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イッキ飲み、アルハラに注意 宴会シーズンで市民団体が警鐘

2009年04月20日 12:15
アルコールハラスメント防止を訴えるポスターを眺める学生。県内の各大学は新入学生や在学生に対し、未成年の飲酒禁止や、イッキ飲み・飲ませの危険性などを周知している=山形市・東北芸術工科大
アルコールハラスメント防止を訴えるポスターを眺める学生。県内の各大学は新入学生や在学生に対し、未成年の飲酒禁止や、イッキ飲み・飲ませの危険性などを周知している=山形市・東北芸術工科大
 飲酒する機会が増える歓迎会や花見シーズンを迎え、気を付けなければならないのが急性アルコール中毒だ。全国ではここ数年、毎年死者が出ており、市民団体などは「イッキ飲みや飲酒強要などのアルコールハラスメント(アルハラ)は命を失う、奪うような行為」と警鐘を鳴らす。

 山形市立病院済生館が2007、08年度に受け入れた急性アルコール中毒の救急患者は、それぞれ53人、62人。07年12月には10人が運ばれている。同市消防本部救急係によると、歓送迎会シーズンは、急性アルコール中毒患者の搬送が増える傾向にあり、年齢層は若者に限らないという。担当者は「体調、体質に合った飲み方をしてほしい」と話す。

 全国ではイッキ飲み・飲ませで学生らが亡くなるケースも。子どもらをイッキ飲みで亡くした家族でつくる市民団体「イッキ飲み防止連絡協議会」(東京都中央区)の調査では、08年に急性アルコール中毒などで死亡した大学生らは少なくとも5人おり、未成年も含まれていた。ことし3月には、愛知学泉大のサークルの送別コンパで大量飲酒した1年の男子学生が倒れ、翌朝、死亡が確認された。事務局の馬場亜紀子さんは「仲間の結束を強めるための道具としてアルコールを使うべきではない。強引な飲ませ方が命を奪うこともあることを知ってほしい」と強調する。

 県内の各大学は以前から啓発チラシを配るなど対策に乗り出しており、山形大は「学科やサークルの歓送迎会などで、未成年に飲酒させないよう説明している」とし、東北公益文科大も「クラブやサークルの代表者にイッキ飲みさせないよう周知している」という。10日に行われた東北芸術工科大の学生生活ガイダンスでは、学生課の職員が「今後、酒を勧められる場面があるかもしれないが、未成年はきっぱりと断るように。アルハラ被害に遭った場合は相談して」と呼び掛けた。

 もし酔いつぶれた人がいたら周囲はどうすればいいのか。山形市消防本部やイッキ飲み防止連絡協議会は▽酔いつぶれた人を放置しない▽吐瀉(としゃ)物で窒息しないよう寝かせるときは体と顔を横向きにする▽夜間は低体温になる恐れがあるので保温する▽呼び掛けや痛みに反応しないなど昏睡(こんすい)状態になっていたらためらわずに救急車を呼ぶ−ことを注意点として挙げる。

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