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【名古屋市長選】「市長給与800万円」で火花 河村さん新公約2009年4月23日 終盤戦に入った名古屋市長選で、民主推薦の河村たかしさん(60)が、市長給与を年800万円に引き下げるとの新たな公約を表明した。地域のことを地域住民が決めるという「地域委員会の創設」をめぐっても論争が続く。対立候補は「人気取り」と強く批判し、河村さんの公約をめぐって火花を散らしている。 ■逆転現象も市長の給与は、外部の有識者らでつくる審議会の答申を得て、条例で決める。松原武久・現市長は、財政再建を理由に6年前から1割カットを続け、年収2578万円。他市でも同様にカットした例はあるが、河村さんのような3分の1にまで下げる案は、前代未聞とみられる。 市長退職金の廃止も主張する河村さんは「あまり多く給料をもらうと、権力者になってしまうから」。市職員の人件費削減も公約に掲げており、自ら率先する姿勢を示す。 これに対し、自民・公明支持の細川昌彦さん(54)は「市長の給与が、有権者の判断材料になるとは思えない。子育て支援や高齢者福祉など、もっと大事な政策で選んでもらうべきだ」と強調する。 共産推薦の太田義郎さん(65)も「ただの人気取り。市長より職員の給料が高くなってしまう。全体のバランスも考えなければならない。実現は不可能ではないか」と批判する。 市職員の平均年収は700万円(平均年齢43歳8カ月)。係長級で800万円強、局長級なら1400万円強となる計算。逆転現象に河村さんは「自分たちで判断してもらう」と話すが「職員の給与は人事委員会の勧告に基づいて決まっている。市長といえどもそう簡単には…」(市課長)と反発もある。 ■予算も委譲地域委員会について河村さんの考えは、住民代表による委員会を小中学校単位に設け、年数億円の予算を配分する。選挙で選ばれた数人の委員が防犯や子育て、介護など地域の問題を解決するためにどうお金を使うかを、自分たちで決める。 地域代表による協議会は「地域の声を行政に反映させる」目的で2004年の地方自治法改正で認められ、浜松市や新潟県上越市、愛知県豊田市などでも始まっているが、予算権限まで委ねたケースはない。 名古屋市には独自の「区政協力委員」制度がある。大半が町内会長も兼ね、市の広報配布や、盆踊り、敬老会、成人式などで活躍する。河村構想は、市内に5500人いる区政協力委員や市議会の存在意義が問われかねないとの反発がある。 太田さんは、区単位に「区民協議会」の設置を提案しているが、住民代表だけでなく、市長や議員もメンバー。最終的な決定権は市議会にあるとする。細川さんは今の仕組みを重視し、区役所の権限強化を訴えている。 天白区区政協力委員協議会の元議長、平手三郎さん(71)は「より現場に、予算や権限を渡してほしいとの思いはある。ただ、すべて住民だけでお金の使い方を決め、チェック機関がないと、不正が起きる余地もある」と疑問を投げかけている。
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