どちらかを見捨ててで

神のまにまに! ★★★
くまくま/日本らしく人間くさい神様がいっぱい登場
22年前、神様たちが人間の前に姿を現し「神権」を主張して社会にとけ込んだ日本。でも、人間にないがしろにされた神様たちは、もう疲れた!と宣言して姿を隠してしまった。以前と同じ世界に戻っただけと思った人間だったけれど、これまでは神様たちのご利益で豊作や豊漁が保証されていた土地で収穫が減りだした。困った政府は、文化庁の外郭団体として神様たちを説得するための機関を設立。その職員として、民間から一人の青年を

学校の階段 9 ★★★★
くまくま/階段レース以外の対決も最終決戦間近
階段部の次期部長を決めるための戦いが開幕。時を同じくして訪れるバレンタイン・デーでは、それぞれの思いが交錯。自分の強みの無さに悩む幸宏は、美冬との会話を通じて、それをつかむきっかけを見つける。一方で、井筒はついに部長に告白する決心をする。そして、バレンタイン・デーに送られるチョコレートの行方は。

毎日かあさん 2
ダブルディ/兄>しんちゃん(年齢)
まずは、パッケージの話から。本作品は、表表紙と裏表紙を捲ると、見開きで著者である西原理恵子の写真になっている。本作品の絵のように、割烹着を着て、同じような髪型にしているところが、なかなか凝っている。さらに、その背景が、表が繁華街の雑踏で、裏が東京タワーであるところが、1巻の場末の商店街といったところと対照的であり、何とも言えない味わいがある。ここからは、本作品のメッセージの話。本作品の1巻の書評に

毎日かあさん 3
ダブルディ/妹<しんちゃん? 妹≒しんちゃん? 妹>しんちゃん?(年齢)
本作品2巻の書評同様、パッケージの話から。最初のページと最後のページの著者である西原理恵子の写真は、今回海外でのもの。1巻・2巻とは、全く対照的な場所で、1巻・2巻同様、割烹着というのがいい。とっくに出ている4巻の写真は、どこなのだろうか?(私は、本作品をbk1で購入したわけでなく、またア○ゾンで購入したわけでもなく、さらにリアル書店で購入したわけでもなく、図書館で借りて読んでいる。4巻は貸出し中

Jの総て 1 ★★★★★
空蝉/彼の総て、そして彼女の総て
これは「J」という一人の人間を描いた物語、まさしく彼、そして彼女の総てを描いた物語だ。男として生きるにはあまりに美しく、女としてはあまりに過酷な悲劇をはいずるようにして生きたJという人間の総て。それは幸せな一家に訪れた悲劇的事件に端を発する。崇拝するマリリン・モンローそのままに歌っては踊り、そうとは知らずに男を魅了する「女」として生き始めた少年Jは、両親を愛するがゆえに父を受け入れ、その事件は母を

バクマン。 2 ★★★★
空蝉/次第にしのびよるのは成功か脱落か
DeathNoteから全く新しいストーリーを構築して読者を驚かせた本作。伯父が漫画家で、家族にもOKされ、好きな子からも応援され、画力文章力ともに人並み以上の二人が漫画家を目指す・・・漫画家になるのに環境も状況も全てがそろった時点からスタートした、夢と希望に溢れた一巻から一変。この二巻ではライバルの出現、選考落ち、今一歩上り切れない評価などチラチラと不安要素が見え隠れし始めている。あまりにもご都合

Hello Work ★★★★★
DSK/ドラマも官能も秀逸なオフィスラヴ
全6話の表題作と5編の短編で纏められた作品で、全てオフィスが舞台である。当然ながらヒロインは全員OL。さすがにタイトルから直結でイメージされる職安が舞台の作品はない。掲載順で最後の【庶務課】だけが初出掲載誌の違いからかストーリー性に欠ける救いの無い話だが、これ以外はドラマも官能も申し分の無い良作ばかりである。女性社員ばかりのベンチャー企業に派遣された主人公が、本業の他に社員達のお相手も勤める表題作

コスプレお姉さんH ★★★
DSK/典型的な悪役が出てくる凌辱と寝取られ
成年コミック掲載作に「消し」を施して青年コミックとして纏めた全12編の短編集である。各作品の初出が1999年~2005年と幅広いが画風は思ったほどバラついていない。看護師、ウエイトレス、家庭教師、OL、CA、受付嬢、女教師、弓道部員、女子高生(裸エプロン)、妹、生徒会長、幼馴染みが各話のヒロインで、コスプレというより設定(舞台)も含んだ各シチュエーションでの話である。ストーリーは概ねヒロインが悪い

がく×ぶる 2 ★★★
DSK/連投に連投を重ねて疲れが見えた作者のやや失投気味な一球?
ここ数ヶ月の間にこれだけ連続で執筆して出版できるのだから、嬉しい悲鳴であり贅沢な悩みであろう。ただ、それでも作品の質は維持して欲しいと望むのが読者である。本巻で主人公【美千緒】が女性アレルギーに至った要因や、姉【ウテナ】との秘密などが見えてきたし、ウテナにはビックリ仰天の引きもあった。暴走機関車と化した御影姉妹+母の、美千緒に対する振る舞いも過激の一途を辿り、場面によっては官能小説か?というほどの

ちはやふる 1 ★★★★★
東の風/ひたぶるに、激しく胸を 打つマンガ これほどのものとは 思いもよらず
羽海野(うみの)チカ『3月のライオン』(第2巻まで発売)、小玉(こだま)ユキ『坂道のアポロン』(第3巻まで発売)に続いて、最近、めっちゃハマった漫画がこれ!2009年4月現在、第4巻まで出ている末次由紀の『ちはやふる』。百人一首の競技かるたに興味を持ち、類まれな才能を発揮していく少女・千早(ちはや)が主人公の物語。「かるたかよー。暗いんじゃねぇー?」「それって、ダサいよ」という周囲の冷ややかな視線

花々のゆううつ ★★★★★
東の風/十九世紀末から二十世紀にかけて。大英帝国の雰囲気が素敵です。
『月の出をまって』『中国(チャイナ)の鳥』『空中楼閣の住人』に続く【うるわしの英国シリーズ】第4巻。今回は、あのおやじ猫・ヴィルヘルムがあちこちで活躍しています。主人のコーネリアスと一緒にカバーの絵にも出て、「おいらがコーネリアスの主人さ」てな顔をしてますな(笑)淑女が着ている服だとか、馬車だとか、館に出る幽霊だとか、交霊会だとか、十九世紀末から二十世紀に向かう英国のそういう諸々の雰囲気がいいんだ

NIGHTMARE MAKER 1 ★★★★★
真琴/☆表紙は軽くHなラブコメっぽいですが・・・♪
結構内容はエロイ意味で濃い~です。表紙はキラキラのラメ加工で綺麗。開くと・・・若い保健室の先生が、胸をはだけたカラーページ。天才高校生が好きな夢(好きな子とのH)を見る機械を作り、みんながエロ夢を見る物語。1thefirstnight[「夢」を実現!?]自分が見ると悪夢しか見られないので、寝ている保健の先生でデータ収集。生徒に集団で犯される夢、夢の最後は主人公で快楽フィニッシュ。2thesecon

臨場 1
ダブルディ/原作≒本作品+主人公
本作品は、同名の横山秀夫氏の小説をほぼ忠実に漫画化したものである。原作の小説を元にすれば、誰が描いても同じような作品になるだろうと思うかもしれないが、断じてそんなことはない。作画の上農ヒロ昭氏の画力と構成力等が、あればこその作品である。特に、主人公である捜査一課調査官の倉石義男のキャラクター化は、本当に見事。本作品に収められている3作以外にも原作にある8作は、全て『週刊漫画TIMES』誌におて、漫

鮮麗なるアフガニスタン1841−42 ★★★★
消印所沢/貴重なカラー
白黒写真すら乏しい時代に残された,貴重なカラー・リトグラフ.▼まずは絵が描かれた時代背景の説明.今日以上に複雑な住民構成だった当時のカーブル(p.16)情報収集活動の一環だった本書(p.18)▼絵画は合計30枚.冬服を着たアフ【ガ】ーン歩兵(p.38)夏服を着たコーヒスターンの歩兵(p.39)アフ【ガ】ーン騎兵(p.44)貴婦人の絵にしか出てこないチャダル(ブルカ)(p.52)▼残りは67.54%

「日本」の終わり ★★★★
ふるふる/過激な日本論
日本は事実上社会主義経済であり、その仕組みは崩壊せざるをえないという内容。10年前に出版されたものだが、現在の日本は、この内容とは反対の方向へ行こうとしているようだ。このまま沈没していくしかないのか。赤字国債の問題について、四つの案が書かれている。その中の一つに、日銀がどんどんお金を刷って国債を買い入れて超インフレを起こすというものがある。超インフレになると国債の金利も上昇するので(インフレ率以下


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