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消費者金融:違約金条項の差し止め認める 京都地裁

 京都府や滋賀県に5店舗を有する大津市の消費者金融「ニューファイナンス」が設けた「早期完済違約金条項」は消費者契約法違反だとして、適格消費者団体「消費者支援機構関西」(大阪市)が条項差し止めを求めた訴訟で、京都地裁は23日、団体の請求通り、差し止めを認めた。辻本利雄裁判長は「条項は消費者の利益を一方的に害する」と述べた。消費者団体訴訟制度に基づく初の差し止め命令で、この団体は「過払い被害の未然防止につながる」と評価している。

 判決によると、同社は顧客が貸付金を期日前に全額完済した場合、残元金の3%の「違約金」を支払わせる条項を設定。早期返済しても、利息については期限いっぱいまでの分を支払わせることができるとした過去の判決などを援用したほか、「支払い時期は顧客が選択できるので、一方的に不利にはならない」と主張した。

 しかし、判決はこの条項では「利息制限法の利息(15~20%)の上限を超える可能性がある」と指摘。「消費者に支払い義務のない金員を支払わせる条項で、信義則に反する」と結論付けた。

 同団体によると、早期完済違約金条項は少なくとも他に全国で消費者金融数社が設定。判決は今後、利息制限法を超える契約内容を設定している業者への「圧力」にもなるとしている。

 一方、会社側は記者会見を開き、現行の条項では出資法の利息の上限(29.2%)なら超えないと主張。「出資法の範囲での営業を認めない不当な判決だ」として、控訴する意向を明らかにした。

 消費者団体訴訟制度は07年6月にスタート。国認証の適格消費者団体(現在7団体)は、消費者が一方的に不利な契約条項の差し止め請求ができる。

 これまでに今回を含めて6件の訴訟が起こされ、3件が係争中。京都市の団体が不動産会社の敷引特約の差し止めを求めた京都地裁の訴訟では、会社側が請求を認めて解決。英会話教室の勧誘を巡り、消費者支援機構関西が大阪地裁に起こした訴訟では、執拗(しつよう)な電話や事業所での長時間勧誘をしない内容の和解が成立した。【熊谷豪】

毎日新聞 2009年4月23日 23時06分

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