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きょうのコラム「時鐘」 2009年4月23日
「矢倉」という将棋の戦法がある。金や銀などで王将を囲む陣構えで「櫓(やぐら)囲い」とも呼ぶ。城の「櫓」は武器庫でもあったから「矢倉」と書く
将棋の名人戦が熊本城で行われて話題になっている。復元した本丸御殿や重文の櫓まで利用したタイトル戦は、将棋界と熊本の観光PR策の中で異彩を放っている。文化財の活用で他の自治体の参考になろう 富山、金沢、福井城。北陸でも城郭の部分復元が進んでいる。金沢城の菱櫓・五十間長屋も、音楽会や料理大会に使われたことはあるが、まだその活用は十分ではない。県もチームを編成して企画を練っている。前例にこだわらない発想がほしい 一昨日、金沢城の辰巳櫓復元検討委員会が開かれた。「甚だ目立ち、名高き櫓なり」(金澤古蹟志)と称された城下町金沢のシンボル的な櫓である。検討委が立体模型を作り、櫓の具体像が浮かんできた。いつか、飾り物ではない生きた文化財ができればいい 行政と市民が知恵を出しあって、歴史遺産を都市の財産にする「次の一手」を考え、着実に駒を進めないと強敵ぞろいの「街づくり合戦」は勝ち抜けまい。 |