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社説:「妊娠」で退職勧奨 企業意識の遅れの表れ
不況の影響で、妊娠や出産を理由に「会社から退職を強要された」と訴える女性が相次いでいる。不況だから仕方がない、では決して片付けられない深刻な問題である。
1986年施行の男女雇用機会均等法は、妊娠や出産を理由にした解雇を禁止。さらに2007年の法改正でそうした女性への退職勧奨も禁じた。明らかな法律違反であることをまず再認識しなければならない。
厚生労働省によると、働く女性の退職勧奨や解雇に関する相談は、全国で年間1700—1800件に上る。本県では、07年度は7件だったのが、08年度は31件へと急増した。家族や知人らからの相談も加えると、もっと多く、問題のすそ野の広さを物語っている。
ある女性は妊娠を報告したところ、「体がきつくて大変でしょう」などと、会社からやんわり退職を促されたという。それが繰り返され、ついに秋田労働局に駆け込んだ。繰り返し、またはいろいろな手法で退社するよう仕向ける行為は最近の典型例で、強要とみなされる。
世界的な不況である。国内でも名の知れた企業が危機に直面している。いわんや中小企業の多い本県では、経営難からコスト削減を強いられている企業の苦境も理解できなくはない。
ただ、雇用機会均等法は昨日、今日できた法律ではない。不況のしわ寄せが「新たな生」を産み出そうとしている女性に向けられるのは、やはり理不尽だ。今こそ、意識改革の好機とすべきである。
もちろん、出産を機に退社し、しばらくは家事・育児に専念したいという女性もいる。しかし女性が一定期間休んだ後、引き続き働くことを望む場合は、事業主はその思いをしっかり受け止め、サポートする必要があるだろう。
法律に違反するか否かの問題にとどまらない。働く女性は着実に増えている。能力や意欲が男性を上回る人は多い。妊娠や出産、子育てはあっても、会社の戦力として積極的に活用すれば、業績や先行きに大きな違いが生じてくるのだ。
特に、人口減が顕著な本県では、女性が働きやすい環境を整えることが急務である。さらに少子化が進めば、労働力人口が急減していくのは目に見えている。女性には子どもを産み、育てるとともに、働き手としての期待も高まる。
このため出産や育児にかかわる経済負担の軽減や育児サポート強化など、さまざまな課題への目配りと施策が欠かせない。
退職勧奨に関する相談の増加は、男女共同参画社会が叫ばれる割に、肝心の企業の意識が立ち遅れていることを図らずも浮き彫りにした。
不況が永遠に続くわけでもない。「住みよい秋田」を築いていくためにも、妊娠、出産後も安心して働ける職場環境づくりが求められる。
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