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「感情」が「歴史」を変えるのか!?

教科書検定、反対する県民たち

鈴本 勝(2007-10-07 22:41)
 先月29日、沖縄県宜野湾市で沖縄戦集団自決を巡る教科書検定意見の撤回を求める沖縄県民大会が開かれ、11万人(主催者発表)を超える人が集まった(実際には3~4万人しかいなかったという意見もある)。ちなみに、集会には沖縄県知事はじめ沖縄選出の与野党双方の国会議員も参加したという。

 事の発端は、「来春から使用される高校日本史の教科書検定で、沖縄戦で起きた集団自決について、従来認めていた日本軍の強制を趣旨とする記述に、沖縄戦の実態について誤解する恐れがある、と検定意見がついた」(毎日新聞)ことにある。この検定結果を受け「教科書会社は強制性に関する記述を削除、修正した」(毎日新聞)とされる。今回の県民集会ではこれを厳しく糾弾するとともに、検定意見の撤回と強制性の記述復活を求める決議が採択された。

 これを受け、政府は教科書会社からの修正申請があれば、それを受け入れる姿勢を示した。しかし、こんなことがまかり通って本当に良いのだろうか??

 かつて、我が国では「高等学校用の日本史教科書に、中国華北への『侵略』という表記を『進出』という表記に文部省の検定で書き直させられた」という日本テレビの誤報が発端となり、中国・韓国と外交問題化したことがあった。その際、当時の官房長官・宮沢喜一は談話を発表し、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」を新たに歴史教科書の検定基準とする旨を発表した。いわゆる「近隣諸国条項」の追加である。

 ただ、これらの動きは、歴史という真実に対する冒涜だと個人的には認識している。歴史的事象の取り扱いに「国際理解」が必要なのか?ましては「国際協調」をもって歴史は語られるべきなのか??この場当たり的な政府の対応は、現在に至るまで「教科書問題」という大きな禍根を残している。

 ここで話を今回の件に戻すが、沖縄戦集団自決を巡ってはノーベル賞作家の大江健三郎が著書『沖縄ノート』で取り上げ、全国的に有名になったという経緯がある。しかし、その内容を覆す学説が近年有力となっている。昨年、沖縄の集団自決に軍の強制性があったとしたのは、戦後、遺族に対し年金受給をはかるために琉球政府(当時)が取った「苦渋の決断」だったことを、当時の琉球政府社会局援護課職員の照屋昇雄さん(当時82歳)が明らかにした。この決断をするに当たり、大戦末期、軍人として沖縄の渡嘉敷島守備に実際に当たっていた赤松元大尉本人から「集団自決を強制した軍人」とする了解を得ているが、赤松元大尉からすると、島を、そして島民を守りきれなかったことに対する、せめてものお詫びの気持ちだったのかもしれない。しかし、それが真実を語られぬまま、左翼勢力の力を借りながら一人歩きしてしまったのである。

 しかも、ここにきて沖縄県知事は前述の「近隣諸国条項」ならぬ「沖縄条項」を新設することを文科省に要望している。歴史は「真実」ではなく「感情」によって変えられて良いのか?このような一連の動きを集団自決で亡くなられた方々は、天国からどう御覧になっているのだろうか??沖縄県の方々よ、「平和への願い」も大事だが、今一度、苦渋の決断をせざるを得なかった当時の方々に対してもその想いを馳せてみてはいただけないだろうか。「歴史」は「感情」ではなく「真実」が物語るものなのだから…。

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