11月21日、国会議事堂前駅に降りる。地上に出ると、衆議院、参議院議員会館の前に座り込んでいる人たちがすぐ目に入ってくる。寒くなりつつある冬の入り口、彼らは「座り込み」という行動で何を主張したいのか。近寄ってみた。
「今日は大丈夫そうです。しかし、油断しちゃいけない。今与党はずっと少年法を言ってるけど、いきなり共謀罪を持ってくるかもしれない。会期が終わる最後まで気を緩めてはいけない」
民主党の松岡徹氏(55歳・参院議員)は「共謀罪反対」の座り込みやパフォーマンス、集会を準備している市民たちに今日の法務委員会の雰囲気を伝えた。共謀罪は、「共謀」という言葉が意味する通り、実際に犯罪を実行しなくても、2人以上で何らかの犯罪に関わるようなことなどを企むだけで罪になり、逮捕が可能になる法律のことである。
参加者の沢田竜夫氏は「1カ月に1回の頻度で全国で同時行動をする一方、毎日10数人が衆議院議員会館の前に集まって座り込みをする」という。彼は「(共謀罪は)廃案しかないんだから」と断固として言い付けた。
その隣、参議院議員会館の前からマイクの声が聞こえてきた。こちらは「教育基本法改正反対」を訴える集まりで、全日本教職員組合(以下、「全教」)の教員たちだ。責任者の長谷川英俊氏は「順番を決めて10月中旬から座り込みを始めている」と語った。
衆議院で審議見送りを続けている共謀罪と違って教育基本法は、11月15日に衆議院を通って現在参議院審議入りを待っている状態だ。野党は与党(自民・公明党)が衆議院で改正案を強行採決したということで参議院審議を反対している。また、全教はNHK、朝日新聞の世論調査で60%以上を占めている「与・野党が協議すべきだ」の意見に基づき、廃案を目指しているという。
長谷川氏は「格差社会、格差教育を肯定している改正教育基本法が成立したら、いじめがもっと増えてしまう恐れがある。競争によって子供たちのストレスが溜まる可能性が高い。そもそも愛国心は法律が決めるものではない」などを主張し、「座り込みを続けるつもりだ」と語気を強めた。
2つの議員会館の前に座り込んでいる彼らの列の長さはおよそ100メートルにも及んでいる。もし憲法改正案が本格的に取り上げられたら、この列はどれぐらいになるんだろう。その長さがふと浮かんできた。
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共謀罪ってなんだ 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会 【編集部注】
記者は、映画「共謀罪、その後」の演出を担当した。「共謀罪、その後」は、共謀罪が通ってしまった後の近未来を描いた内容である。(記者の申し出により、この文章を追記にしました。11月23日18:35)