隣家の車庫に、今年もツバメが帰ってきた。傷んでいた巣もいつの間にか補修されている。かわいいヒナの姿が見られる日も遠くあるまい。
蛇やイタチからヒナを守るためツバメは建物などに営巣する。都会では近年、タクシー会社のガレージなど人や車の出入りが特に激しい場所に巣をかける傾向があるそうだ。カラスが増えたせいらしい。
家族のきずなを感じさせ、虫を食べてくれるツバメを人間も愛してきた。本紙ちまた欄にも毎年、ツバメの話題が寄せられる。家並みを縫って飛ぶ姿は人と自然の共生を象徴しているようでうれしくなる。
桜の開花と同様にツバメの飛来も早まっている。昨夏、東京の特定非営利活動法人(NPO法人)バードリサーチの全国調査の結果を本紙が伝えていた。飛来の最盛期は二〇〇六年から〇七年にかけて四月の早い時期にずれ、〇八年は三月終盤にピークを記録した。
会のホームページによれば今年はさらに早まった様子という。飛来の続いている時期なのでまだ暫定版ながら、今年のグラフを見ると三月中旬に飛来のピークがある。
温暖化の影響がここにもということか。うまく共存しているようでも、刻み込まれた生物としてのリズムを乱しているなら人間は罪深い。昔に比べ、ツバメの数も減ったように思う。