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「学長殺人」事件…実はおとり捜査 副学長逮捕 ロシア

2009年4月24日4時20分

 【モスクワ=副島英樹】ロシアのサンクトペテルブルクで21日夜、国立極地学アカデミーの女性学長(35)が刃物で襲われ、収容先の病院で死亡した――と、地元メディアが一斉に報じた。しかし、一夜明けた22日、捜査当局は「殺人事件」は学長殺害を計画していた容疑者らを捕まえるための芝居だったと発表。副学長(70)ら3人が逮捕され、妊娠9カ月だった学長は元気な姿を見せた。

 地元の報道によると、900万ルーブル(約2700万円)にのぼる予算の使い込みの発覚を恐れた副学長らが、会計検査を進めていた学長の殺害を計画。前歴のある若者に殺人を依頼した。情報を察知した捜査当局は、この若者を説得して取り込み、通りで学長を襲う芝居を打たせた。

 学長は病院に運ばれ、病室で「面会謝絶」の状態に。一方、若者は殺害を依頼した職員2人のもとへ。職員が「殺人」の実行代として40万ルーブル(約120万円)を手渡したところで逮捕され、首謀者が副学長であることが判明した。

 「殺人事件」がおとり捜査であることは捜査当局の上層部しか知らなかったといい、メディアも一線の捜査員も22日になって初めて聞かされたという。怖くなかったかとメディアに問われた学長は「(私が死んだと思って)心臓の弱い親類たちが倒れてしまわないかが心配だった」などと語った。

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