2007-09-19
■[編集]原作物はとりまわしのいい道具である
さてさて。昨日は「コミック業界は主力作家にはオリジナルを描かせる。原作物は舐められている」という話をしました。今日は原作物の便利使いのしやすさについてお話しします。
オリジナル志向がとても強いマンガ業界に原作物があるのは、ぶっちゃけお金になるからです。メディアミックス効果で原作の人気に応じた売り上げを見込むことができます。
そして「売り上げを見込める」というのは雑誌にとって重要であるため、原作物はタイトルさえ良ければオリジナル作品よりもずっと採用率が高くなります。
ここからが重要なのですが、オリジナル作品で連載を勝ち取る力がない作家でも、原作というゲタをはかせれば使うことができます。
光るものはあるが実戦経験がない新人。売り出していきたいが知名度の足りない若手。安定感はあるがトウのたった中堅。親密になりすぎて切るに切れないロートル etc...。このような、なにがしかの問題がある作家を、編集者は仕事の性質上たくさん抱えています。そんな作家を使えるようにする魔法の道具。それが原作物なのです。使い勝手の良さを理解していただけるでしょうか?
このようにあまりに使い勝手がいいため、おうおうにして原作物は素材の持ち味をいかす方向には行かせてもらえず、編集者の都合にふり回されます。
そのようにしてできたものが良いものになるはずもなく、たいていはファンを失望させ、黒歴史認定されて消えていくのです。便利すぎるがゆえの悲劇と言えるでしょう。
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