イスラマバード(CNN) アフガニスタン国境に近いパキスタン北西辺境州に拠点があるイスラム強硬派勢力タリバーン系の組織は22日、4月中旬にイスラム法(シャリア)適用を認める停戦協定を政府と結んだ同州スワートバレー地区に隣接するブネール地区を「支配下」に置いたと発表した。
タリバーン系組織は、パキスタンの首都イスラマバードから約96キロ離れたところに拠点を得たことにもなる。ブネール地区には重武装した戦闘員ら数百人が進入、トラックになどに乗り、地区内をパトロールしているという。今後、同地区にもシャリアを広めるとみられる。
同組織は4月初旬、ブネール地区のしょう握を狙って進出、地元勢力と衝突し、撤退している。今回の再度の進入は、政府との停戦協定の間隙を狙った動きとも言える。
タリバーンはシャリア適用で、夫や父親の同行なしに公の場に出ることなどを禁止している。2001年末の米英軍事作戦でアフガンの政権を追われたタリバーンは厳格なイスラム教義の統治を敷いていた。
北西辺境州ではタリバーン系のほか、国際テロ組織アルカイダ系の組織も暗躍、アフガンへの越境攻撃も続けている。米軍はパキスタン政府に対し掃討作戦の強化を促しているが、政府は国内のイスラム系勢力への配慮もあり、有効な手は打てないでいる。タリバーン系組織による今回のブネール地区浸透も黙認に終わる可能性がある。