98年に和歌山市で4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒になった毒物カレー事件で、殺人罪などに問われ、一審、二審で死刑判決を受けた林真須美被告(47)の上告審で、最高裁は21日、林被告側の上告を退ける判決を言い渡した。これにより、林被告の死刑判決が確定する。林被告側は「冤罪(えんざい)を晴らす」などとコメントしている。 傍聴席の最前列で遺族が見つめる中、裁判長は主文を後回しにして、「鑑定結果や状況証拠を総合的に判断すると、合理的な疑いを差し挟む恐れがないほどまで証明されている」などと理由を端的に述べた。最後に「主文、本件上告を棄却する」と述べると、傍聴席の遺族は泣き崩れた。判決は約1分半で終わった。
拘置所にいる林被告は判決後、「私は犯人ではありません。真犯人は別にいます。1男3女の母親として、この冤罪を晴らすために、これからも渾身(こんしん)の努力をしていきたい」とのコメントを出した。今後について、林被告の弁護人は「林さんは再審に取り組み、無実を証明したいと願っています。弁護人もその任を果たす決意です」とコメントしている。
21日の判決には、36席の傍聴席に対し、最高裁では珍しく196人もの希望者が並んだ。