Print this Post Article Lists Back

世界が驚いた韓国の核融合技術(上)

30社以上の企業・研究所が共同で開発

 韓国の科学力が世界トップ10に入り、数千億ウォン(1000億ウォン=約64億円)以上を投じた巨大科学プロジェクトが相次いで進められている。巨大科学はそれ自体があらゆる科学技術の集大成であり、日常生活から企業に至るまで、数多くの分野を変革させる源となっている。巨大科学の現場を訪れ、未来に向けた韓国の力強い歩みを取材した。

 昨年末、大徳研究団地内にある国家核融合研究所が12年間にわたり3090億ウォン(約198億円)を投じて独自開発に成功した核融合研究装置(KSTAR)。ここでは研究員らが宇宙船などに利用する耐火タイルの開発作業を行っていた。一見して工場でよく見られる巨大な鉄の塊のようだが、その中には未来において人類のエネルギー問題を解決する新たな火が隠されている。すなわち「人口太陽」だ。

 KSTARは太陽と同様、水素による核融合が起こる際に発生する莫大(ばくだい)なエネルギーを大量に生産している。水素500グラムがあれば、古里原子力発電所クラスの発電所4基を1日稼働し続けることができる。温室効果ガスや有毒な放射性廃棄物もない。韓国独自の技術でこの無限なグリーンエネルギー源の開発に乗り出し、世界を驚かせた。

◆造船・建設・発電の経験を通じて作り上げた人口太陽

 KSTAR内にある真空容器の中では、摂氏1億度以上の状態で核融合が起こっている。しかしこのような激しい高温物質が壁にぶつかれば、装置はたちまち溶けてしまう。それを防ぐため壁には零下269度の超伝導磁石を埋め込み、高温の物質を押し出している。

 極端な高温と低温を共存させる真空容器は現代重工業が製造したものだ。同社のパク・ギョンホ氏は「われわれが提案した技術で開発した試作品は何度も失敗した。一時は放棄すべきという意見も多かったが、歴史的プロジェクトに参加するという使命感を持ってチャレンジを続けた」と語る。度重なる試行錯誤の末に、現代重工業は1億度の温度差にも強い、耐久性に優れた鉄鋼構造物をこの世に送り出すことに成功した。

 超伝導体は斗山重工業が担当した。超伝導体は電流が流れても抵抗や熱が発生しない物質だ。発電所の建設でノウハウを重ねてきた斗山重工業は、世界最高レベルの核融合超伝導体の開発に成功した。人口太陽が発する熱を冷ます冷却水は大宇建設の担当だ。KSTARの冷却水にはわずかな不純物もあってはならない。不純物は電気が流れる通路となり、数万ボルトで稼働するKSTARを故障させる危険性があるからだ。

国家核融合研究所のKSTARは、新たなエネルギー源に対する研究で世界の注目を集めている。国際社会が12兆ウォン(約7700億円)を投じたITER事業にKSTARの技術がそのまま活用された。/大徳=チョン・ジェホン記者

大徳=チョ・ホジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る