小比類巻の「代打」山本優弥、日本人唯一８強…Ｋ―１ＭＡＸ

イム・チビンに回し蹴りを決める山本（右）

　◆Ｋ―１ワールドＭＡＸ世界大会　○山本優弥（判定　３―０）イム・チビン●（２１日・マリンメッセ福岡）　ワールドＭＡＸ世界大会１回戦で、今年の日本代表決定大会の２位で“代役出場”の山本優弥（２４）＝青春塾＝が、イム・チビン（２９）＝韓国＝を３―０の判定で破り、準々決勝（７月１３日、日本武道館）に進出した。日本人ナンバー２の佐藤嘉洋（２８）＝フルキャスト＝は、ドラゴ（２３）＝アルメニア＝に延長の末、判定で敗れる波乱。年内引退を表明した魔裟斗（３０）＝シルバーウルフ＝は、ＨＩＲＯＹＡ（１７）＝フリー＝とエキシビション戦を行った。

　日本人で唯一、勝ち残ったのは、“ラッキーボーイ”山本だった。相手に優勢に試合を進められていたが、２回１分過ぎ、奇襲の右バックハンドブロー（裏拳）がクリーンヒットダウンを奪いにいった。３―０判定で、韓国ナンバーワンのイムを下した。「バックブローはセコンドが言ってくれたタイミングで出したら当たった。ホッとしてます」

　代役だった。当初はリザーブファイトで出場予定も、日本代表・小比類巻の負傷欠場により大会１０日前に本戦出場が決定。「最近、ビンゴで何十万円もするワインが当たったり、ツイてた。実力はないけど、運を引き寄せられたのかな」千載一遇のチャンスを確実にモノにした。

　変わり種の選手だ。「ＫＯより判定勝ちが好きな部分もある。自分なりの美学があるんです」強くて痛い技を出すより、カッコよく出すことにこだわるという。昔からのあこがれだったイム相手に、さすがにこの日は形にこだわるほど余裕はなく、気持ちで打ち合うファイトになったが、空手仕込みの豪快な胴回し回転げりなど、随所で大技も繰り出した。

　「争いごとが好きじゃなくて格闘家らしくないんです。殴られたくないから殴る」。負けが込んだ昨年、一度は引退を決意したが、「応援してくれる人のために」と現役続行を選んだ。「見ての通り全然、強くないです。もっと練習して恥ずかしくない試合をします」と試合後のマイクアピールも謙虚なものだったが、この日の試合内容は日本代表として堂々と胸を張っていい。闘志を内に秘めた男が、世界の上位を狙う。

　◆山本　優弥（やまもと・ゆうや）１９８４年７月１５日、広島・尾道市生まれ。２４歳。１０歳で空手を始め、１６歳で新空手の全日本大会を制し、２００１年に１７歳で全日本キックのリングでデビュー。Ｋ―１デビューは０５年。Ｋ―１通算は１１戦６勝（１ＫＯ）５敗。１７５センチ。