ニュース「ネット世論」、政治も無視できず 選挙にも影響、世論形成で危うさも (1/2)ニコ動の世論調査結果を自民党が「注目している」という。政治へのネット世論の影響が無視できなくなっている一方で、世論形成の危うさも。「選挙運動」と「政治活動」を分ける明確な基準もない。2009年04月01日 11時33分 更新
インターネットを利用する若者は、政治に関心をもっているという。ネットと政治。新聞やテレビなどの既存メディアによる世論調査をはるかにしのぐサンプル数を誇るサイトが政界でも話題を呼ぶなど、政治家も「ネット世論」を無視できない状況になってきた。地方選挙では、鹿児島県阿久根市長が自身のホームページで「市議の不人気投票」を掲載した騒動も記憶に新しい。ネット利用者やサイト運営者は現実の政治にどこまで影響を及ぼすのか。その一端をのぞいてみると……。 ケタ違いの7万人世論調査、「偏り」に課題1000万人の登録者がいる動画サイト「ニコニコ動画(ニコ動)」のネット世論調査は昨年8月から不定期で実施。特定の日時にたまたまサイト上で動画を見ている人を対象に、動画に調査画面を割り込ませる「ニコ割アンケート」の一環として行われ、毎回7万人前後が回答している。既存の世論調査の回答者は500〜3000人程度とされ、これに比べるとサンプル数はかなり多い。回答者には未成年も含まれるが、総合値は20〜40代の回答を集計する。 3月4日の調査では麻生内閣の支持率が32%、政党支持率は自民35%、民主14%、共産4%、公明2%、社民1%──だった。既存の世論調査と比べて麻生内閣と自民党の支持率が高いのが特徴だ。 ニコ動を運営する情報サービス会社ニワンゴ(東京)の小玉誠一広報・IR室長(42)は「ネット上の冷静な議論の助けになるのでは、と始めた。予告なく調査することで組織票による結果の操作が事実上不可能になり、ネットユーザーのリアルな意見を集計できる」とアピールする。 主要政党はどう受け止めているのか。自民党は「既存の世論調査より対象がけた違いに多いので注目している。結果は毎回、広報本部長に上げている」(広報本部)。民主党は「これも一つの国民の声だと思う」(広報委員会)。 公明党は「参加者の年齢層が若いことや、いわゆる世論とは同一のものではないことを考慮した上で、参考にしている」(ネット企画部)と限定的な受け止め方。ニコ動利用者に「C(志位)」という愛称で知られる共産党の志位和夫委員長は「既存調査は対象が自宅で固定電話に出られる層に限られる。おのずから違いがあり、両方を見ないと分からないと思う」と語った。 ネット上の世論調査としては、福岡市のホームページ企画制作会社イーハイブが平成12年から非営利で続ける「オンライン世論調査」や、東京都のリサーチ会社イクオリティが16年から営利で行っている「世論調査.net」などがある。いずれも課題は調査対象の偏りだ。 ニコ動の場合、参加者数がけた違いに多いため回答が平準化されるという長所はあるが、調査対象はニコ動の利用者に限られる。既存の世論調査のように年齢、性別、地域バランスが取れるよう対象を無作為に抽出するわけではない。こうした点についてニコ動の番組にかかわる政治評論家、角谷浩一さん(47)は「ネット世論がいわゆる民意だとまでは思わないが、世の中の空気は分かるのではないか」と指摘する。 [産経新聞] copyright (c) 2009 Sankei Digital All rights reserved. 新着記事
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