駐車場にずらりと並んだ白物家電の在庫。「完全に供給過多の状態」という=大分市古国府の「生活喜来楽館大分中央店」
生活用品を気軽に売り買いできるリサイクルショップに時代の“荒波”が押し寄せている。「派遣切り」の余波で冷蔵庫や洗濯機、さらに二年後に迫った「地デジ」移行の影響でブラウン管テレビの持ち込みが増加している。リサイクル業界の現場からは、景気悪化にあえぐ世相がかいま見える。
大分市古国府の「生活喜(き)来(ら)楽(ら)館大分中央店」。駐車場の一角を買い取った冷蔵庫、洗濯機が占拠している。「保管場所にも困る始末で…」。龍神勝志店長は白物家電の在庫を前に、ため息をついた。
県内で非正規労働者の大量解雇が始まった昨年末から、人材派遣会社が社員寮の家電を大量に持ち込むケースが増えた。加えて、地上デジタル放送への完全移行が近づいてブラウン管テレビの持ち込みも急増。
「中には、リサイクル料金を払わずに処分しようと家電を持って来るお客さんもいるようです。でも、ブラウン管テレビは需要が全く見込めないので対応に苦慮している。リサイクル業界に地デジのしわ寄せが来ている」と嘆く。
由布市挾間町の「J―SHOP挾間店」では最近、近隣のリサイクル店を回って価格を調べたり、電卓を片手に計算する来店者の姿が目につくという。秋吉隆治店長は「不況の深刻化で消費者は驚くほどシビアになった」と実感している。
景気悪化とともに増えたのが貴金属の買い取り。「ネックレスや指輪のほか、金歯や十八金製の眼鏡フレームの持ち込みもあります。生活費にしようと考えているためか、価格交渉が難航するケースも多い」
最近、ブランド品をレンタル感覚で“短期売買”する女性客が目立ち始めた。結婚式や卒業式などの直前に同店で有名ブランドのバックなどを購入し、出席後に再び店を訪れて買い取りを求めるという。
秋吉店長は「買い替えの循環がなければリサイクル店はやっていけない。消費が少しでも上向くよう願っている」と話した。
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