民主党は15日、海賊対処法案への対応を巡り、社民、国民新両党と国会内で国対委員長会談を開き、与党との修正協議を視野に入れた意見調整を行った。民主側は党独自の修正案を説明して共同提案を求めたが、社民党が自衛隊派遣に異論を唱え、国民新党も態度を保留し、結論を17日に持ち越した。小沢一郎代表は野党共闘を重視しているが、特に社民党が共同提案に乗る可能性は低く、与党との修正で法案に賛成するか、野党共闘を優先し反対するかで難しい判断を迫られる。
「民主案は与党案よりもずっと中身がいい。しかし、自衛隊が出ることには(党内に)伝統的な(反対)意見もある」。会談で、社民党の日森文尋国対委員長が指摘した。国民新党の糸川正晃国対委員長も「一時的に海上自衛隊を出す間に、海上保安庁で海賊対策の専用船を建造しないといけない。時限立法にすべきだ」と注文を付けた。
民主党の修正案は、海自隊員を海賊対処本部所属の隊員として扱うことで「自衛隊派遣」のイメージを和らげ社民、国民新両党に配慮した。だが、社民党の福島瑞穂党首は15日の記者会見で「政府案には大反対。それを修正してどうなるか」とバッサリ。国民新党の亀井久興幹事長も「恒久法である必要はまったくない」と慎重な立場を示した。民主党の山岡賢次国対委員長は会見で「できれば3党で足並みをそろえていきたい」と強調したが、民主案がそのまま受け入れられるのは難しい状況だ。
小沢氏は「社民、国民新とは足並みをそろえてほしい」と周囲に漏らしており、次期衆院選後の連立政権もにらんだ野党共闘重視の姿勢だ。これに対し、党内では「さまざまな意見を集約した修正案をこれ以上直しにくい。社民党などと違う対応でもやむを得ない」との声が強まっている。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対する非難決議に続き、再び外交・安全保障政策を巡る野党共闘の足並みの乱れが露呈した。【野口武則、小山由宇】
毎日新聞 2009年4月16日 東京朝刊