HOME » 自腹で潜入レポート » この相談所の潜入レポート » ノッツェのお見合いレポ第2話「エスコートゼロ、主導権はワタシ」
まずはお互いに簡単な自己紹介。ある程度プロフィールを知っているとはいえ、やはりこれは外せない。それが終わると、男性は当日のドライブコースの説明をしてくれた。目的地は2人で決めたとはいえ、これも外せない。厳密なスケジュールやコース説明は必要ないが、大体を教えてもらうだけで安心できて緊張がほぐれ、居心地の悪さを感じずに済んだ。
その後は趣味や仕事のことなどが話題になったが、緊張していたためか、男性の口数は少なめ。出会ったばかりの相手と2人きりになるだけでも緊張するのに、密室だから余計に口数が減り、しかも音楽もない……。せっかく和らいだ空間もあっという間に緊張感でいっぱいになった。
ドライブデートは、盛り上がれば親密度が高まるもの。そう思い、できるだけ広げやすい話題(好きなものとか嫌いなものの話など)を振ってみたけれど、会話の量が増える気配がない。運転に集中しているのだから仕方がないのかなぁと思いつつ、ドライブデートを選択しなきゃよかったとも思った。
長丁場のドライブデートで一番困るのは、食事とお手洗いのタイミングだ。
時間が長く続けば、お手洗いにも行きたくなるし、のども渇く。もちろん、気をつえばお腹だって減ってくる(!?)。でも、初対面のお相手に「トイレにも行きたい、のども渇いた、腹も減ったから車を停めてくれ!」とダイレクトには言いにくい。だから、お相手に分かってもらえるようにと私は質問を繰り返した。
「疲れませんか?」
「のどは渇きませんか?」
「お腹は空きませんか?」
「お茶でも飲みながら、少し休憩しませんか?」
しかし!
「僕は大丈夫です」
「そうですね、じゃぁ」といった返事を期待していたのに……。
お見合い&初デートで、あまり言いたくなかったけれど、仕方がないのでダイレクトに提案してみることにした。
「のども渇いたしお腹も空いたので、喫茶店にでも寄っていただけますか?」
あ、言ってしまった……。
それでもお相手は、喫茶店に行くのは現地についてからでいいだろうと返す。
私は恥を捨てることにした。我慢の限界だった。
「お手洗いに行きたいんです……」
この一言を言ってもなお、「もうすぐ着きますから」と彼。
それから30分くらい経過したころ、ようやく目的地に到着した。
私は一目散にお手洗いに駆け込んだ。会話も盛り上がらず、トイレにも行けず、のどが渇いても水すら飲めない。お腹が減っても、お相手が食べたくなるまで何も食べられない。こんな拷問のようなドライブになるなら来なければ良かったと、トイレの個室でため息をついた。
帰りの車の中でも会話はあまりない。せめて音楽でもあれば気もまぎれるし、相手の音楽の趣味も分かると思って、カーラジオをつけてもらった。しかし聞けるのは、なぜか「AM」だけ。
別にAMが悪いわけじゃないけれど、誰もがよく知るトップクラスの高級外車の中でAMしか聞けないというのは……。結局、ただガーガーとうるさいだけだったので、AMは切ってもらった。そして、また会話のない、重い空気が流れた。
この日、唯一お相手から提案があったのは、夕食のお店だった。
「僕のお勧めのお店に行きませんか?」と誘われれば悪い気はしない。お相手の提案に私は快く従った。そして案内された先は、ラーメン屋! 確かに私はラーメン好きだけど、これには驚いた。
私たちは「お見合いデート」をしているはず。そのラストを締める夕食がラーメン!? 安く見られたような気がして情けない気分になった。
AM同様、ラーメン屋を選んだことがマズいわけではない。例えば、最近話題のラーメン屋だったら、会話も盛り上がっただろうし楽しかっただろう。また、女性客が多いお店だったらもっと居心地が良かったはず。こちらの気持ちはまるで考えてもらえないんだなぁと分かって、ガッカリした。
そして、支払いは私持ち。車の中に財布を忘れたらしく、「後で返すから出しといて」と言われた。これにもショックを受けた。ちなみに、その後、このラーメン屋の代金が返ってくることはなかった。ついでに言うと、この日の喫茶代はほとんどが私持ち。一緒に喫茶店に入っても、お相手は「のどは渇いていない」といってオーダーしなかった。そこを無理にお願いしてオーダーしてもらっていたので私が支払っていた。
リーズナブルなデートを提案したのは私だけれど、チープなデートを望んでいたわけじゃない。第一印象が良かっただけに、ダメージが大きすぎました。そして残念だけど、見送りさせていただくことに……。