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派遣法改正、野党間の協議が難航 「登録型」めぐり溝

2009年4月22日21時55分

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 労働者派遣法改正案の修正に向けた野党間の協議が難航している。民主党の菅直人代表代行と社民党の福島瑞穂党首が22日に会談したが、不安定な「登録型」派遣を禁止するかどうかで決着がつかなかった。昨秋提出の政府案も実質審議は始まっていない。派遣労働者の大量失職が続くなか、政治が有効な対策を打ち出せるかが問われている。

 「(秘書や通訳など)専門業務以外は、登録型派遣を禁止しないと国会の責任を果たせない」。22日の会談で、福島氏は迫った。だが、菅氏は「(製造業派遣より)先まで禁じるには、影響をよく調べないといけない」と答えるにとどまった。改めて協議するが、妥協点を見いだすのは簡単ではない。

 両党のこれまでの協議では、焦点だった製造業派遣の原則禁止をはじめ、いくつかの点で合意している。ただ、仕事がある期間だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣は、社民が専門業務以外での禁止を提案するが、民主は「問題の少ない事務派遣も成立しなくなる」と反論。議論は行き詰まりかけている。

 歩み寄りが難しい背景には、労働法制をめぐる両党の考え方の違いがある。民主は所属議員の足並みがそろっておらず、規制強化より安全網の整備を求める声がある。派遣法の対案づくりに携わった議員は「厳しすぎる規制は派遣で働く労働者や経済への影響が大きい」と指摘する。一方、社民は「労働者の問題で安易な妥協はできない」(福島党首)と規制の厳格化を求める立場だ。国民新や共産も足並みをそろえ、民主を包囲する構図になっている。

 製造業や登録型派遣の禁止について、与党は3月19日にまとめた緊急雇用対策で「1年程度を目途にその在り方を検討する」としており、早急な規制には慎重だ。政府案は日雇い派遣の原則禁止が柱だが、こちらも実質的な審議は始まっていない。今後、野党間や与野党双方が歩み寄らない限り、各党が問題視する現行法が温存されることになる。(江渕崇、林恒樹)

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