2007-09-30
■[編集]マンガ雑誌はマニアの読み物である
昔はコロコロ派とボンボン派、ジャンプ派とマガジン派とサンデー派、キャプテン派とコミックコンプ派など、ひいきにするマンガ雑誌のグループがあって、同好の士同士で盛り上がったり、他派のセンスの無さをあげつらったりしました。最近の若い人たちも、主にネット上でライトノベルのレーベルごとの派閥を作って、似たようなことをやっていると聞くのですが、マンガではついぞ聞きません。
昔はマンガ雑誌の数そのものが少なかったので、やろうと思えば興味のあるマンガ誌すべてに目が通せました。今はあまりに数が多くなりすぎて、財布と時間と気力と部屋のスペースが追いつきません。
昔はおこづかいで買った雑誌と、クラスの中での回し読みと、床屋がマンガのすべてでした。単行本はよほど好きな人だけが買うマニアックな品でした。今はテレビで単行本の売り上げ上位を確認し、アニメとドラマの原作を手に取り、ネットで評判の作品をamazonで取り寄せるようになりました。
雑誌が刷り上がると、かなりの数の束が編集部に届いて、関係者に見本誌として配られます。荷解きをしている時に、この雑誌を読むのは関係者と業界人とマンガのレビューサイトの管理人だけで、他の人は存在すら知らないのではないか、と思うことがあります。
今、毎号読者に心待ちにされているマンガ雑誌がどれだけあるでしょうか。人気があるマンガ、面白いマンガの情報が簡単に手に入り、その単行本の新刊が毎日のように書店に並ぶ状況で、特定の雑誌をひいきにすることに何かメリットがあるでしょうか。レビューサイトの管理人と、重度のマンガ読み以外の人に、マンガ雑誌は必要なのでしょうか。残念ながら、たぶん必要ではない、と私は感じています。
しかしそれでも、たとえ読者のためではないにしても、マンガ雑誌を出し続ける必要が出版社にはあるのです。これについてはまた日を改めて解説いたします。