99 取材メモ

 ぱちモルガン事件のうち、現在取材中のものをいくつか紹介しよう。

手形偽造事件

 ぱちモルガンの詐欺師たちが手形の偽造をしていたことがわかっている。その手口は乗っ取った会社に手形を振り出させ、ある大手企業の裏書を偽造した後にぱちモルガン企業が裏書し、金融業者で割り引くというものだ。振り出した企業は健康食品関係や環境関係の中小企業だが、裏書の信用を高めるために架空の事業計画書や偽造融資証明書がつけられることもある。ぱちモルガン同様、有名な企業と同名または類似名の会社を利用するのが特徴だ。被害総額は1億円以上。

中国版権ビジネス

 中村暢孝たちが「中国に版権管理の合弁企業を設立する」として出資を募っていたことがわかっている。中国版権ビジネスはトヨタ自動車子会社の広告代理店「デルフィス」社内で実際に検討されたことのある事業で、中村たちはこの事業計画をそのまま利用し、デルフィスの名前を無断で使って金集めをしていたようだ。投資家たちを中国見学に連れてゆき、現地で「政府高官」「大手企業関係者」を名乗る人物に引き合わせるなど、大がかりな舞台装置を組んだ模様だ。日本の上場企業2社の名前も引き合いに出されている。被害総額十数億円。

台湾からの電子部品輸入・組立

 現在、中村暢孝たちが進めているのは、台湾から電子部品を輸入し、国内で組立・販売を行うという事業だ。商材は「新開発のカード読取機」とされ、すでに東京の輸入業者と徳島の機械製造業者に中村暢孝と牧資章が役員として潜り込んでいる。詐欺の舞台は新宿野村ビル32階のレンタルオフィスに置かれている模様だ。今後、投資家を募るいっぽうで金融機関からの融資引き出しを画策すると思われる。

テクノベンチャーの乗っ取り

 この詐欺の主役は柳沢博だ。まず、柳沢は「堤義明の友人」などと称して、ベンチャーキャピタルの紹介で被害企業に入り込む。株式上場話を持ち出して発明家社長を巧みに説得し、第三者割当増資をさせるとともに、社長が個人で保有する特許を会社に譲渡させる。その後、外部株主を抱き込んで社長を解任し、会社をライバル企業に譲渡するという手口だ。被害金額は不明。

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