このブログは桜井淳水戸事務所と桜井淳カリフォルニア事務所の(1)業務内容(2)桜井淳個人情報(3)米国での活動内容(4)専門家養成のための学術セミナー開催案内等を掲載するHP代わりの硬いブログです。スタッフが交替で最新情報の更新や新項の追加をしています。 各項を順序よく読むと(a)事務所業務内容紹介(b)桜井所長学歴(c)哲学(d)著書(e)学術セミナー(f)米国での活動内容等、情報の価値が分かります。ここに記載した情報の信頼性は、他のいかなる組織・団体・文献・電子情報よりも、格段に高く、すべての判断基準になります。情報の信頼性については両事務所のスタッフがすべて責任を負います。著作権・情報のオリジナリティを確保するため、本ブログの内容のコピー・事実関係の引用・電子媒体へのリンク等は、すべて禁止します。不正行為を確認した場合には米国感覚で法的手続きを行います。事務所への連絡・メッセージ・意見等は、本欄の右側欄のメールマークをクリックすれば、わかるように、アメーバ会員(アメンバー読者ではありません)に手続きすれば、誰でも、自由にできます。ただし、送信者の身元情報(会員ID等の表示があります)は、サイバーエージェントによって管理されています。USA版も暫定的に公開中です。

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Thu, April 23, 2009 stanford2008の投稿

桜井淳所長から親しい友人のX先生への手紙 22-第28回モンテカルロ基礎理論セミナーの申込者-

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X先生



各種モンテカルロセミナーには、東大大学院の修士課程や博士課程の学生だけでなく、教員も参加しています。博士課程で特に優秀と判断した学生に対しては、特例として、日本原子力学会「最適モンテカルロ計算法」研究専門委員会(主査桜井淳)の委員に抜擢しています。東大からの申込者は、いまでも続いていおり、5月28-29日に開催される「第28回モンテカルロ基礎理論セミナー」にも、原子力国際専攻の院生(申し込みのメールには、氏名と研究室名と住所・電話番号だけのために、最初、教員と解釈しましたが、東大HPで大学院工学研究科原子力国際専攻の教員名を検索したところ、該当者がおりませんでしたので、修士課程か博士課程の院生でしょう)から申し込みがありました。遮蔽・放射線防護のT先生の研究室の院生です。今度の院生についても、この分野に興味を持って、深く関与していただき、もし、特に優秀であれば、その熱意を強く感じられるならば、ぜひ、また、特例として、委員に抜擢したいと考えています。東大の院生だから抜擢するのではなく、どこの大学でも企業でも、特に優秀であれば、特例扱いして、委員に抜擢する方針です。いまのうちから大学院の学生を教育し、この分野に関心を持っていただき、将来を背負っていただきたいと念願しています。これまでモンテカルロ放射線輸送計算に冷たかった東大から多くの申し込みがあり、委員としてこの分野の将来を担っていただけるのであれば、私が、長い間、意図していたことが、10年弱で実現しつつあるということになり、これ以上うれしいことは、ありません。



桜井淳

Thu, April 23, 2009 stanford2008の投稿

【事務所報告】5月下旬に開催される四種の学術セミナーの実施内容

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【事務所報告】学術セミナーの全体の構成や注意事項については本欄のバックナンバーを参照してください。セキュリティ管理の一環として、第三者が会場に絶対に入れないように、複雑な何段階ものチェック機能が設けてあります。セキュリティ管理と経済性を考慮して、開催一週間前に、メールで、申込者全員に、会場の変更をお知らせすることが希では、ありません。



第7回「核燃料サイクル施設の核的安全性セミナー」開催案内

(1)主催 桜井淳水戸事務所(代表 桜井 淳)
(2)実施概要

10:00-11:00 核燃料サイクル施設の概要
11:00-12:00 核燃料サイクル施設の核的安全基準(ANSI/ANS 57.2-1983等)
13:00-14:00 核的安全解析の考え方
14:00-15:00 個別施設Ⅰ(ウラン濃縮施設・ウラン加工施設・新燃料輸送容器・原発新燃料保管庫)
15:00-16:00 個別施設Ⅱ(軽水炉炉心・原発や再処理施設の使用済み燃料貯蔵プール・使用済み燃料輸送容器・中間貯蔵施設・再処理施設・プルトニウム加工施設)
16:00-16:30 自由討論

(3)講義担当者 桜井 淳
(4)テキスト 書き下ろし論文 桜井 淳「核燃料サイクル施設の核的安全性評価法の現状分析」(当日配布)
(5)応募資格 核燃料サイクル施設の核的安全問題に関心のある者(大学院生歓迎)。
(6)定員 20名
(7)実施日時場所 2009年5月25日(月)、水戸市民会館3F小会議室(水戸市中央1-4-1) 水戸市役所隣接施設(水戸駅南口徒歩5分)。参加者人数によっては、経済性を考慮して、近くの施設の会議室に変更するか中止。
(8)申込先 セミナー事務局(詳細は日本原子力学会メーリングリスト配布資料のバックナンバー参照)
(9)参加費 10000円
(10)締め切り 2009年5月22日(金)


第9回「機器・配管等の破壊のメカニズムセミナー」開催案内

(1)主催 桜井淳事務所(代表 桜井 淳)
(2)実施概要 主に日本の原子力発電所で発生した事故・故障の原因分析と安全対策の事例。

10:00-11:00 原子力発電所の設計条件(「マーシャルレポート」の分析)
11:00-12:00 高サイクル疲労破壊
13:00-14:00 応力腐食割れ(粒界腐食割れ・照射下応力腐食割れ含む)
14:00-15:00 腐食・減肉破壊
15:00-16:00 脆性破壊(船舶・化学プラントの事例)
16:00-16:30 自由討論

(3)講義担当者 桜井淳
(4)テキスト( 当日配布) 桜井「原子炉安全評価のための技術的・定量的検討事項」、

Trans.At.EnergySoc.Japan, Vol.2, No.4, pp.567-579(2003)。参考文献 桜井『機 器・配管等の破壊のメカニズム』(日本原子力情報センター、1999,2001,2002,2004)
(5)応募資格 原子力発電所の安全性に興味を持っている者(大学院生歓迎)。
(6)定員 20名
(7)実施日時場所 2009年5月26日(火)、水戸市民会館3F小会議室(水戸市中央1-4-1) 水戸市役所隣接施設(水戸駅南口徒歩5分)。参加者人数によっては、経済性を考慮して、近くの施設の会議室に変更するか中止。
(8)申込先 セミナー事務局(詳細は日本原子力学会メーリングリスト配布資料のバックナンバー参照)
(9)参加費 10000円
(10)締め切り 2009年5月22日(金)


「第10回科学技術社会論セミナー」開催案内

(1)主催 桜井淳水戸事務所(代表 桜井 淳)
(2)実施概要

10:00-11:00 科学論・技術論・安全論の現在(金森修・中島秀人編著『科学論の現在』と講師の技術論・安全論の著書20冊を基に論理化)
11:00-12:00 科学技術社会論の現在(小林傳司編『公共のための科学技術』と講師の技術論・安全論の著書20冊を基に論理化)
13:00-14:00 技術の社会構成論(Wiebe E.Bijker : The Social Construction of Technology Systems, MIT Press(1989)と講師の技術論・安全論の著書20冊を基に論理化)
14:00-15:00 日本の原子力安全規制論(日本科学技術社会論学会論文誌『科学技術社会論研究』原著論文「日本の原子力安全規制策定過程におけるガバナンスの欠如」No.5, pp.155-169(April, 2008)を基に論理化)
15:00-16:00 原子力技術の社会構成論(日本科学技術社会論学会論文誌『科学技術社会論研究』原著論文「原子力技術の社会構成論―米国と日本の比較構造分析―」No.7掲載予定を基に論理化)
16:00-17:00 自由討論

(3)講義担当者 桜井 淳。
(4)配布資料 (1)桜井淳「原発事故分析をとおしての「科学社会学」の方法論」、

Trans.At.Energy Soc.Japan,Vol.1,No.4, pp.462-468(2002)、(2)桜井淳「原子力発電所の事故・故障分析の方法論-安全性評価のための技術的・定量的検討事項-」、Trans.At.Energy Soc.Japan,Vol.2, No.4, pp.567-579(2003)、(3)桜井淳「20年間の社会的実践記録を基にした科学技術社会論研究の方法」(東大大学院総合文化研究科広域科学専攻システム科学系ゼミ発表資料、26p, 2005)、(4)桜井淳「日本の原子力安全規制策定過程におけるガバナンスの欠如」、日本科学技術社会論学会論文誌『科学技術社会論研究』、No.5, pp.155-169(April, 2008)、(5)桜井淳「原子力技術の社会構成論-米国と日本 の比較構造分析-」、日本科学技術社会論学会論文誌『科学技術社会論研究』(No.7掲載予定)。
(5)応募資格 科学論・技術論・安全論・社会論を全体的に把握したいと考えている者(大学院生歓迎)。
(6)定員 20名
(7)実施日時場所 2009年5月27日(水)、水戸市民会館3F小会議室(水戸市中央1-4-1) 水戸市役所隣接施設(水戸駅南口徒歩5分)。参加者人数によっては、経済性を考慮して、近くの施設の会議室に変更するか中止。
(8)申込先 セミナー事務局(詳細は日本原子力学会メーリングリスト配布資料のバックナンバー参照)
(9)参加費 10000円
(10)締め切り 2009年5月22日(金)


「第28回モンテカルロ基礎理論セミナー」開催案内

(1)主催 モンテカルロシミュレーション研究会(代表 桜井 淳)
(2)実施概要

1日目(初級コース)
炉物理理論や中性子輸送理論の講義は、Alvin M. Weinberg and Eugene P. Wignerによる”The Physical Theory of Neutron Chain Reactors”, The Univ. of Chicago Pressによるが、個々の物理過程に桜井が編集した連続エネルギーモンテカルロ教科書(JAERI-Rev. 2002-004)の理論を組み込みモンテカルロ基礎理論として体系化(Trans. At. Energy Soc. Japan, Vol.2, No.4, pp.555-566(2003))したものである。

10:00-11:00 連続エネルギーモンテカルロコード、核データファイル、ポイントワイズ中性子断面積編集システム、汎用中性子断面積ライブラリ及びその他関連ライブラリの現状
11:00-11:30 積分出現粒子密度方程式の導出及び物理的意味
11:30-12:00 乱数及び酔歩
13:00-13:30 計算値の妥当性評価(誤差論、臨界計算における線源相関、中性子断面積の共分散の考慮)
13:30-14:00 各種分散低減法(特にウエイトウインドウ(WW)法及びWWジェネレータの理論、中性子深層透過計算におけるウェイト下限値最適推定法、物質密度減少法)
14:00-14:30 最適エスティメータ設定法
14:30-15:30 臨界計算法
15:30-16:00 モンテカルロ固定線源問題最適計算法
16:00-16:30 質疑応答

2日目(上級コース)
原子力分野におけるモンテカルロ計算の現状と最適計算のための改善すべき次項を中心に講義する。
  
10:00-11:00 桜井・他「モンテカルロ法による中性子・光子輸送シミュレーションの現状」、 (Trans. At.Energy Soc.Japan, Vol.41, No.6, pp.614-627(1999))
11:00-12:00 桜井・山本「国内大型原子力施設へのモンテカルロ計算適用の現状、(Trans. At. Energy Soc. Japan, Vol.2, No.2, pp.201-214(2003))
12:00-13:00 桜井「モンテカルロ法による高エネルギー輸送計算の現状、(書き下ろし)
13:00-14:00 桜井・山本「モンテカルロ法による中性子深層透過計算でのウェイト下限値の推定法、 (Trans. At. Energy Soc. Japan, Vol.4, No.2, pp.172-176(2005))
14:00-15:00 桜井・山本「公開文献から読み取れるモンテカルロ計算における分散低減法適用に見る懸念事項、 (Trans. At. Energy Soc. Japan, Vol.4, No.3,pp.219-226(2005))
15:00-16:00 桜井・山本「原子力分野におけるモンテカルロ法解析の教育方法」、(Trans. At. Energy Soc. Japan, Vol.4, No.4, pp.248-258(2005))
16:00-16:30 質疑応答

(3)講義担当 日本原子力学会「最適モンテカルロ計算法」研究専門委員会主査 桜井 淳
(4)配布資料 「モンテカルロ計算高度化」研究専門委員会編『モンテカルロ計算ハンドブック』(会員価格5000円)(日本原子力学会、2006)
(5)応募資格 モンテカルロ計算をしているか将来予定している者(大学院生歓迎)
(6)定員 20名
(7)実施日時場所 2009年5月28-29日(木-金)、水戸市民会館3F小会議室(水戸市中央1-4-1) 水戸市役所隣接施設(水戸駅南口徒歩5分)。参加者人数によっては、経済性を考慮して、近くの施設の会議室に変更するか中止。
(8)申込先 セミナー事務局(詳細は日本原子力学会メーリングリスト配布資料のバックナンバー参照)
(9)参加費 30000円(配布資料『モンテカルロ計算ハンドブック』代金含む)
(10)締め切り 2009年5月22(金)

Fri, April 17, 2009 stanford2008の投稿

茨城県県警ハイテク犯罪対策室長へのお礼の手紙-2007.4-2009.3の対応に対して-

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茨城県県警ハイテク犯罪対策室長殿



(この記事の正式タイトルは、「桜井淳所長から茨城県県警ハイテク犯罪対策室長へのお礼の手紙-2007.4-2009.3の対応に対して-」ですが、タイトルの入力文字数には制限があるために、略しました。)


私は、一昨年4月まで、茨城県県警にハイテク犯罪対策室があることをまったく知りませんでしたが、ある用事で水戸警察署を訪れた際に、対応していただいた橋本巡査から名刺をいただき、その名刺の裏面に、犯罪相談のいくつかの連絡先が記されていたために、メールを差し上げました。その直後、担当者から数回ほど電話をいただき、指示どおりに対応しましたが、約2年間を経て、今年の3月時点で、まだ、完全に解決したわけではありませんが、半分以上解決したため、とりあえず、お礼のメールを差し上げます。世の中には、番号不表示の電話やインターネットでの匿名書き込みならば、当事者が特定されないと錯覚しているひとが意外と多くいますが、気の毒でなりません。通信件数の大部分に対しては、もし、犯罪性がなければ、通信の秘密保持が最優先されるために、通信記録の解読は、なされません。しかし、明らかに、犯罪性の高いものに対しては、第三者や被害者からの通報により、さらに、ハイテク犯罪対策室のような部門の常時監視体制により、問題点が把握され、当然ですが、通信記録の解読がなされることくらい常識です。新聞報道によれば、昨年発生した秋葉原無差別殺傷事件の直後、その犯人が書き込んだのと同じような書き込みが数十件あり、そのうちの60名くらい逮捕されましたが、非常に高い逮捕率になっており、当然言えば、当然のことです。世の中には、電話やインターネットの通信記録は、短時間で消去されると間違った知識を持っているひとが多くいますが、簡単には消去されないことくらい認識すべきです。私は、幸運にも、担当者から、県警ハイテク犯罪対策室の業務内容と採用されている技術の全容を聞く機会を得ましたが、予想どおりの方法と受け止めました。県警と言えども、特別のことをしているわけではなく、通信やインターネットの分野のごく普通のエンジニアレベルの知識と経験と感じました。ここ2年間の対応に心より感謝し、いただいた情報や助言等については、今後、活用させていただきたいと思います。



桜井淳

Fri, April 17, 2009 stanford2008の投稿

桜井淳所長から親しい友人のX先生への手紙 21-東大H21年度第1回神学哲学ゼミの感想-

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X先生



東大大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻(本欄バックナンバー参照)のH21年度第1回神学哲学ゼミが4月10日15:00-16:40に法文一号館2階ゼミ室で開催されるため、当日は、いくつかのスケジュールをこなすことを目的に、午前中に上京しました。最初に、上野公園で桜を楽しみながらゆっくり散歩、つぎに、すぐとなりの東京国立博物館平成館で開催されていた阿修羅展を楽しみ、その後、入学式が行われていた東京芸大のキャンパスを通り抜けて、思い出の言問通り(本欄バックナンバー参照)に出てみました。その通りは、古い町並みで、通りの両側には、さらに、谷中側の地域には、数多くのよく管理されたこぎれいな大小さまざまな寺があり、小京都といった雰囲気です。落ち着いたその雰囲気がエキゾチックであるためか、都内の施設では、外人観光客に最も人気のある地域のようです。私も殊の外、気に入っており、何も考えることなく、ただ、無心になって、ゆっくり散歩することがあります。東京芸大前から言問通りをゆっくり西に進み、根津交差点を通り抜けて、14:00頃、最終目的地の東大本郷キャンパスに到着しました。まず、安田講堂前の公園の地下に設置されている巨大空間(3階建て建物くらいの大きさの吹き抜き構造)の学生食堂(20人が座れる食卓が25くらいあり、少なくとも約500名が同時に利用できます)でいくぶん遅い昼食を済ませ、ゆっくりゼミ室へ向かいました。法文一号館は、古い建物ですが、事務部門のある東側半分への入口内部の大きな空間は、改修され、古いホテルのロビーのような雰囲気です。今回は、第1回ゼミであるため、先生から今年度の目標の説明があり、その後、10名の自己紹介がありました。よくある普通の短い自己紹介ではなく、研究内容と問題意識を十分時間をかけて、ていねいに説明していたことが印象的でした。皆、大変優秀な学生です。博士課程のゼミであるためか、10名のうちのいくつかの研究室から集まった6名は、すでに、博士論文をまとめ中でした。その分野(分野によらず人文社会系はみなそうかもしれませんが)では、博士課程3年間で博士論文をまとめられるのは、話題になるくらい傑出して優秀な学生であって、普通、それプラス、2年か3年くらいかかるようです。その意味では総合文化研究科と同じと感じました。私は七番目につぎのような主旨の自己紹介をしました。「原研での仕事をまとめて30歳台半ばに理学博士の学位を取得しました。その後、技術論・安全論の研究で40歳台前半から50歳台後半までに20冊の著書をまとめました。その内容を基にして社会科学で博士論文をまとめるために、還暦直前に、総合文化研究科に在籍しました。そして、日本科学技術社会論学会が発行する査読付論文誌「科学技術社会論研究」に原著論文を2編投稿し、それらの内容と約10年前に日本原子力学会和文論文誌に掲載された2編の論文を体系化して、博士論文をまとめました。人生前半の還暦までにまとめた著書の内容は、現象論の暫定的なまとめに過ぎず、これから後半の20年間にまとめる著書の内容は、本質論の展開にしたい考えています。そのために、これまでの、プラトン「国家論」、ヘーゲル「論理学」、マルクス「資本論」の哲学の他、時間的に、レベル的に、それらを越えた次元に位置する新たな哲学を身につける必要が生じました。そのために、神学哲学の研究をしようと考えました。東大のHPを見て、先生の指導を受けたいと考え、1月15日に面会し(本欄バックナンバー参照)、それまでの経緯をお話しました。すでに、ユダヤ教、ヒンドゥー教、儒教、仏教、キリスト教、イスラーム教の経典等、基本的な文献には、目を通し、基礎の基礎は、習得してありますので、ゼミでは、皆さんの議論に加わり、謙虚な気持で、神学研究の方法と深さを学びたいと考えています。水戸から通っているために、毎週出席とはいかないかもしれませんが、できるだけ多く出席したいと考えています。よろしくお願いします。」ゼミ後の帰路は、知り合ったゼミ仲間のひとり(東大文学部卒後、教員として英語教育に従事、その間、英語の聖書を熟読、定年後、東大大学院人文社会系研究科神学哲学ゼミに約20年間通い、現在、79歳)と雑談しながら、正門から南へ約500mの本郷三丁目交差点までゆっくり歩き、そこで別れて(その時、世の中は、奥が深いと感じ、とてもかなわないと痛感しました)、春日通りを東へ約1200m歩き、JR御徒町駅へ、そして、上野を経て、水戸へ。これまで、何度も通った言問通りと春日通りは、いつもより、距離を感じましたが、それは、急ぐ必要のない旅のためか、意識的にゆっくり歩いたためか、30歳台や40歳台前半の感覚との比較のためか、年齢による足腰の衰えのためか、いつもの時間感覚とは異なっていましたが、新たな旅の出発の日は、実に充実した一日でした。今後は身体に負担にならない範囲で通うことになります。東大と米東部一流大を結ぶ確実な糸は意外なところにもありました。



桜井淳

Fri, April 17, 2009 stanford2008の投稿

桜井淳所長から親しい友人のX先生への手紙 20-原子力界における社会科学の研究レベル-

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X先生



歴史的に吟味してみると、原子力は、「マンハッタン計画」に見るように、自然科学の問題としてだけでなく、組織論やその社会的影響からして、政治的にも、経済的にも、繰り返し議論されてきました。日本においても同様です。その範囲は、原子力界に留まらず、自然科学や人文社会科学にまで及び、月刊誌や著書等のエッセーとして、さらに、学術研究書等としても、数多く公表されてきました。中には世界的にもトップクラスに位置する優れたエッセーもありました。しかし、原子力界においては、エッセーはともかく、査読付学会論文誌論文では、まったく扱われておらず、それが可能になったのは、約10年前のことでした。その頃は、原子力が世界的に逆風下にあって、原子力界は、その社会的対応に苦慮していた時期でした。それまでの唯我独尊的主張が世の中に受け入れられなくなったために、社会科学的視点から議論して、積極的に、しかも、柔軟に、社会対応しようとしていました。原子力学会には、「環境・社会部会」が設立され、学会口頭発表にもその分野のセッションが設けられ、論文誌にも徐々に論文が投稿され始めました。私が原著論文を2編投稿したのはその頃でした。原子力界には、社会科学の研究で実績があって、しかも、学位取得者がきわめて少なかったこともあり、査読して的確な判定ができる状況ではありませんでした。そのような状況はいまもまだ改善されていません。しかし、以前よりは、だいぶよくなっています。私が把握している限り、原子力界には、社会科学の原著論文が複数編掲載され、それを基に学位を取得した研究者は、極めて少なく、やっとその緒についたところです。原子力界の社会科学に対する認識や研究方法論は、明らかに、日本科学技術社会論学会等の人文社会科学分野の研究活動内容には、とても及ばす、いつも、一周遅れの対応をしているように思えます。私は、原子力界の研究者が日本科学技術社会論学会の査読付論文誌である「科学技術社会論研究」に原著論文を投稿して掲載された例を見たことがありません。それでは何も言えないでしょう。原子力界における社会科学研究においては、全体的に、もう少しきちんと基礎的な方法(複数の社会科学の原著論文とそれを基にした学位取得)や査読対応能力を備えた研究者を養っておいた方がよいでしょう。なお、世界における日本の科学技術社会論の研究者のレベルについては本欄バックナンバーをご参照ください。



桜井淳

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