  
         
      ●自分で自衛隊に向いてるって思ってましたか? 
       
      型にはまるってのをいやなグループがあるわけ。自衛隊に入りながらも。 
      見事にはまるグループははまるグループで…、 
      はまんないグループははまんない。 
      でも不思議なことに、そのはまんないグループっているでしょ、悪グループ。 
      この連中たちが先輩になったときにわりと後輩なんかほったらかし。 
      おまえら勝手にやっとけって。 
      ところがまじめグループはもう、 
      さあ、やるぞ!(笑)ってさ。 
      さあ、下級生いくぞ!ってやってんだけどさ、 
      俺らはそんな…後輩を指導しなきゃいけないなんてとき、絶対行かないもんね。 
      たばこ吸って遊んでるもん。そんなのやだやだって。 
      まあ、そんときは自衛隊向いてないなってのがあったしね……。 
       
      そうこう言ってるうちに4年になって、部隊に実習に行くわけ。 
      俺、北海道行ったのかな。 
      そこで覚えたのって言ったら、麻雀だけだから。 
      本来、仕事を覚えなきゃいけないのよ。レーダーの。 
      でも、そこの部隊の連中たちも、 
      生徒の連中がやれば頭いいのわかってるから、 
      仕事なんか覚えなくていいやって、麻雀覚えて帰れって。 
      だから、麻雀覚えて酒飲んで…。 
      で、1回熊谷に帰って、また今度卒業式で、三等空曹になって、 
      これで本当に自衛官になるわけ。 
       
      で、自衛官として三等空曹つけて、本当の部隊に行かされるわけ。 
      九州の背振山(分屯基地)っていう佐賀で一番高い山なんだけどね…、 
      その山がまたレーダーサイトだから、また女がまったくいなくてさ、 
      もうほんとに、何をしていいか…、そのときが19。 
      しかもベトナム戦争のまっただ中。 
       
      ところが不思議でしょ。 
      そのときにバンバンバンバン飛行機飛んで来るのよ。米軍機が…。 
      あとで気がついたんだから、 
      ベトナムで戦争やってんだなって(笑)。 
      みんな生きて帰ってくるでしょ、戦闘機乗ったパイロットが、ベトナムから。 
      そうするとうちのレーダーで誘導するわけ。 
      (あいつら)うれしいもんだから、 
      うちのレーダーサイトに向かってファントムがバーッと来て、 
      機体振って、なーんで今日は元気なのかなって思ったら、 
      あいつら(笑)生きて帰ってきてんだって…、 
      そのくらいね、現場にいながら危機感全くないの。 
       
      なーんかね、本当に……、俺だけかもしんないけどね。 
      まったく危機感持ってなかったし、 
      自衛官であるという自覚もなかったんだろうな。 
      そーら、やっぱり辞めとけって言われるな、俺はな。 
       
      そこに3年。 
      そあいだにも、もう1ステップあげる教育があるわけ、技術の。 
      それでまた浜松の学校行って、技術のちょっとむずかしい勉強して戻るんだけど、 
      その学校のときに、成績が優秀だと学校長賞とかもらえて特別昇級があるわけ。 
      もう、完全にもらえると思っていたら、 
      あまりにも自衛隊員としての生活があかんちゅーんではずされたわけ。 
       
      そんときに、あーこりゃ、俺は自衛隊でも駄目だな、と。 
      で、また背振山に帰るときに東京に寄ったの。 
      そうしたら、本宮が漫画家になってて、で、辞めてきた奴もいっぱいいて、 
      その連中が遊んだあと、東京駅まで送ってくれたのかな。 
      そんときにみんなが、 
      岡村よ、東京はよ、女抱き放題ってささやきやがって(笑)、 
      それで帰ってすぐに小隊長に、すみません、辞めさせてください! 
       
      いろんな理由が複合してるけど、とりあえず俺は自衛隊では…って。 
      三等空曹でいくらがんばっても…、 
      俺の上に防大がくるわけ、同じ年のが。 
      4年、ちょうど彼ら卒業する年だから…。 
      そうすると、防大生が俺の上にくるわけでしょ。 
      それもちょっとむかつくし、ちょっとやだなと…。 
      じゃあ1回シャバに出て、ちょうど同じ年の奴らが大学から出てくるから、 
      そいつらと勝負してみようかなってのもあったし。 
      いろんなのが複合してるのもあったけど、 
      まあ、辞めちゃおうかなって。 
       
      そしたら、ちょうど辞める年に、よど号のハイジャック事件があって、 
      で、福岡に止まっているから、うちのレーダー。 
      外出したいのにさ、外出禁止で、全部、基地に集められて…、 
      もう緊迫の…、あれ、すごかったんだよ。 
      全部レーダーに映るのよ、38度線まで。 
      よど号がバーッとキンポ空港向かって行くでしょ。 
      そしたら北朝鮮の戦闘機がバーンと取り囲んで…、 
      危機一髪だったんだよ。 
      それが最後のご奉公だったな。何もしたわけじゃないんだけどね。 
      ただそんときはレーダー止めたら怒られちゃうから、 
      必死で故障しないようにやってたけど…。 
       
      まあ、そのころは……(笑)、 
      金がないんだ、とにかく。 
      酒と麻雀と競艇、ばくちで、金がない金がない。 
      金(給料)もらっても貧乏。で、しょうがなくて外出もできない。 
      そこで一番安いウイスキーの一升瓶、とにかくそれを飲み続けるしかない。 
      ところが、それを一週間も飲み続けてたら、お互いに、 
      俺、最近目がおかしくてよーって、 
      おまえ、俺もだ、俺なんか目がしょぼしょぼしてるんだよって。 
      やっぱり、安い酒はすごいぞ。 
      それしか飲むものないからねえ。毎日そればかり飲んでた。 
       
      んで、給料日にもらったお金持って、すぐ街におりて、 
      おねーちゃんのいるスナックなんか行って、ちょっと遊んで、 
      それでまた飲んだくれて…。 
      でも…、不思議だね、 
      当時、女とつきあってる奴いなかったからなあ、うん…。 
       
      16から22まで? 一般でいう、一番青春時代でしょ。 
      そのあいだにまったく女性からスポイルされちゃう生活(笑)があるわけさ。 
      だから、今でもキャンパスライフってのにものすごく憧れるわけ(笑)。 
         
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