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ラノ漫 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-10-05

わっちにも飲ませてくりゃれ?

[]「ハルヒ社長」が訓示を垂れる未来

多摩坂です。今日印象に残ったセリフは、冬川基さんの「冨樫先生も描き出したんで、ぼくも描くことにします」です。動機がどうあれ原稿をやるのはいいことです。


さて。21世紀の盛り上がりもぼちぼち落ち着いてきたころ、伊集院光氏のラジオ番組に「ガンダム社長」というコーナーが一瞬だけありました。これはガンダム世代が社長になったら、訓示がガンダムネタになるだろうから、理解できるよう今から例題をあげて学んでいこうというコーナーでした。


当時は完全なネタコーナーで、企画的にも無理があったためすぐテコ入れが入りましたが、今になって振り返ってみると、かなり先見の明のある企画だったのではないかと思います。


若者がなにか新しいものに夢中になると、よさを理解しない(できない)大人はそれを攻撃する傾向にあります。少し前にゲーム脳が大変な迷惑をまき散らしましたし、昔はマンガが悪書として攻撃されました。野球をすると脳に悪影響が出ると叩かれた時代もあります。


しかし、大人に攻撃されたからといってブームが下火になるかというとそんなことはなく、世代交代が進むとさらに状況が一変します。若いころにはまったものは同世代間では共通言語として機能しますし、年下に対しては説教に織り込まれる形で引用されます。歳をとるにつれてかつての若者社会的な地位を手に入れ、偉くなった彼らに引きずられる形で、かつての流行もまた権威化されていきます。


夏目漱石は今でこそ文豪などと呼ばれていますが、彼が活躍した明治時代小説の地位が非常に低く、まっとうな人間が読むものではないと社会的には考えられていました。大学教授を辞して低俗新聞社に入社し、俗悪の極み(=当時の大衆娯楽の最先端)である新聞連載小説を書くという行為は、周囲の人間を大変驚かせたといいます。


明治時代人間にとって漱石は大衆娯楽のベストセラー作家でした。彼を文豪にしたのは小説に夢中になり、歳をとることで我が身と小説を権威化していった、当時の若者たちです。映画マンガも同様ですし、ガンダムはこれらの流れの中でも最新のものの一つになるのではないかと考えます。


30年、40年後の未来、なにが権威化しているかはわかりませんが、ハルヒ社長キノ社長、戯言社長京極堂社長といった人たちが出てきて、社員に訓示を垂れていたら面白いなと思います。