2009年4月22日11時34分
大阪府東大阪市で昨年12月末、乗務中のタクシー運転手が首を切られて殺害され、現金が奪われた事件で、現場近くの路上から見つかったたばこの吸い殻から検出されたDNA型が、今年3月に大阪市で起きた強盗事件で起訴された被告の男(37)の型と一致していたことが大阪府警への取材でわかった。府警は男が運転手殺害事件に関与した疑いが強まったとみて、強盗殺人容疑で再逮捕する方針を固めた。
事件は昨年12月30日朝に発覚した。東大阪市西石切町6丁目の路上に止まっていたタクシーの車内で、運転手の後藤利晴さん(67)が首を切られて死亡していた。車内が物色され、売上金などが入った後藤さんの財布から紙幣がすべて抜き取られていた。
捜査1課は、運転日報などから、後藤さんが大阪市平野区から乗車した客に同29日夜に襲われたとみて、周辺の防犯カメラの映像を調べたり聞き込みを続けたりする一方で、現場周辺の路上に落ちていた複数の吸い殻を採取し、DNA型を鑑定。強盗など、他の類似事件の容疑者から採取したDNA型と一致するものがないか調べていた。
捜査関係者によると、その結果、大阪市東住吉区のコンビニエンスストア「ローソン湯里2丁目店」で今年3月27日未明に現金約5万円が奪われた事件で逮捕され、今月16日に強盗罪で起訴された男のDNA型と、現場から見つかった吸い殻のうちの1本から採取した型が一致した。この吸い殻はタクシーの後部タイヤ近くにあり、比較的新しかったという。
府警によると、コンビニ強盗事件では男は軍手をはめ、店員を脅すのに、殺傷能力の高いサバイバルナイフ(刃渡り12.5センチ)を用いていたという。後藤さん殺害事件では、血の付いた手袋で車内を触った跡が見つかった。後藤さんの首には深さ最大10センチ、長さ約20センチにわたる傷があり、鋭利な刃物が使われたとみられている。