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“軍艦島”35年ぶりに一般公開 長崎市
<4/22 20:54>

 かつて炭鉱の島として栄え、「廃虚の島」として知られる長崎市の人工島・端島、通称「軍艦島」が22日、35年ぶりに一般公開され、観光客ら約70人が訪れた。

 長崎港の南西約19キロに位置する端島は、その外観から「軍艦島」と呼ばれ、明治から昭和にかけて、石炭の採掘が島にとって唯一の産業だった。しかし、炭鉱は1974年に閉山され、人々は島を去った。また、建物崩壊の恐れがあるため、同年に上陸が禁止された。

 周囲1.2キロの島には、炭鉱の施設や学校、病院などが立ち並び、最盛期には5300人以上が暮らしていた。当時の人口密度は世界一で、東京の9倍だったという。それを可能にしたのが、鉄筋コンクリートの住宅群で、大正5年(1916年)につくられた日本最古の鉄筋コンクリートの高層アパートが残っている。

 観光客の中には、かつて島で暮らしていた人もおり、昔話に花を咲かせていた。また、当時は「緑なき島」と言われた軍艦島だが、35年の月日の中で、潮風に乗って植物の種が舞い込んできたようで「緑が多くてびっくりした」という声も聞かれた。

 こうした廃虚の中にも近代産業の遺産が多く残っていて、「新たな観光資源」として整備を進めてきた長崎市は、年間約2万人の上陸を見込んでいる。