2007-10-02
■[編集]ライトノベルのマンガは後出しジャンケン
ギリシア神話にエピメテウスという神様がいます。「パンドラの箱」で有名なパンドラを妻に持つこの神様の名前は epi(後で)+ metheus(考える)、つまり後知恵という意味があります。余談ですが、ギリシア人の祖とされるヘレンはエピメテウスとパンドラの孫にあたります。
さて。マンガ化されることが決まったライトノベルというのは、当然ながら人気があるわけですが、だからといって作品として完璧なわけではありません。ネットの書評や2chの該当スレッドを見れば、読者がその作品の何を支持してどこが気に入らなかったのか、作品にどんな穴や矛盾があるかを知ることができます。
こうして得られた情報は後知恵なので、続巻に反映させることはできても、すでに発表してしまった作品を書き直すことはできません。しかし、結果が出た後でメディア展開されるマンガは、この後知恵をフィードバックして作品を改良することができます。
ライトノベルがメディアミックスされる場合、マンガは最終的に展開の最後尾に位置する作品になります。マンガは描くのに時間がかかり、1話あたりに入れられる情報量が少ないため、アニメ等のメディアに追い抜かれてしまうからです。これはつまり、マンガは原作だけでなく、アニメやゲームやラジオやフィギュアやドラマCDに対するファンの反応も織り込んで作れることを意味します。
人気作品を原作に持ち、各メディアから集められた後知恵を参照することができるマンガは、後出しジャンケンにも似たかなり卑怯なポジションにいます。この優位を認識してしっかりと作品を作っていけば、相当な精度でファンの意向を汲みつつ、不興を避けることができます。
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