東京・杉並区で喉に割り箸が刺さり死亡した男の子の両親が、「診察が不十分だった」などとして、病院側に損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁は1審判決を支持し、両親の訴えを退けました。
杉野隼三ちゃん(当時4)は、10年前、東京・杉並区の盆踊りの会場で転倒し、くわえていた割りばしの一部が脳に刺ささった状態で病院の診察を受けましたが、医師は割りばしの破片を見つける事は出来ず、化膿止めを塗っただけで帰宅させ、隼三ちゃんは翌日に死亡しました。
隼三ちゃんの両親は「不十分な診察で死亡させた」などとして、病院側と担当医師を相手取り、およそ9000万円を求める民事訴訟を起こしましたが、1審の東京地裁は訴えを退け、両親が控訴していました。
15日の判決で東京高裁は、「割りばしによる頭蓋内の損傷を予見することは不可能で、注意義務違反があったとはいえない」として、1審判決を支持し、両親の訴えを退けました。
判決後、両親は「血も涙もない判決で、ただただ無念でなりません」「10年間の闘いが、何らかの意味で日本の医療にとって意義があったと認めて頂ける時が来るよう努力したい」とコメント。
すでに刑事事件で無罪判決が確定している医師は、「(医師としての)自信を取り戻すことができました。亡くなった隼三君のご冥福を心よりお祈り申し上げます」とコメントしています。両親は上告しない方針で、これで割りばし事故の一連の裁判が終結することになります(15日15:50)