東京大学教養学部英語部会編著『東大英単』(東京大学出版会)が売れている。ビジネス街の書店では一時期品切れになるほどで、すでに3刷2万8000部。出版社も驚くヒット作になっている。
[フォト] 必ず美しい「東大生のノート」の秘密
「東大というタイトルに話題性があり、読者を刺激した」。編集に携わった能登路(のとじ)雅子教授(アメリカ文化史)は、売れている理由をそう分析する。「『英単』という言葉には昔のイメージもあり、それを越えたものというメッセージも込めました」
タイトルには、東大の内部でも驚いた人も多かったようだ。ただ「中身の濃さで、だれもが納得してくれた」という。
「東大の新入生の英語力をみていると、リスニング力やライティング力は伸びているが、リーディング力が落ちている」と菅原克也教授は話す。ただし、冒頭に書かれているとおり「これは受験参考書ではありません」。
280語を学ぶことで語彙(ごい)力を強化し、総合的な英語力を豊かにすることを目的とした“お勉強本”だ。効果的な学習のために「例文が知的好奇心にこたえるものでなければいけない」などと、計6人の教授と准教授が議論しながら編集作業を行った。「自分自身の勉強にもなった」と、トム・ガリー准教授は話す。
菅原教授は「学内では、売れていることよりも、ネコのキャラクターにヘソがあるのがおかしい、と話題になっています」と笑わせる。
全国的に売れているそうで、読者層は40〜50代が中心。当然、続編も期待されるが、能登路教授は「少し休んでから」と話していた。(松垣透)
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