【ワシントン=米山雄介】国際通貨基金(IMF)は21日、ローンや保有証券の劣化に伴う世界の金融機関の損失が2007年から10年までの合計で約4兆540億ドル(約397兆円)に上るとの推計を発表した。金融システムの安定に向け、米欧の銀行はさらに合計で8750億ドル(約85兆円)―1兆7000億ドル(約166兆円)の資本増強が必要になるとの試算も示した。
「世界金融安定性報告」で明らかにした。金融機関が保有する貸出債権や証券化商品から生じる損失を推計。米国、欧州、日本の組成地域別に集計した。IMFが日米欧3市場の損失を推計するのは始めて。
IMFは「監督当局は金融機関の健全性評価で積極的な役割を果たすべきだ」と強調。資本注入とともに銀行のリストラを進めるため「一時的な国有化が必要かもしれない」と指摘。資本注入でも「普通株式の取得をためらうべきではない」と政府の経営関与を促した。
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