2007年09月19日

中共のチベット侵略9

共産軍による民族抹殺・文化の破壊

マイケル・ダナム著「中国はいかにチベットを侵略したか」から、抜、粋引用してみます。
この中共の侵略手法をよく把握しておくことは、今の日本にとっても重要なことではないでしょうか。尖閣諸島などでの中国の行動と重ね合わせて、国民が危機感を持っていることも大切でしょう。
写真はつるし上げされる前カム省長ハル・シャペ
tibet09.jpg

引用開始
1959年6月、約二万人がインドに脱出した。それも法王と一緒に生きてゆくのだという思いの人びとばかりだった。法王は大きな精神的支柱であった。人びとは死中に活を見出したのである。後から後からと押し寄せる中共の“改革”という大波に呑み込まれないで済んだからだ。
 1959年以前六千あった僧院は1960年にはわずか三百七十にまで激減した。
 中共は僧院制度を破壊したばかりか、チベット文化の根幹、チベット人全体の息の根を止めるようなやり方を推し進めた。一切の私有地は没収され、底辺チベット民衆に分け与えられた。といえばいかにも徹底した平等主義の実践のように聞えるが、中共はチベットの新しい土地所有者を“改革”以前より一層の貧困状態に捨ておいたまま、土地からの収穫物は飢えた本土の中国人に向けて輸出したのである。中共は貧富の差をなくしたと嘯いたが、現実はチベットの誰もが一層の飢えに晒されたに過ぎない。・・・・・

 中国本土から漢民族の移民が増大し、チベット人は自国にあって少数民族になってしまった。タムジン(公開懲罰)で有罪とされた人々は牢獄に入れられ、実にしばしば計画的飢餓、遺棄、病気の放置などで生命を奪われていった。新企画の拷問、殺人が導入され、銃の台尻で頭蓋骨を打ち砕かれたり、鉄箸で眼球を抉り出されたりした。僧侶は毛布でぐるぐる巻きにされ、灯油をかけられて焼き殺されていった。公開去勢や、バーベキュー用棒杭にくくりつけて焼く、尼僧を素っ裸にしてむりやり性交させる、というのもあった。特に中共軍兵士の間で人気があったのは、チベット人を“文明化”“浄化”すると称する兵士たちによる集団レイプであった。彼らはそれを“地上の楽園”と称して楽しんだ。・・・
“地上の楽園”のもう一つはラサ人口の四分の一に当る一万人市民の投獄である。その中で最も有名だった囚人の一人は、1950年中共侵略の直前、アポによって更迭されたカム省長ハル・シャペである。彼はそれまでずっと中共の侵略に抵抗しつづけていた。

 ハルが捕らわれた時の模様をある女性は次のように語っている。
「タムジンの壇上でどれほどの人びとが殴打されたか数え切れません。でもハルさんが道路を引き回された光景は本当に残酷でした。彼は他の役人と違って市民にとても尊敬されていました。だから見せしめにされたのです。首に重い石をくくりつけられ、頭を上げられなくされました。それからひどく殴られ、顔全体が腫れ上がり目が隠れてしまうほどでした。散々罵られ、顔に唾をかけられ、突き飛ばされ、倒れたところを蹴りに蹴られ、芋虫のようになって転げ回っていました。
 沢山の殺人を犯したことにされていましたが、そんなこと誰も信じませんでした。翌日も同じように引き出され、同じような目に遭わされました。いつまで生きていられるのだろう、皆そればかり心配していました。タムジンでは人に尊敬されていればいるほどひどい扱いを受けるのです。私たちチベット人はチベット人を愛しています。中共はそれを止めさせることができず益々残酷になっていくのです。
 ダライ・ラマ法王は誰をも、中国人であっても憎んではならないといいます。そうありたいと思っても、どうしてもできません。彼らは私の父、二人の兄弟を殺し、尼僧であった妹はそれが理由で強姦された揚句に殺されました。私は幸いチベットを逃げ出して生き残りましたけれど、中国人を許すことはできません。どうしてもできないのです」

 チベットを応援する国際世論は日に日に高まっていた。
 6月、国際法曹委員会は、“チベット問題と法の統治”と題する報告書を出した。それによれば、“中共がチベット国民、道徳、人種、宗教、それら社会集団を丸ごと抹殺することによって絶滅しようとしたことが、1948年の国連ジェノサイド協定に触れるのは明白である”と述べている。そして同報告書が、チベットは歴史的に独立国であり、中国の一部分でないことは明らかであると結論しているのは非常に意義深い。
国際法曹委員会は国連の諮問機関として広く認められており、同報告書は国際社会で大きく評価されている。

訳者あとがきより
・・・・本書でも少し触れているが、漢民族の“中華思想”を甘く見てはいけないといっている。昔の世界支配の夢を中国(漢民族)は決して捨ててはいないのである。・・・・
 天安門広場から広がった“自由民主化”の民衆運動の徹底弾圧を指揮したトウ小平が「我々に逆らうものはたとえ一千万だろうと殺す」と同胞に宣言したのを筆者ははっきり記憶している。現在の中共指導者たちはその思想の継承者なのだ。・・・・
 それにしても中共のチベット侵略とその植民地化のやり方は凄まじい。毛沢東が、チベットを支配するにはまず“仏教”と仏教指導層を徹底的に滅ぼせといったのは脅しではなかった。それが彼の“天才的”軍事戦略家としてのやり方なのであり、いわゆる共産主義者のいう上部構造を叩け、という思想の実践である。・・・・ 
 しかし仏教文化、文明の根こそぎ破壊には身の毛がよだつ。そういう状態の日本を想像してみるといい。法隆寺などをはじめとする日本の神社仏閣がすべて焼き払われるか、粉々に破壊され、正倉院などの宝物一切は略奪、破壊される。仏僧たちは公衆の面前で裸にされて虐殺、少しでも反抗する信者たちは子供の面前で惨殺されてゆく・・・誇張でも何でもない。現代チベットにおいて繰り広げられた事実が、大虐殺と文化の抹殺なのだ。・・・・・
 このような下手人たちが今も健在で中国を支配していることを絶対に忘れてはなるまい。
引用終わり
posted by 小楠 at 09:41| Comment(0) | TrackBack(1) | 共産主義の実態
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