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北方四島:在住ロシア人にビザ 択捉行政長ら、空路日本入り 外務省「例外的措置」

 外務省がビザなし交流の北方四島交流代表者間協議(23日、札幌市)に出席する四島在住ロシア人に対し、初めて入国ビザを発給していたことが分かった。ロシアの四島支配を認めることにつながりかねないが、外務省は「四島交流を円滑に実施するため例外的な措置」と説明している。

 同協議に出席する四島在住ロシア人は例年、ビザなし交流の枠組みを活用し、船で根室市・花咲港に入っていた。しかし、今回は船を用意できず、択捉(えとろふ)島のニコライ・ラズミシキン・クリル地区行政長ら択捉、国後(くなしり)島の3人が21日、ユジノサハリンスク空港(サハリン)発のチャーター機で成田空港に到着した。外務省によると、空路であっても四島から直接来る場合はビザなし交流の枠組みで対応できるとみられるが、直行便がなく、今回は四島に住む“在日外国人”がサハリンから出国した形となったため、入国ビザが必要になったという。

 ビザなし交流を巡っては、ロシア側が上陸の際に出入国カードを提出するよう要求し、継続が危惧(きぐ)されている。外務省ロシア課は「原則として北方四島の住民にビザは発給していないが、今回この人たちが来ないと(ビザなし交流が)できないので、例外的な措置を取った。領土問題について日本の立場を変更するものではない」と強調している。

 ロシア関係に詳しいNPO法人「ユーラシア21研究所」(東京都港区)の吹浦忠正理事長は「ダブルスタンダード(二重基準)はすべきでない。例外はしばしば突破口につながり、絶対にやってはいけない行為」と批判している。【本間浩昭】

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 ■ことば

 ◇ビザなし交流

 旧ソ連のゴルバチョフ大統領が91年、主権にかかわる双方の立場を害さないよう、旅券・査証を使わずに北方四島在住のソ連人と日本人が相互訪問する枠組みとして提案。昨年度までの過去17年間に1万5544人(このうち日本人8853人)が訪問した。しかし、ロシアは昨年10月、四島入域の際に「出入国カード」を提出するよう要求。日本側は拒否した。打開策は見いだせていない。

毎日新聞 2009年4月23日 東京朝刊

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