2007-12-23
■[編集]ライトノベルはイラスト化するシーンを選ぶべきか
※注:このエントリはフリーランスの編集者の、一個人としての意見にすぎません。電撃文庫の方針とは全然まったくこれっぽっちも関係ありませんので、ご注意ください。
Haenschen klein...:指定として軸がずれている
面白いのは、某編集氏によると「一番盛り上がるところはあまりイラストにしない。盛り上がるところから少しずらしてイラスト指定にする」のだそうです。同じことは複数から聞いたので、テクニックとしてかなり普及してるのではないかと思います。
「一番重要なシーンは挿絵にしない」というテクニックを私に最初に教えてくれたのは、田中芳樹の「纐纈城綺譚」でした。
この作品の挿絵は藤田和日郎氏が担当しているのですが、氏が巻末の解説か何かに書いていたと記憶しています(現物が手元にないのでうろおぼえですが)。
小説家は多かれ少なかれ文章でしか表現できないと思っていることがあるから、それを小説にします。だから本当に伝えたいと思っているキモの部分は文章でなければなりませんし、そこを絵にしてしまうのは僭越極まりない行為ということになります。
ライトノベルの場合も基本的には上記の事情を理解した上で絵にするシーンを選ぶべきです。ただライトノベルはイラストが非常に重要であるので、出し惜しみしていると商機を逃す可能性があります。ではどうするべきでしょうか。
ライトノベルの場合、「物語のキモ」と「読者が絵にして欲しがるシーン」とは意外とズレがあることが多いように思います。露骨な例をあげると、シャワーシーンだったりヒロインがデレたりする場面は、読者にとっては極めて重要かもしれませんが、物語的にはおおむねそんなに重要ではありません。
こうした「ビジュアル的には重要だが、物語的にはクリティカルでない」シーンを選んでイラスト化していくのがよいのではないかと考える次第です。