チルドレソのテクニカル分析
※このサイトは株式や先物などのテクニカル分析について扱ったサイトです。表の左は文章、右は図や表になります。
※このサイトから生じるいかなるトラブルについても責任を負いません。情報の正確性について保障するものではありません。
※第1章から第7章、第11章、第13章がオススメです。
※表や図などが沢山あるため、表示されるまでに時間がかかります。
目次
第1章 テクニカル分析の哲学
1:初めに
2:哲学と論理
3:テクニカル予測とファンダメンタル予測
4:テクニカル分析の柔軟性と適用性
5:テクニカル分析が適用できる取引対象
6:テクニカル分析が適用できるトレード期間
7:経済的予測
8:テクニシャンかチャーティストか
9:テクニカル分析に対する批判 予測の自己実現性
10:テクニカル分析に対する批判 将来の予測における過去の有効性

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第2章 ダウ理論
1:初めに
2:基本法則
3:終値の利用とラインの形態
4:ダウ理論に対する批判

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第3章 トレンドの概念
1:定義
2:トレンドには三つの方向がある
3:トレンドには3分類ある
4:サポートとレジスタンス
5:サポートとレジスタンスの逆転
6:サポートとレジスタンスの心理的背景
7:サポートとレジスタンスの逆転が起きるブレイクの程度
8:切りのよい数字の重要性
9:トレンド・ライン
10:トレンド・ラインを引く
11:仮のトレンド・ライン対有効なトレンド・ライン
12:トレンド・ラインをどう使うか
13:トレンド・ラインの重要度をどう見きわめるか
14:トレンド・ラインにはすべての価格の動きを含める
15:一時的なブレイクをどうみればよいか
16:トレンドを決定的にブレイクするとは
17:トレンド・ラインの役割り逆転
18:トレンド・ラインの副次効果
19:ファン理論
20:“3”という数字の重要性
21:トレンド・ラインの傾斜度
22:トレンド・ラインの修正
23:チャネル・ライン
24:価格の戻りの割合
25:スピード・レジスタンス・ライン
26:リバーサル・デー
27:キー・リバーサル・デー
28:トゥー・デー・リバーサル
29:ウィークリーおよびマンスリー・リバーサル
30:プライス・ギャップ
31:4種類のギャップ
32:アイランド・リバーサル
33:イントラ・デー・プライス・ギャップ
34:要約

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第4章 主要なリバーサル・パターンの研究
1:初めに
2:プライス・パターン
3:パターンの二タイプ 反転と継続
4:すべての反転パターンに共通の予備知識
5:ヘッド・アンド・ショルダー型の反転パターン
6:ネック・ラインの割込みとパターンの完成
7:反転の動き
8:要約
9:取引高の重要性
10:目標価格の推測
11:目標価格の調整
12:逆ヘッド・アンド・ショルダー
13:ネック・ラインの傾斜
14:複雑型のヘッド・アンド・ショルダー
15:戦術
16:完成し損じたヘッド・アンド・ショルダー
17:調整パターンとしてのヘッド・アンド・ショルダー
18:トリプル・トップとトリプル・ボトム
19:ダブル・トップとダブル・ボトム
20:ダブル・トップから目標値を推定する
21:理想パターンの変形
22:フィルター
23:ダブル・トップの濫用
24:天井と谷の間の時間が重要である
25:ソーサーまたはラウンディング・トップとラウンディング・ボトム
26:Vフォーメーションまたはスパイク
27:Vリバーサルの前提条件
28:変型Vリバーサル・パターン
29:左側に伸びたVパターン
30:結論

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5章 コンティニュエーション・パターン
1:初めに
2:トライアングル
3:シンメトリカル・トライアングル
4:トライアングル分析のためのタイム・リミット
5:だましシグナル
6:取引量の重要性
7:目標値測定方法
8:アセンディング・トライアングル
9:目標値
10:底値でのアセンディング・トライアングル
11:ディセンディング・トライアングル
12:上値でのディセンディング・トライアングル
13:取引量からみるパターン
14:トライアングルにおける時間的要因
15:ブロードニング・フォーメーション
16:ブロードニング・トップはいかに形成されるか
17:パターンの完成
18:要約
19:ダイヤモンド・フォーメーション
20:ダイヤモンドからの目標値予測方法
21:結論
22:フラッグとペナント
23:フラッグとペナントの形成
24:目標値の推定
25:要約
26:ウェッジ・フォーメーション
27:天井や底でのトレンド転換を示すウェッジ
28:レクタングル・フォーメーション
29:取引量のパターンの重要性
30:レンジ内でのトレーディング
31:その他の類似点と相違点
32:韻を踏んだ動き
33:保合い型のヘッド・アンド・ショルダー・パターン
34:市場の特性
35:確認と矛盾

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第6章 出来高と建玉
1:初めに
2:二次的指標としての出来高と建玉
3:出来高
4:建玉
5:出来高・建玉を解釈するための一般的ルール
6:出来高の解釈
7:価格パターンの確認指標としての出来高
8:出来高は価格に先行する
9:累積騰落出来高(On Balance Volume : OBV)
10:累積出来高(Volume Accumulation) : OBV の代替指標
11:商品先物における出来高分析の限界
12:建玉の解釈
13:建玉が重要視されるその他の状況
14:出来高と建玉のルールのまとめ
15:ブローオフとセリング・クライマックス
16:コミットメンツ・オブ・トレーダーズ・レポート
17:季節要因

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第7章 移動平均
1:初めに
2:移動平均 タイム・ラグを伴った平準化
3:どの価格の平均をとるか
4:単純移動平均
5:加重移動平均
6:指数平滑移動平均
7:単独の移動平均線の使用
8:長期と短期の移動平均
9:単独の移動平均に用いるフィルター
10:2本の移動平均線の利用法
11:2本の移動平均線による売買シグナル
12:3本の移動平均線によるトリプル・クロスオーバー法
13:4-9-18日移動平均法の使い方
14:最適な移動平均の組合せ
15:メリル・リンチ社の研究成果
16:ダブル・クロスオーバー法対トリプル・クロスオーバー法
17:“Optimization”(最適化)の問題点
18:平均線の位置
19:平均値のCentering (センタリング)
20:サイクルと移動平均の運動
21:移動平均とフィボナッチ・ナンバー
22:移動平均が適用可能な時間範囲
23:結論
24:移動平均の得失
25:オシレーターとしての移動平均
26:他のテクニカル・データと移動平均の応用
27:週次ルール
28:4週ルール
29:修正4週ルール
30:週次ルールの最適化
31:週次ルールの期間と感度
32:4週ルールとサイクルの関係
33:週次ルールの簡潔性
 

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第8章 オシレーターと反対意見
1:初めに
2:トレンドとの関連でみたオシレーターの利用法
3:オシレーターの読み方
4:解釈の一般的ルール
5:オシレーターの三大使用法
6:モーメンタムの計測法
7:相場の上昇・下落度を測るモーメンタム
8:モーメンタム・ラインは価格の動きに先行する
9:ゼロ・ライン・クロスは売買のシグナル
10:上下境界線の必要性
11:変化率 (ROC : Rate of Change) の測定
12:2本の移動平均線を使ったオシレーター測定法
13:オシレーター解釈
14:The Relative Strength Index (RSI)
15:RSIの読取り方
16:70と30が売買のシグナル
17:ストキャスティックス
18:動きを遅くしたストキャスティックス
19:ラリー・ウィリアムズ(Larry Williams)の%R
20:相場の周期に応じた期間の選択
21:トレンドの重要性
22:オシレーターが最も有効な時
23:移動平均・収斂・乖離トレーディング手法 (MACDTM)
24:オシレーターとしての累計取引量
25:コンピュータ・・・ソフトウェア
26:反対意見ー逆説主義の原理
27:強気一致指数の解釈
28:逆説主義は残っている買い圧力、売り圧力を測定する
29:逆説主義は強者と弱者を測定する
30:強気一致指数のその他の特徴
31:建玉の重要性
32:ファンダメンタルなニュースに対する市場の反応に注目
33:逆説主義と他のテクニカル分析手法の併用
34:強気一致指数の戻し
35:結論


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第9章 イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャート
1:初めに
2:ポイント・アンド・フィギュア対バー・チャート
3:ポイント・アンド・フィギュア・チャートの感応度の調整
4:イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャートの作成
5:参考時間表示点
6:密集価格帯分析
7:水平カウント
8:ポイント・アンド・フィギュア・チャートにおける水平計算
9:価格パターン
10:トレンド分析とトレンド・ライン
11:サポートとレジスタンス
12:ストップ
13:結論
14:ポイント・アンド・フィギュアのチャートとデータの入手


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第10章 3枠反転基準と最適ポイント・アンド・フィギュア
1:初めに
2:3枠反転チャートの作成
3:チャート・パターン
4:トレンド・ラインの引き方
5:基本的な強気支持線および弱気抵抗線
6:チャネル・ライン
7:目標価格のテクニック
8:トレーディング戦術
9:ピラミッディング
10:反転、調整なしの長い動きへの対応
11:ポイント・アンド・フィギュア・チャートの利点
12:ポイント・アンド・フィギュ・チャートの最適化
13:常時最適化を図る必要性
14:情報源

15:結論


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第11章 エリオット波動理論
1:歴史的背景
2:エリオット波動理論への導入
3:エリオット波動原理の基本原則
4:エリオット波動とダウ理論の関連
5:波の特徴
6:エクステンション (拡張)
7:ダイアゴナル・トライアングルと未達成
8:調整波
9:ジグザグ
10:フラット
11:トライアングル
12:ダブルおよびトリプル・スリー
13:オータネーション(交替)の法則
14:チャネリング
15:サポートとしての第4波
16:フィボナッチ数列と波動理論の原理
17:ロガリズミック・スパイラル (対数 : 渦巻線)
18:フィボナッチ比率とリツレイスメント (戻り)
19:フィボナッチ比率リトレイスメント
20:フィボナッチ・タイム・ターゲット
21:波動理論の3側面の統合
22:サイクルの研究におけるフィボナッチ数
23:エリオット波動理論の適用 (株式対商品)
24:要約と結論
25:波動理論と他のテクニックの併用
26:関連書籍等
27:エリオット波動の例
28:フィボナッチのファン(扇形)・ライン、円弧、タイム・ゾーン


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第12章 タイム・サイクル
1:初めに
2:サイクル
3:サイクルの基本概念
4:サイクル理論
5:多様性・名目性理論
6:チャート・テクニックへの応用法
7:ドミナント(支配的)・サイクル
8:サイクルの分類
9:コンドラチェフの波
10:さまざまなサイクル期間の併用
11:トレンドの重要性
12:CRB先物価格インデックスにおける9〜12ヶ月サイクル
13:28日間トレーディング・サイクル
14:左右移転
15:サイクルの抽出とトレンド要因の排除(ディトレンディング)
16:季節サイクル
17:サイクル分析と他のテクニカル手法の併用
18:サイクルとオシレーターの併用
19:要約と結論


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第13章 マネー・マネジメントとトレード戦略
1:初めに
2:商品先物取引成功の3要素
3:マネー・マネジメント
4:マネー・マネジメントの一般的ガイドライン
5:ポジションの金額
6:投資の分散と集中
7:プロテクティブ・ストップの使い方
8:リスクと期待収益の比率
9:トレンディング・ユニットとトレーディング・ユニットの使い分け
10:マネー・マネジメント : 保守的トレードと攻撃的トレード
11:成功や逆境が続いた後にすべきこと
12:マネー・マネジメントのむずかしさと重要性
13:マネー・マネジメント業界
14:トレーディング戦術
15:テクニカル分析とタイミングの決定
16:ブレイク・アウトの戦術 − 事前予測か、あるいは事後反応か
17:トレンド・ラインの突破
18:サポート、レジスタンスの利用
19:戻し率の利用
20:ギャップの利用
21:テクニカル概念の組合せ
22:テクニカル・ファクターとマネー・マネジメントの組合せ
23:トレーディング・オーダーの種類
24:日足チャートから日中プライス・チャートへ
25:Dunniganの“Thrust(突出)”法
26:日中ピボット・ポイント (pivot point : 中心点) の使用
27:マネー・マネジメントおよびトレーディングのガイドライン要約


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第14章 要約と統合 ーチェック・リスト
1:テクニカル・チェック・リスト
2:テクニカル分析とファンダメンタル分析の調和
3:テクニシャンとは何か
4:The Market Technicians Association (MTA)
5:テクニカル分析の世界的な広がり
6:テクニカル分析 : 株式と先物の関連
7:結論


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補論1 スプレッド取引とRelative Strength (相対的強弱度)
1:初めに
2:テクニカル分析のスプレッド・チャートへの応用
3:期近限月と期先限月との間のリラティブ・ストレングス
4:異なる市場間リラティブ・ストレングス
5:レイシオ分析
6:商品指標間でのリラティブ・ストレングス
7:株価指数先物と現物指数 : 短期間の市場心理を測る


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補論2 W.D.Gann : ジェオメトリック・アングルとパーセンテージ
1:初めに
2:ジェオメトリック・アングルとパーセンテージ
3:45度線の重要性
4:ジェオメトリック・ラインパーセンテージ・リトレイスメントの組合せ


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第1章 テクニカル分析の哲学
1:初めに

テクニカル分析の定義とは、主としてチャートにより市場の動きを研究し、将来の価格の方向性を予測することである。なお、市場の動きとは、価格・取引高・建玉の三つの情報を含んでおり、価格の動きだけでは狭義すぎる。

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2:哲学と論理

テクニカル分析の前提には、以下のABCの三つがある。

A:市場の動きは全てを織り込む。
価格に影響を与えるものは、ファンダメンタルな要素、政治的な要素、心理的な要素、その他様々な要素が全て価格に反映されている。したがって、価格の動きを研究することがすべてということになる。

B:価格の動きはトレンドを形成する。
価格はトレンドを形成する。この前提から、運動中のトレンドは反転するよりも継続する可能性の方が強いと推論できる(ニュートンの運動の第一法則の応用)。もう少し別の言い方をすると、トレンドは反転するまで同じ方向に継続する。

C:歴史は繰り返す。
チャート・パターンは、市場の強気と弱気を反映したものであり、人間心理の研究に基づいている。人間心理はいつも変わらず、歴史は繰り返す。将来を理解する鍵は過去を研究することであり、将来は過去の繰り返しである。

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3:テクニカル予測とファンダメンタル予測

ファンダメンタル分析は市場の動きの原因を研究し、テクニカル分析はその影響を研究する。テクニカル分析は、影響に興味を持ち、その影響を作った理由や原因には興味を持たない。

ファンダメンタル分析には欠点がある。市場に大きな動きがはじまったとき、ファンダメンタル分析では何が起こっているのか手がかりが得られない。市場価格は既知のファンダメンタルに先行するのである。言い換えると、市場価格の動きはファンダメンタルの先行指標である。市場価格は全てを織り込んでいくものであり、当然既知のファンダメンタルもそうである。価格は次の未知のファンダメンタルに反応しているのである。

テクニカル分析を用いる者は上記のことを熟知しており、ファンダメンタル的なものが市場価格と一致しない状況においても冷静であり、少数派であることを好む。いずれは、市場の動きの原因も万人の知るところとなる。

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4:テクニカル分析の柔軟性と適用性

テクニカル分析の強みの一つは、いかなる対象にも、また、いかなる局面においても適用することができるということである。そのため、テクニカル分析を用いる者は、数ある市場の中から、トレンド形成の高い市場にだけ投資をすることができる。

また、テクニカル分析は様々な市場分野を研究できるので、近視眼的見方を避けることができる。

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5:テクニカル分析が適用できる取引対象

テクニカル分析は当初、株式市場で使用されていた。だが、現在では株式と商品の両方において使用されている。

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6:テクニカル分析が適用できるトレード期間

テクニカル分析は、様々な時間単位に適用できる。短期取引はテクニカル分析、長期取引はファンダメンタル分析といった考え方は誤りである。

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7:経済的予測

株式指数は政府が発表する景気先行指数に採用されている場合が多い。したがって、これらの指数をテクニカルに分析することにより、意識しようとしまいと経済分析を行っていることになる。

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8:テクニシャンかチャーティストか

テクニカル分析を行う者には、大きく分けてテクニシャンとチャーティストがある。

チャーティスト:チャートをメインに使用する
テクニシャン:コンピューターを使いシステムなどを作り買いや売りを判断する

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9:テクニカル分析に対する批判 予測の自己実現性

チャート・パターンに対する弱点を論じた教科書に以下のようなものがある。

a:チャート・パターンの有用性が広く知られ、多くのトレーダーがこれらのパターンに精通し、そのパターンに従い同時に行動するようになった。この結果、自己実現的な予測が生まれる。

b:チャート・パターンは主観的なものであり、見る人の心の中にあるものである。

aとbは矛盾している。チャート・パターンが主観的なものであれば、誰もが同じパターンを見ることはなく同じときに同じ行動をとることはできない。

実際的に、チャート・パターンは主観的なものである。また、誰もが同じパターンを見たとしても、誰もが同じ時に同じ行動を起こすとは限らず、ある人はパターンが完成する前に市場に参加し、ある人はパターンが完成したあとに戻りを待って参加したりする。

また、強気相場や弱気相場は需要と供給の法則によって正当化されてはじめて生まれ、維持されるものだということを忘れてはならない。テクニカル分析に基づく売買だけで、市場に大きな動きを引き起こすことは不可能である。

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10:テクニカル分析に対する批判 将来の予測における過去の有効性

過去をもって将来の価格を予測することができるのだろうかという疑問がよくある。しかし、天気予報やファンダメンタル分析など、あらゆる予測方法は過去のデータの研究に基づいている。

統計学の分野では記述的統計と帰納的統計とを分けている。記述的統計とは、データを図表で表すことをいい、帰納的統計とは、データから推論される普遍的事実や予測・推定等をさす。つまり、チャートなどは記述的統計、テクニシャンが行う分析は帰納的統計である。

統計学の教科書には、ビジネスや経済の将来を予測する第一歩は過去の観察の結果を集めてくることにあると書かれている。

したがって、テクニカル分析において将来の予言を行うのに過去の価格を用いるのは、健全な統計学の概念に根ざしている。

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第2章 ダウ理論
1:初めに

今日のテクニカル分析の多くは、なんらかの形でダウ理論に影響を受けており、ダウ理論こそテクニカル分析の元祖と考えられている。

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2:基本法則

ダウ理論には以下の六つの基本法則がある。

A:平均はすべての事象を織り込む

需要と供給に影響を及ぼすすべての要因は、市場平均に反映されている。すべての要因とは、マーケットが予測できないことも含まれる。

B:トレンドには3種類ある

ダウの定義によると、連続する高値、安値のおのおのがその前の高値、安値より上である限り、アップ・トレンドが存在するとしている。ダウン・トレンドはアップ・トレンドの逆である。これが、トレンドの基本的な定義であり、すべてのトレンド解析のスタートとなる。

そして、ダウはトレンドを以下の3種類に分類している。

主要トレンド:海の潮に相当する。通常1年以上、ときには数年間続くトレンドである。最も重要なトレンドである。

二次的トレンド:潮によって作られた波に相当する。主要トレンドの調整局面であり、通常3週間から3ヶ月間継続する。調整は、通常前段階のトレンドの1/3から2/3の戻しとなり、しばしば1/2に及ぶこともある。

小トレンド:波の波紋に相当する。二次的トレンドの調整局面であり、通常3週間未満の継続となる。

C:主要トレンドは3段階からなる

主要トレンドは、以下の3段階からなる。

第1段階:買い集めの段階。悪材料はマーケットにすべて織り込まれたと考える先行型の投資家による買いに代表される。

第2段階:景気が改善するなかでトレンド・フォロアーの多数が市場に参加し、プライスが急激に上伸する段階。

第3段階:トレンドの最終段階。一般投資家の参加が増え、新聞テレビのニュースも強気に傾き、思惑的な出来高も増え始める。第1段階で買い集めていた投資家が、利食い売りを始める段階でもある。

D:平均は相互に確認されなければならない

ダウは工業平均と鉄道平均に言及して、両方が同じシグナルを示さない限り、本格的なブル・マーケットまたはベア・マーケットのシグナルとはいえないとしている。シグナルの発生は同時である必要はないが、接近していればいるほどよい。

逆に、エリオット・ウェーブ理論では、ダウの考えとは逆に、ただ一つの平均からシグナルがあればよいとされている。

E:トレンドは出来高でも確認されなければならない

シグナルを確認するのに2番目に重要な要素は、出来高である。この出来高は、長期トレンドの方向に即して増減する。つまり、上昇トレンドであれば価格が上昇するときに出来高が増え、下落するときに出来高が減る。逆に、下落トレンドであれば価格が下落するときに出来高が増え、上昇するときに出来高が減る。

ただし、出来高はあくまでも二次的指標であり、一番重要なのは終値である。

F:トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する

活動中のトレンドはそのまま活動を続けようとする。通常、確率的にはトレンドは継続するものと思ってよい。しかし、トレンドもいつかは終わりがくるが、今までのトレンドの二次的調整なのか、新しいトレンドの端緒なのかを区別することは難しい。図2-3と図2-4を参照。

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3:終値の利用とラインの形態

ダウ理論においては、終値が重要であり、日中の取引で一時的につけた価格は有効とされていない。また、ラインという場合、チャート上に現れる水平なトレーディング・バンドを意味する(横ばいトレンドのこと)。これは、通常コンソリデイションと呼ばれる段階であるが、相場の天井や底でも発生することがある。現代的には、レクタングル(長方形)とも呼ぶ。

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4:ダウ理論に対する批判

ダウ理論に対しては、シグナル発生が遅すぎるという批判がある。通常ダウ理論では、上昇トレンドの第2段階で、前回のピークが突き破られるときに買いシグナルを出すが、平均して20%前後の確立でシグナルが出るまでに動きを逃してしまう。

だが、ダウ理論の目的はトレンドを予測するものではなく、主要なベア・マーケットまたはブル・マーケットの出現を知らせることにあるということを忘れてはならない。


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表2-1 ダウ理論による3種類のトレンド
トレンド名 例え 通常の継続期間 説明
主要トレンド 1年以上 最も重要なトレンドである。3段階からなる。
二次的トレンド 3週間から3ヵ月 主要トレンドの調整局面である。
小トレンド 波紋 3週間未満 二次的トレンドの調整局面である。

表2-2 出来高は長期トレンドの方向に即して増減する
トレンド 価格 出来高
上昇トレンド 上昇(下落) 増える(減る)
下落トレンド 下落(上昇) 増える(減る)





第3章 トレンドの概念
1:定義

一般的に、トレンドとは単にマーケットの動く方向を意味する。だが、実際的にはマーケットはどの方向に動く場合でも、直線的に動くことはなく、ジグザグに動く。ジグザグは、山と谷を持っており、この山と谷の形成する方向が、トレンドである。

上昇トレンドではより高くなっていく山と谷、下落トレンドではより低くなっていく山と谷によって、形成される。また、水平な山と谷の場合は、横ばいトレンドである。図3-1を参照。

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2:トレンドには三つの方向がある

トレンドには、上昇トレンド、下降トレンド、横ばいトレンド(ダウ理論ではラインのこと)の三つがある。横ばいトレンドとは、プライス・レベルが均衡して、需要と供給のバランスがとれた状態のことである。トレーダーは、上昇トレンドでは買い、下降トレンドでは売り、横ばいトレンドでは何もしないという選択肢が賢明である。

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3:トレンドには3分類ある

トレンドは上昇・下降・横ばいという三つの方向に加えて、通常さらに、主要トレンド・二次的トレンド・小トレンド(長期・中期・短期)の三つのカテゴリーで分類される。

各トレンドはより大きなトレンドの一部をなす。つまり、二次的トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次的トレンドの調整局面である。

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4:サポートとレジスタンス

価格は、山と谷を繰り返しながら動く。そして、山と谷の方向が、マーケットのトレンドを決定する。この山と谷にはサポートとレジスタンスがある。

サポートは前回の安値、レジスタンスは前回の高値である。上昇トレンドにおいては、レジスタンス・レベルで価格は一時的に下がり、その後通常は、またそのレベルを超えて上昇する。下降トレンドにおいては、サポート・レベルで価格は一時的に上がり、その後通常は、またそのレベルを超えて下降する。

サポートとレジスタンスは重要な意味を持つ。上昇トレンドで前回のレジスタンス・レベルを抜けられなかったとき、下降トレンドで前回のサポート・レベルを破れなかったとき、それらは通常、トレンド転換の最初のシグナルである。ダブル・トップやダブル・ボトムが典型的な例である。

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5:サポートとレジスタンスの逆転

サポートとレジスタンスは、一度決定的に破られると、役割が逆転する。つまり、サポートはレジスタンスになり、レジスタンスはサポートとなる。

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6:サポートとレジスタンスの心理的背景

例えば、そして、マーケットがサポート・レベルでもみあった後、上昇したとする。ここで、マーケット参加者を、買った人、売った人、ポジションを持っていない人の三つに分類する。

このような場合、サポート・レベルで買った人は価格上昇に喜ぶが、もっと買っておけばよかったと後悔する。そして、サポート・レベルまで価格が下げれば買い増しをする。逆に、売った人は自分が間違っていたと考え、サポート・レベルまで価格が下がることを望み下がれば買い戻すだろう。そして、ポジションを持っていない人は、二つに分類できる。ポジションを持っていなかった人と、なんらかの理由ですでにサポート付近で以前に買ったが売ってしまった人である。両者とも、価格上昇を見て、サポート・レベルまで下がってくれれば買うだろう。

つまり、四つに分類した全ての人たちが、サポート・レベルでの買い意欲を持っていることになる。そして、当然、サポート・レベルまで価格が下落すれば、この人たちの買いにより、価格が上昇することになる。

価格が下落した場合については、上昇した場合と逆のことが起こる。表3-2を参照。

サポートについて、重要な点が三つある。一つ目は、、サポート・レベルでの取引量であり、取引量が多ければ多いほど、強固なものとなる(市場へ参入しようとの意欲を持つ人の数が多いことを意味する)。二つ目は、取引されていた時間であり、取引時間が長ければ長いほど、強固なものとなる。三つ目は、サポート・レベルでの取引がどれぐらい最近行われていたかということである。取引が直近のものであればあるほど、強固なものとなる。

このようにチャート分析は、人間心理を分析するという側面を持ち、サポートやレジスタンスには市場参加者の心理的要因が絡んでいる。

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7:サポートとレジスタンスの逆転が起きるブレイクの程度

サポートは決定的にブレイクされると、レジスタンスになる。同様に、レジスタンスは決定的にブレイクされると、サポートになる。

決定的にブレイクされるとは、個人によりかなり主観的要因がからんでくるが、いくつかの基準がある。その一つが、10%ルールであり、価格がサポート・レベルやレジスタンス・レベルから10%乖離したら、ブレイクとみなす。また、他にも3%ルールや、5%ルールを使う人もいる。

重要なのが、価格がサポート・レベルやレジスタンス・レベルから離れれば離れるほど、役割の逆転の意味が増すということである。なぜなら、価格が離れれば離れるほど、間違ったポジションを持った参加者が自らの間違いを確信するからである。

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8:切りのよい数字の重要性

10、20、25、50、75、100および100の倍数といった切りのよい数字は、価格上昇や価格下降を止めるところとなりやすい。このような切りのよい数字は、心理的サポートやレジスタンスとして機能する。

これを利用して、切りのよい数字に価格が接近する前に利食いのタイミングをつかむことができる。だが、マーケットのこの性質は誰もが知るところとなっているので、切りのよい数字付近では価格が急に上伸したり下降することもよくある。

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9:トレンド・ライン

トレンド・ラインとは、上昇トレンドであれば右上がりに安値と安値を結んでいった線のことであり、下降トレンドであれば右下がりに高値と高値を結んでいった線のことである。

トレンド・ラインはチャーティストが使うテクニカル・ツールの中で、最も単純でありながら、最も有効なものである。

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10:トレンド・ラインを引く

トレンド・ラインを引くことは一種の技能であり、正しいトレンド・ラインを見つけるには、何回も試す必要がある。また、正しく引かれたようにみえても、引き直さなければならないこともある。

正しいトレンド・ラインを引くためには、まずトレンドが存在しなければならない。また少なくとも、二つの谷または二つの山がなければならない。この二つの要素がなければトレンド・ラインを引くことはできない。

チャーティストの中には、次のような基準を設けている人もいる。図3-9で、二つ目の安値の次、ポイント4はポイント2を超えていなければならない。またそうでもなくとも、ポイント2からポイント3にかけての波の半値戻し、またはポイント2の高値に近いところまで価格が上昇することという人もいる。つまり、これらの基準を持つ人は、谷の安値と信じるに足る状況証拠を持ちたいということである。

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11:仮のトレンド・ライン対有効なトレンド・ライン

トレンド・ラインを引いてもそれが実際機能して有効なものかどうかは、少なくとも3回テストされなければならない。またテストされた回数が多いほどトレンド・ラインの有効性は高くなる。

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12:トレンド・ラインをどう使うか

3回テストされ有効性が確認されたトレンド・ラインは非常に役に立つ。上昇トレンドであればトレンド・ライン付近の安値は買い場となるし、下降トレンドであればトレンド・ライン付近の高値は売り場となる。

このようにトレンド・ラインはそれがブレイクされない限りは、買い場と売り場とを決定するために用いることができる。

だが、トレンド・ラインがブレイクされた場合は、今までのトレンドに沿ったポジションを手仕舞うことが必要となる。トレンド・ラインのブレイクは、トレンド転換を最も早く知らせるものの一つである。

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13:トレンド・ラインの重要度をどう見きわめるか

トレンド・ラインの重要度は、そのトレンド・ラインがどれぐらい長期間続いたのかということ、何回テストされたのかということの二つにより決まる。

トレンド・ラインが重要なものであればあるほど信頼性は増す。また、信頼性の高いトレンド・ラインがブレイクされたときも見逃せないものとなる。

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14:トレンド・ラインにはすべての価格の動きを含める

バー・チャート(ローソク足に似ている)におけるトレンド・ラインは、日中の値幅の上か下に引かれなくてはならない(終値だけでトレンド・ラインを引く人もいるが、一般的ではない)。日中の値動きの幅をすべて含めることは、すべての価格の動きを検討することであり、この方が一般的である。

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15:一時的なブレイクをどうみればよいか

日中のある時点で一時的にトレンド・ラインがブレイクされ、終値ではトレンド・ラインに乗っているということがある。トレンド・ラインを新たに引きなおすべきか、今までのトレンド・ラインを継続するか迷うことがある。

このような場合、どうすればいいか決定的な答えはない。小さなブレイクであれば無視した方がよい場合もあるし、予備的に新しくトレンド・ラインを引きチェックしたほうがよい場合もある。

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16:トレンドを決定的にブレイクするとは

一般的に、終値でトレンド・ラインがブレイクされたときが重要である。だが、1日とかほんの少しトレンド・ラインがブレイクされたのを見て、トレンド・ラインがブレイクされたと思うのは危険であり、だましに注意しなければならない。

だましを見きわめるためにはフィルターを使うのがよい。例えば、終値で3%はブレイクされたのを見て有効なブレイクと判断するプライス・フィルターとか、二日連続してブレイクされたのを見て有効なブレイクと判断するタイム・フィルターなどがある。

このフィルターは、価格が小さすぎたり期間が短すぎるとだましを取り除けない。逆に価格が大きすぎたり期間が長すぎると転換のサインを見落とすことになる。そのため、各自が個別にマーケットの特性を斟酌し、有効なフィルターを判断しなければならない。

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17:トレンド・ラインの役割り逆転

サポート・レベルやレジスタンス・レベルと同様、トレンド・ラインもいったんブレイクされると役割りが逆転する。

つまり、上昇トレンド・ラインはブレイクされると、レジスタンス・ラインに変わる。下降トレンド・ラインはブレイクされると、サポート・ラインに変わる。

そのため、トレンド・ラインはブレイクされても、そのまま延長して伸ばしておいたほうがよい。

ブレイクされたトレンド・ラインが逆の役割りをもって機能する確立は高い。

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18:トレンド・ラインの副次効果

トレンド・ラインは目標価格を決めるのにも有効である。トレンド・ラインがブレイクされると、価格は通常トレンド・ラインの反対側にラインとの垂直距離でみて同距離だけ動く。

例えば、上昇トレンドのなかでラインから垂直に測って100上に価格が上昇していた場合、トレンド転換後はラインから下に100価格が下落すると予想できる。

この考えは、ヘッド・アンド・ショルダーの目標価格の考え方と似ている。

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19:ファン理論

ファン理論とは右図3-15のように、何本か引かれたトレンド・ラインが徐々に水平になっていく形が扇ににていることから生まれたついた名前である。

右図3-15のように、トレンド・ライン1がブレイクされた後、価格は反発しているがトレンド・ライン1がレジスタンス・ラインとなり押し戻され、トレンド・ライン2もブレイクされている。トレンド・ライン2のブレイク後、価格は反発しているが、トレンド・ライン2に押し戻されトレンド・ライン3もブレイクされている。この3番目のトレンド・ラインがブレイクされると通常価格はさらに一段の下落に向かうとされ、トレンド転換を示すものとなる。

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20:“3”という数字の重要性

テクニカル分析全般において、3という数字は重要な意味合いを持つことが多い。例えば、ファン理論の3本のラインやヘッド・アンド・ショルダーなど様々ある。

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21:トレンド・ラインの傾斜度

重要なトレンド・ラインは、45度の角度で描かれることが多い。図3-17を参照。

その為、チャーティストの中には顕著なピークやボトムから単に45度の線を引き、これをトレンド・ラインとする人もいる。

この45度の傾きというのは、W.D.Gann好みのテクニックの一つで、プライスが時間と完全に均衡を維持しつつ、上昇あるいは下落する状況である。

45度の傾きよりも急なトレンド・ラインはプライスの変化が激しすぎるため通常維持することができず、ラインがブレイクされた場合は45度ラインへ修正される場合がある。また逆に、45度の傾きよりもなだらかなトレンド・ラインは弱すぎるためトレンドの存在自体が疑わしいということもある。

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22:トレンド・ラインの修正

トレンド・ラインが修正される場合がある。例えば、急角度のトレンド・ラインが破られてよりより緩やかなラインになる場合もあるし、ゆるやかなトレンド・ラインが急な角度のラインになる場合もある。

ただし、トレンド・ラインが引き直された場合でも、前のトレンド・ラインは引き続き見ておいたほうが良い。将来的に、再び機能することもあるからである。

上昇トレンドにおいては、いくつかのトレンド・ラインがだんだんと急な角度で引かれることがままある。そういった場合には、カービング・トレンド・ライン(非直線的・トレンド・ライン)を用いるべきだとい人もいる。また、そういった場合にはトレンド・ラインよりも移動平均線を用いるほうがよい場合もある。

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23:チャネル・ライン

チャネル・ラインとは、上昇トレンドの場合、安値沿いにトレンド・ラインを引き、次に初めの高値からトレンド・ラインと平行に線を引いたもののことである。次のラリーで、このチャネル・ラインが価格の上限となっていればチャネルの存在が確認でき、価格がまたもとのトレンド・ラインに戻り反発すればチャネルの存在は確かなものとなる。下降トレンドの場合は逆である。

価格は往々にしてこの2本の平行線の間を動くことが多い。上昇トレンドの場合、トレンド・ラインで買い、チャネル・ラインで短期的な利食い売りをするというために使うことができる。

チャネル・ラインはトレンド・ラインの場合と同じく、保たれている期間が長く、テストされた回数が多いほど信頼性が増す。

チャネル・ラインには上記の場合とは別の利用法がある。上昇トレンドの場合、価格がチャネル・ラインを突き抜けたとき、現行トレンドが加速されていることを意味する。この場合、新たにできたチャネル・ラインと平行に新しいトレンド・ラインを引きなおすことができる。

逆に、価格がチャネル・ラインの上限に到達できずに下落した場合、現在のトレンドが転換しつつあるとの早期の警告と考えられ、トレンド・ラインがブレイクされる可能性がある。この場合、新たにできたトレンド・ラインと平行に新しいチャネル・ラインを引きなおすことができる。

上記の場合、価格は、前のチャネル・ラインの幅と同じ距離を動く場合が多い。

下降トレンドの場合は、上昇トレンドとは逆である。

ただし、チャネル・ラインはトレンド・ラインからできた副次的なものであるということは忘れてはならない。最も重要なのはトレンド・ラインである。

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24:価格の戻りの割合

相場が特定の方向に動いたあとには、価格は通常わずかばかり逆の方向に戻り、また元のトレンドに沿った動きをする。この逆方向への戻りの度合いは、おおむね特定の割合になることが多い。

有名なのが、半値戻し(1/2戻し)である。上昇トレンドであれば、株価が100から200にあがったとき上昇幅の半分の150まで価格が戻し、その後また上昇トレンドに戻ることである。

この戻しの考え方は、主要トレンド、二次的トレンド、小トレンドのいずれにも当てはまる。

半値戻し以外にも、1/3戻し(33%戻し)や2/3戻し(66%戻し)というのがある。戻し率はダウ理論からきている。テクニシャンによると、きりのいい40%戻しや60%戻しとしているものもいる。

これらのことを総合すると、戻しの割合は、最小で1/3(33%)、最大で2/3(66%)である。トレンドが継続するためには2/3地点で止まらなければならない。止まればこの地点が、上昇トレンドでは買い、下降トレンドでは売りの比較的安全な地帯となる。もしこれを超えるとトレンド転換と受け止めたほうが良く、ブレイクされたトレンドの全値幅を戻すこととなる。

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25:スピード・レジスタンス・ライン

トレンド・ラインと戻しの考え方を統合したものに、スピード・レジスタンス・ライン(またはスピード・ライン)というものがある。これは、上昇トレンドであれば、現行のトレンドの最高値から、トレンドの開始時の最安値と同じレベルまで垂線を引き、その垂線を3等分する。そして、トレンド開始時の最安値から3等分した2点にトレンド・ラインを引く。そして、上昇トレンドが新高値を更新するごとに垂線を引きなおし同じことをする。下降トレンドの場合は、逆である。

スピード・ラインの特徴は山や谷に対して引かれるのではなく、プライスの動きに対して引かれる。この部分が普通のトレンド・ラインとは異なる。このスピード・ラインの特徴は、1/3戻し、2/3戻しの考え方と同じである。

使い方は、上昇トレンドの調整では、上のラインで止まるのが普通だが、下のラインまでいくこともある。もし、下のラインを割るとトレンド開始レベルまで価格は戻ることとなる。下降トレンドの場合は逆である。

また、スピード・ラインは他のトレンド・ラインと同じように、ブレイクされてしまうと役割りが逆転する。つまり、サポートはレジスタンスに、レジスタンスはサポートに変わる。

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26:リバーサル・デー

リバーサル・デーとは、反転する日のことである。これは、マーケットの天井あるいは大底で出現する。時には1日だけではなく2日間の取引でリバーサルとすることもある。以下のような種類のものがある。

トップ・リバーサル・デー:上昇トレンドのなかで新高値をつけた日に、安値引けとなる状況のことである。新高値は通常取引開始時あたりであり、前日の終値よりも低い値で取引終了となるような場合である。

ボトム・リバーサル・デー:下降トレンドのなかで新安値をつけた日に、高値引けとなる状況のことである。トップ・リバーサル・デーの逆である。ボトム・リバーサル・デーはセリング・クライマックスと呼ばれることもある。セリング・クライマックスとは、マーケットに残っていた大量のロング・ポジションがすべてあぶり出され、その結果、取引量もかなりのものとなる。その後、売り圧力が消え価格は反転上昇していく。下降トレンドのなかで相当の安値が確認されたことになる。

リバーサル・デーは、その日の値幅が広く、取引量が多ければ多いほど、トレンド転換の可能性を示すサインとして重要になる。また、リバーサル・デーの必要条件ではないが、前日の値幅を超える、いわゆるアウトサイド・デーを形成している場合はさらに重要性が増す(必要条件ではない)。

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27:キー・リバーサル・デー

キー・リバーサル・デーとは、重要なトレンドの転換点となるものである。だが、その事実は実際に価格が今までのトレンドとまったく逆の動きを見せたあとになって初めて事後的にわかるものである。

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28:トゥー・デー・リバーサル

相場が反転するのに、1日だけではなく2日かかることがある。これを、トゥー・デー・リバーサルという。

たとえば、上昇トレンドのなかで、価格が高値を更新し高値引けをしたが、その次の日には同じレベルで始まり前日の安値レベルでクローズするような場合のことである。下降トレンドの場合は逆である。

2日間の値幅と取引量が大きければ大きいほど重要性は増す。

リバーサル・デーは、単独でみるよりも総合的に見たほうがよい。主要な転換点ではリバーサル・デーが見られることが多いが、それは通常より大きなチャート・パターンの一部であることが多い。例えば、ヘッド・アンド・ショルダーのヘッドの頂点部分は一種のリバーサル・デーといえるが、リバーサル・デー単独でトレンド転換を引き起こしているわけではない。

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29:ウィークリーおよびマンスリー・リバーサル

リバーサル・パターンは、日次チャート、週次チャート、月次チャートなどどのチャートにも現れる。重要性は、月次チャート、週次チャート、日次チャートの順に高い。月次チャートで見られるリバーサル・パターンが一番重要である。

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30:プライス・ギャップ

プライス・ギャップとはチャート上で取引のない空間のことである。上昇トレンドであれば、始値が前日の高値より上で、かつ、その空間が当日中に埋められなかった場合のギャップのことである。下降トレンドでは逆である。

上方へのギャップは強気であり、下方へのギャップは弱気である。

ギャップは、日足チャートでよく見られるが、週足チャートや月足チャートでも見ることができる(ただし、基本的にギャップは日足チャートにおいてよく見られるもので、ここでのギャップについての説明も基本的に日足チャートにおいてのものである。)。週足や月足チャートで見るギャップは日足チャートで見るギャップよりも重要である。

「ギャップは必ず埋められる」とよく言われるが、真実ではない。ギャップには種類があり、種類により扱い方が異なる。

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31:4種類のギャップ

ギャップには以下の4種類がある。

A:Common Gap
相場が閑散としているときや横ばいレンジにあるときに見られるギャップのことで、重要性の低いギャップである。たいていのチャーティストはこのギャップを無視する。

B:Breakaway Gap
相場が大きな動きを始めるときに見られるギャップのことで、重要性の高いギャップである。相場の頂点からの下落、大底からの上昇などでよく見られる。また、主要トレンド・ラインのブレイクの際にもよく見られる。

このギャップは、通常取引量を伴って出現する。また、このギャップは埋められることはない(ギャップの上限まで戻ったり、一部を埋められることはある)。もし、全部埋められたとするとこのギャップの持つ転換のサインは誤りであった可能性が高くなる。ギャップの上側はサポート、下側はレジスタンスになることが多い。

C:Runaway あるいは Measuring Gap
相場がすでに一定の方向に動いている時、途中で価格が急に跳んでギャップを作ることがある。これを、Runaway GapまたはMeasuring Gapという。

このギャップは、ほどほどの取引量で相場が無理なく動いている場合に現れる。上昇トレンドであれば相場の基調の強さを示し、下降トレンドであれば弱さを示す。また、Breakaway Gapと同様に、調整局面ではサポートやレジスタンス的役割りになる場合が多い(ギャップが埋められた場合はトレンド転換の兆候を示す)。

またこのギャップは、Measuring Gapとも言われるが、それは相場の中間点でよく見られるからである。トレンド開始時からこのギャップまでの距離を測り、その距離を倍にすると、残りの相場の動きを予測することができる。

D:Exhaustion Gap
このギャップは相場の最終段階で現れる。Breakaway GapとRunaway Gapが現れた後になると、Exhaustion Gapの出現が予測できる。

上昇トレンドの終わり付近で、価格が最後のあえぎのように大きくはねるも、すぐに勢いを失い、数日または数週間で下方へと動きを転じる。価格がExhaustion Gapよりも下のレベルでクローズした時には、今までとはまったく逆のトレンドの開始を意味する(逆のトレンドにとってのBreakaway Gapである場合が多い)。

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32:アイランド・リバーサル

上昇時のExhaustion Gapが形成された後、価格が下方に転じる前に、数日あるいは数週間、狭いレンジのなかで動き、その後、下方へのBreakaway Gapが出現することがある。この狭いレンジの部分を、海に囲まれた島のように見えることから、アイランド・リバーサルという。

アイランド・リバーサルは、相場がかなりの高確率で反転することを意味する。ただし、トレンドのなかで価格が相対的にどこにあるかによって決まってくる。

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33:イントラ・デー・プライス・ギャップ

ギャップは、日足チャートにおいてよく見られるものだが、それよりさらに時間間隔の短い分足チャートにおいても確認することもできる。このような隠れたギャップも、日足チャートにおいてのギャップと同様の意味合いを持つ。

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34:要約

この章での説明は、後の章においての基礎である。十分に理解しておかなければならない。

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表 3-1 サポートとレジスタンス
名前 説明
サポート 前回の安値 強い買い圧力が存在する価格水準。
レジスタンス 前回の高値 強い売り圧力が存在する価格水準。









表 3-2 サポートの心理
サポート・レベルで 価格がサポート・レベルから
上昇した場合 下落した場合
買った人 買い意欲 売り意欲
売った人 買戻し 売り増し
ポジションを持ってない人 買い意欲 売り意欲

表 3-3 サポートにおいて重要な3点
1 取引量 多ければ多いほど強固なものとなる
2 取引時間 長ければ長いほど強固なものとなる
3 取引がどれぐらい最近行われていたか 直近であればあるほど強固なものとなる

表 3-4 トレンド・ライン
上昇トレンド 下降トレンド
説明 右上がりに安値と安値を結んだ線のこと。 右下がりに高値と高値を結んだ線のこと。
必要要件 トレンドが存在すること。二つの谷があること。 トレンドが存在すること。二つの山があること。
判定 少なくとも3回テストされなければならない。つまり、三つ目の谷が必要である。 少なくとも3回テストされなければならない。三つ目の山が必要である。
重要度 そのトレンド・ラインがどれぐらい長期間続いたのかということ、何回テストされたのかということの二つにより決まる。
使い方(ブレイクされていないとき) トレンド・ライン付近の安値は買い場となる。 トレンド・ライン付近の高値は売り場となる。
使い方(ブレイクされたとき) トレンド・ラインがブレイクされたときは、トレンドが転換したと考え、トレンドに沿ったポジションを手仕舞う時となる。 トレンド・ラインがブレイクされたときは、トレンドが転換したと考え、トレンドに沿ったポジションを手仕舞う時となる。
ブレイクされたトレンド・ラインは逆の役割りをもって機能する。その為、ブレイクされてもトレンド・ラインは延長して伸ばすとよい。
ブレイクされた場合、価格は通常トレンド・ラインの反対側にラインとの垂直距離でみて同距離だけ動く。
フィルター だましを取り除くためには、フィルターを用いることが重要である。
フィルターの種類 プライス・フィルター:主に長期トレンドのブレイクの判断に用いられるもので、トレンド・ラインからブレイクされた価格に注目するものである。3%ルールなどがある。

タイム・フィルター:終値がトレンド・ラインからブレイクされた日数に注目するものである。2日ルールなどがある。

3%ルールと2日ルールは、トレンド・ラインだけではなく、サポート・レベルやレジスタンス・レベルのブレイクを判断するのにも適用可能である。





















表 3-5 3という数字に関係するもの
ファン理論 3本のライン
ダウ理論 3種類のトレンド
トリプル・トップやトリプル・ボトム
ヘッド・アンド・ショルダーや逆ヘッド・アンド・ショルダー
3つの天井や底
トライアングル・パターン アセンディング、ディセンディング、シンメトリカル
相場の方向 上昇トレンド、下降トレンド、横ばい
市場の基本要素 価格、取引量、建玉















表 3-6 価格の戻しの割合
名前 パーセント 説明
最小 1/3戻し 33%戻し 戻しが止まれば、元のトレンドを継続する。上昇トレンドであれば買い、下降トレンドであれば売り。

2/3戻し地点が比較的安全な地帯となる。
1/2戻し 50%戻し
最大 2/3戻し 66%戻し
2/3を超える戻し 66%を超える戻し トレンド転換を意味し、全値幅を戻す。











表 3-7 4種類のギャップ
名前 重要度 ギャップは埋められるか トレンドとの関係 説明
Common Gap 低い - - 相場が閑散としているときや横ばいレンジにあるときに見られる
Breakaway Gap 高い 埋められない 開始 相場の頂点からの下落、大底からの上昇などでよく見られる
Runaway Gap
(Measuring Gap)
高い 埋められない 継続 相場の中間地点で見られる
Exhaustion Gap 高い 埋められる 転換 相場の最終段階で見られる

第4章 主要なリバーサル・パターンの研究
1:初めに

本章では、チャート・パターンについて見ていくが、これらのパターンも第3章までの概念に基づいたものである。

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2:プライス・パターン

プライス・パターンとは、チャート上に現れる絵のようなものである。

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3:パターンの二タイプ 反転と継続

プライス・パターンには大きく分けて、反転と継続の二つのタイプがある。反転パターンはそれまでのトレンドとは別のトレンドが起こることを示し、継続パターンはそれまでのトレンドの調整でありまた再びトレンドが再開されることを示す。

重要なのは、パターン形成のできる限り初期の段階でこの二つのタイプを区別することである。

反転パターンには、ヘッド・アンド・ショルダー、トリプル・トップ、ダブル・トップ、スパイク・トップ、ラウンディング・パターンなどがある。継続パターンは、トライアングル、フラッグ、ペナント、ウェッジ、レクタングルなどがある。

パターンを見るとき、価格だけではなく取引高も重要な要素となる。

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4:すべての反転パターンに共通の予備知識

反転パターンには以下のAからEまでの共通点がある。

A:トレンドの必要性
トレンドがあらかじめなければ反転のしようがない。もし、反転パターンに似た絵がチャート上に現れても、トレンドが存在しなければ反転とは無関係である。

B:重大なトレンド・ラインのブレイク
トレンド反転の最初のサインは、重要なトレンド・ラインのブレイクである。ただし、ブレイクが必ず反転につながるとは限らず、横ばいトレンドの始まりになる場合もある。

C:パターンが大きいほど、影響も大きい
プライス・パターンの上下幅(価格幅)と横幅(期間)が大きいほど、パターンの重要性は増す。つまり、反転後の変化も大きくなると予測できる。

D:底と天井との違い
天井パターンは価格幅が大きいが形成に要する期間は短い。底パターンは価格幅は小さいが形成に要する期間は長い。

底を確認し取引を行うほうが、たやすくてコストがかからない。だが、価格の動きは上昇するよりも下落するほうが速いため、弱気相場でショートにするほうが早く利益を獲得できる。

E:出来高は上昇時ほど重要である

天井と底においてパターンの形成に関する出来高は違う。天井において反転パターンが完成するとき、出来高はさほど重要ではない。天井からの下落において、市場は自らの重さと重力の法則によるかのように下落していくため、出来高は増えないこともある。

底からの上昇において、出来高は重要である。もし、価格が上昇するときに出来高が増加しなければ、そのプライス・パターンの信頼性は低いと言える。

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5:ヘッド・アンド・ショルダー型の反転パターン

主要な反転パターンの形に、ヘッド・アンド・ショルダーがある。その他の反転パターンは、このヘッド・アンド・ショルダーの派生である。

図4-1にあるように、ヘッド・アンド・ショルダーは、左肩、頭、右肩からなる。A点とそこからの調整のB点までは通常のトレンドと同じである。だが、C点の頭部分へのラリーにおいて、取引高が前のA点までのラリーのときよりも若干少なくなっている(上昇圧力が減少している)。そして、D点へ価格が下落していくが、この時に前の天井であったA点を下回り(通常、上昇トレンドにおいて前の天井は調整局面においてサポートの役割りを果たす。)、前回安値のB点付近まで下落する。次に、D点からE点までラリーするが、取引高は比較的少量で、前回高値のC点を超えることができずに再び下落してしまう(E点までのラリーは、通常、C点からD点までの半値戻しか2/3戻しである場合が多い)。

ここまでにおいて、重要なことが二つある。一つ目は、今までの上昇トレンド・ラインがブレイクされたこと。二つ目は、前回高値を上回ることができなかったということ。この二つにより、上昇トレンドが崩れた可能性が高いということがわかる。

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6:ネック・ラインの割込みとパターンの完成

直近の最安値であるB点とD点を結んだ線をネック・ラインという。この線は、通常、やや上向きとなっている場合が多い(水平の場合や下向きの場合もある)。

このネック・ラインを終値ベースで明白に割り込むことで、山と谷がともに下降していくことになり、ヘッド・アンド・ショルダーが完成する。取引高は、通常、ネック・ラインを割り込むときに増加する(下降局面での取引高の急増は天井の初期段階では重大なものではない)

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7:反転の動き

ヘッド・アンド・ショルダーの完成後(ネック・ラインを割ってから)、反転の動きが起こる場合が多い。この反転は、前回の安値のD点付近までであったり、ネック・ラインを右に延長したものまでであったりする。

ただし、反転は必ず起こるということではないし、起こったとしても極小さな戻しであることもある。反転が起こる可能性は、ヘッド・アンド・ショルダーが完成するとき(ネック・ラインを割るとき)の取引高からわかることが多い。つまり、ネック・ラインを割るときに大きな取引高を伴っていた場合(下降トレンドへの圧力が強い場合)は反転の可能性は弱まるし、少ない取引高だった場合は反転の可能性が高い。

また、反転時の取引高は、通常少ない。そして、新たな下降トレンド再開のときに取引高は増加する。

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8:要約

ヘッド・アンド・ショルダーには、三つの明確な天井がある。ヘッド・アンド・ショルダーの完成は、終値ベースでネック・ラインを割ることにあるが、念のためフィルターを用いたほうがよい。例えば、二日連続でネック・ラインを割った場合とかネック・ラインから価格が3%以上割った場合などである。

ヘッド・アンド・ショルダーの基本的な要素は右表4-3を参照。

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9:取引高の重要性

ヘッド・アンド・ショルダーを見るにあたって、価格だけではなく取引高も重要である(ただし、天井付近での取引高は非常に重要というわけではない)。

ヘッド部分形成までのラリーにおいて、取引高は少ない(必須条件というわけではない)。買い圧力が弱まってきていると考えられる。

最も重要な取引高のシグナルは、ライト・ショルダー形成付近で起こる。ここでの取引高は、前の二つの天井のときよりも著しく減少する。

そして、ネック・ラインを割るときに取引高は増加し、反転するときに減少する。下降トレンド再開時に増加する。

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10:目標価格の推測

ヘッド・アンド・ショルダーが現れた場合の目標価格は次のように行う。まず、ヘッド部分からネック・ラインまで垂直に高さを測る。それを、ネック・ラインが突破された地点から下に図る。これで求められる目標価格は最小限のものである。

例えば、ヘッド部分が100、ネック・ラインが80だった場合、垂直距離は20となる。そして、ネック・ラインが突破された地点が82だとすると、目標価格は62となる。

上記の場合と似た方法であるが、最初の下降時(右図でいえば、C、D点)の波の高さを測り、それを2倍する方法もある。

ここで重要なのが、求められる目標価格は最小限のものだと言うことである(最小限の価格を上回る幅で変動することはよくある)。最大限のものは、トレンドが開始したときの価格である。反転パターンから予測できるのは、市場ですでに起こったこと、場合によってはそのすべてを戻しうるということである。

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11:目標価格の調整

目標価格の推測については、考慮しなければならないことが他にもある。例えば、上昇トレンドの途中でつけられたサポート・ラインがどこであるのか、天井からの、1/3戻し、1/2戻し、2/3戻しの価格はどこか、ギャップなどがないか、などである。

ヘッド・アンド・ショルダーの目標価格の計算方法が基本だとしても、その他のサポートとして機能するような要素も考慮して柔軟に判断しなければならない。

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12:逆ヘッド・アンド・ショルダー

ヘッド・アンド・ショルダーは天井において起こるパターンであるが、底においてヘッド・アンド・ショルダーを鏡で写したようなパターンもある。これを逆ヘッド・アンド・ショルダーという。

逆ヘッド・アンド・ショルダーは、三つの明確な底があり、真ん中の底が両側の底よりも下の位置にある。このチャート・パターンもやはりネック・ラインが突破されてはじめて完成する。

目標価格の推測方法などほとんどの部分はヘッド・アンド・ショルダーと同じである。だが、両者の間で違うことが二つある。

その一つが、ネック・ライン突破後にネック・ラインまで反落する可能性が強いということである。二つ目が、取引高である。市場は自らのウェイトで落下する傾向が強いが、底から新しい強気な市場を形成するためには、かなりの買い圧力と取引高が必要である。逆ヘッド・アンド・ショルダーにおいては、ヘッド部分まではヘッド・アンド・ショルダーと同じく、左肩の部分の取引高よりも少なめである。だが、ヘッド部分からのラリーにおいては取引高が急増し、このとき左肩のラリーにおける取引高を超えていなければならない。そして、右肩形成へのラリーにおいては取引高が減少する。そして、ネック・ライン突破時において取引高が激増しなければならない。また、ネック・ライン突破後によく見られる、ネック・ラインまでの戻しについては取引高は少ないものでなければならない。つまり、ヘッド部分形成後のラリーにおいては、上昇するときに取引高が増え、下落するときには取引高が減っていなければならない。

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13:ネック・ラインの傾斜

通常、天井におけるネック・ラインは軽く上方へ傾いている。しかし、稀に下方へ傾いていることもある。これは市場の弱さの兆候であり、右肩も弱いものとなる。下方へ傾いている場合、ヘッド・アンド・ショルダーのパターンが完成するまで少々時間がかかるという問題がある。

底におけるネック・ラインは軽く下方へ傾いている。しかし、稀に上方へ傾いていることもある。これは市場の強さの兆候であるが、逆ヘッド・アンド・ショルダーのパターン完成までに要する時間が長くかかるという問題がある。

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14:複雑型のヘッド・アンド・ショルダー

ヘッド・アンド・ショルダーには変形型がある。例えば、二つの頭と二つの左肩と二つの右肩を持つパターンなどがそうである。このような複雑型のヘッド・アンド・ショルダーは一般的ではない。しかし、通常のヘッド・アンド・ショルダーと同様の分析方法で価格などを予測することが可能である。

ヘッド・アンド・ショルダーは対称系をとることが多いので、左肩が二つの場合、右肩も二つになる可能性が高いと予測できる。

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15:戦術

ヘッド・アンド・ショルダーのパターンを見たとき、どの部分で市場に参加するかは個々人の判断により違う。パターンの完成は、右肩を形成後、ネック・ラインを突破したときとなっているが、誰もがこの部分で参加するわけではない。

ある人は、右肩が形成される前にヘッド・アンド・ショルダーのパターン完成を予想し参加する。またある人は、右肩の価格が左肩の価格と同程度になったときに参加する。

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16:完成し損じたヘッド・アンド・ショルダー

ネック・ラインをブレイクし、完成されたヘッド・アンド・ショルダーは再びネック・ラインを横切ることは絶対にない。

もし、再びネック・ラインを横切った場合、それは完成し損じたヘッド・アンド・ショルダーであり、だましであったと考えられる。

このようなだましのチャート・パターンにあった場合、次のことを教訓としなければならない。まず、無誤謬のチャート・パターンは存在しないということである。ほとんどの場合うまく機能するが、絶対ではない。そして、もしだましにあった場合は、即座に誤りを認め自分のポジションを閉じなければならない。

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17:調整パターンとしてのヘッド・アンド・ショルダー

ヘッド・アンド・ショルダーは信頼性の高い反転パターンであるが、例外的に調整パターンとして機能することがある。詳しくは第5章で行う。

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18:トリプル・トップとトリプル・ボトム

ヘッド・アンド・ショルダーを若干変形したものに、トリプル・トップとトリプル・ボトムがある。これらはまれに見られ、どちらも反転を示すパターンである。

トリプル・トップは三つの天井が同レベルにある。天井付近での取引高は減少する。三つの天井の間にある二つの安値を結んだサポート・レベルが下方にブレイクされることでパターンが完成する。

トリプル・ボトムは三つの底が同レベルにあるパターンである。三つの底の間にある二つの高値を結んだレジスタンス・レベルを上方にブレイクすることでパターンが完成する。この時の上昇においては取引高の増加が必要である。

目標価格の予測は、山と谷の高さ分を、パターンが完成された部分から同距離とったものとなる。しかし、これは予測される最小限のものである。

トリプル・トップとトリプル・ボトムは、ヘッド・アンド・ショルダーの変形であり価格予測などほとんどの部分においてヘッド・アンド・ショルダーの考えを応用することができる。

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19:ダブル・トップとダブル・ボトム

ヘッド・アンド・ショルダーの次によく見られる反転パターンにダブル・トップとダブル・ボトムがある。このパターンはトリプル・トップやトリプル・ボトムと比べて、天井と底の数が1つずつ少ないことを除けば、一般的性質は同じである。

ダブル・トップの場合、一つ目の天井と天井からの調整部分までは普通の上昇トレンドと変わらないが、二つ目の天井において一つ目の天井を越えられなかったことと取引高が減少していることが特徴である。そして、一つ目の天井からの調整部分を下にブレイクして、パターンが完成する。

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20:ダブル・トップから目標値を推定する

目標値の推定に関しては、トリプル・トップと同じである。パターンが破られた部分からパターンの高さ分を測ることでもとめることができる。また、図4-6のAB間の距離を、パターンが破られた部分から測るという方法もある。

注意点は、この方法で求めることができる目標値は最小限のものであり、最大限はトレンド開始地点である。

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21:理想パターンの変形

現実のチャートにおいては、パターン通りの絵よりも、それらを変形させたものがよく現れる。

例えば、ダブル・トップであれば、二つの頂上が同じレベルではなかったり、二つ目の天井が一つ目の天井より低かったりなどすることがある。また、二つ目の天井が一つ目の天井より高く、上昇トレンドが継続しているかのように見える場合もある。

このような場合、フィルターを用いてだましを防ぐのが効果的である。

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22:フィルター

フィルターを用いることで、だましによる間違った取引を減らすことができる。フィルターには以下のようなものがある。

・終値ベースで判断する
・1%、2%、3%などのパーセンテージによる突破基準を設ける
・二日間ルールなどを設ける

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23:ダブル・トップの濫用

ダブル・トップやダブル・ボトムといった用語は市場において濫用されている場合が多い。価格は、前の高値付近からは揺り戻され、前の安値付近からは跳ね返されるといった傾向が強い。これは自然な傾向であり、だからといって自ら反転パターンを作るわけではない。

このような時は、以下の二つのことを思い出さなければならない。

・ダブル・トップは、前回の安値がブレイクされて初めて完成する
・トレンドは反転するよりも継続する場合のほうが多い

前回の高値を超えられなかったことだけで、ダブル・トップが形成されたと思うのは早急すぎる。パターンの完成をしっかり見届けてから行動を起こしたほうがよい。

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24:天井と谷の間の時間が重要である

二つの天井間の形成時間が長く、パターンの高さが大きいほど、次の反転は大きくなる。この考え方は、その他色々なチャート・パターンにおいても共通している。

一般的に有効なダブル・トップやダブル・ボトムは、山を形成してから谷を形成するのに少なくとも1ヶ月はかかる。

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25:ソーサーまたはラウンディング・トップとラウンディング・ボトム

ソーサー(ラウンディングとかボウルなどと呼ばれることもある)は、比較的稀なパターンである。このパターンのトレンド変化は極めてゆっくり起こる。

ソーサー・トップの価格は徐々に上昇から下降へ、ソーサー・ボトムの価格はは徐々に下降から上昇へと移行する。ソーサー・トップとソーサー・ボトムの取引高はどちらも、市場が次第に転回していくにつれて減少し、次に新しい方向が明確になり始めるにつれて、再び増加していく。

ソーサー・ボトムについては例外がある。底の中間地点直後に、異常な取引高の増加と価格の急騰が起こり、後にまた通常のゆっくりとしたラウンディング過程に戻ることがある。この場合、ソーサー・ボトム・パターンの最後にハンドルあるいは台と呼ばれる状態がパターンの最後のほうで起こり、上昇トレンドが始まることもある。取引高は、ソーサー・ボトム・パターンの底部分で最低となり、直後に急増し、その後は価格の上昇とともに増加する。台を形成している場合は、台のところでは取引高は減少する。

パターンの完成を見つけるのは難しい。どの部分をもって完成と見るか判断することはできない。また、目標値を推定する正確な法則もない。ただし、パターン形成にかかった時間が長ければ長いほど、次の動きも大きい可能性が高い。

ソーサー・トップやソーサー・ボトムは稀にしか起こらないパターンであるが、もし起こった場合はまさに市場の天や底をつけると思ってもよい。

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26:Vフォーメーションまたはスパイク

スパイク(Vフォーメーションともいう)は、急にトレンドが反転するパターンである。多くの場合、キー・リバーサル・デーやアイランド・リバースを伴って現れる。また、このパターンは相場の天井で現れることが多く、その場合の変化は劇的である。

スパイクは他の反転パターンと同じく、あらかじめトレンドが存在していることが前提である。そして、価格が激しく動いておりいくつかのギャップが埋められないままになっていることが多い。取引高は、反転が起こるころに急増して、キー・リバーサル・デーやアイランド・リバースを作ることが多い。

価格が反転してからは、前のトレンドのうち1/3から1/2を比較的短期間のうちに戻す。

このパターンの危険性は相場がいつ反転するか予測がしにくいことであり、実際に反転したときの価格変化があまりに急なためポジションをどのようにすればいいかわからなくなることにある。

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27:Vリバーサルの前提条件

スパイクの前提条件は、急な値動きの激しいトレンドが存在することである。

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28:変型Vリバーサル・パターン

スパイク・パターンよりも稀ではあるが、トレンドが反転した後、右側に小さなプラットホームを作る変型版がある。

プラットホームの取引高は少なく、反転後の新しいトレンドに対して逆向きに傾いている。チャート・パターンはプラットホームが消えたときに完成したとみなされる。

このプラットホームが形成されるときにポジションを手仕舞ったり、新しくポジションを取ったりすることが可能である。

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29:左側に伸びたVパターン

右側にプラットホームを作るパターンよりもさらに稀なパターンとして、左側にプラットホームを作る変型パターンがある。

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30:結論

この章で扱った反転パターンはどれも重要なものである。次の章では、トレンドの調整を示す保合いパターンを見ていく。

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表 4-1 反転パターンと継続パターン
意味 パターン名
反転パターン トレンド転換を示す ・ヘッド・アンド・ショルダー
・トリプル・トップ
・ダブル・トップ
・スパイク・トップ
・ラウンディング・パターン
継続パターン トレンド継続を示す ・トライアングル
・フラッグ
・ペナント
・ウェッジ
・レクタングル
反転パターンの名称は、上昇トレンドのものである。下降トレンドにおいてのものもある。

ヘッド・アンド・ショルダーは反転パターンとして機能することがほとんどだが、例外的に調整パターンとして機能することが稀にある。

表 4-2 天井と底の違い
価格幅 形成に要する期間
天井 大きい 短い
小さい 長い



表 4-3 ヘッド・アンド・ショルダーの要約
要素 トレンドとの関係 注意点
・上昇トレンドが存在する
ヘッド形成のラリーにおいて取引量が少ないことを除けば、通常の上昇トレンドと言える。 トレンドが存在しないと反転のしようがない。もし、トレンドがない状態で、ヘッド・アンド・ショルダーに似た絵がチャート上に現れても、それはヘッド・アンド・ショルダーとは無関係である。
・レフト・ショルダー形成までのラリーがある。取引量はしっかりある。
・上昇トレンド・ラインを割らない程度の調整がある。
・ヘッド形成までのラリーがある。取引量は少ない。 上昇トレンドの場合、上昇するときは取引量を伴うのが普通である。
・前の安値付近まで(上昇トレンド・ラインを割ってしまう)の調整がある。 上昇トレンドが終わった可能性が高い。
・ライト・ショルダー形成までのラリーがある。前回の高値には到達できない。取引量は少ない。
・終値ベースで、ネック・ラインを割る調整がある。 ヘッド・アンド・ショルダー完成。 ネック・ラインを割るまでは、上昇トレンドが復活する可能性をまだ残している。また、二日ルールや3%ルールなどのフィルターをかけるとなおよい。
・ネック・ライン付近までの反転がある。取引量は少ない。 下降トレンドの始まり。
・下降トレンドが再開する。



表 4-4 ヘッド・アンド・ショルダーと逆ヘッド・アンド・ショルダーの違い
ヘッド・アンド・ショルダー 逆ヘッド・アンド・ショルダー
パターン 3つの天井 3つの底
パターンの完成 同じ
目標価格推測 同じ方法
取引高 ヘッド部分までは同じだが、それ以降は違う

表 4-5 ヘッド・アンド・ショルダーと逆ヘッド・アンド・ショルダーの取引高の違い
ヘッド・アンド・ショルダー 逆ヘッド・アンド・ショルダー
左肩部分までのラリー 普通である。
ヘッド部分までのラリー 左肩部分までのラリーに比べて、若干減少する。
右肩部分までのラリー 減少する。 ネック・ラインまでのラリーにおいては急増する(左肩部分までのラリー時の取引高を超えていなければならない)。だが、右肩部分までの反落時には減少する。
ネック・ライン突破までのラリー 増加する。ただし、逆ヘッド・アンド・ショルダーの場合とは違って、取引高の増加はさほど重要ではない。 激増する。
ネック・ライン突破後、ネック・ラインまでの戻し(必ず戻しがあるというわけではない) 減少する。
逆ヘッド・アンド・ショルダーにおいての取引高は重要である。特に、ヘッド部分以降の取引高は注意してみる必要がある。

表 4-6 ネック・ラインの傾斜
通常 稀な場合
ヘッド・アンド・ショルダー 上方へ傾いている 下方へ傾いている この場合、パターン完成までに要する時間が通常よりも必要である。
逆ヘッド・アンド・ショルダー 下方へ傾いている 上方へ傾いている








表 4-7 トリプル・トップとトリプル・ボトム
トリプル・トップ トリプル・ボトム
パターン 同レベルでの3つの天井 同レベルでの3つの底
パターンの完成 三つの天井の間の安値を結んだ線を下方にブレイクしたとき 三つの底の間の高値を結んだ線を上方にブレイクしたとき
最小限の目標価格推測 山と谷の高さ分を、パターンが完成された部分から同距離とったもの





表 4-8 反転パターンの出現頻度
天井において ヘッド・アンド・ショルダー>ダブル・トップ>トリプル・トップ>ソーサー・トップ
底において 逆ヘッド・アンド・ショルダー>ダブル・ボトム>トリプル・ボトム







表 4-9 ソーサー
ソーサー・トップ ソーサー・ボトム
別名 ・ラウンディング
・ボウル
出現頻度 稀にしか起こらないパターンである
価格 徐々に上昇から下降 徐々に下降から上昇
取引高 市場が次第に転回していくにつれて減少し、次に新しい方向が明確になり始めるにつれて、再び増加していく。

ただし、ソーサー・ボトムについては例外がある。底の中間地点直後に、異常な取引高の増加と価格の急騰が起こり、後にまた通常のゆっくりとしたラウンディング過程に戻ることがある。
パターンの完成 どこの部分をもって完成と見るか正確なものはない。
目標価格 推定する正確な法則はない。ただし、その他のテクニカル分析で推測することは可能である。また、パターン形成にかかった時間が長ければ長いほど、次の動きも大きい可能性が高い。







表 4-9 スパイクとその他の反転パターンの違い
名前 ・ヘッド・アンド・ショルダー
・トリプル・トップ
・ダブル・トップ
・ラウンディング・パターン
・スパイク・トップ
変化の仕方 トレンドは徐々に変化する。 トレンドは急に変化する。
説明 古いトレンドの勢いが弱まり、需給が均衡状態にまで行き着き、シーソーゲームが展開される。そして、トレンドが変化する。 急な価格変化を伴ったトレンドが、何の警告もなしに急に反転する。

表 4-10 スパイクとその変型パターン
名前 出現頻度 説明
スパイク 普通
右側にプラットホームを持つスパイク 反転後の右側にプラットホームを持つ
左側にプラットホームを持つスパイク 極めて稀 反転前の左側にプラットホームを持つ

5章 コンティニュエーション・パターン
1:初めに

コンティニュエーション・パターンとは、横ばい(保合い)相場のことである。現行のトレンドが一時的に休止している状態を示す。

前章で扱ったリバーサル・パターンと本章で扱うコンティニュエーション・パターンには大きな相違点が二つある。一つ目はコンティニュエーション・パターンにおいてトレンドは一時的に休止するが再び元のトレンドに戻るということである。二つ目はコンティニュエーション・パターンの期間は短期から中期のものであるということである。

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2:トライアングル

トライアングルとは三角保合いのことである。トライアングルには、シンメトリカル(対称)、アセンディング(上昇)、ディセンディング(下降)の3種類がある。通常これらはトレンドの一時休止であり、パターンが終わるときには再び元のトレンドに戻ることを示す。

シンメトリカル・トライアングルは、下向きの上辺と上向きの下辺の2本のトレンド・ラインからなる。アセンディング・トライアングルは水平の上辺と上向きの下辺の2本からなる。ディセンディング・トライアングルは下向きの上辺と水平の下辺の2本からなる。

パターンの高さを測るための左側の垂直な線をベースといい、2本のラインが交わる右側の点をアペックス(頂点)という。

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3:シンメトリカル・トライアングル

シンメトリカル・トライアングルは上で述べたように、トレンドの一時休止を示すパターンである。パターンが終わるときには再び元のトレンドが再開される。上昇トレンドの途中でシンメトリカル・トライアングルが現れれば再び上昇トレンドが再開される。下降トレンドであれば下降トレンドが再開される。このパターンの特徴は、安値は切り上がり、高値は切り下がるというところである。

トライアングルのパターンには最低4つのリバーサル・ポイントが必要である。トレンド・ラインを引くためには最低二つの点が必要なためである。ただし、実際的には、6個のリバーサル・ポイントを持っている場合が多い(3つの山と3つの谷で5つの波を形成している)。

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4:トライアングル分析のためのタイム・リミット

トライアングル・パターンの完成にはタイム・リミットがある。つまり、2本のトレンド・ラインが交差するアペックスである。

一般原則として、価格はパターン左側のベースと右側のアペックスを結んだ水平線の幅の1/2から3/4までのところで、直前のトレンドと同方向にブレイクする。もし、3/4を過ぎても価格がトライアングルの中にあれば、トライアングルの効力は失われ価格は通常アペックスまであるいはそれ以降も漂い続ける。

例えば、水平線の幅が20週間だとわかれば(4点のリバーサル・ポイントがあれば、線を延ばしてアペックスを作ることができる)、10週から15週目の間にブレイクが発生するとわかる。

ブレイクされた後、もう一度ブレイクされたラインまで価格が戻ることもある(この場合、そのラインの役割りは逆転している)。また、アペックスも重要なサポートやレジスタンスとして働くことがある。

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5:だましシグナル

強気トライアングルが上昇トレンドの再開寸前に虚偽の弱気シグナルを出すことがある。このシグナルは、通常、トライアングルの5番目の最後の足で出る。この現象は通常アペックス近辺で発生し、トレンドが右側に進みすぎたことを示す。このシグナルの特徴は、価格が二日間ほど大きい取引量で下方へブレイクした後に、急反発から上昇トレンドに転ずることである。

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6:取引量の重要性

取引量は、トライアングルの価格幅が狭まるにつれて減少していく。そして、トレンド・ラインのブレイク後に増加する。また、ブレイク後の一時的な戻しの時は、減少する。

トライアングル形成中において、取引量は減少するがよく見るとトレンドの方向にしたがって若干取引量に違いがあることが多い。たとえば、トライアングル形成前のトレンドが上昇トレンドであった場合は、価格が上昇するときに取引量が増え、下落するときに減る。

またリバーサル・パターンの時と同様に、上昇トレンド再開のときにおいての取引量は重要である。トレンドが再開する時に取引量が増加するということは必須条件である。逆に、下降トレンド再開の時の取引量増加は前述5のだましシグナルの可能性が高いためそれほど重要ではない。

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7:目標値測定方法

トライアングルの目標値測定方法には2種類ある。

1:トライアングルの最も広い垂線の高さ(これをベースという)を測り、ブレイク部分またはアペックスから同距離測る

2:ベースの頂上からトライアングルの下辺と同じ線を平行に引き、チャネル・ラインとして用いる

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8:アセンディング・トライアングル

アセンディング・トライアングルは上辺が水平で、下辺が上昇している。これは、買い手が売り手よりも積極的であることを示しており、通常強気パターンとして考えられている。上方にブレイクしてパターンが完成する。ブレイク時には取引量が増加していることが望ましい。また、ブレイク後に上辺への戻しもしばしば生じるが、その際の取引量は少ない。

アセンディング・トライアングルはシンメトリカル・トライアングルと違う点がある。それは、アセンディング・トライアングルは、いかなるトレンドの中で発生しても、常に強気パターンであるということである。

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9:目標値

アセンディング・トライアングルの目標値は、上辺と下辺の間で最も幅広の部分を測り、それをブレイク部分から同距離とったものである。求められる目標値は最小限のものである。

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10:底値でのアセンディング・トライアングル

アセンディング・トライアングルは通常コンティニュエーション・パターンであるが、底形成のパターンとして現れることもある。

例えば、下降トレンド末期にアセンディング・トライアングルが現れることがある。この場合でも、アセンディング・トライアングルは強気である。

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11:ディセンディング・トライアングル

ディセンディング・トライアングルはアセンディング・トライアングルの対称形である。上辺が下向きで、下辺が水平である。これは、売り手が買い手よりも積極的であることを示しており、通常弱気パターンとして考えられている。下方にブレイクしてパターンが完成する。ブレイク時には取引量が増加していることが望ましい。また、ブレイク後に下辺への戻しもしばしば生じる。

目標値の測定は、上辺と下辺の間で最も幅広の部分を測り、それをブレイク部分から同距離とったものである。

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12:上値でのディセンディング・トライアングル

ディセンディング・トライアングルは通常コンティニュエーション・パターンであるが、天井で現れることもある。この場合でも、ディセンディング・トライアングルは弱気シグナルである。

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13:取引量からみるパターン

アセンディング・トライアングルとディセンディング・トライアングルはどちらとも、パターンが進むにつれ取引量が減っていく。そして、パターンのブレイク時に増加する。

また、アセンディング・トライアングルは価格上昇時に取引量が増え、下落時に減る(増減は微妙である場合が多い)。ディセンディング・トライアングルの場合は逆である。

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14:トライアングルにおける時間的要因

トライアングルは、通常において形成するまでに1ヶ月から3ヶ月ほどかかる。1ヶ月未満の場合は、トライアングルではなく別のパターンである可能性が高い。

また、トライアングルは通常、日足チャートで見られるものである(週足や月足でも見られることもあるが)。

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15:ブロードニング・フォーメーション

トライアングルの派生にブロードニング・フォーメーション(別名、逆三角形、後ろ向き三角形、ファイブ・ポイント・リバーサル・パターン)というものがある。これは右に広がっていくトレンド・ライン2本からなる。通常は弱気パターンである。

ブロードニング・フォーメーションの特徴は、パターンが進行するにつれ価格変動幅と取引量が拡大していくことにある。これは、市場が異常な心理状態にあることを示している。通常の量をはるかに超えた大衆の市場参加を表すもので、主要なマーケットの天井で発生することが多い。

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16:ブロードニング・トップはいかに形成されるか

このパターンは切りあがっていく3つの天井と切り下がっていく2つの谷からなるため、取引するには極めて困難となる。切り上がる高値は上昇トレンドを思わせ、切り下がる安値は下降トレンドを意味するからである。

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17:パターンの完成

このパターンは、3番目の天井の反動が2番目の谷を突破したときに完成する。パターンの完成には、二日ルールや3%ルールなどのフィルターを用いるほうがよい。

パターンが完成した後に、戻しが生じる場合もあり、その場合半値戻しをすることも珍しくはない。

また、3つ目の天井は2つ目の天井を超えるのが普通であるが、時には同じレベルであったり超えないこともある。

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18:要約

ブロードニング・フォーメーションは比較的珍しいパターンであり、現れた場合は相場の天井を示す。3つの切り上がっていく高値と、二つの切り下がっていく安値からなり、進行するにつれて価格幅と取引量は拡大していく。パターンの完成は、3番目の谷が2番目の谷の水準を超えることである。

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19:ダイヤモンド・フォーメーション

パターンの前半部分がブロードニング・フォーメーション、後半部分がシンメトリカル・トライアングルに似ているパターンにダイヤモンド・フォーメーションというものがある。

ほとんどの場合、相場の天井で現れる、比較的珍しいパターンである。価格変動と取引量は、パターンと同じく、前半のブロードニング・フォーメーションの部分は徐々に拡大していき、後半のシンメトリカル・トライアングルの部分は徐々に縮小していく。

パターンの完成は、後半部分の下辺の上昇トレンドが下にブレイクされて完成する。この時、取引量は通常増加する。

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20:ダイヤモンドからの目標値予測方法

ダイヤモンド・フォーメーションの目標価格は、パターン内の最も幅広の部分の垂直距離を、ブレイク地点から同距離とったものである。また、ブレイク後に戻しが生じることもある。

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21:結論

トライアングルとは、シンメトリカル、アセンディング、ディセンディングの3種類であり、その派生としてブロードニング・フォーメーション、ダイヤモンド・フォーメーションがある。

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22:フラッグとペナント

市場の大きな動きの一時休止を示すサインにフラッグとペナントがある。どちらも、よく見られるパターンで、出現する位置、取引量のパターン、目標値の推定などは同じである。

パターンが現れる前に、鋭い直線的な上昇や下降の動きがあるというのが必要条件である。この鋭い動きの一時休止としてフラッグやペナントがあり、その後また同じ方向への動きが継続する。

フラッグとペナントは最も信頼できる継続パターンの一つであり、ほとんどトレンド変換につながることはない。

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23:フラッグとペナントの形成

フラッグは現在のトレンドとは逆の傾斜を持つ2本の平行なトレンド・ラインによって作られる。例えば、上昇トレンド最中のフラッグであれば下向きであり、下降トレンド最中であれば上向きである。

ペナントは2本の収斂するトレンド・ラインにより作られる。形的にはシンメトリカル・トライアングルに似ている。

どちらの場合も取引量はパターン形成中は著しく減少する。これは必要条件である。

パターンは比較的短期間であり、1週間から3週間以内で完成される。特に、下降トレンドの場合は特に短期間で形成されることが多く、1週間あるいは2週間以上続くことはない。

パターンの完成は上辺か下辺のラインを突き抜けたときであり、そのときに取引量は増大する(価格上昇時の取引量の重要性は増す)。

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24:目標値の推定

フラッグとペナントは、それまでの急激な上昇や下落の半分の地点で現れる。目標値の推定はそれまでの上昇分や下落分を同距離とったものである。

例えば、100部分にあった抵抗線が急激な上昇とともに破られ、150部分でフラッグができた場合、目標値は200となる。

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25:要約

フラッグとペナントの要約は右表5-9である。

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26:ウェッジ・フォーメーション

ウェッジはアペックスで収斂する2本のトレンド・ラインを持つパターンであり、シンメトリカル・トライアングルに似ている。特徴は、上方または下方に向いた傾斜であり、通常トレンドに対して逆向きとなっている。

上向きウェッジは弱気、下向きウェッジは強気である。

ウェッジは完成までにアペックスまでの距離の少なくとも2/3は動き、ときにはアペックスにまで到達しそこから新たな動きを示すこともある(この点がシンメトリカル・トライアングルとの違いである)。また、下降トレンドにつながる場合のほうがより短時間で形成される。

取引量は、ウェッジ形成の間は縮小し、完成時に増大する。

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27:天井や底でのトレンド転換を示すウェッジ

ウェッジは、通常継続パターンとして現れる。

しかし、市場の天井や底で現れ、トレンド転換のシグナルとなることもある(極めて稀なことである)。このような場合、ウェッジの形に注目すると矛盾することがある。天井での場合、現れるウェッジは下向きウェッジではなく上向きウェッジである。底での場合、現れるウェッジは上向きウェッジではなく下向きウェッジである。

まとめると、ウェッジが市場の動きの途中または終わりで現れている場合、上向きウェッジは弱気であり、下向きウェッジは強気であると思ってまず間違いないということになる。

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28:レクタングル・フォーメーション

トレンドの一時休止を表すパターンにレクタングル・フォーメーションがある。これは、2本の水平な平行線からなる。

ダウ理論でいう、ラインのことである。

パターンの完成は、上辺または下辺が決定的にブレイクされたときである。

レクタングルは現行トレンドの地固め期間であり、パターン完成後は結局それまでのトレンドと同じ方向のトレンドが再開される。

このようにレクタングルは継続パターンであると言えるが、レクタングルが反転パターンにならないかには注意する必要がある。例えば、図5-14では3番目の谷が下辺をブレイクしていれば、トリプル・トップになる可能性がある。図5-15では、3番目の頂上が上辺をブレイクしていれば、トリプル・ボトムになる可能性がある。

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29:取引量のパターンの重要性

レクタングルはパターン内に価格があるとき取引量に注意する必要がある。例えば、価格が上昇するときに取引量が増え、下落するときに減っていれば、次にくるのは上昇トレンドである可能性が高い。もしこれが逆に、価格が下落するときに取引量が増えていれば、トレンド転換になる可能性が高いといえる。

また、パターン内での取引量はそれまでと比べて減少するといったことはない。

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30:レンジ内でのトレーディング

レンジ内でのトレーディングにはいろいろな手法がある。例えば、価格が下辺付近にあるときに買い、上辺付近で売る手法がある。レンジ内の横ばいの動きのときは、オシレーターを使うと効果的である。

レクタングルは継続パターンであるため、上昇トレンドであれば下辺付近でポジションを持ち、そのままにしておくという手法もある。

また、レンジ内の方向性のはっきりしないときは市場に参加せず、トレンドがはっきりした後で、参加するという手法もある。

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31:その他の類似点と相違点

レクタングルの形成期間は、通常1ヶ月から3ヶ月である。これは、トライアングルやウェッジなどと同じ部類である。

取引量においては、他の継続パターンとは異なり、減少するといったことはない(ただし、その次にくるトレンドにあわせて微妙に変化はする)。

目標値予測は、パターン内の天井から底までの高さを測り、それをブレイク地点から同距離とったものである。これは今までの継続パターンと同様である。

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32:韻を踏んだ動き

大きな市場の上昇または下落が、2つの平行かつ相似した動きに分かれる減少を韻を踏んだ動き(振幅の韻ともいう)という。これが意味をなすには、市場の動きが秩序正しく型どおりである必要がある。

図の5-16では、AからBまでの上昇があり、その後、BからCまでの戻しがある。そしてまた、AからBに相似した上昇がCからある。このような状況を韻を踏んだ動きという。この相似性は、動きの長さ、傾きなどが等しくなる傾向を持つ。

目標値の予測は、単純に始めの動き分を、戻しからの反転地点から同距離とれば行える。

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33:保合い型のヘッド・アンド・ショルダー・パターン

ヘッド・アンド・ショルダーは有名な反転パターンであるが、保合い型として現れる場合もある。

保合い型のヘッド・アンド・ショルダーは、天井と底の上下が逆になっている。例えば、上昇トレンドであれば図5-17のように、真ん中の頭が左右の肩の部分よりも下にあり、下降トレンドであれば図5-18のように、真ん中の頭が左右の肩の部分よりも上にある。

このように、保合い型のヘッド・アンド・ショルダーは反転パターンのそれとは形が違うため識別可能である。

保合い型のヘッド・アンド・ショルダーとわかった後は、ネック・ラインの引き方や目標値の推測などは、反転パターンのそれと同じ方法である。

パターンの完成はネック・ラインを突破したときであり、突破後はそれまでのトレンドが継続される。

保合い型と反転型の違いは、目標値測定の信頼度がいくぶん低く、取引量に関する条件がそれほど厳格には適用されないということである。

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34:市場の特性

第4章と第5章のチャート・パターンは事実上いかなる市場にも適用可能である。テクニカル・アナリスト曰く、「チャート分析の原理を適用するためには、対象となる証券や財の名前を知る必要さえない。チャートはあくまでチャートである。」。

このような考え方はある意味正しいが、個々の市場にはそれぞれ独自の性格があり、分析するに当たってはその市場独自の性格を考慮する必要がある。また、チャート・パターンなど各種の技術的指標は、個々の市場に合わせて最適化できる。

チャートの原理を適用する際には、適用する市場ごとの差異をよく考慮しなければならない。

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35:確認と矛盾

確認とは、テクニカル指標全般が大方同じ方向を示し、相互に矛盾がないことを確かめるために、あらゆるものを比較検討することである。

例えば、自分の投資している市場と関連性のある他の市場もチェックしたり、他の限月のチャートを確認したり、チャートを日次・週次・月次で見たりすることである。

比較検討することにより、それが本題の市場分析に手がかりを与えてくれることもある。また、市場全体の動きが弱気である時に、特定の市場だけが強気だった場合あまりそれに重きをおかないほうが良い。

矛盾とは、確認の反対であり、複数の市場やテクニカル指標が、皆それぞれ違ったことを示唆している場合のことである。矛盾は、トレンド転換を早期に警告する信号の一つとなる。

確認と矛盾はテクニカル分析の全てに当てはまる考え方である。

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表 5-1 リバーサル・パターンとコンティニュエーション・パターンの違い
リバーサル・パターン コンティニュエーション・パターン
トレンドとの関係 反転する 一時的に休止する。そして、また元のトレンドが再開する。
期間 通常、長期である。 通常、短期または中期である。
※違いはあくまでも通常の場合である。リバーサル・パターンの代表格であるヘッド・アンド・ショルダーは時としてコンティニュエーション・パターンとして現れる場合もある。

表 5-2 トライアングルの種類
名前 別名 上辺 下辺
シンメトリカル・トライアングル コイル 下向き 上向き
アセンディング・トライアングル 直角三角形 水平 上向き
ディセンディング・トライアングル 下向き 水平
※トライアングルは、日足チャートで見られるのが普通である。











表 5-3 シンメトリカル・トライアングルの目標価格
方法 説明 測る部分
方法1 トライアングルの最も広い垂線の高さ(これをベースという)を測り、ブレイク部分またはアペックスから同距離測る ・ブレイク部分

・アペックス部分
方法2 ベースの頂上からトライアングルの下辺と同じ線を平行に引き、チャネル・ラインとして用いる ・ベースの頂上部分



表 5-4 各トライアングルの持つ意味合い
名前 トレンドに対して 説明
シンメトリカル・トライアングル 中立 従来のトレンドが継続されるサインである。
アセンディング・トライアングル 常に強気 いかなるトレンド中に発生しても、強気である。ただし、上昇トレンドの最中に現れることが多い。
ディセンディング・トライアングル 常に弱気 いかなるトレンド中に発生しても、弱気である。ただし、下降トレンドの最中に現れることが多い。
※アセンディング・トライアングルは底で、ディセンディングトライアングルは天井で現れることもあり、その場合は保合いパターンではなく、反転パターンとして機能することもある。



表 5-5 各トライアングルの取引量
名前 パターンの進行に伴い パターン中の価格上昇時に パターン中の価格下落時に パターンのブレイク時に ブレイク後の戻し時に
シンメトリカル・トライアングル(上昇トレンド中) 取引量は減っていく 微妙に増える 微妙に減る 増加する 減る
シンメトリカル・トライアングル(下降トレンド中) 微妙に減る 微妙に増える
アセンディング・トライアングル 微妙に増える 微妙に減る
ディセンディング・トライアングル 微妙に減る 微妙に増える
※通常においてのことである。



表 5-6 ブロードニング・フォーメーション
別名 ・逆三角形
・後ろ向き三角形
・ファイブ・ポイント・リバーサル・パターン
・エクスパンディング・トライアングル
概要 切り上がっていく3つの天井と、切り下がっていく2つの谷からなる。天井3つを結んだ上辺と谷2つを結んだ下辺からなる。
特徴 パターンが進行するにつれ、価格変動幅と取引量が拡大していく。
取引について 切り上がる高値は上昇トレンド、切り下がる安値は下降トレンドを思わせ、取引するには困難と言える。
出現ポイント 主要なマーケットの天井で発生することが多い。
トレンドに対して 弱気パターンである。
パターンの完成 3番目の谷が2番目の谷の水準が破られたとき。

表 5-7 トライアングルとブロードニングフォーメーションの違い
トライアングル ブロードニング・フォーメーション
パターンが進行するにつれ、三角形が収斂していくような形である。 パターンが進行するにつれ、三角形が広がっていくような形である。
価格幅 縮小していく 拡大していく
取引量 縮小していく 拡大していく



表 5-8 ダイヤモンド・フォーメーション
パターン左側 パターン右側
似たパターン名 ブロードニング・フォーメーション シンメトリカル・トライアングル
価格変動幅 拡大していく 縮小していく
取引量 拡大していく 縮小していく
出現ポイント ほとんどの場合、天井において現れる。
パターンの完成 パターン右側の下辺の上昇トレンドを下にブレイクしたとき。
目標価格 パターン内の最も幅広の部分の垂直距離を、ブレイク地点から同距離とったものである。





表 5-9 フラッグとペナント
フラッグ ペナント
パターンの形 現在のトレンドとは逆向きの2本の平行なトレンド・ラインで作られる。 2本の収斂するトレンド・ラインで作られる。
似た形 小さい平行四辺形 シンメトリカル・トライアングル
説明 市場で大きな動きがあった後、一時休止を示すサインである。最も信頼できる継続パターンの一つである。
必要条件 鋭い直線的な上昇や下降の動きがある。パターン形成中の取引量が減少する。
形成期間 1週間から3週間以内で完成する。下降トレンドの場合は、1週間あるいは2週間以上続くことはない。
取引量 パターン形成中は減少する。パターンがブレイクされるときに増加する(価格上昇時の取引量の重要性は増す)。
パターンができた後 同じ方向への動きが継続する。この場合、突然活発な取引の開始を伴って再開される。
目標値 目標値の推定はそれまでの上昇分や下落分を同距離とったものである。





表 5-10 ウェッジ
別名 くさび
概要 アペックスで収斂する2本のトレンド・ラインを持つパターンである。通常、それまでのトレンドを引き継ぐ継続パターンである。ただし、極稀に市場の天底で反転パターンとして現れることもある(この場合は、ウェッジの向きに注意する必要がある)。
似ている形 シンメトリカル・トライアングル
特徴 上方または下方に向いた傾斜であり、通常トレンドに対して逆向きとなっている。

この特徴は、ウェッジが市場の途中や終わりで現れている場合ほぼ正確である。

つまり、上向きウェッジは弱気、下向きウェッジは強気となる。
形成期間 アペックスの距離までの2/3までは少なくとも動く。時にはアペックスに到達することもある。また、下降トレンドにつながる場合のほうがより短期間で形成される。
取引量 ウェッジ形成期間中は減少する。完成時に増大する。





表 5-11 レクタングル
別名 ・トレーディング・レンジ
・コンジェスチョン・エリア
・ライン(ダウ理論)
概要 2本の水平なラインからなる継続パターンである。現行トレンドの地固め期間と言える。
注意点 レクタングルは形的にトリプル・トップやトリプル・ボトムなどの反転パターンになる可能性もあるため、注意する必要がある。
形成期間 通常1ヶ月から3ヶ月である。
取引量 パターン形成中に減少するといったことはない。ただし、次にくるトレンドにあわせて微妙に変化することはある。







表 5-12 保合い型のヘッド・アンド・ショルダー
上昇トレンドの場合の形 3つの谷があり、真ん中の谷が一番下にある。
下降トレンドの場合の形 3つの山があり、真ん中の山が一番上にある。
取引量 ヘッド・アンド・ショルダーと同じである。
目標値予測
パターン完成後 それまでのトレンドが継続する

表 5-13 保合い型と反転型のヘッド・アンド・ショルダーの違い
保合い型 反転型
上昇トレンドの場合の形 3つの谷がある。 3つの山がある
下降トレンドの場合の形 3つの山がある。 3つの谷がある。
目標値測定の信頼度 若干低い 高い
取引量に関する条件 厳格ではない 厳格である
第6章 出来高と建玉
1:初めに

テクニカル分析を行う者は、価格・出来高・建玉という3つの要素を追う三次元の市場分析アプローチを行うのが普通である。第5章までは価格を中心としてきたが、第6章では出来高と建玉の役割りを中心とする。

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2:二次的指標としての出来高と建玉

価格・出来高・建玉の3つでは、やはり価格が一番重要であり、出来高と建玉は二次的なものといえる。重要度で言えば、価格が5、出来高が3、建玉が2と言える(この比率は個人による違うこともある)。

テクニカル分析を行うものの中には、価格だけに注目しその他を無視する人もいるし、逆に価格以上にその他を重視する人もいる。すぐれたテクニカル分析者たらんとするなら、三要素をしっかりチェックすべきであると言える。

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3:出来高

出来高とは、ある期間中に取引されたコントラクト数(約定数)のことである。

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4:建玉

建玉とは、一日の取引終了時の未決済または未清算のコントラクトの総数のことである。これは未決済のロングもしくはショートの総数を表すのであって、両者の合計ではない。コントラクトの数であり、一つのコントラクトには買い手と売り手が両方存在する。すなわち、一人の買い手と売り手の両者によって一つのコントラクトが成立する。

また、一般的に建玉には季節性があるといわれている。

取引所で一つの売買が成立するたびに、建玉数は増加・減少・不変の3通りの変化をする。変化が起こる原因は表6-2を参照。

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5:出来高・建玉を解釈するための一般的ルール

テクニカル分析を行う者は、普通、出来高と建玉の情報を組み込んで市場分析を行う。両者は基本的に同一視して扱っても良いが相違点もある。

一般的な解釈として、出来高と建玉がともに増加しているとき、トレンドは継続される(上昇トレンドでも下落トレンドでも)。逆に、出来高と建玉が減少しているときは、現在のトレンドが終わりに近づいていると考えられる。

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6:出来高の解釈

価格の変動とともに出来高の変動を見ることによって、市場の動きの背後にある買い圧力や売り圧力の強さを測ることができる。出来高の情報は、現在の価格動向を確認したり、逆に信用できないと警告を与えてくれる。

出来高は既存の価格トレンドに対してその時点の価格の動きが同方向にあるときに増加、拡大するはずである。

例えば、上昇トレンドであれば、価格が上昇するときに出来高が増え、下落するときに出来高は減る。

もし、価格が上昇するときに出来高を伴っていなかったら、それはおかしいと考えるべきである。これは買い圧力が減少してきている証拠であり、現在の上昇トレンドが終わりに近づいている警告である。

テクニカル分析を行う者は常に、矛盾に注意しなければならない。

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7:価格パターンの確認指標としての出来高

一般的に、チャート・パターンの確認には出来高が重要である。パターンが信頼に値するものであるためには、完成時に大きな取引量を伴っていることが必要である。

例えば、ヘッド・アンド・ショルダーであれば真ん中の一番高い天井を形成するときには出来高は少なく、ネック・ラインを突破するときに出来高は急増する。

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8:出来高は価格に先行する

出来高は価格が現行のトレンドと同一方向に動くときに増加するのが普通である。上昇トレンドであれば価格が上昇するときに出来高が増え、下落するときに減る。

もし、上昇トレンドで価格が上昇するときに出来高が減っていれば、それは買い圧力が減少してきており、トレンドが崩れるかもしれないと考えられる。

つまり、出来高が価格よりも早く警鐘を鳴らしているということである。出来高は価格に先行するというゆえんである。

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9:累積騰落出来高(On Balance Volume : OBV)

売買圧力を数値化するための指標に、累積騰落出来高(OBV)がある。これは、現在の価格トレンドの強さを確認したり、逆に矛盾する価格の動きからトレンドの反転を警告するために使われる。

OBV線の作成は、各取引日の出来高の総計を終値が高くなったか低くなったかによって、正か負の値として加算していく。つまり、終値が前日より高値で引けていればその日の出来高をプラスし、逆に安く引けている場合は負の出来高として勘定する。

OBV線は、方向性とトレンドが重要なのであって、実際の数値のレベルや正か負かは重要ではない。

OBV線は価格トレンドと同方向に動くはずである。上昇トレンドであれば、OBV線も同じように上昇トレンドを描いているはずである。もし、OBV線が価格と同方向に動かなくなったときは、矛盾が存在し、トレンド反転の可能性が暗示されていると考えられる。

価格のトレンド分析に使われた種々のテクニカル指標は、OBV線にも同様に適用することができる。

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10:累積出来高(Volume Accumulation) : OBV の代替指標

OBVは出来高を数値化する指標としては便利だが、一日の出来高全額を正か負の値にしてしまうなど、若干非現実的なところもある。

テクニカル分析を行う者は、より真実に近い出来高の数値を知るために、数々のOBVの変形を試みた。その一つが、累積出来高(VA)である。

累積出来高は、終値がその日の平均値に対してどこに位置するかによって出来高の一定の割合を正または負として勘定していく。例えば、終値がその日の平均よりも高ければ出来高の一定割合を正として勘定し、低ければ負とする。また、一日の出来高全部を正とするときは、高値引けしたときである。出来高全部を負とするときは、安値引けしたときである。

累積出来高の使い方は、累積騰落出来高と同じく、価格の動きと同方向に動いているかどうかで判断する。

以上、二種類の出来高に関する指標を見たが、二つの指標が意図していることは、上昇局面と下落局面のどちらにおいて大きな出来高が達成されているかを判断することである。状況によって、価格トレンドとの一致指標にもなるし、価格トレンドの変化の先行指標にもなる。

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11:商品先物における出来高分析の限界

商品先物において出来高分析は、株式ほど有効だとは考えられていない。理由は、数字の発表が1日遅れること、個々の出来高のかわりに総出来高を使うことなどである。

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12:建玉の解釈

建玉の変化を解釈するルールは出来高の変化と類似しているが以下のようになる。

1:上昇トレンドにおいて、総建玉が季節平均を上回って増加している場合、それは積極的な新規の買いによる資金流入が起きており、強気である。

2:上昇トレンドにおいて、総建玉が季節平均を下回って減少している場合、それはショート・カバーによる上昇と考えられる。これは資金が流出しており、弱気である。ショート・カバーが終わると、上昇トレンドを支えるものがなくなるからである。

3:下降トレンドにおいて、総建玉が季節平均を上回って増加している場合、それはショートを作るための新しい資金流入が起きており、弱気である。新しいショートは下降トレンドを継続させるものであるからである。

4:下降トレンドにおいて、総建玉が季節平均を下回って減少している場合、それはロングの清算により起きたものである。ロングの清算が終われば、下降トレンドが終わると考えられ、強気である。

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13:建玉が重要視されるその他の状況

建玉から判断できることに以下のようなものがある。

1:大きな市場の流れにおいて、建玉が一貫して増加してきた場合、その建玉が横ばいもしくは減少に転ずると、トレンド変化の早期の注意信号となることが多い。

2:高値圏で建玉の数字が大きく、かつ、その後の値下がりが激しい場合は、弱気と判断される。これは上昇トレンド末期に作られたロングが、値下がりにより含み損となり損切りをしてくるからである。価格が下がることにより売りが売りを誘い、追加証拠金回避の売りなども加わり下げが加速される。強気な市場における異常に高い建玉は危険信号といえる。

3:レンジ相場のなかで、建玉が著しく増加すると、そのレンジを抜けた後、価格の動きは加速される。レンジ相場においては、価格が上昇すると考えロング・ポジションを作る者、下落すると考えショート・ポジションを作る者がいるが、ブレイク・アウト後はどちらかが間違っていることになる。レンジ相場を抜けた初期のトレンドは間違っていたほうのパニック的な清算取引によって煽られる。また、正しかったほうは評価益を源資としてさらにポジションを積み増してくるのでさらに加速される。

4:チャート・パターンの完成時における建玉の増加は、トレンドが信頼できるものであることを示す追加的証拠となる。例えば、ヘッド・アンド・ショルダーであれば、ネック・ラインを突破するときに出来高と建玉を伴っていればより納得のいく動きとみることができる。ただし、新しいトレンドの初期段階の急な動きは、間違ったポジションを清算したことによる場合もあり、建玉が若干減少することもあることには注意しなければならない。つまり、あまり超短期間の建玉の変化にとらわれるべきではない。

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14:出来高と建玉のルールのまとめ

価格と出来高と建玉の関係などは、右表6-6を参照。

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15:ブローオフとセリング・クライマックス

相場の天井で起きる急激な動きに、ブローオフがある。ブローオフは長い上昇相場の後、さらに突然急激にラリーをはじめ取引量が急増する一方、建玉は減少することである。

相場の底で起きる急激な動きに、セリング・クライマックスがある。セリング・クライマックスは長い下落相場の後、価格が急落し取引量が急増する一方、建玉は減少することである。

二つに共通しているのが、価格が急激に動くということ、取引量が増えるということ、建玉が減少するということである。つまり、手仕舞いがかなり進みつつあるということを示している。

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16:コミットメンツ・オブ・トレーダーズ・レポート

コミットメンツ・オブ・トレーダーズ・レポートとは、前月末の建玉に関する統計のことである(外国のこと)。このレポートは、大口ヘッジャー、大口投機家、小口トレーダーの3つに分類されている。

通常、大口ヘッジャーや大口投機家は市場動向を正確に分析し把握していると考えられている(正しい分析を行っているので利益が増え大口になっていく)。逆に、小口トレーダーは市場の流れを読み誤ってきたと考えられている(間違っているから損失が増え小口トレーダーになったり、小口トレーダーのままである)。

そのため、相場参加者はいつも、大口ヘッジャーや大口投機家の動向に注意を払っている。

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17:季節要因

それぞれのグループが季節的な取引慣習をもっており、このような慣習からの乖離こそが取引姿勢に関する手がかりを与えてくれる。

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表 6-1 三要素
重要度
価格 5
出来高 3
建玉 2

表 6-2 建玉の変化
ケース 買い手 売り手 建玉の変化
ケース1 新しいロングの買い 新しいショートの売り 増加
買い手も売り手も新しいポジションを作っている。
ケース2 新しいロングの買い 過去のロングの売り 不変
買い手は新しいポジションを作り、売り手は過去のポジションを清算している。
ケース3 過去のショートの買戻し 新しいショートの売り 不変
買い手は過去のポジションを清算し、売り手は新しいポジションを作っている。
ケース4 過去のショートの買戻し 過去のロングの売り 減少
買い手も売り手も過去のポジションを清算している。
※つまり、買い手と売り手の双方が新しいポジションを作るときに、建玉は増加する。逆に、双方が過去のポジションを清算するときに建玉は減少する。
※取引終了時の総建玉の変化をみることにより、市場に資金が流入しているのか流出しているのか判断することができる。

表 6-3 出来高と建玉の増減
価格 出来高 建玉 市場 トレンド
上昇 増加 増加 強気 継続される
上昇 減少 減少 弱気 終わりに近づいている
下落 増加 増加 弱気 継続される
下落 減少 減少 強気 終わりに近づいている

表 6-4 価格と出来高とトレンド
価格 出来高 トレンド
上昇トレンド 上昇 増加 正常である。継続される。
上昇 減少 矛盾している。トレンドに疑問をもたなければならない。
下落 減少 正常である。継続される。
下落 増加 矛盾している。トレンドに疑問をもたなければならない。
下落トレンド 上昇 増加 矛盾している。トレンドに疑問をもたなければならない。
上昇 減少 正常である。継続される。
下落 減少 矛盾している。トレンドに疑問をもたなければならない。
下落 増加 正常である。継続される。
※つまり、出来高は既存の価格トレンドに対してその時点の価格の動きが同方向にあるときに増加、拡大するはずである。

表 6-5 建玉の解釈
価格 総建玉 市場 トレンド
上昇 季節平均を上回っている 強気 継続される
上昇 季節平均を下回っている 弱気 終わりに近づいている
下落 季節平均を上回っている 弱気 継続される
下落 季節平均を下回っている 強気 終わりに近づいている

表 6-6 価格と出来高と建玉の関係のまとめ
1:総出来高と総建玉だけが予測に使われる
2:建玉は季節調整される必要がある
3:出来高と建玉が増加している場合、現行トレンドは継続する可能性が高い
4:出来高と建玉が減少している場合、現行トレンドは転換する可能性が高い
5:買い圧力・売り圧力の変化は、価格より先に出来高で察知することができる
6:OBVなどは、出来高の圧力の方向を判断するために使用する
7:上方トレンドにおいて、建玉の突然の横ばいや減少はトレンド転換に対する警告となる
8:高値圏での大きな建玉は、価格が下落しはじめたときにそれを加速させる力を強める
9:レンジ相場の中で積み上がった建玉は、ブレイク・アウトしたときの力を強める
10:チャート・パターン名完成する時の出来高と建玉の増加は、チャート・パターンの信頼度をあげる

表 6-7 ブローオフとセリング・クライマックス
起きる地点 価格 取引量 建玉
ブローオフ 天井 急激に上昇 急増 急減
セリング・クライマックス 急激に下落
第7章 移動平均
1:初めに

移動平均とは、例えば、10日移動平均であれば直近10日間の終値を合計し10で割ったもののことである。移動とは常に直近の10日間だけをもって計算することをさす。そのため、平均の計算対象となる一連の数値は取引日ごとに1日ずつ前に進み、11日前の終値ははずされていく。

この移動平均はあらゆるテクニカル指標のなかで最も有効で広く用いられている。主観的で検証しにくいチャート・パターンとは違い、移動平均は数値化と検証が容易なことから、トレンド追随型のシステムの基礎をなしている。

ただし、移動平均にも問題がある。例えば、何日間の移動平均を用いるとよいのか、複数の移動平均を用いるべきなのか、計算には終値を用いるのがよいのか、どのタイプ(単純平均・加重平均・指数平滑平均)の移動平均がよいのか、などである。

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2:移動平均 タイム・ラグを伴った平準化

移動平均は本質的にはトレンド追随型の分析法である。その目的は、トレンドの開始や終了を確認したりするためにあり、湾曲したトレンド・ラインといってもよい。

トレンドを追いかけるものであり、先導するものではない。別の言い方をすると、先取りするのではなく、単に反応するものである。市場に追随し、トレンドが始まったことを教えてくれるが、あくまでも事後的にである。

移動平均は平準化の手法である。価格データを平均化することでなめらかな線を作り、トレンドを見やすくする。しかし、その性質がゆえに、タイム・ラグが生じる。

短期移動平均ほどタイム・ラグは生じにくく、値動きに敏感である。逆に、長期移動平均ほどタイム・ラグが生じ、値動きに敏感ではない。

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3:どの価格の平均をとるか

移動平均を作る際に用いられる値は、一般的に終値である。これは終値が一日の取引のなかで一番重要だと考えられているからである。

しかし、ある人は一日の値幅の中心値を用いたり、高値と安値と終値を足して3で割った値を用いたり、高値と安値を別々に平均して価格の帯にする者もいる。

移動平均の作り方は色々あるが、やはり終値を用いた移動平均が一般的である。

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4:単純移動平均

単純移動平均とは、各取引日の価格を等しく平均した移動平均のことである。例えば、10日移動平均であれば、各取引日の価格はそれぞれ10%の比重をもっている。

この移動平均の問題は、直近取引日の価格と10日前の価格が同等に扱われていることである。より直近の取引日の価格に比重を置くべきだと考える者もいる。

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5:加重移動平均

加重移動平均とは、直近の取引日の価格により重みをおいた移動平均のことである。例えば、10日移動平均であれば、10日目の価格を10倍、9日目の価格を9倍というようにしていき、それを倍数の計(55=10+9+8・・・)で割る。直近の価格に重みをおいているため、単純移動平均よりも先行した動きとなる。

この移動平均においても、平均期間の値動きのみに注意を向けているという批判がある。

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6:指数平滑移動平均

指数平滑移動平均は、直近の取引日の価格により重みをおいた移動平均であり、計算対象は一応過去全ての価格である。計算には、指数関数を使うため複雑でコンピュータの助けがいる。

この移動平均は、単純移動平均と加重移動平均の問題を解決しており、洗練されたものである。

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7:単独の移動平均線の使用

通常は、単純移動平均が最もよく使われている。使い方は、終値がこの移動平均線を上回ると買いシグナルとみる。逆に、下回ると売りシグナルとみる。また、念を入れて移動平均線自体が交差した方向へ向くことをもってシグナルの確認とする者もいる。

このとき、短期移動平均線を使うと終値は移動平均線に何度も接近し交差するため、多くの売買機会を与えるが、多くの誤ったシグナルを生むことがある。しかし、より早くトレンドを変化を教えてくれるという長所もある。

ポイントは、十分早くサインを出す程度には敏感であり、不規則なノイズを除く程度に長期の平均期間を見つけることである。

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8:長期と短期の移動平均

短期の移動平均は、値動きが保合い状態のときに有効である。方向性がない相場は、短く敏感な移動平均のほうが価格変化をとらえる機会を多くつかめる。逆に、トレンドのあるときに短期の移動平均を使うと、目先の調整でポジションを閉じたり、トレンドとは反対の取引をしてしまうことすらある。

長期の移動平均は、トレンドを形成している状態のときに有効である。日々の値動きに左右されにくい移動平均はトレンドから距離をおいて追随するため、目先の調整や保合いにとらわれることがない。逆に、トレンドが転換したときに長期の移動平均を使うと、日々の値動きに左右されにくいため、しばらくのあいだトレンドとは反対のポジションをとらされてしまうことになる。

上記のことをまとめると、トレンドが継続している間は長期の移動平均がうまく働き、トレンドが転換する過程では短期の移動平均がより有効である。

その局面にあった移動平均を使うことが重要である。また、一つの移動平均よりも二つの移動平均を使うと効果的である。

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9:単独の移動平均に用いるフィルター

だましを減らすために以下のようなフィルターをかけることは有効である。

A:価格と移動平均線の交差は、終値だけを基本とするのではなく日中の価格全てが移動平均線を超える必要がある。

B:価格と移動平均線の交差は、終値がある一定幅以上移動平均線を超える必要がある。

C:移動平均の売買シグナルを他のテクニカル指標で確認しながら使用する。

D:シグナルが出ても、1日から3日ほど時間をおくなどする。

E:移動平均線の上下にパーセント帯や変動帯などを引き、これをフィルターとする。例えば、移動平均線の上下に3%の帯を加えた場合、価格が上の3%の帯を突破したら買い、移動平均線を突破したら買ったものを売る。また、下の3%の帯を突破したらショートの売りを作り、移動平均線を上回ればそれを手仕舞う。

F:終値の移動平均線とは別に、高値と安値の2本の移動平均線を新たに作る。終値の線が高値の線を超えると買い、安値のラインを超えると売り。

これらにおいて、フィルターの基準が低い場合は効果が落ちるし、高い場合はタイミングが遅れる。

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10:2本の移動平均線の利用法

二つの移動平均線を使う場合、長期のものでトレンドを見て、短期のもので参入するタイミングをはかるのが良い。

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11:2本の移動平均線による売買シグナル

2本の移動平均線を使う場合、二つの方法がある。

A:ダブル・クロスオーバー法
短期線が長期線を上に切った時に買いシグナル、短期線が長期線を下に切った時に売りシグナルが出たとする方法である。最も一般的な組み合わせは、5日と20日、10日と40日のものである。

B:中立ゾーン
終値が短期線と長期線の2本の移動平均線より上にあれば買いシグナルが出たとし、2本の移動平均線の中間、すなわち中立ゾーンに戻ってくればポジション解消とする方法である(売りシグナルの場合は終値が2本の移動平均線の下に来たとき)。

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12:3本の移動平均線によるトリプル・クロスオーバー法

ダブル・クロスオーバー法にもう1本移動平均線を付け加えたものが、トリプル・クロスオーバー法である。最も普及している組み合わせは、4-9-18日移動平均のものである。

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13:4-9-18日移動平均法の使い方

短期の移動平均ほど現在の価格に最も近づくため、4日の移動平均が最もトレンドに近い。

上昇局面においては、上から価格・4日移動平均線・9日移動平均線・18日移動平均線の順に並ぶことになる。下降局面においては正反対の並び方である。

4日線が9日線と18日線をともに上に切ると早期買いサインが出る。買いシグナルは、9日線が18日線を上に切った時に確認される。この時、上から価格・4日・9日・18日の順番になっていることになる。

そして上昇トレンドが反転したときには、4日線が9日線と18日線の下に落ちる。これは早期売りサインとなる。売りシグナルは、9日線が18日線の下に来たときである。

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14:最適な移動平均の組合せ

3種類の移動平均線、日にちの異なる移動平均線、市場にはこれらの最適な組合せがある。

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15:メリル・リンチ社の研究成果

メリル・リンチ社が13の商品につき1970〜1976年にわたる各限月の移動平均の成果を検証した結果、以下の結論が導かれた。

A:先物価格の動きは単純なランダムではない。トレンド追随の技法が、顕著な利益を生み出しており、テクニカル分析は有用である。

B:どの市場でも常にうまく働く移動平均は存在しない。換言すると、各市場ごとに最適な移動平均が存在する。

C:長期移動平均のほうが、短期移動平均よりも成果が良い。分かれ目は、40日(8週)平均のあたりで、意外にも60〜70日(13週)平均が最適である。

D:単純移動平均が一番成果が良い。

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16:ダブル・クロスオーバー法対トリプル・クロスオーバー法

メリル・リンチ社の検証では、2本と3本の単純移動平均線では2本のほうがうまく働くという結果になった。

結局、ベストの選択は、各マーケットにフィットするよう最適化された二つの単純移動平均の組み合わせということになる。

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17:“Optimization”(最適化)の問題点

最適化することの一つの問題点は、常に最適かどうかをチェックし、場合によっては新たに最適化し直さなければならないということである。

マーケットは常に変化しているため、過去において最適だと思われていたものも、現在においては最適ではないかもしれない。

だが、最適化というのは所詮過去の動きにパラメーターを後から合わせることに過ぎないともいえる。つまり、最適化された数字は本当のマーケットでは決して試されたことがないため、過度の信頼を寄せるのは危険である。

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最良の移動平均を見つけることは終わることのない問題といえる。

18:平均線の位置

ほとんどの人は、移動平均線を直近のトレーディング日にあわせて最新の移動平均値を書き込むが、中には実際の価格データより数日先のところに最後の移動平均値を書き入れる人もいる。後者の場合、移動平均はある一定期間価格を先行しており、距離を置いて価格をフォローする。交差までにより長い時間を必要とすることになり、その分だましのサインが少なくなる。

平均線の位置を変化させることによりおもしろい可能性が開かれることもあるが、最も普通の方法は、同じ日に平均値を書くことである。

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19:平均値のCentering (センタリング)

移動平均を描くのに統計学的に正しい方法は、移動平均を中心に書くということである(センタリング)。例えば、10日平均は5日戻って書かれ、20日平均は10日戻って書かれる。

このような平均値のセンタリングは、トレンド転換のシグナルが遅れるという欠点を伴う。

今現在、センタリング手法を使っているのは、市場のサイクルを取り出す目的のサイクル・アナリストだけとなっている。

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20:サイクルと移動平均の運動

多くのマーケット・アナリストは、タイム・サイクルがマーケットの動きの中で重要な役割を演じていると信じている。

タイム・サイクルは短い5日サイクルからコンドラチェフの54年サイクルまで多く存在するが、反復的で測定可能なので、いつごろマーケットの天井または底がくるかある程度予測することができる。また、各サイクルは次に長いサイクルまたは次に短いサイクルとおのおの同調関係で結ばれていることが多い(つまり、2倍とか1/2の関係で結ばれていることが多い)。

あるマーケットにあるサイクルとそこで使うべき正しい移動平均にはなんらかの関係がありそうである。例えば、月次サイクルは商品マーケット全体を通じてもっとも有名なサイクルの一つである。月には20日前後の取引日があるが、20日サイクルはまさに月次サイクルを測るものであり、40日平均は20日の2倍、10日平均は20日の1/2、5日平均は10日の1/2である。

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21:移動平均とフィボナッチ・ナンバー

フィボナッチ・ナンバーについては後の章で詳述するが、この不思議な一連の数字、たとえば13、21、34、55等は、移動平均分析に非常にうまく使える。13週移動平均や、21日移動平均などは株や商品相場において有効である。

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22:移動平均が適用可能な時間範囲

移動平均分析がもっとも使われるのは、日足チャートにおいてである。しかし、もっと長いレンジのトレンド分析や逆に非常に短い期間のトレンドの分析にも利用可能である。

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23:結論

移動平均は単純移動平均、加重移動平均、指数平滑移動平均、2本使用、3本使用、平均期間など、組み合わせ方によって様々な手法を用いることができる。だが、この柔軟性がどの手法を選択すればいいのか当惑してしまうことにつながる。

このようなときは、シンプルに終値で計算した2本の単純移動平均で普通に分析してみるのがよい。

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24:移動平均の得失

移動平均を利用することの最大の利点は、トレンドに沿ったトレードを行うことができるということである。これは移動平均が本質的にトレンド追随型であるためだが、逆にトレンドがない状況において移動平均はあまり役に立たない。このような時は、より短期の移動平均を用いるかオシレーターのようなテクニカル指標を使うと良い。

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25:オシレーターとしての移動平均

オシレーター作成の一つの方法は、2本の移動平均の乖離を比較することである。詳しくは、第8章で行うこととする。

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26:他のテクニカル・データと移動平均の応用

移動平均は、価格だけではなくいかなるテクニカル・データにも指標にも応用可能である。例えば、建玉やOn Balance Volume等の取引量にも応用できる。

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27:週次ルール

移動平均にかわるトレンド追随手法が他にもいくつかある。最も有名で有効なものの一つが、週次価格チャネルまたは週次ルールと呼ばれるものである。この手法は、移動平均の良い点を多くもちながら作成に時間もかからず、使うにも簡単である。

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28:4週ルール

4週ルールとは以下のように行う。

A:過去4週の高値を価格が超えたときは、ショート・ポジションを閉じて、ロング・ポジションを作る

B:過去4週の安値を価格が下回ったときは、ロング・ポジションを閉じて、ショート・ポジションを作る

このルールは、シグナルが機械的で明白なものである。トレンド追随型であるため、重要なトレンドの正しい側につくことができる。また、それほど頻繁な売買を強制しないため、取引手数料が安くつく。

しかし、トレーダーはこの4週ルールで取引を行うと、常になんらかのポジションを持つことになる。この方式は連続的である。そのため、トレンドのない相場の時にはだましに引っかかってしまうという弱点がある。

しかし、4週ルールを非連続的な方式に修正することは可能である。その方法は、1週または2週といったより短い期間を追加すればよい。この短い期間のものはポジションを作るためではなくポジションを閉じるために使う。

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29:修正4週ルール

4週ルールは、トレード・システムとして利用する以外にも使い方がある。それは、トレンドのブレイクや転換を確認する指標としても使うことができる。

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30:週次ルールの最適化

週次ルールの期間は、それぞれのマーケットに合わせて調整する必要がある。4週とするのか5週とするのか、1週間のうち何曜日を週末とするのか、マーケット独自の最適化が必要である。

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31:週次ルールの期間と感度

週次ルールの期間は、リスク管理および感度改善の観点から、長くしたり、短くしたりすることができる。

例えば、価格が高値圏にある場合は、期間を短くし、感度を上げるとよい。逆に、横ばいトレンドにある場合は、期間を長くし、感度を下げると、だましにあう確立は減る。

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32:4週ルールとサイクルの関係

20:サイクルと移動平均の運動において、タイム・サイクルについて述べたが、これは週次ルールにおいても同じである。

つまり、4週ルールを調整する場合は、4から始めて、これを2で乗除していくのが最もうまくいく。期間を短くする場合は、4週、2週、1週としていき、長くする場合は、8週、16週とすればよい。

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33:週次ルールの簡潔性

4週ルールを調整することの問題は、週次ルールのもつ簡単さが失われることである。このルールは簡単で単純だが、よく機能するということに価値があるため、調整する場合にしてもあまり細かくやりすぎるのは良くない。

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表 7-1 移動平均とチャート・パターン
移動平均 数値化と検証が容易であり、システム化しやすい。
チャート・パターン 主観的で検証しにくい。

表 7-2 移動平均の説明
説明 ○日移動平均であれば直近○日間の終値を合計し○で割ったもののことである。価格データを平均化することでなめらかな線を作っている。
特徴 数値化と検証が容易であり、わかりやすい。
本質 トレンド追随型の分析法である。湾曲したトレンド・ラインといってもよい。
目的 トレンドの開始や終了を確認するためにある。しかし、トレンドに対して先導するものではなく、あくまでも事後的にである。
問題 タイム・ラグが生じること。トレンドに先導するのではなく、追随すること。何日間の移動平均を用いるとよいのか、どのタイプの移動平均がよいのかなど、有効な移動平均がどれなのか判断する必要があること。

表 7-3 短期移動平均と長期移動平均
タイム・ラグ 値動きに対して
短期移動平均 少ない 敏感である
長期移動平均 多い 敏感でない

表 7-4 移動平均の種類
名前 説明 問題点
単純移動平均 各取引日の価格を等しく平均した移動平均のことである 直近取引日の価格と10日前の価格が同等に扱われていることである
加重移動平均 直近の取引日の価格により重みをおいた移動平均のことである 平均期間の値動きのみに注意を向けているという批判がある
指数平滑移動平均 直近の取引日の価格により重みをおいた移動平均であり、計算対象は一応過去全ての価格である 単純移動平均と加重移動平均の問題点を解決しているが、計算方法が複雑である
※指数平滑移動平均が最も洗練されており、機能しそうであるが、ある研究では単純移動平均が最も機能するという結果になっている。

表 7-5 短期移動平均と長期移動平均
ノイズ 反応 有効な使用方 注意点
短期移動平均 多い 敏感である 保合い相場の時に使うとよい。 トレンドのある相場で使うと、日々の値動きに敏感なためトレンドとは反対のポジションをとることになる。
長期移動平均 少ない 敏感ではない トレンドのある相場の時に使うとよい。 トレンドが転換するときに使うと、日々の値動きに敏感ではないためしばらくの間、反対のポジションをとることになる。

表 7-6 移動平均線のフィルター
フィルター 注意点
A:価格と移動平均線の交差は、終値だけを基本とするのではなく日中の価格全てが移動平均線を超える必要がある。 移動平均線が本来発するシグナルから遠ざかる。
B:価格と移動平均線の交差は、終値がある一定幅以上移動平均線を超える必要がある。つまり、突破基準を作る。 基準が低いと効果が落ちる。高いとタイミングが遅れる。
C:移動平均の売買シグナルを他のテクニカル指標で確認しながら使用する 移動平均線が本来発するシグナルから遠ざかる。
D:シグナルが出ても、1日から3日ほど時間をおくなどする。 時間を短いと効果が落ちる。長いとタイミングが遅れる。
E:移動平均線の上下にパーセント帯や変動帯などを引き、これをフィルターとする。 移動平均線が本来発するシグナルから遠ざかる。
F:終値の移動平均線とは別に、高値と安値の2本の移動平均線を新たに作る。 移動平均線が本来発するシグナルから遠ざかる。

表 7-7 移動平均線による売買シグナル
名前 買いシグナル ポジションを持たないとき 売りシグナル 備考
A:ダブル・クロスオーバー法 短期線が長期線を上に切った時 なし 短期線が長期線を下に切った時 この方法では、常に市場に参入していることになる。
B:中立ゾーン 終値が短期線と長期線より上にある時 終値が短期線と長期線の間にある時 終値が短期線と長期線より下にある時 この方法では、常に市場に参入している必要はない。
C:トリプル・クロスオーバー法 短期線が中期線と長期線を上に切った時

中期線が長期線を上に切った時
なし 短期線が中期線と長期線を下に切った時

中期線が長期線を下に切った時
この方法では、常に市場に参入していることになる。

表 7-8 4週ルール
方法 ・過去4週の高値を価格が超えたときは、ショート・ポジションを閉じて、ロング・ポジションを作る

・過去4週の安値を価格が下回ったときは、ロング・ポジションを閉じて、ショート・ポジションを作る
調整 期間を調整する場合、4から始めて、これを2で乗除していくのが最もうまくいく。短くする場合は、4週から2週へ、長くする場合は、4週から8週へするとよい。
メリット ・シグナルが機械的で明白なものである。

・トレンド追随型であるため、重要なトレンドの正しい側につくことができる。

・それほど頻繁な売買を強制しないため、取引手数料が安くつく。
デメリット ・常になんらかのポジションを持つことになり、トレンドのない相場ではだましにあう確率が増す

・天井または底を見つけることができない
8章 オシレーターと反対意見
1:初めに

前章までで扱ってきた内容はトレンド追随型のもので、新しいトレンドを予測したり、トレンドの開始を認識したりするものであった。

この章では、オシレーターを扱うが、これは主にトレンドのない相場において、価格が一定の幅の中を上下するような状況で役に立つものである。しかし、トレンドのない相場においても前章までのテクニカル分析手法と併用することにより、短期的なマーケットの過熱感(オーバーソルドとかオーバーボート)を警告してくれたりするもする。

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2:トレンドとの関連でみたオシレーターの利用法

オシレーターは基本的なトレンド分析には劣後する二次的な指標である。威力を発揮するのは、相場が横ばいトレンドにあるときである。また、トレンドが終わりに近づいてきたときにも、価格自体の動きよりも前にそれを教えてくれる。

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3:オシレーターの読み方

オシレーターの読み方・使い方は、どれも似たり寄ったりで簡単である。ほとんどのオシレーターは、上下に二分する中間値があり、それより上であれば買われすぎ、下であれば売られすぎを示すものとなる。

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4:解釈の一般的ルール

オシレーターの値が帯の上限あるいは下限のどちらかに近づいたときは、価格の動きは行き過ぎであり、なんらかの調整が起こることを示唆している。また、ゼロ・ラインとのクロスは、よく売買のシグナルとして使われている。

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5:オシレーターの三大使用法

すでに、3や4で一度述べたことであるが、オシレーターがうまく働く状況が3つあり、ほとんどのオシレーターで当てはまる。表の8-2を参照。

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6:モーメンタムの計測法

モーメンタム(勢い)の概念は、オシレーター分析の最も基本的な応用である。これは二つの時点での価格差を計測し、実際の価格水準ではなく価格の変化率を測るものであり、一定期間中の価格の変化を連続的にとることで計測される。短い期間のほうがより敏感である。

例えば、10日のモーメンタム・ラインを引くときは、直近のクローズ価格から10日前のクローズ価格を引けばよい。その結果を正の値か負の数字になるかによってゼロ・ラインの上下に書き込んでいく。直近の価格が10日前より高ければゼロ・ラインより上に正の値が書き込まれ、低ければゼロ・ラインより下に負の数字が書き込まれる。

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7:相場の上昇・下落度を測るモーメンタム

モーメンタムは、一定期間にわたって価格差をプロットすることで、上昇あるいは下落の度合いを知ることができる。

価格が上昇しなおかつモーメンタム・ラインがゼロ・ラインより上で上昇していれば、上昇トレンドが加速しつつあることを意味する。そして、上昇してきたモーメンタム・ラインが徐々に水平になってきたら、直近のクローズ価格の上昇が10日前と同じになってきたことを意味する(上昇率が落ちてきたことを意味する)。ゼロ・ラインのほうへモーメンタムが落ちてきたら、価格はまだ上昇しているが、上昇トレンドの力は失いつつあることを意味する。

モーメンタム・ラインがゼロ・ラインを割り込むと、直近の終値が10日前より低く、目先の下降トレンドが始まったことを意味する。また、モーメンタム・ラインがゼロ・ラインの下でさらに下落し続けると、下降トレンドが加速してることを意味する。

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8:モーメンタム・ラインは価格の動きに先行する

モーメンタム・ラインは常に価格の動きに一歩先じる。価格の上昇・下降を2,3日前に先取りし、トレンドがまだ続いていてもモーメンタムは水平になる。そして、ようやく価格が水平になった時にはモーメンタムは反対方向へと動き始める。

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9:ゼロ・ライン・クロスは売買のシグナル

多くのチャーティストは、ゼロ・ラインのクロスを売買のシグナルとして使っている。ゼロ・ラインを上方へ切ると買い、下方へ切ると売りである。

オシレーターは二次的な指標であり、基本的には前章までのトレンド分析の考え方を重視することを忘れてはならない。相場が上昇トレンドにありモーメンタム・ラインがゼロ・ラインを上方へ切った時に買いとするべきである。逆に、相場が下降トレンドにありモーメンタム・ラインがゼロ・ラインを下方へ切った時に売りとすべきである。

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10:上下境界線の必要性

オシレーター分析の効用の一つは、ラインがどの地点を超えたらマーケットが買われすぎなのか、売られすぎなのかがわかるというところにある。モーメンタムではどのへんをいうのか、以下に二つの方法で判別することができる。

どの部分にラインが達すれば行きすぎなのかを判別するには、過去の価格とラインを目で見て調べるとわかる。

また、モーメンタム・ラインを標準化すると言う方法もある。そのためには、モーメンタムの値が-1から+1の間になるように定数で割ればよい。そして、一度上下の境界線を決め、その間の中でどの部分に達すれば行き過ぎの状態なのかを判断するとよい。例えば、ゼロ・ラインから何%離れたらとか、全データの95%がその中に入るようなゼロ・ラインの上下に標準偏差をとったりする方法がある。

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11:変化率 (ROC : Rate of Change) の測定

直近の終値と過去のある一定日数以前の価格との比率を計算したものに、変化率(ROC)というものがある。

例えば、10日間のROCであれば、直近の終値を10日前の終値で割り、それに100を掛けると計算できる。この場合、100の線がゼロ・ラインとなる。

直近の終値が10日前より高い場合ROCは100より上になり、低い場合100より下になる。

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12:2本の移動平均線を使ったオシレーター測定法

二つの移動平均線の組み合わせで2種類のオシレーター・チャートを作ることができる。作り方には2種類ある。

最も一般的な方法は、二つの移動平均線の差を度数分布として表す方法である。この度数分布は正負によりゼロ・ラインの上下に描かれる。この種のオシレーターには三つの使用法がある。

1:現状の乖離を確認する手助けとなる
2:短期平均が長期平均から著しく離れたのを確認することで、長期のトレンドから短期の動きを切り離してとらえる手助けとなる
3:オシレーターがゼロ・ラインをクロスするのを注視することで、移動平均線の交差を正確に位置づけることが可能である。

二つ目の方法は、二つの移動平均線の差を絶対値ではなく比率で表す方法である。この比率は、短期の平均を長期の平均で割ると求めることができる。どちらの場合でも、短期線は長期線の上下を推移するので、いわばゼロ・ラインに相当する。短期が長期を上回れば強気、下回れば弱気である。

二つの移動平均線が離れすぎた場合、市場は行き過ぎ状態にあり、トレンドはしばらく休止する。そして、短期線が長期線に戻るまで膠着状態になる。普通、戻ってきたところが買い場(売り場)となるが、クロスしてしまうとトレンド転換の合図となる。

二本の移動平均はトレンド分析だけではなく、目先の相場の行き過ぎ感を知るのにも役立つ。

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13:オシレーター解釈

オシレーターの持つ意味や重要な乖離の概念をまとめると以下のようになる。

A:ゼロ・ラインの横切り
オシレーターの簡単な利用法は、ゼロ・ライン(中間点)を売買の契機として使う方法である。ゼロ・ラインを上方に切れば買い、下方に切れば売りである。この手法は、トレンドの方向に沿った取引のシグナルとして使うのが最も効果的である。

B:境界域分析あるいはオシレーターの行きすぎについて
オシレーターの境界線(設定されているものとされていないものがある。また、通常買われすぎ売られすぎの水準というものが一般化されていたりする。)は、相場の行きすぎを判断するために利用できる。

C:“乖離” (Divergence) の重要性
オシレーター分析の最も価値ある利用法は、乖離を注意深く観察することである。乖離とは、価格とオシレーター・ラインがともに反対方向に動いていくことである。

例えば、上昇トレンドでは価格は上昇しているが、オシレーターではそれを確認できないような状態のことである。このような場合は通常、トレンドが終わりに近づいていることを示しており、弱気の乖離と言われる状態である。

下降トレンドでは価格は下落しているが、オシレーターではそれを確認できないような場合である。これもトレンドの終わりを示しており、強気の乖離と言われる状態である。

おのおのの場合、オシレーターの形はダブル・トップまたはダブル・ボトムの形に似ている場合が多い。また、乖離が起きたときそれがどの領域で起きたかにも注意を払うべきである。通常、乖離(強気または弱気)が買われすぎや売られすぎを示す危険領域で起きた場合、重要な警告となることが多い。

また、価格の動きに先立ってオシレーター・ラインが顕著な山や谷を破るような乖離にも注意すべきである。上昇トレンドにおいて、オシレーター・ラインが山と谷を繰り返していたとき、それまでの谷を割ると、下降トレンドへの転換を示唆していると考えられる。下降トレンドにおいては、それまでの山を越えたとき、上昇トレンドへの転換を示唆していると考えられる。

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14:The Relative Strength Index (RSI)

RSI(相対力指数)は、1978年にWelles Wilderによって開発された人気のあるオシレーターである。

計算方法は以下のようにおこなう。

RSI=100-〔100/(1+RS)〕
RS=上昇終値のX日平均/下落終値のX日平均

例えば、計算期間を14日間とすると、上昇値の平均を求めるには、14日間のうち上昇して終わった日の上昇幅の合計を14で割ればよい。下落値の平均は、下落して終わった日の下落幅を14で割ればよい。RSは、上昇値の平均を下落値の平均で割ればよい。これを、RSIを求める式に代入すると、RSIを求めることができる。

期間は短くするとより敏感になり振幅が大きくなる。長くすると、振幅は小さくなる。

自分で計算してもよいが、証券会社などで無料で提供されている場合が多い。

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15:RSIの読取り方

RSIは0から100までの縦軸に合わせてプロットされるが、70以上を買われすぎ、30以下を売られすぎとしている。ただし、9日間など期間の短いものは、80以上を買われすぎ、20以下を売られすぎとしている。また、非常に強い相場では80以上を買われすぎ、非常に弱い相場では20以下を売られすぎとしている。

RSIを作ったWelles Wilderによると、70以上または30以下で起こるFailure swingsや価格との乖離が唯一最も暗示的特徴としている。

Failure swingsまたは価格との乖離:非常に強い相場(または弱い相場)においては、相場のかなり早い段階でオシレーターは買われすぎや売られすぎの兆候を示す。だが、それをもって相場が行きすぎであると考えるのは早計で、そのままの状態でさらにしばらく続くのが常である。だが、二度目にオシレーターが買われすぎや売られすぎの危険領域に入ったときには注意する必要がある。二度目の動きで価格が新高値や新安値をつけることができなかったら(オシレーターはダブル・トップやダブル・ボトムを形成)、現在の相場の動きに注意する必要がある。もし、オシレーターが反対の方向に動き、前回の高値あるいは安値を切ったら、そこで乖離あるいはFailure swingsが確認されたことになる。このような場合には、ポジションを閉じるか固めのストップ・オーダーを設定しておくほうがよい。

また、オシレーターにも価格と同様に、サポート・ラインやレジスタンス・ラインを引いてトレンド分析をすることは有意義なことである。

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16:70と30が売買のシグナル

オシレーター・チャートにおいて、70以上は買われすぎ、30以下は売られすぎとされている。

ラインが30を割って売られすぎになったあと30のラインを超えると買いシグナルとなる(70を超えてダブル・トップを形成したようなときも同様である)。ラインが70を超えて買われすぎになったあと70のラインを割ると、売りシグナルとなる(30を割ってダブル・ボトムを形成したようなときも同様である)。

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17:ストキャスティックス

ストキャスティックスは、George Laneにより開発されたオシレーターである。%Kラインと%Dラインの2本からなり、主要な相場転換シグナルを発生するものである。

計算方法は以下のように行う。%Dラインは%Kラインをさらに短い期間で修正したなめらかなラインである。

%K=(当日終値-N日間の最安値)÷(N日間の最高値-N日間の最安値)X100

%D=(当日終値-N日間の最安値)のH日間の合計÷(N日間の最高値-N日間の最安値)のH日間の合計X100

ストキャスティックスの読み方はその他のオシレーターと同じく、70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎとなる。最高の買いシグナルは%Dラインが85から90のときに現れる。最高の売りシグナルは、%Dラインが10から15のときに現れる。

弱気の乖離は、%Dラインが70以上の水準にあり価格が上昇しつつあるなかで、%Dラインが右下がりのピークを二つ形成するときに生じる。強気の乖離は、%Dラインが30以下の水準にあり価格が低下しつつあるなかで、%Dラインが右上がりのボトムを二つ形成するときに生じる。実際に売買シグナルが出るのは、これらの条件が整った後、%Dラインが方向転換した後、%Kラインが%Dラインと交差したときである。

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18:動きを遅くしたストキャスティックス

多くの投資家が動きを即したストキャスティックスを使用している。この場合、%Dラインを新しい%Kラインとし、この%Kラインの3日間の移動平均線を新たな%Dラインとする。この組み合わせのほうがよりよいシグナルを生み出すと考えられている。

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19:ラリー・ウィリアムズ(Larry Williams)の%R

ラリー・ウィリアムズの%Rは、一定期間の価格変動幅のなかで直近の終値が相対的にどのレベルにあるかを測定するものである。一定期間の最高値から本日の終値を差し引き、その差額を同一期間の価格変動幅で割ったものである。

オシレーターの目盛りは、20から上の領域で買われすぎ、80から下の領域で売られすぎを意味する。使い方は今までのオシレーターのものと同じく、買われすぎや売られすぎの状態においての価格との乖離が重要なポイントとなる。

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20:相場の周期に応じた期間の選択

ラリー・ウィリアムズの%Rは、市場ごとの相場の周期に対応できる(周期の考え方については前章を参照)。通常、相場の周期の2分の1がオシレーターの期間に使用される。考えられるオシレーターの期間は、暦日の14日間、28日間、56日間をベースに、5日間、10日間、20日間である。

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21:トレンドの重要性

オシレーター分析はあくまで補助的なものであることを再確認する必要がある。つまり、前章までの基本的なトレンド分析がまず第一であり、その補助的なものとしてオシレーター分析を利用すべきである。

オシレーター分析による買いシグナルはトレンドが上昇トレンドにあるときに有効である。上昇トレンドにあるなかで買い場を探るためにオシレーター分析を利用すべきである。オシレーター分析による売りシグナルはトレンドが下降トレンドにあるときに有効である。下降トレンドにあるなかで売り場を探るためにオシレーター分析を利用すべきである。

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22:オシレーターが最も有効な時

オシレーターは、市場での動きが小さく、数週間また数ヶ月にわたって価格が横ばいで動くような時に最も有効に使うことができる。このような時、価格の山と谷が、オシレーターの山と谷に正確に一致してくる。そして、価格とオシレーターが平行して動くため、両者は同じ形に見える。

しかし、いつかは価格が大きく動き出し、新しい上昇トレンドまたは下降トレンドが始まる。この時、価格の最初の動きの段階でオシレーターはすでに極端な水準に達することとなる。この場合、オシレーターは買われすぎや売られすぎを示しているため、トレーダーはポジションをどうすればいいのかわからなくなる。こうした場合、オシレーターはその間ずっと極端な水準を維持し続けるため、オシレーターはしばらく無視して、基本的なトレンド分析をすべきである。

そして、トレンドがまた成熟してきたときにはオシレーターを利用すればよい。

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23:移動平均・収斂・乖離トレーディング手法 (MACDTM)

Signalert Corporation社が開発したオシレーターでMACDTMというのがある。これは2本の指数平滑移動平均線を使ったものである。

最も理想的な買いシグナルは、早い線が遅い線を上に切り、両方の線がゼロ・ラインを上に切った時である。売りシグナルは、早い線が遅い線を下に切り、両方の線がゼロ・ラインを下に切った時である。

このオシレーターについても、価格との乖離やトレンド・ラインを使用することができる。

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24:オシレーターとしての累計取引量

前章のOBV(On Balance Volume)はオシレーターとしても利用することができる。作成は、累計取引量線の移動平均を2種(3日間と10日間)求め、ゼロの線の上下に柱状グラフとして描き直せば可能である。

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25:コンピュータ・・・ソフトウェア

割愛

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26:反対意見ー逆説主義の原理

オシレーター分析は、相場の行きすぎの研究である。相場の行きすぎを測定する理論のうち、最も広範に支持されているのが、逆説主義の原理である。これは一般的にはテクニカル分析の一部として分類されているが、むしろ心理学分析に近いものがある。

逆説主義の原理は、大多数の人々が同意していることは、何事によらず通常まちがっているということにある。そこで、逆説主義者の最初の仕事は、大多数が何を考えているかを見極めることにある。そして、その上で逆に行動するのである。

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27:強気一致指数の解釈

強気一致指数とは、プロたちの強気度や弱気度を測定したものである。80を超えると市場には強気の者が多く買われすぎ、20を下回ると市場には弱気の者が多く売られすぎとなる。

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28:逆説主義は残っている買い圧力、売り圧力を測定する

一般的に、専門家は常に間違っているというのが逆説主義の前提である。表面的には、特に相場の転換期についてみれば、こうした見方で至極当然と思われるが、この理論の実際はもっと難解なものである。

ある個人が愛読している情報誌を見て、相場は上昇すると確信したとする。その確信が強いものであればあるほど出動意欲は強くなる。そこで、いったん資金を全て市場に投入してしまうと、買い過ぎの状態となり、追加的投入資金はなくなる。

この状態を全市場参加者に広げてみる。もし、80%とか90%の参加者が強気でこれらの者はすでに市場でポジションを持っていたとする。この場合、相場を買い上げていく余力を持っている投資家はほとんど残されていないことになる。

これらの例が逆説主義を理解する一つの鍵である。つまり、市場のセンチメントが圧倒的に買いとか売りになったとき、そのトレンドを維持していく買いや売りの余力はもはや残っていない。

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29:逆説主義は強者と弱者を測定する

逆説主義は、強者と弱者を比較することができる。市場でロング・ポジションの者がいれば、必ず反対にショート・ポジションの者がいる。トレーダーの80%がロング・ポジションであれば、残りの20%はショート・ポジションである。このことは、20%のトレーダーは80%のトレーダーを吸収する資金力を持っていることを意味する。つまり、ショート・ポジションを持っている者は資金力が十分にある強者であり、ロング・ポジションを持っている者は弱者であると考えられる。

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30:強気一致指数のその他の特徴

強気一致指数の平均的な均衡点は、55%である(大衆は常に強気傾向にあるため)。そして、最高は90%、最低は20%である。

逆説主義者は、強気一致指数が90%以上か20%以下の時にポジションを取る。この場合、あえてトレンドに逆らった行動をとるに足るほど他の全ての参加者の相場観が極端になっているからである。

また、80%以上や30%以下のときは、警戒ゾーンといえる。

一般的に、1週間で5%の方向変化が認められたならば、逆説主義的トレードを考慮するに十分な価値がある。

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31:建玉の重要性

建玉も強気一致指数を使う上で役立つ。一般的に、建玉が大きければ大きいほど、逆説ポジションの収益機会が高まる。しかし、建玉が増加しつつある間は、逆説ポジションをとってはならない。なぜなら、建玉が継続的に増加している時は、現状トレンド継続の可能性が高いからである。したがって、建玉が横ばいになるか、減少しだすまでは行動を控えたほうがいい。逆説主義は、建玉の大部分が、弱者と考えられるトレーダーに保持されているとき、最も効果を発揮する。

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32:ファンダメンタルなニュースに対する市場の反応に注目

ファンダメンタル的なニュースに対する市場の反応には十分注意する必要がある。

買われすぎの状態で強気のニュースに反応がなければ、相場転換が近いことの明白な警報といえる。次に、弱気のニュースが出れば、相場はすぐに反転するだろう。

逆に、売られすぎの状態で弱気のニュースに反応がなければ、すでに現状の安値が悪材料を全て織り込んだ状態であることを示していると考えられる。次に、強気のニュースが出れば、相場はすぐに反転するだろう。

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33:逆説主義と他のテクニカル分析手法の併用

一般的法則として、一致指数が極端な水準に達するまでは一致指数のトレンドと同一方向にトレードすればよい。そして、極端な水準に達したならば、一致指数をトレンド転換のサインを見るために使えばよい。この時、5%の方向転換は重要である。また、一致指数をトレンド転換のサインを見るために使うとき、支持線、抵抗線、トレンド・ライン、乖離などの考えは役に立つ。

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34:強気一致指数の戻し

強い上昇トレンドの中で、買われすぎの領域から下方への戻しがあるとき、50%近くで支持されることが多い。もし、支持されなかった場合はトレンド転換の警告と考えたほうが良い。下降トレンドにおいても同様に、売られすぎの領域からの戻しは50%近くで支持されることが多い。

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35:結論

最終的に、一致指数を利用するかどうかは個人によるが、チェックすることは有意義なことである。


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表 8-1 前章までのテクニカル分析とオシレーター
利用できるとき 備考
前章までのテクニカル分析 トレンドのある相場 トレンドのない相場においてはだましにあう確率が高い。
オシレーター トレンドのない相場 トレンドのある相場で、そのトレンドが終わりに近づいてきたときにも有効である。

表 8-2 オシレーターの使い方
使うとき 何を示すか
1:オシレーターの値が上限または下限に近づいたとき。 上限の場合は買われすぎを示し、下限の場合は売られすぎを示す。
2:オシレーターの値が極端な状況で、価格の動きとの乖離が起こったとき。 今後、価格が動く重大な警告である。
3:オシレーターがゼロ・ラインをクロスしたとき。 重要な売買シグナルとなる。
第9章 イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャート
1:初めに

20世紀に入る前に株式トレーダーによって使われていた最初のチャート・テクニックは、ポイント・アンド・フィギュアである(ウォール・ストリート・ジャーナル氏が毎日、株価の高値、安値、終値の掲載を始めたのが1896年で、これがバー・チャートの初めと考えられている。ポイント・アンド・フィギュアはこれより15年は早く世に出ていた。)。

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2:ポイント・アンド・フィギュア対バー・チャート

ポイント・アンド・フィギュアとは、純粋に価格変動の研究である。つまり、価格の変化に対応する時間を考慮しない。

一方、バー・チャートは、縦軸に価格、横軸に時間をとって作成される。

二つの重要な違いは、取引量の扱いである。バー・チャートでは取引量が価格の下に記録されるが、ポイント・アンド・フィギュアでは取引量を全く別の物として無視する。この、別の物としてという意味が重要である。だが、ポイント・アンド・フィギュアのチャート上に取引量が記入されないからといって、必ずしも取引量や取引活動の意義が完全に失われていることにはならない。それどころか、イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャートは全ての価格変動を記録するので、取引量の多少はチャート上の価格変化の量にそのまま反映される。取引量はサポートやレジスタンスの強さを決める最も重要な要素であるから、どの価格水準での取引が活発であったかをみることができるポイント・アンド・フィギュア・チャートは、重要なサポート、レジスタンスを決定するのに特に有益であるといえる。

ポイント・アンド・フィギュアの長所は、トレンド・シグナルを正確かつ容易に見極められることと柔軟性にある。

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3:ポイント・アンド・フィギュア・チャートの感応度の調整

ポイント・アンド・フィギュア・チャートは、反転の基準とするボックス数を減らせばより敏感になり、増やせば鈍感になる。

1ボックス・リバーサルは短期、5ボックス・リバーサルは長期の価格変動の研究に利用すると良い。

また、ボックス自身の大きさを変えることによっても感応度を変更することが出来る。より小さな値にすることで、感応度が高くなる。

このように、ポイント・アンド・フィギュア・チャートはパラメーターを変化させることができ、柔軟性に富んでいる。

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4:イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャートの作成

イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャートはポイント・アンド・フィギュア・チャートの原型である。このチャートの目的は、値動きを1ポイントといえでも必ず記録することにある。各ボックスとも1ポイントの価値が与えられ、どちらの方向への動きも1ポイントごとに記録される(ただし、ボックスの価値は異なる商品市場に合わせて調整されることが多い)。

まず初めに、ポイント・アンド・フィギュア用のチャート用紙を手に入れる必要がある。手に入らなければ、5ボックスごとに太線で、1インチ10個ます目のチャート用紙が代用できる。ボックスの大きさにルールはないが、1インチ10ボックスが適当と思われる。もっとも、価格変動を記録するのに十分な大きさであれば、後は好みの問題である。

次に、ボックスの大きさ(チャート上の各ボックスに割り当てられる単位)と、反転に必要なボックス数(右隣のコラムに移行して方向転換を記すために必要なボックス数)を決めなければならない。ボックスの大きさと反転基準が、ポイント・アンド・フィギュア・チャートの形を変化させる全てである。

昔から、1ボックス・リバーサル(短期)、3ボックス・リバーサル(中期)、5ボックス・リバーサル(長期)の3つがよく使われてきた反転基準である。どれを基準にするか迷ったときは、1ボックス・リバーサルから作り始めるとよい。この場合、後から3ボックス・リバーサルや5ボックス・リバーサルを作ることは可能である(逆に、5ボックス・リバーサルや3ボックス・リバーサルから1ボックス・リバーサルを作ることはできない)。

ポイント・アンド・フィギュア・チャートでは、ギャップは無視されてきた。ただし、任意でギャップの部分を空けておくことは可能である。

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5:参考時間表示点

参考点は、任意で自由につけることが出来る。1月であればJ、2月であればFなどをチャート上に記したりするのがよい。ただし、このような記入はチャートの解釈とはほとんど関係が無いため、記入しなくても良い。

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6:密集価格帯分析

イントラ・デー・1ボックス・リバーサルの最も際立った特徴は、密集価格帯の存在である。これは、一定の上値と下値の間を、水平あるいは横に価格が変動する期間をさす。実際、密集帯が目に見えるということが、このチャートの最大のメリットである。

密集価格帯の目的は、最終的チャート・ブレイクの方向を前もって決定するのを助けることである。密集帯のなかのどこで多くの取引が生じたかを見るのがよい。レンジの最上部であれば売り、最下部であれば買いを示している。また、密集帯の範囲が広い場合、直近の取引ほど重みを持つ。例えば、初めの密集帯はレンジの上部であったが、直近では下部であったとすると、強気パターンとなる。

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7:水平カウント

イントラ・デー・1ボックス・リバーサルのもう一つの長所は、水平カウントにより、価格目標を得られることである。

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8:ポイント・アンド・フィギュア・チャートにおける水平計算

水平カウントの原理は、密集価格帯の幅とチャート・ブレイク後の値動きは直接関係があるという前提に基づいている。

計算方法は、まず天井や底値圏が確認されたら、単に天井や底値圏のコラム数を数えるだけでよい。例えば、コラム数が20であった場合、測定地点から上か下に20ボックスとなる。

重要なのは、どのラインのコラムの数を測定するかである。通常は、密集帯の中央近辺の水平線に沿ってコラムを数えるが、より厳密に言うと、空白のボックスが最も少ない水平線を用いることとなる。別の表現をすれば、Xや○の数が最も多いラインということになる。一度、正しいラインを決めたら、その水平線に沿ってたとえ空白のコラムがあったとしても、全てのコラムをカウントすることが重要である。

そして、いったん新しいトレンドが始まると、次の密集帯が初めの計算を確認するために用いられる。

これらで得られるものは、チャート・パターンの目標価格と同じく、可能性として考えられる概算値にすぎないことには注意すべきである。

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9:価格パターン

ポイント・アンド・フィギュア・チャートでは、パターン認識も可能である(ギャップ、フラッグ、ペナントなどは存在しない)。

見方は、普通のチャート・パターンのものと同じであり、ダブル・トップやトリプル・トップ、ヘッド・アンド・ショルダー、V字、ソーサーなどが多い。

ダブル・ボトムやトリプル・ボトムの場合、支点が重要である。支点とは大きな上昇や下降の後に発生して、蓄積底や分散天井を形成する明確な密集帯のことである。この部分は、サポートやレジスタンスとしても機能する。

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10:トレンド分析とトレンド・ライン

イントラ・デー・チャートのトレンド・ライン分析は、初めの頃の章でやったチャートのものがそのまま適用できる。上昇トレンド・ラインは連続的な安値に下に引き、下降トレンド・ラインは連続的な高値の上に引く。トレンド・ラインと平行なチャネル・ラインもまた利用できる。ただし、次でやる修正ポイント・アンド・フィギュアでは当てはまらない。

また、トレンド分析の基本的概念も適用できる。価格上昇が前回の高値を超えることが出来なければ、トレンド転換の最初の警告である。下降トレンドにおいて、前回の安値を価格が下回ることが出来なかった場合も同様に、トレンド転換の最初の警告となる。

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11:サポートとレジスタンス

水平な密集帯の存在は、有力なサポートやレジスタンスがどこにあるか教えてくれる。ポイント・アンド・フィギュアは、サポートやレジスタンスの水準だけでなく、そこで生じた出来高をも教えてくれる。

上昇トレンドでは、前の密集範囲が価格下落時のサポートとなる。下降トレンドでは、前の密集範囲が価格上昇時のレジスタンスとなる。

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12:ストップ

ストップはトレードで成功するために最も重要なことの一つである。普通のチャートでは、サポートの下や、ギャップや、トレンド・ライン近辺にストップをおくと、時には大口トレーダーに狙われたりする場合もあるが、イントラ・デー・ポイント・アンド・フィギュア・チャートを使うと目立たない位置にストップをおくことが可能である。

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13:結論

ポイント・アンド・フィギュアは短期のトレードにおいて非常に有効であるが、長期のトレードにおいても使用することは可能である。期間に合わせて、ボックスの大きさや反転基準を変えればよい。しっかり機能するボックスの大きさや反転基準は、使用者が自ら実験して決定していかなければならない。

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14:ポイント・アンド・フィギュアのチャートとデータの入手

割愛


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表 9-1 ポイント・アンド・フィギュアとバー・チャート
名前 説明
ポイント・アンド・フィギュア 価格の変化のみ記録される
バー・チャート 縦軸に価格、横軸に時間をとって記録される
第10章 3枠反転基準と最適ポイント・アンド・フィギュア
1:初めに

3枠反転ポイント・アンド・フィギュア・チャートは新聞などに載っている価格情報だけで作成と更新が可能である。1日のうちに3枠反転が起きることはほとんどないため、1日の高値と安値がわかれば作成できる。

1枠反転では、日中の値動きを知る必要があるが、3枠反転はその代替であり、中期のトレンド分析に向いている。

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2:3枠反転チャートの作成

チャートの作成は比較的簡単である。まず目盛りと1枠の値幅を決める必要がある。そして、価格が上昇したときは○、下落したときはXをつけていく。前のコラムがX(上昇)の時は、その日の高値をみればよい。もし、その高値が次のボックスをうめるのに十分であれば、その分だけXを書く。注意すべき点は、整数部分だけで枠を満たさなければならないことである。小数部分をもって枠の一部だけを満たすことは出来ない。翌日以降も同様に繰り返す。いずれ高値が次枠をうめるほど上昇しなくなる時がくる。その時は安値をみて、下落方向へ3枠分動いているかをみる必要がある。もし動いていれば右のコラムへ移動して、一つ下から3枠を○でうめる。今度は、同じように安値を見ていく。

時に、○もXもつけられない日があるが、ポイント・アンド・フィギュアは純粋に価格の変動を表したもので時間は考慮していないため、正常である。また、同じ日に○とXを両方つけることは出来ず、どちらか一方だけである。

また、ある日の高値は次枠をうめるに十分であり、同じ日の安値は逆方向に3枠以上動いているような場合がある。このような時、規則では高値の分だけXを書き、安値は無視することになる。ただし、トレーダーが自分の方法でそのことを記入しておくのがよい。

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3:チャート・パターン

市場に参加する時は、単純なサインでも複雑なサインでもどちらを利用しても良い。だが、すでに持っているポジションを閉じる時は、逆方向を示す単純なサインが出たら、その時点でポジションを閉じるべきである。

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4:トレンド・ラインの引き方

3枠反転のポイント・アンド・フィギュアのトレンド・ラインは、45度の角度で引くことが前提となる。チャートが凝縮されたものであるため、必ずしも高値同士、安値同士を結ぶ必要は無い。

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5:基本的な強気支持線および弱気抵抗線

強気支持線(上昇トレンド・ライン)は、最も低い○枠から右上方へ45度の角度で引いたものである。この線の上で価格が推移している限り、主要トレンドは強気となる。

弱気抵抗線(下降トレンド・ライン)は、最も高いX枠から右下方へ45度の角度で引いたものである。この線の下で価格が推移している限り、主要トレンドは弱気となる。

また、これらの線は時に修正が必要となることもある。例えば、強気支持線を価格が下回り、すぐにまた上に戻った時などである。このような場合、下回った部分の底から新たに線を引きなおす必要がある。他に、上方への力が強すぎ、支持線と価格が大きく乖離した場合にも、より価格の動きに沿った支持線を引きなおすべきである。

トレンド・ラインのブレイクは、完全に抜ける必要がある。Xや○がトレンド・ラインのちょうど上にきたというのではブレイクにはならない。

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6:チャネル・ライン

トレンド・ラインに並行してチャネル・ラインを引くことが出来る。ただし、トレンド・ラインに比べて信頼性は低い。

上昇トレンドのチャネル・ラインの引き方は、最も左にある○コラム(この○コラムは二つ以上の○を含むものでなければならない)から45度の角度で引かれたトレンド・ラインに並行して引く。下降トレンドの場合は、○がXになる。

チャネル・ラインの使い方は、利食いに使うのがよい。例えば、上昇トレンドであれば、トレンド・ラインでポジションを作り、チャネル・ラインに到達したら利食いするなどに使える。ただし、チャネル・ラインに到達した時に、トレンドと逆行するポジションを作ってはいけない(上昇トレンドであれば売りポジション)。あくまでも、トレンドに沿ったポジションを閉じるために使うべきである。

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7:目標価格のテクニック

3枠反転については、水平測定法と垂直測定法の2種類の方法がある。

水平測定法は、パターンの底(天井)のコラムの数を数え、その数と反転の基準枠数をかける。そこで得られた数字を底(天井)から加える(引く)。

垂直測定法は、パターンの最初のコラムの枠の数を数え、3をかける。そこで得られた数字を最安値に足すか(底の場合)、最高値から引く(天井の場合)。

一般的に、垂直測定法のほうが、簡単で信頼性が高いといわれている。

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8:トレーディング戦術

ポイント・アンド・フィギュア・チャートを実際の売買のサインとして活用する方法には以下のようなものがある。

(1) 単純な買いサインは、ショート・ポジションを閉じるとき、ロング・ポジションを作るとき、どちらにも使うことが出来る。

(2) 単純な売りサインは、ロング・ポジションを閉じるとき、ショート・ポジションを作るとき、どちらにも使うことが出来る。

(3) 複合サインは新たなにポジションを作るときに使い、単純なサインはポジションを手仕舞うときに使う。

(4) トレンド・ラインはフィルターとして使う。ラインの上にあるときはロング・ポジションをとり、下にあるときはショート・ポジションをとる。

(5) ストップ・オーダーを入れる目安は、上昇トレンドでは最後の○枠の下の位置、下降トレンドでは最後のX枠の上の位置である。

(6) 売買タイミングは以下のようになる。

 a:上昇トレンドで上へのチャート・ブレイクは買い
 b:より低いところで参入すべきチャート・ブレイクがあった後で3枠反転は買い
 c:調整の後、最初にチャート・ブレイクした方向への3枠反転は買い。この場合、正しい方向へポジティブな反転をした確認となるだけでなく、直近の○枠の下にストップを入れる目安となる。
 d:同方向への二度目のブレイクは買い。

このようにポイント・アンド・フィギュアには色々な使い方がある。

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9:ピラミッディング

ピラミッディングとは、相場が正しい方向に動き続ける限り、ポジションを積み増していくことを言う。

例えば、初めに買いポジションを持ち、相場が上昇トレンドを取り続ける限り、押し目や買いサインが出た時を狙ってポジションを積み増していく。また、利益をしっかりえるために、ストップ・ポイント(Trailing Stop)を直近の○枠のすぐ下におくのもよい。

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10:反転、調整なしの長い動きへの対応

トレンドにおいて、3枠反転が起きないような状態(上昇局面であればXの長い列、下降局面であれば○の長い列)のことを、ポールという。

このような状態のとき、トレーダーとしては利益を確保しておきたいものである。そのような時は、3枠反転が起きそうなところにストップ・オーダーをおいておくとよい。そして、もしストップが発動されたら、もう一度本来のトレンドの方向に3枠反転が起きたところでポジションを作り直すことが出来る。

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11:ポイント・アンド・フィギュア・チャートの利点

ポイント・アンド・フィギュア・チャートの利点をあげると以下になる。

(1) ボックスの値幅や反転基準を調整することにより、多くのニーズに合致すること

(2) チャートの作成などが簡単であること

(3) バー・チャートなどよりも売買のサインが明確であること

(4) 市場参入・退出ポイントを明確に示してくれること

(5) サインに従うことで、トレードに一定の売買基準ができること

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12:ポイント・アンド・フィギュ・チャートの最適化

修正ポイント・アンド・フィギュアの典型的なものが、伝統的な値幅をボックスとする3枠反転法である。しかし、ボックスと反転基準を最適化することにより、さらに高い収益をあげられる。

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13:常時最適化を図る必要性

最適化は常に行われなければならない。これには時間とコストがかかるものである。最適化によって得られる利益と最適化の費用を考慮する必要がある。

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14:情報源

割愛

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15:結論

トレーダーにとって基本的手段は、バー・チャートである。しかし、そのバー・チャートをポイント・アンド・フィギュア・チャートで補充することは非常に有意義である。

また、ポイント・アンド・フィギュアの手法は、オシレーターにも応用可能である。


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第11章 エリオット波動理論
1:歴史的背景

エリオット波動理論は、ダウ理論と共通した部分を多く持つ理論で、エリオット(1871年〜1948年)により発表された。エリオットは、株式市場の理論はあらゆる人間の行動様式を支配している広い意味での自然の法則の一部であると信じていた。

エリオットにより発表された後、何人かの人物により論文が発表されている。

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2:エリオット波動理論への導入

エリオット理論はダウ理論や伝統的なチャート手法と似ているため、理解しやすくかなり単純なものである。

しかし、ダウ理論がトレンド確立後にシグナルを発するのに対して、エリオット波動理論は天井や底を早い段階で予告してくれるなど違いもある。

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3:エリオット波動原理の基本原則

エリオット波動理論には、パターン(波動の形状)・比率(波動の相対関係を計測して反転時点や目標価格を推定することができる)・時間(波動パターンや比率の確認に使うことができる)という3つの重要な側面がある。重要度は、パターン・比率・時間の順である。

エリオット波動理論は、元々ダウ・ジョーンズ工業平均に適用される考え方であり、単純化すると株式市場は5つの上昇波とそれに続く3つの下降波というリズムで反復を繰り返すというものである。つまり、1つのサイクルには8つの波があることになる。

図11-1がエリオット波動理論の基本パターンである。点5までには5つの上昇波がある(3つが上昇波で、2つが調整波である)。そしてその後、点Cまで3つの下降波がある。

エリオットはトレンドを200年ほどからなるGrand Supercycleから数時間だけのSubminuetteまで9つの規模に分類した。ただし、どの規模においても8つの波からなる基本パターンは同じである。また、それぞれの波はより小規模の波に細分化され、その小規模の波もさらに小さな波に細分化される。図11-2を参照。

これらの波を細分化していくと、1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144というフィボナッチ数列となる。

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4:エリオット波動とダウ理論の関連

エリオットの波動理論とダウのブル・マーケット3段階説は非常に似ている。二つの考え方に影響を与えたのが海で、ダウは大・中・小のトレンドを潮・波・さざ波としたし、エリオットは潮と満潮に言及し自身の考えを波動理論と名づけた。

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5:波の特徴

エリオット波動理論の波の特徴は以下である。

第1波:この波の約半分は値固めであり、大体の場合相当下落した相場水準からの単なる反発にしか思えないようなものである。5つの波のうち一番短い波である。

第2波:第1波のすべてないしは大部分を戻す調整波である。しかし、第1波のボトムよりも上で止まることができれば、ダブル・ボトムやトリプル・ボトムなどを形成するものとなる。

第3波:一番長く力強い波である。第1波のトップを突き抜け、その他のトレンド追随型システムでも買いシグナルが出てくるときである。出来高も最大となりギャップも多く見られる。また、エクステンションの可能性が最も高い波でもある。

第4波:複合型の調整波である。トライアングルが見られる。エリオット波動理論では、第4波の底は必ず第1波のトップよりも上でなければならないという原則がある。

第5波:株式市場ではこの波は第3波よりも小さいものとなる(商品市場では最も長いことがあり、エクステンションを伴っている)。オシレーターなどにおいて価格との乖離が見られだす。

A波:上昇トレンドの戻しに見える波である(本当は新しい下降トレンドのはじまり)。この波においては必ずというわけではないが、価格の下落時に出来高が増えている場合がある。

B波:新しい下降トレンドにおける反発の波である。出来高を伴っておらず、すでに持っている買いポジションを閉じる最後のチャンスである(売りポジションを作る2番目のチャンス)。この時に、第5波のトップまで戻すとダブル・トップなどを形成することもある。また、第5波のトップを超えることもある。

C波:この波で、第5波までの上昇トレンドが終わったことが確実にわかる。多くの場合、A波のボトムを割って下落し、オシレーターなどでも売りシグナルが出る。第4波とA波のボトムを結ぶと、ヘッド・アンド・ショルダーになることが多い。

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6:エクステンション (拡張)

第1波、第3波、第5波の3つの推進波のうちの1つが、さらに5つの小さな波に分かれることがある。これをエクステンション(拡張)という。

このような場合のポイントはいくつかある。1つ目は、エクステンションを伴う推進波は一つだけであるということ(その他二つはエクステンションしない)。2つ目は、エクステンションを伴わない他の二つの推進波は、時間と規模において同等となる傾向があるということ。

例えば、第1波と第3波が拡張しなかったら、第5波は拡張するかもしれないと予測できる。また、第3波が拡張したら、第5波は第1波と同じような規模と時間であると予測できる。

また、拡張した第5波の2回帰線(ダブル・リトレイスメント)も忘れてはならない。これは、第5波のエクステンションが完了した後で、まず3つの波によりエクステンションの開始点まで下降が起こり、次にまた、エクステンションが終わったところまで戻すラリーのことである。ここから先、上昇トレンドに戻るかあるいはトップを形成するのかは長期サイクルにおける現在の相場の位置による。

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7:ダイアゴナル・トライアングルと未達成

エクステンション以外にも、ダイアゴナル・トライアングル(斜め三角形)と未達成という二つの変化形がある。

ダイアゴナル・トライアングルは通常5番目の波において現れる。チャート・パターンの部分で扱ったウェッジ・パターンと同じ形である。上昇ウェッジは常に弱気、下降ウェッジは常に強気を意味する。このパターンは、5つの波からなり、それぞれの波はさらに3つの小さな波に分けられる。傾きが急なほうのトレンド・ラインが破られたとき、相場の重要な転換点となる。

未達成は通常5番目の波において現れる。このパターンは、5つの波からなる。強気相場においては、第3波のトップを超えるのに失敗しているし、弱気相場においては、第3波のボトムを割ることに失敗している。つまり、エリオット波動の未達成パターンは、ダブル・トップやダブル・ボトムと同じである。

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8:調整波

一般に、調整波は定義があまりはっきりしてないため、確認や予告が難しくなりがちである。しかし、ひとつだけ明確なことがあり、それは調整波が5つの波となることはないということである。

調整波は3つの波で構成され、5つの波で構成されることはない(ただしトライアングルの場合は別である)。

調整波には、ジグザグ、フラット、トライアングル、ダブル・スリーおよびトリプル・スリーの4種類がある。

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9:ジグザグ

ジグザグは大きなトレンドに対する3波構成の調整パターンであり、細かくは5-3-5の波に分かれる。

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10:フラット

フラットは調整パターンというよりは、値固めに近いものである。3-3-5の波に分かれる。また、フラットには二つの変則的変化形がある。

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11:トライアングル

トライアングルは通常第4波において発生する。そのため、トライアングルは強気であるとも弱気であるともどちらの意味にもとることができる。例えば、上昇トレンド中であれば、第5波において上昇トレンドに戻るため強気といえるが、第5波がピークであるため弱気ともいえる。

第5章で扱ったトライアングルはコンティニュエイション・パターンとされていたが、エリオット波動においても同じである。エリオットの場合、トライアングルは横方向の値固めであり、5つの波からなり、それぞれの波はさらに3つの波に分かれる(商品先物の場合は、5つではなく3つのこともある)。また、トライアングルを、上昇型、下降型、対称型、拡散型の4つに分類している。

また、エリオット波動理論では、トライアングル中の第5波がトレンド線を逆に破って誤ったシグナルを発することがしばしばあると書かれている。

トライアングル形成後の第5波がどの程度動くかは、トライアングルの最大幅と同じであると予想することができる。

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12:ダブルおよびトリプル・スリー

ダブル・スリーとトリプル・スリーはそれほど一般的ではない合成パターンである。二つか三つの単純なパターンの組み合わせである。古典的なトレーディング・レンジやレクタングル型の中段保合いと似ている。

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13:オータネーション(交替)の法則

オータネーションの法則とは、相場は通常2度連続して同じ動きはしないということである。次に何が起こるかを予測することはできないが、次に何が起こらないかを予測することができる。

調整パターンなどは、交互に入れ替わりやすく、調整波2が単純なa-b-cパターンであれば、第4波はトライアングルが来るかもしれないと予測できる。

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14:チャネリング

エリオット波動理論においても、プライス・チャネルというのがある。プライス・チャネルの引き方は、上昇トレンドが確立したところで、第1と第2の底を結び基本トレンド・ラインを作り、次にそれと並行して第1波のトップからチャネル・ラインを引く(下降トレンドの場合は、底とトップが逆)。価格は、このラインの間でおさまる場合が多い。もし、価格がこのラインを超えた場合は、新たに引きなおさなければならない。そして、第2と第4の底を結んでトレンド・ラインを作り、それと並行して第3のトップから最後のチャネル・ラインを引く。この場合、第5波は波が終わる前に、上方のチャネル・ラインに近づかなければならない。

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15:サポートとしての第4波

5つの上昇波が完成した後、下降トレンドが始まっても、上昇トレンド中に形成された第4波よりも下へ行くことはまれである。例外はあるが、たいていは第4波の底がベア・マーケットのサポートとなる。

これは、目標価格までの最大下降幅を予知するのに役立つ。

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16:フィボナッチ数列と波動理論の原理

フィボナッチ数列とは、13世紀の数学者レオナルド・フィボナッチが再発見した数列で、1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,114・・・と無限に続くものである。

この数列は様々な特性を持っているが、その一部は以下のようなものである。

(1) 二つの連続する数字の合計は、次の数に一致する。例えば、3+5=8、5+8=13というようにである。

(2) 次の数に対する比率は、最初の4数以降、0.618に接近する。例えば、1/1=1.00、1/2=0.5、2/3=0.67、3/5=0.60、5/8=0.625、8/13=0.615、13/21=0.619というようにである。

(3) 前の小さいほうの数に対する比率が1.618すなわち0.618の逆数に近づく。例えば、13/8=1.625、21/13=1.615、34/21=1.619というようにである。

(4) 一つおきの数字同士の比率は、2.618、逆に言うと、0.382に近づく。例えば、13/34=0.382、34/13=2.615というようにである。

他にも特性はあるが、上の4つの中で、1.618と0.618という比率は古代ギリシャやエジプトの数学者にもよく知られていた黄金比とか平均律といわれていたものである。

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17:ロガリズミック・スパイラル (対数 : 渦巻線)

ロガリズミック・スパイラルは、自然界の構成要素の最も小さなものから大きなものにまで同じ形で内在しているといわれている。例えば、カタツムリの殻は銀河と同様のロガリズミック・スパイラルの形となっているいわれている。

株式市場も同様にロガリズミック・スパイラルが存在するといわれている。なぜなら、株式市場は多くの人間の行動が影響しているからである。

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18:フィボナッチ比率とリツレイスメント (戻り)

フィボナッチ比率とリトレイスメント(戻り)は、価格と時間に適用できるが、価格のほうが信頼性が高い。

波形は、いつもフィボナッチ比率に分解できる。5つの上昇波と3つの下降波からなるが、これらはフィボナッチ数である。さらに2段階細かくすると、34波と144波に分かれるが、これもフィボナッチ数である。

以下は、フィボナッチ比率で最もよく使われるものである。

(1) 3波のうち1波が拡張すると、他の2波は時間も大きさも同じになる。

(2) 第3波のトップの位置の最小目標値は、第1波の波形の高さに1.618を掛けたものと第2波の底との和になる。

(3) 第5波のトップの位置は、第1波の波形の高さに3.236をかけ、これに第1波の天井を足したものが最大目標値であり、底を足したものが最小目標値である。

(4) 第1波と第3波の大きさがほぼ同じで、第5波が拡張すると思われる時は、第1波の底から第3波の天井までの高さに1.618をかけて第4波の底に足したものが、第5波の目標値となる。

(5) 5-3-5のようなジグザグの調整波では、c波とa波の長さがほぼ同じである。

(6) c波の長さを測るもう一つの方法は、a波に0.618をかけ、それをa波の底から引けばよい。

(7) 3-3-5のようなフラット調整の場合、b波がa波の頂点に到達するか、それよりも高くなれば、c波はa波の約1.618倍の長さを持つことになる。

(8) シンメトリカル・トライアングルにおいて、各波は前の波に0.618をかけたものとなる。

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19:フィボナッチ比率リトレイスメント

目標価格を推測するもう一つの方法として、パーセンテージ・リトレイスメントがある。よく使われる数字は、61.8%(四捨五入で62)、38%、50%である。

第3章でみた、33%、50%、67%戻しというのがあるが、フィボナッチ数列はこれらの数字を洗練させたものであるといえる。

フィボナッチ比率は、最初の4数以降0.618に近づくが、最初の三つの比率は、1/1(100%)、1/2(50%)、2/3(67%)であることも興味深い。

また、これらの数字以外にも、100%戻しも重要なサポートまたはレジスタンスになる。

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20:フィボナッチ・タイム・ターゲット

波動理論は時間とも関係しているが、この予測は難しくそれほど重要視されていない。フィボナッチの時間的目標は、重要な頂点や底から先へと数えていくことによって得られる。天井や底は、重要な転換点から数えてフィボナッチ数の日に起きるという前提で、日足チャートを見ていくのである。つまり、13日目、21日目、34日目などといったようにである。もちろん、これは週単位などでも可能である。

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21:波動理論の3側面の統合

波形・比率分析・時間ターゲットの三つが収束するのが理想的である。例えば、第5波が第1波の底から第3波のトップまでの高さの1.618倍進んで終了し、前回の底からこのトレンドが始まって13週間たっており、また前回のトップから34週間たっているというようにである。

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22:サイクルの研究におけるフィボナッチ数

サイクル分析においても、フィボナッチ数が出てくる。例えば、長期の景気循環であるコンドラチェフのサイクルは54年であるが、フィボナッチ数の55に近い。

サイクル分析以外にも、フィボナッチ数は移動平均分析にも使われる。このように、色々な部分でフィボナッチ数は影響している。

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23:エリオット波動理論の適用 (株式対商品)

エリオット波動理論は、重要な前提として集団心理学があり、本来株式平均を想定したものである。そのため、株式平均以外、例えば株の個別銘柄や取引の薄い商品市場などではうまく機能しないことも多い。

それでも、まったく機能しないということではない。株式と商品市場においてのエリオット波動理論の差異は表11-5を参照。

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24:要約と結論

波動理論のまとめは以下である。

(1) 完全なブル・マーケットのサイクルは、5つの上昇波と3つの下降波の合計8つの波からなる。

(2) トレンドは、それが次にくるであろう長いトレンドと同方向のものである場合、5つの波に分解される。

(3) 調整は常に3波構成である。

(4) 単純な調整には、5-3-5のジグザグ型と3-3-5のフラット型の二つのタイプがある。

(5) トライアングルは、だいたい第4波であり、第5波に先行する。ただし、調整のB波の場合もある。

(6) 各波は、より長い波の一部とみることもできるし、もっと短い波に分解することもできる。

(7) 推進波が拡張することがある。その場合、他の2波は拡張せず、時間も大きさも同じになる。

(8) フィボナッチ数列は、エリオット波動理論の数学的根拠である。

(9) 波の数は、フィボナッチ数列である。

(10) フィボナッチ比とリトレイスメントは、目標価格推測に利用される。最もよくある戻しは、62%、50%、38%である。

(11) 交替の法則は、同じことは2度続けて起こらないということを警告するものである。

(12) ベア・マーケットにおいては、前回の第4波を下回ることはあまりない。

(13) 第4波は第1波と重ならない。ただし、先物市場は別である。

(14) エリオット波動理論は、波形、比率、時間で構成され、この順で重要である。

(15) 波動理論は株式平均を想定しており、個々の銘柄ではあまり機能しない。

(16) 多くの参加者がいる市場において、波動理論はよく機能する。

(17) 商品市場の最大の特徴は、ブル・マーケットの封じ込めがありうることである。

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25:波動理論と他のテクニックの併用

いかなる理論も、その理論単独で全ての問いに答えることはできない。エリオット・パターンがはっきりしているときもあれば、そうでないときもある。パターンが見えたときはそれを使えばいいし、見えないときは他のものを使えばよい。無理にエリオット・パターンにはめ込んで市場の動きを見る必要はない。

つまり、市場予測という大きな問題に対する回答の一つにエリオット波動理論があると考えるべきである。

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26:関連書籍等

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27:エリオット波動の例

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28:フィボナッチのファン(扇形)・ライン、円弧、タイム・ゾーン

割愛


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表 11-1 エリオット波動理論の重要側面
パターン 波動の形状のことである。
比率 波動の相対関係を計測して反転時点や目標価格を推定することができる。
時間 波動パターンや比率の確認に使うことができる。
※重要度は、パターン、比率、時間の順である。

表 11-2 エリオット波動理論
定義 1つのサイクルには、5つの上昇波とそれに続く3つの下降波の合計8つの波がある。





表 11-3 波の特徴
説明 大きさ
第1波 約半分は値固めである。大体の場合相当下落した相場水準からの単なる反発に見える。大きな底値圏形成後の場合は、極めて力強いこともある。 一番小さい波である。
第2波 第1波のすべてないしは大部分を戻す調整波である。しかし、第1波のボトムよりも上で止まることができれば、ダブル・ボトムやトリプル・ボトムなどを形成するものとなる。
第3波 一番長く力強い波である。第1波のトップを突き抜け、その他のトレンド追随型システムでも買いシグナルが出てくるときである。出来高も最大となりギャップも多く見られる。また、エクステンションの可能性が最も高い波でもある。 一番大きい波である。
第4波 複合型の調整波である。トライアングルが見られる。エリオット波動理論では、第4波の底は必ず第1波のトップよりも上でなければならないという原則がある。
第5波 株式市場ではこの波は第3波よりも小さいものとなる(商品市場では最も長いことがあり、エクステンションを伴っている)。オシレーターなどにおいて価格との乖離が見られだす。 第3波よりも小さい(商品市場では違うこともある)。
A波 上昇トレンドの戻しに見える波である(本当は新しい下降トレンドのはじまり)。この波においては必ずというわけではないが、価格の下落時に出来高が増えている場合がある。
B波 新しい下降トレンドにおける反発の波である。出来高を伴っておらず、すでに持っている買いポジションを閉じる最後のチャンスである(売りポジションを作る2番目のチャンス)。この時に、第5波のトップまで戻すとダブル・トップなどを形成することもある。また、第5波のトップを超えることもある。
C波 この波で、第5波までの上昇トレンドが終わったことが確実にわかる。多くの場合、A波のボトムを割って下落し、オシレーターなどでも売りシグナルが出る。第4波とA波のボトムを結ぶと、ヘッド・アンド・ショルダーになることが多い。





表 11-4 ダイアゴナル・トライアングルと未達成
名前 出現場所 似ているチャート・パターン
ダイアゴナル・トライアングル 通常5番目の波 ウェッジ
未達成 通常5番目の波 ダブル・トップまたはダブル・ボトム




















表 11-5 エリオット波動理論の適用
株式 特徴1 第3波が拡張しやすい。

特徴2 第4波は決して第1波と重ならない。
商品 特徴1 第5波が拡張しやすい。

特徴2 主要な強気の流れといえども、封じ込めがありうる。つまり、前回の高値を次の高値が必ず抜くとは限らないということである。

特徴3 長期にわたって拡張していた底をブレイクした時、最も典型的なエリオット・パターンが現れやすい。
第12章 タイム・サイクル
1:初めに

これまでの章では時間を価格に次ぐ二次的指標として見てきたが、本章のタイム・サイクルはこれを一次的で決定的な要因として取り扱う。相場がどの方向にどの程度動くのかと考えるかわりに、相場がいつある地点に到達するのかいつ変動が始まるのかを考えるということである。

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2:サイクル

サイクル研究のパイオニアであるEdward R DeweyとOg Mandinoによると、サイクルには二つの事実があるということである。一つ目は、無関係に見えるサイクルの多くが同じような周期に収束していること。二つ目は、同じサイクルの動きは同調しているということ。

このような事実は、何か人間の力を超えたものにより引き起こされていると考えられている。つまり、宇宙には波動があり、それが人間活動の広範な分野を通じて存在し、これらのサイクルを引き起こしているということである。

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3:サイクルの基本概念

サイクルの底の部分は谷、トップの部分は山と呼ばれる。谷と谷を結んだものがサイクルの波長である(山と山を結ぶこともできるが、普通は谷と谷を結んだものが使われる)。

サイクルには三つの特性がある。振幅・周期・位相である。振幅とは、サイクルの波動の高さのことである。周期とは、谷から谷までの時間のことである。位相とは、谷の時間的位置のことである。この三つがわかれば、サイクルを将来にまで理論的に引き伸ばすことができ、将来の山や谷を予測することができる。

以上が、サイクル・アプローチの基本である。

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4:サイクル理論

サイクル理論において、重要な四つの原理がある。合成性、調和性、同時性、比例性である。

合成性とは、全ての価格の動きは現在活動しているサイクルを合成した結果であるとする理論である。この理論では、全ての価格パターンは二つかそれ以上の異なるサイクルの相互作用によって形成されるとされている。

調和性とは、隣り合うサイクルは通常整数倍の関係にあるとする理論である。この場合、整数は普通2である。例えば、20日周期のサイクルの場合、次の短いサイクルは半分の10日であり、長いサイクルは40日とする。

同時性とは、異なる波長のサイクルが同時に谷をつけるという理論である。また、同じ波長のサイクルが異なる市場に存在するときにも動きが一致することがあり、この場合も同時性という。

比例性とは、サイクルの周期と振幅の関係を説明した理論である。周期の長いサイクルは振幅も大きく、例えば、40日周期のサイクルの振幅は、20日周期のサイクルの振幅の約2倍となる。

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5:多様性・名目性理論

サイクル理論にはさらに二つの一般的な理論がある。多様性と名目性理論である。

多様性理論とは、合成性や調和性などの他の理論はすべてその理論だけでは絶対的な理論ではないとする理論のことである。現実には様々な多様性が存在するということである。

名目性理論とは、全てのマーケットに有効な、名目的かつ、そのなかでは相互に調和のとれた一連のサイクルがあるとする理論のことである。

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6:チャート・テクニックへの応用法

割愛

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7:ドミナント(支配的)・サイクル

ドミナント・サイクルとは、常に先物のプライスに影響を与え、明らかにそれとわかるサイクルのことである。先物市場は通常、少なくとも5つのドミナント・サイクルを持つ。

数年にわたる長期のドミナント・サイクルから始め、次に、数週間から数ヶ月の中期サイクルへと進み、最後に売買のタイミングを見つけたり長期サイクルの転換点を知る手助けともなる超短期サイクルの分析を行うとよい。

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8:サイクルの分類

主なサイクルの分類は、長期サイクル(2〜3年)、季節サイクル(1年)、プライマリーあるいは中期的なサイクル(9〜26週間)、トレーディング・サイクル(4週間)などである。これ以外にもマーケットによっては、プライマリーとトレーディング・サイクルの間に1/2プライマリー・サイクルがあり、トレーディング・サイクルを2週間程度のアルファとベータのサイクルに分けたりすることがある。

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9:コンドラチェフの波

コンドラチェフの波とはロシアの経済学者のNikolai D.Kondratieffにより発見されたサイクルである。このサイクルは約54年の周期を持ち、特に、金利、銅、綿、小麦、株式、卸売り商品において認められている。

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10:さまざまなサイクル期間の併用

マーケットの主要トレンドを決定するのは、長期サイクルと季節サイクルである。マーケットの方向に大きな影響を与えるのが長期サイクルであり、年間を通じて一定の影響を与えるのが季節サイクルである。

トレーディング目的からは週次プライマリー・サイクルが最も実用的である。マーケットに入るタイミングや出るタイミングを探るには、トレーディング・サイクルが有効である。また、アルファとベータのサイクルはさらに微調整するのに用いられる。

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11:トレンドの重要性

テクニカル分析の本質は、いかにトレンドに沿った取引を行うかである。タイミングをとるためには短期間のトレンドを使うにしても、まずはじめに長期トレンドの方向を確認することが肝心である。この考え方はサイクルの場合も同様である。

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12:CRB先物価格インデックスにおける9〜12ヶ月サイクル

先物市場にはそれぞれ独自のサイクルがある。しかし、商品市場全体に影響を及ぼすサイクルも存在する。このようなサイクルは、CRB先物価格インデックスのような全体的な商品価格インデックスでみるのがわかりやすい。

サイクルには54年周期もあるが、それ以外にも5.5年や11年サイクルもある。トレーディングの観点からは、9〜12ヶ月のサイクルが最も実用的である。平均すれば、底値から次の底値まで10ヵ月半のサイクルとなる。

CRB先物価格インデックスのサイクルは対称形ではない。頂点から頂点への間隔は底から底への間隔ほど一定していない。このことは、サイクルの傾向全般に当てはまる。つまり、相場が上昇傾向にある場合、サイクルの頂点は予想よりも遅れ気味にやってくるし、下降傾向の場合は予想よりも早めにやってくるためである。

商品相場はいずれも同時に動く傾向があるため、CRB先物インデックスの次の頂点や底がいつかを知っていれば、おのおののマーケットで相場を予測するうえでもなんらかの助けとなる。

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13:28日間トレーディング・サイクル

ほとんどの商品市場に影響を与える重要な短期サイクルに、28日周期のトレーディング・サイクルがある。このサイクルは、4週間ごとにサイクルの底をつける傾向がある。これを説明するものとして、月の周期があげられ、月がマーケットの転換点に何らかの影響を持つ可能性があるとされている。しかし、月の影響力はあまり強くなく、長期サイクルや重大な事件によって容易に覆されるともされている。

この28日のサイクルは実在し、様々なトレーディング・システムの開発に用いられている。第7章の4週ルールもその一つである。

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14:左右移転

左右移転とは、サイクルの山が理想的なサイクルの中点の左右どちらかへシフトすることである。この概念は、サイクル分析のなかで最も有用なものである。

例えば、20日間トレーディング・サイクルであれば、谷から谷までの期間は20日であり、理想的な山は10日目で起こるはずである。しかし、実際的には、10日目で起こることは稀であり、左右のどちらかにずれていることが多い。また、サイクルが変化する場合、谷ではなく山で起こることのほうが多い(サイクルを谷から谷で測るゆえんである)。

このような変化は、より長期のサイクルのトレンドにより影響される。上昇トレンドであれば、価格が上昇している時間のほうがながいため理想的な中点は右移転する。下降トレンドであれば、価格が下降している時間のほうがながいため理想的な中点は左移転する。

サイクルの山がちょうど中間で生じる唯一のケースは、上昇トレンドでもなく下降トレンドでもない、レンジ相場のときである。

左右移転の概念により、マーケットの将来を予測することが可能である。中点の発生場所をはかることにより、トレンドが上昇なのか下降なのかを調べることができる。山が中点より右で生じている限り上昇トレンドの継続、左で生じた場合はトレンド転換の早期警告である。

左右移転の考え方は大変有用であり、あらゆる長さのトレンドやサイクルに適用できる。

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15:サイクルの抽出とトレンド要因の排除(ディトレンディング)

割愛

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16:季節サイクル

季節サイクルとは、年間の特定の時期に特定の方向に動くマーケットの傾向のことである。商品先物は、すべてある程度季節サイクルの影響を受ける。

例えば、供給が豊富な収穫期に相場が底をつけるなどである。

農業マーケットにおいては、季節サイクルが存在する理由はわかりやすいが、その他のマーケットにおいても季節サイクルは存在する。全てのマーケットに共通の一般的な季節サイクルは、1月の高値を抜けると強気であるということである。

季節チャートは、過去における季節的動きの頻度を分析して構成する。過去の同時期に季節的な動きが何回起きているかによって判断され、80%あれば強い季節的パターンがあり、65%以下だとそのパターンの存在は疑わしいものとなる。

季節サイクルについては注意点がある。まず、現物市場の季節的変動はほとんどの場合、月間平均値に基づいているということである。第二に、先物マーケットにおいては二つの異なる季節パターンがみられることがあり、両方のパターンに注意しなければならない。また、季節的変動と逆の動きにも注意する必要があり、異常を示す徴候には気を配らなければならない。できるだけ初期段階で判断ミスに気づくことは、テクニカル分析において重要なことである。

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17:サイクル分析と他のテクニカル手法の併用

マーケット参入にあたっては、サイクル以外にも他のテクニカル分析も併用すべきである。タイム・ウィンドウやタイム・バンドなどを使うのがよい。また、最終的には伝統的なテクニカル分析の使用が効果的である。

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18:サイクルとオシレーターの併用

サイクル分析とオシレーターは併用して使用することができる。この場合、オシレーターは計算の期間がサイクルと適合して初めて有用性が高まる。一般的によく設定される期間は、対象とするサイクルの周期の半分である。

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19:要約と結論

サイクル理論をトレードに取り入れることは有意義なことである。しかし、場合によって機能しないこともありえることは認識しておく必要がある。

また、サイクル分析は上昇トレンドにおいてより効果的である。逆に言うと、下降トレンドにおいてはあまり効果的とはいえない。これは、サイクル理論が山よりも谷を重視し、谷から谷まででサイクルを測ることからきているものと思われる。したがって、上昇トレンドにおいてサイクル理論を活用するのが賢明である。

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表 13-1 サイクル
サイクルの説明 谷と谷を結んだもの。振幅、周期、位相という三つの特性がある。

表 13-2 サイクルの三つの特性
振幅 サイクルの波動の高さのこと。
周期 谷から谷までの時間のこと。
位相 谷の時間的位置のこと。
この三つがわかれば、将来の山や谷を予測することが可能となる。







表 13-3 サイクル理論の4つの原理と2つの原理
合成性 全ての価格の動きは現在活動しているサイクルを合成した結果であるとする理論である。
調和性 隣り合うサイクルは通常整数倍の関係にあるとする理論である。
同時性 異なる波長のサイクルが同時に谷をつけるという理論である。
比例性 サイクルの周期と振幅の関係を説明した理論である。
多様性 他の理論はすべてその理論だけでは絶対的な理論ではないとする理論のことである。
名目性 全てのマーケットに有効な、名目的かつ、そのなかでは相互に調和のとれた一連のサイクルがあるとする理論のことである。



表 13-4 主なサイクルの分類
名前 期間
長期サイクル 2〜3年
季節サイクル 1年
プライマリーあるいは中期的なサイクル 9〜26週間
1/2プライマリー・サイクル 5〜13週間
トレーディング・サイクル 4週間
アルファ、ベータ 2週間

第13章 マネー・マネジメントとトレード戦略
1:初めに

この章では、市場予測、トレード戦略、マネー・マネジメントについて扱う。トレーディングにおいてこの三つの要素は不可欠である。

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2:商品先物取引成功の3要素

先物取引において成功に必要な3要素とは、価格予想、売買タイミング、マネー・マネジメントである。

価格予想とは、マーケットが上昇か下降のどちらに動くかというトレンドの予想のことである。これにより、買いから入るのか、売りから入るのかが分かれる。もし、ここで判断を間違うと、後々すべてがうまくいかなくなる。

売買タイミングとは、マーケット参入および撤退のタイミングを明確に決定することである。動きの早い先物取引においては、タイミングがきわめて重要である。このタイミングはテクニカルなものである。方向感はファンダメンタルに頼るトレーダーでも、買い場や売り場を決めるには、テクニカルが必要となる。

マネー・マネジメントとは、ファンド・アロケーション(資金配分)のことである。ポートフォリオの構成と分散を考え、特定市場でとりうるリスクを決定する。また、損切りのポイントや、リスクと期待収益のかね合い、成功や失敗が続いた後のトレード手法、保守的なトレードをするのか攻撃的なトレードをするのかなどのことである。

以上の3つの要素を要約すると、価格予想は買いか売りかの方向、売買タイミングはトレードの時期、マネー・マネジメントはトレードの金額を決定するということになる。

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3:マネー・マネジメント

アカウントのサイズ、ポートフォリオの構成、個別トレードの金額をいかに決めるかは、トレードの最終結果に大きな影響を及ぼす。明確なマネー・マネジメントがないと、トレードで長く生き残ることは不可能である。

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4:マネー・マネジメントの一般的ガイドライン

マネー・マネジメントは統計学の先端的方法が必要とされる場合もあるが、一般的なガイドラインとしては以下のような考え方がある。

 1:投資の合計金額は資金の50%を限度とすること。残りの50%は余裕として残しておくこと。

 2:一つのマーケットに投資する金額は、資金の10%から15%とすること。

 3:一つのマーケットに対するリスク金額(損の限度額)は、資金の5%以内とすること。

 4:同種のマーケット・グループに投資する金額は、資金の20%から25%を限度とすること。

以上の考え方は、かなり標準的なものである。トレーダーによって数字の調整をすることができる。重要なことは、なんらかのリスク分散方法により損をしている間の資本の流出防止策を講ずることにある。

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5:ポジションの金額

トレーダーがポジションをとることを決め、その時がくると、次に決定しなければならないことが、ポジションの大きさである。10%ルールが適当である。例えば、全資金が1,000万であった場合、100万円をトレードの金額とする。50万の取引であれば2回できるし、100万円の取引であれば1回である。もし、最低売買金額が60万の取引であれば、2回取引をするか微妙なところであるが、10%ルールはガイドラインで目安であり、状況に応じて柔軟に対応していくのがよい。

最も重要なのは、特定のマーケットに対して過大なポジションをとり、それにより破局的な損失をこうむらないようにするということである。

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6:投資の分散と集中

分散投資はリスクを軽減することができるが、過度に分散しすぎることによる弊害もある。あまりに多くのマーケットに分散投資をすると、管理ができなくなったり、トレードの数が増えるため少々トレードで利益を出しても薄まってしまう。

適切なバランスが必要である。投資金額にもよるが、相互に独立したマーケットに分散するのは、同時に4〜6を超えないようにするのがよい。重要なのが、相互に独立しているということであり、相関関係が薄いほど分散は機能する。

また、トレーダーのなかには、分散投資をせずに集中投資をする者もいるが、うまく機能し利益を出している以上、それはよいことである。

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7:プロテクティブ・ストップの使い方

プロテクティブ・ストップとは、防御的な損切りオーダーのことである。これは必ず使っておいたほうがよい。実際、ストップをどこに設定するかは芸術的な領域となるが、マネー・マネジメントの発想とテクニカル分析をあわせて、各トレーダーが決定しなければならない。

極力損を少なくしたいと思えば、持ち値により近い部分に設定することになるが、それではマーケット・ノイズと呼ばれる小さな変動で、ストップが成立してしまう。また、マーケットがボラタイル(変動率が高い)な場合にも緩目な設定になる。逆に、ストップを緩目におけばノイズは避けられるが、ストップが成立した時には損失が大きくなる。

適切なポイントはどこなのかを考え設定しなければならない。

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8:リスクと期待収益の比率

優秀なトレーダーでも、全トレードの勝率は約40%であると言われている。多くのトレードが損失を生むなかで、唯一儲ける方法は、負ける金額よりも勝つ金額を大きくしていくしかない。ここで多くのトレーダーが参考とするのが、リスクと期待収益の比率(reward to risk ratio)である。

トレードを始める前に、目標利益(reward)を設定し、予想に反した時に被る損失(risk)と比較勘案したものが、リスクと期待収益の比率(reward to risk ratio)である。普通使われる基準は、3対1のリスクと期待収益の比率(reward to risk ratio)である。つまり、トレードをするにあたって、期待収益は被るであろう損失の3倍は必要であるということである。

また、トレーダーのなかには、期待される収益や被るであろう損失は、それぞれの起こる確率を掛けて求めるべきだという人もいる。

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9:トレンディング・ユニットとトレーディング・ユニットの使い分け

利益が乗っているポジションを持ち続けていくことは難しい。買いポジションの場合であればまだ価格が上昇する余地はあると思っていても、早く利益を出したいとか含み益がなくなってしまうかもしれないと不安になり早々と手仕舞いをしてしまうことがある。

このような場合の解決法は、ポジションを使い分けて、常に複数のユニットでトレードすることである。つまり、ポジションをトレーディング分と長期トレンド追求分の二つのユニットに分ける方法である。

長期トレンド追求分は、調整局面や保合い局面でも甘めのプロテクティブ・ストップを設定したもので、長い目で見て一番利益を生むポジションである。

トレーディング分は、短期売買のためのもので、レジスタンス・ラインに達したり、オシレーターが買われすぎを示したら利食うポジションである。そして、また元のトレンドに戻ってきたらポジションを再開させる。

一つだけのユニットでトレードをしたり、全額を一度に用いるのは避けたほうがよい。複数のユニットでトレードすることで得られる柔軟性が、最終的な結果に大きな差をもたらす。

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10:マネー・マネジメント : 保守的トレードと攻撃的トレード

保守的トレードと攻撃的トレードでは、長期的に見て保守的トレードのほうが良い結果をもたらすとされている。

短期間で利益を得ようとする攻撃的トレードは、マーケットが期待通りの方向に動いている間は良い結果をもたらすが、いったん逆方向に動き出すと惨憺たる結果になる。このため、あまり波のない安定的パフォーマンスが得られるトレーディングをするほうがよい。

トレーダーは自分の性格を考慮し、どのようなトレードがいいかを選ぶ必要がある。

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11:成功や逆境が続いた後にすべきこと

トレーダーの戦績も、価格チャート同様、谷や山がある。

成功や失敗が連続して続いたとき、トレーダーのとるべき行動は難しいものとなる。例えば、資金の半分を失ったとき、今までと同じ手法でトレードを続けるべきか、一旦仕切り直しをすべきなのかなどを考えなくてはならない。

また、トレードで勝ち続けた場合にも、膨らんだ利益をどうすればいいのかという判断をしなくてはいけない。利益をさらに上乗せして投資するのか、現金化しておくのかなどを考えなくてはならない。勝ち続けた時というのは、トレンドが上昇傾向にあるときであり(買われ過ぎ)、ポジションを増やす時期としてはよくないときである。したがって、賢明な方法は価格が下落した後で(当初、利益が出始めたときと同じように)、買いを入れていくべきである。

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12:マネー・マネジメントのむずかしさと重要性

マネー・マネジメントは取引のきわめて重要な側面をなし、生き残りには必要不可欠な分野である。だが、この分野は熟慮を要し、ジレンマと矛盾に満ちており欲求不満の残る対象分野であるといえる。

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13:マネー・マネジメント業界

マネー・マネジメントという言葉は、先物業界で顧客から預かった資金の運用業務に関連して用いられることもあり、この場合、専門のトレーダーにより運用と管理をされる個人または公共的資金のパフォーマンス(成績)をさす。

本章で扱うマネー・マネジメントとはまったく異なる意味である。

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14:トレーディング戦術

マーケット分析を終えたら、トレーダーは買うのか売るのかを決めなければならない。そして、マネー・マネジメントの観点からどの程度の金額でトレードするのかも決めなければならない。実際的に、困難なのは後者のマネー・マネジメントであるかもしれない。

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15:テクニカル分析とタイミングの決定

売買タイミングの決定において、時間の概念はきわめて短いものとなる。週や月単位ではなく、日・時間・分単位となる。しかし、分析の手法はテクニカル分析と同様である。

この場合、以下のような概念が問題となる。

 1:ブレイク・アウトの戦術
 2:トレンド・ラインの突破
 3:サポートおよびレジスタンスの利用
 4:戻し率の利用
 5:ギャップの利用

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16:ブレイク・アウトの戦術 − 事前予測か、あるいは事後反応か

ブレイク・アウトを期待してポジションをとるべきか、ブレイク・アウトを確認してからポジションをとるべきか、ブレイク・アウトの後の戻しを待ってからポジションをとるべきか、これらのことはトレーダーを悩ませる問題である。

ブレイク・アウト前にポジションをとると、ブレイク・アウトが起こった後の利益は大きくなるが、失敗の確率も大きい。ブレイク・アウト後にポジションをとると、利益は小さくなるが、成功の確率が高くなる。また、ブレイク・アウト後の戻しを待つ場合、実際それがないこともある(特に力強い相場の場合)。

実際的には、ブレイク・アウトを期待して少量の打診買いをし、ブレイク・アウト後に買い増し行うのがベターである。そして、戻しがあった場合、さらに買い増しをおこなうのも良い。

資金に余裕がある場合、各タイミングごとにポジションをとるのも

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17:トレンド・ラインの突破

トレンド・ラインの突破は、参入と撤退のタイミングを早期に示してくれる最も役立つシグナルの一つである。上昇トレンドであればトレンド・ラインで買う、下降トレンドであればトレンド・ラインで売るというのは効果的である。

また、他のテクニカル指標なども参考にするとなお良い。

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18:サポート、レジスタンスの利用

サポートとレジスタンスは、参入と撤退を決定するのに最も有効である。

レジスタンスの突破を買いポジション作成のシグナルとし、サポート(今までのレジスタンス)の下にプロテクティブ・ストップをおくといったことが可能である。

上昇トレンド中のサポートまでの調整、下降トレンド中のレジスタンスまでのラリーは、新規ポジションの作成やすでに持っているポジションの積み増しに利用できる。

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19:戻し率の利用

上昇トレンドであれば、上昇分の40%から60%を戻す調整局面は買い場となる(下降トレンドにおいても同様に、下落分の40%から60%を戻す調整局面は売り場となる)。

戻し率は、日中のチャートにも応用が可能である。

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20:ギャップの利用

ギャップは売買に有効なタイミングを示してくれる。上昇トレンド中のギャップであれば、サポートの機能があり、ギャップの上部分や真ん中あたりまでの調整は買い場となる。プロテクティブ・ストップはギャップの下におくのがよい。下降トレンド中であれば、レジスタンスの機能となり、下部分や真ん中あたりまでの調整は売り場となる。プロテクティブ・ストップはギャップの上におくのがよい。

どちらの場合においても、ギャップ部分を全て埋める調整はトレンド転換の危険信号となる(詳しくは第3章を参照)。

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21:テクニカル概念の組合せ

テクニカル概念の最も有効な利用方法は、それらを組み合わせて使うことである。

例えば、上昇トレンドのなかで、価格が40%から60%ほどの調整局面となり、買い場となったとする。その付近に顕著なサポートや右上がりのトレンド・ラインなどがあったら、さらによい買い場となる。逆に、サポートやトレンド・ラインが破られたら直ちに撤退するとよい。

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22:テクニカル・ファクターとマネー・マネジメントの組合せ

プロテクティブ・ストップのおき方を決めるときは、チャート・ポイントに加えてマネー・マネジメントの考え方を用いると良い。

つまり、この章の4のマネー・マネジメントの一般的ガイドラインの考え方とサポートやレジスタンスの場所がどこにあるのかなどを組み合わせてプロテクティブ・ストップをおくのが良い。

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23:トレーディング・オーダーの種類

正しいトレーディング・オーダーの選択も、戦術的に重要な要素となる。

マーケット・オーダー(成行注文)、リミット・オーダー(指値注文)、ストップ・オーダー(条件付成行注文)、ストップ・リミット・オーダー(条件付指値注文)、MIT(The Market-If-Touched)などがある。

これら以外にも証券会社により様々な注文方法がある。

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24:日足チャートから日中プライス・チャートへ

参入と撤退のタイミングを探るとき、日中チャートは有用である。トレーディングは、まず長期的展望をもったうえで、徐々に短期に目を向けていかなければならない。そのためには、月足や週足のチャートなどからはじめるべきである。そして、実際のトレーディングの基礎になる日足チャートの分析に向かう。日中チャートはさらに詳細にみるためのもので、一番最後にくるものである。

不思議なことに、日中チャート上でも、チャート・パターンなどが見られ、テクニカル分析の手法が大いに役立つ。

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25:Dunniganの“Thrust(突出)”法

突出法は、1950年代初期にWilliam Dunniganにより考案された日中チャートの小さな反動をとらえてトレンドに乗るための手法である。

上昇トレンドの場合の必要条件は、1日プライスが前日の高値と安値の両方とも下落することである。理想的には3日であり、高値または安値のどちらかが前日より高い場合は下落とは言わない。そして、下落があった場合、日中の高値が前日の高値を少なくとも1ティック上回った時、買いの突出シグナルが出る。ここで、買いポジションを作り、その日の安値の下にプロテクティブ・ストップを入れる。下降トレンドの場合は逆である。

これが突出法の最も単純な形であるが、トレーダーにより突出の幅を変えたりしても良い。

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26:日中ピボット・ポイント (pivot point : 中心点) の使用

マーケットに早めに参入する方法として、ピボット・ポイントがある。これは、七つのキーとなるプライス・レベルと四つの時間を使う。七つとは前日の高値・安値・終値と当日の初値・高値・安値・終値であり、四つとは当日のオープン時、オープン30分後、真昼、クローズの35分前のことである(この時間はマーケットにより調整可能である)。

ピボット・ポイントを使うのは、市場は天井または底を打ちつつあるとの前提で、最後にタイミングを決めるだけというときである。日中、ピボット・ポイントが破れた時が売買のシグナルとなり、シグナルが現れる時間が日中の遅いときであるほど強いものとなる。

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27:マネー・マネジメントおよびトレーディングのガイドライン要約

マネー・マネジメントとトレーディングの要約は、表13-2を参照。


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表 13-1 トレーディング・オーダーの種類
名前 説明 長所 短所
マーケット・オーダー 現在の市場価格での売買注文。成行注文ともいう。 ポジションを確実に作れる 想定外の価格で執行されることがある
リミット・オーダー 価格を指定しての売買注文。指値注文ともいう。 ポジションを作れないことがある 自分の指定した価格で取引できる
ストップ・オーダー 価格が○円になったら買い、X円になったら売りなどの条件をつけた成行注文のこと。 ポジションを確実に作れる。また、損失などを限定することができる。 想定外の価格で執行されることがある
ストップ・リミット・オーダー 価格が○円になったら買い、X円になったら売りなどの条件をつけた指値注文のこと。 ポジションを作れないことがある。また、損失などを限定することができる。 自分の指定した価格で取引できる

表 13-2 マネー・マネジメントおよびトレーディングのガイドライン
1 取引は、中期トレンドに沿ってする。
2 上昇トレンドでは押し目買い、下降トレンドでは戻り売り。
3 利食いは遅く、損切りは早くする。
4 常にプロテクティブ・ストップ・オーダーを入れて損失を限定する。
5 衝動的な取引は行わない。
6 計画は慎重に考える。
7 マネー・マネジメントの原則に従う。
8 リスクは、度を越さない程度に分散させる。
9 期待収益に対するリスクの割合は、最低3対1は確保する。
10 ポジションを積み増す場合(ピラミッド)は、次のようにする。

 a:新たに積み増す分は、前回より小額とする。
 b:勝っているポジションのみ積みます。
 c:負けているポジションには積み増さない。
 d:ストップはできるだけコストを含んだ買値(損益ゼロ)にくるように調整する。
11 マージン・コールには応じない(損に追銭は不要である)。
12 マージン・コールを防ぐために、必要とされるマージンの少なくとも75%は株式にする。
13 負けているポジションは勝っているポジションよりも先に手仕舞う。
14 ごく短期の取引でない限り、意思決定はマーケットから離れて、マーケットが閉じているときに行う。
15 まず長期的視野から入り、次に短期を考える。
16 マーケットの参入または撤退ポイントを決めるには日中チャートを使う。
17 デイトレーディングを試みる前に、日越えのトレーディングを習得するほうがよい。
18 常識化した情報は無視するようにし、活字情報はあまり真剣には受け取らないようにする。
19 少数派であることを恐れてはいけない。マーケットにおいて正しいときは、大多数の人と意見が合わないものである。
20 テクニカル分析の腕は経験と学習により上達していく。また、常に学習していかなければならない。
21 単純に考える方が良いこともある。
第14章 要約と統合 ーチェック・リスト
1:テクニカル・チェック・リスト

テクニカル分析は多くの分析手法の混成である。そして、それぞれの分析手法がマーケットについて新たな知識を加えてくれる(テクニカル分析をパズルとすると、個々の分析手法はパズルの一片に相当する)。

ある分析手法はある特定のマーケット状況において有効であり、また別の分析手法は別のマーケットで有効であったりする。したがって、テクニカル分析を行う者は、今はどの分析手法が適切であるのかを見極めていかなければならない。これには、知識と経験の蓄積が必要となる。

また、それぞれの分析手法はある程度重複しているし、互いに補完しあう関係にある。この内部関係を理解し、テクニカル分析を種々の分析手法の集合体として把握できるようになったときこそ、テクニカル・アナリストと名乗ることができる。当たり前の点のみをみていたのでは有効なマーケット分析たりえない。最後に方向感を決めるのは、案外、他人は気づかずにいた小さな要因であることが多い。多くの要因を分析すれば、正しい手がかりを見つけるチャンスは増える。

次のチェック・リストは、テクニカル分析を行う者が、注目すべき点のまとめである。

 上向きか下向きかの判断
 1:CRB先物インデックスの方向
 2:グループ・インデックスの方向
 3:週足、月足のチャート
 4:長期・中期・短期トレンド
 5:重要なサポートとレジスタンス
 6:重要なトレンド・ライン、チャネル
 7:取引量と建玉は価格の動きと一致しているか
 8:33%、50%、66%の戻しはどのあたりにあるか
 9:プライス・ギャップ
 10:大きな反転パターン
 11:継続パターン
 12:パターンの目標価格
 13:移動平均線の方向
 14:オシレーターは買われすぎか、売られすぎか
 15:オシレーターの乖離
 16:反対意見の数が極端になってないか
 17:エリオット波動のパターン
 18:エリオット波動は明らかな3波または5波のパターン
 19:フィボナッチの戻しや予想
 20:サイクルの山や谷の到来
 21:サイクル移転
 22:コンピュータで分析したトレンドの動き
 23:ポイント・アンド・フィギュア

 上向きか下向きかの判断が出てからのタイミング
 1:今後1ヶ月から3ヶ月のトレンド
 2:この相場で買うか、売るか
 3:取引額
 4:許容できるリスク
 5:利益目標
 6:どのタイミングで参入するか
 7:どの種類のオーダーを出すか
 8:プロテクティブ・ストップ・オーダー

以上をチェックすれば、マーケットに対して正しい問題意識を持つ手がかりになる。正しい問題意識は正しい答えを見つけ出す方法でもある。

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2:テクニカル分析とファンダメンタル分析の調和

マーケット分析は、テクニカル分析またはファンダメンタル分析、どちらからでも行うことができる。両者は相容れないものではない(相容れないものではないのだが、両者の意見が一致しないことは多々ある)。

トレーダーによりどちらかに重きを置いている場合が多いが、もう一方に注意を払うことは悪いことではない。

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3:テクニシャンとは何か

多くの人がテクニカル分析を利用しているが、プロのテクニカル・アナリストと呼ばれるための厳格な定義はない。

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4:The Market Technicians Association (MTA)

The Market Technicians Association (MTA)は1972年に、テクニカル分析の情報交換、一般投資家と機関投資家の啓蒙および職業としての倫理規定と専門的基準の確立を目的として設立された。世界で最も古く、かつ、有名なテクニカル分析の協会である。

本格的にテクニカル分析に興味がある人はチェックしておくとよい。

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5:テクニカル分析の世界的な広がり

1755年、日本において三猿金銭録という本が出された。これは日本におけるテクニカル分析についてのはじめの本である。1978年に日本テクニカルアナリスト協会が設立された。

1986年に、The International Federation of Technical Analysts(IFTA)が設立され、全世界的にテクニカル分析は受け入れられている。

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6:テクニカル分析 : 株式と先物の関連

テクニカル分析は国際的な広がりを見せているが、最近ではさまざまな投資家の間を結びつけるという役割もするようになった。株式取引をする投資家と先物取引をする投資家は、以前はあまりかかわりをもたなかったが、株価指数先物が普及し金融先物が一般化すると、両者の境は徐々に消えていくようになった。

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7:結論

テクニカル分析は、日本で300年、米国で100年以上にわたり実用に耐えて成功を修めてきた。そして、今現在においても、テクニカル分析は発展を続けて、利用者は増えている。

近年、新しい商品が激増する中で、伝統的な手法に対する疑問も出てきているが、「物事が変われば変わるほど、結局は同じになる」と考えることもできる。将来的に、さらなら変化があろうとも、その変化を最初に察知するのはテクニカル分析を行う者であるといえる。


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補論1 スプレッド取引とRelative Strength (相対的強弱度)
1:初めに

スプレッド取引とは、二つの異なる先物商品を同時に反対方向で買い建て・売り建ての取引を行うこという。これまでの章では、主にアウトライト取引(価格の上昇・下落を予想して買い持ち・売り持ちのポジションをとる取引)についてのものであるが、スプレッド取引も先物市場においてポピュラーなものである。

組み合わせには、同一商品内での組み合わせ(イントラ・コモディティーまたはインター・デリバリー・スプレッド)、種類は異なるが互いに関連性のある二つの商品の組み合わせ(インター・コモディティー・スプレッド)、異なる取引所に上場されている商品の組み合わせ(インター・マーケット・スプレッド)などがある。

スプレッド取引をする場合、トレーダーは二つの商品の価格差の変化によってもたらされる利益を期待している。つまり、価格差が拡大するのか縮小するのかに賭けるということであり、相対的な価格差に関心があるということである。

スプレッド取引は、先物市場に参加する上で、低コストで低リスクな取引といわれている(そのため、見込める利益は小さくなる)。

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2:テクニカル分析のスプレッド・チャートへの応用

どの組み合わせのスプレッド取引でも、スプレッドそのものをチャートに描くことができる。そして、そのチャートには上昇するにせよ下降するにせよ、トレンドが存在する。つまり、アウトライト取引において用いた多くのテクニカル分析は、スプレッド取引においても利用することができる。

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3:期近限月と期先限月との間のリラティブ・ストレングス

同一市場または異種市場間において異なる商品間のスプレッドを見ることは、個々の市場動向自体に関して有効な手がかりとなる。

商品の需給逼迫により相場が上向きの場合、通常、期近限月が期先限月よりも早く上昇する。これをブル・スプレッドといい、期近限月を買い、期先限月を売る取引が行われる。

商品の需給緩和により相場が下向きの場合、通常、期近限月が期先限月よりも早く下落する。これをベア・スプレッドといい、期先限月を買い、期近限月を売る取引が行われる。ただし、伝統的な商品市場の中で、貴金属類は例外で、金・銀・プラチナの場合、期先限月から始まることが多い。

このように、期近限月と期先限月との関係をみることで、高値圏または安値圏における方向転換の手がかりを早めに知ることができる。

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4:異なる市場間リラティブ・ストレングス

異なる市場の商品のスプレッドを継続的に見ることで、これら商品の相対的強さまたは弱さにつき、手がかりを得ることができる。リラティブ・ストレングス(相対的強弱度)の概念は、スプレッド取引の概念よりもはるかに広い。

スプレッド(差)に着目することにより、複数の市場の相対的な強弱を知ることができ、その結果により、どの市場で取引をすべきかを決定するのに役立てることができる。

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5:レイシオ分析

レイシオとは一方を他方で割ったもののことである。レイシオ分析も相対的強弱度の測定に極めて役立つ。

市場グループの分析では、グループの中で最も強い、または最も弱い市場を見出すのにレイシオ分析は有用である。買い持ちにするのには最も強い市場の商品、売り持ちにするのには最も弱い市場の商品が適している。

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6:商品指標間でのリラティブ・ストレングス

CRB指数と市場グループの指数との間にレイシオ分析を適用することで、最も強い動きを見せているグループが見出される。次にグループ内のそれぞれの市場にレイシオ分析を適用することで最も強い市場が見出される。そしてさらに、この市場の中で各限月を比較することにより、取引を行うのに最適な限月が見出される。

つまり、最も強いグループのなかで、最も強い市場の、最も強い限月を探したことになる。これが、買いを行うのに最適なものとなる。

売りの場合は同じ手順で最も弱いものを探すことになる。

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7:株価指数先物と現物指数 : 短期間の市場心理を測る

アービトラージ取引とは、実質的に同一であるものを同時に反対売買することである。アービトラージ取引は二つの価格の一時的不一致状態を利用しすばやく行動する必要がある(ここがスプレッド取引との違いである)。二つの価格が再び一致すると期待して、一方を買い持ち、一方を売り持ちにするのである。

このような取引は株価指数先物においてポピュラーなものである。例えば、市場が上昇するとき、通常先物は現物よりも先に上昇を始める。このような場合、先物が売り建てられ、同時に代表銘柄のバスケットが買い建てられる。

先物と現物のスプレッドは、短期的な強気・弱気のセンチメントを測る方法としてよくみられている。先物が現物指数を大幅に超えて上昇している場合、短期的には買われすぎの状況であり、反動が予想される。先物が現物指数を大幅に下回っている場合は、短期的には売られすぎの状況であり、反発が予想される。


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表 補論1
取引 関心 説明
アウトライト取引 絶対的な価格の上昇または下落 価格の上昇・下落を予想して買い持ち・売り持ちのポジションをとる取引
スプレッド取引 相対的な価格差の拡大または縮小 二つの異なる先物商品を同時に反対方向で買い建て・売り建てを行う取引
補論2 W.D.Gann : ジェオメトリック・アングルとパーセンテージ
1:初めに

William D.Gann(1878-1955)は、自ら開発したユニークかつ明確な数学的・幾何学的原則をトレーディングに適用して成功した伝説のトレーダーである。

Gannの方法論は複雑で難解であるが、基本となるものはやはり伝統的なチャートの概念である。サポートとレジスタンス、半値戻しなどはGannも利用している。

伝統的なチャートの概念以外に、Gannはいくつかの独創的な考えを生み出している。

その一つが、カーディナル・スクェアである。これは過去の底値から数えていくことにより将来のサポートまたはレジスタンスを予測する方法である。

また、Gannは市場の転換点を時間的に推測するのに、360の約数を用いている。過去の重要な高値または安値から、30、60、90、120、360と先に数えていくことで、将来の転換点を示唆するカレンダーを作ったりしている。なかでも、高値または安値から1年後の応答日は転換点となる可能性が高いと考えていた。これ以外にも、7で終わる期間にも特別な意味をおいていた。

このようにGannは時間と価格を組み合わせて考え、両者の間には比例関係があるとしている。

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2:ジェオメトリック・アングルとパーセンテージ

Gann理論の中で、最も有効とされているのがパーセンテージ・リトレイスメント(戻しの計算)とジェオメトリック・アングル(幾何的角度)である。

Gannは値動きを、1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8、8/8というふうに1/8刻みのものと、1/3、2/3、3/3の1/3刻みのものに分割している。表を参照。

Gannのジェオメトリック・アングルは、特定の角度をもって高値もしくは安値から引いたトレンド・ラインのことである。Gannが最も重視したのは45度である。上昇トレンドであれば安値から右上がりに、下降トレンドであれば高値から右下がりに引かれる(第10章の修正ポイント・アンド・フィギュアの45度線に似ている)。この線は、時間と価格の1対1の関係に基づいている。

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3:45度線の重要性

価格が45度線よりも上であれば上昇トレンドは継続していると考えられる。下であれば下降トレンドの継続と考えられる。この45度線の突破はトレンド転換であると考えられる。

この45度線は、価格と時間の完全な調和を示すものである。上昇トレンドであれば価格が45度線まで下落したとき、価格と時間は完全にバランスしていると考えられる。だが、これを突破したときは、両者のバランスが崩れたと考えられる。

この45度線には、時間と価格の組み合わせに2というファクターを介在させて、より急なラインや、平らなラインを引くことができる。右の表を参照。

これらはスピード・ラインやフィボナッチのファン・ラインの考え方と似ている。

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4:ジェオメトリック・ラインパーセンテージ・リトレイスメントの組合せ

ジェオメトリック・ラインとパーセンテージ・リトレイスメンとは同時に使うことでさらに役立つものとなる。

例えば、重要な動きが市場で起こった場合、この間の価格のレンジ全体を1/8ずつに分割して8本の水平線を引くことができる。これらはサポートまたはレジスタンスとして機能する。この8本の線のうち重要なのは、3/8と4/8と5/8である。つまり、50%リトレイスメントとフィボナッチ数である。

そして、高値もしくは安値あるいはその両方からGannのジェオメトリック・アングルを引いてみる。重要な線は、45度線と63 3/4度線と26 1/4度線である。これらの線がパーセンテージ・リトレイスメントと相まってチャートの重心を決定する。

ポイントは、ジェオメトリック・ラインは高値と安値の両方から引いてみることである。このとき、高値からのラインと安値からのラインが90度の角度で交差する場合、この交差点は重要な意味をもつ。しかも、この交差点がパーセンテージ・リトレイスメントの水平線と一致すれば、重要性はさらに増す。

Gannは他にもさまざまな線を引いたが、それらは割愛している。


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表 補論2-1 Gannの戻し率
分数 %
1/8 12.5
2/8 25
1/3 33
3/8 37.5
4/8 50
5/8 62.5
2/3 67
6/8 75
7/8 87.5
8/8 100
※薄いグレーの部分はフィボナッチ比率リトレイスメントに似ている。

※濃いグレーの部分はダウ理論に似ている。

表 補論2-2 Gannの45度線
時間 価格 角度
1 8 82 1/2
1 4 75
1 3 71 1/4
1 2 63 3/4
1 1 45
2 1 26 1/4
3 1 18 3/4
4 1 15
8 1 7 1/2
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