2007-12-21
■[ねこ]猫ちぐらが届いた
ちぐらはもともとは、乳幼児を入れておく、藁で編んだ籠でした。
「猫ちぐら」はその名のとおり、猫用のちぐらです。
猫ちぐらは狭くて暗くて静か、夏涼しく冬暖かいという、猫にとって理想の棲家です。
天然物のコシヒカリで作られたちぐらは、藁のいい匂いがします。
あまりいい匂いがするので、藁を食べようとしています。
猫を飼われている方、愛猫の住居兼インテリアにおひとついかがでしょうか。
■[編集]マンガ単行本のお値段と新規描き下ろしの原稿料についての補足の補足
Angel Heart Club
http://home.att.ne.jp/wave/applepop/#200712-18
きらら系単行本の価格が800円〜900円なのは、まあ一言で言えば、オタクが足下見られているのよ。他の4コマ単行本で900円近くになるなんてまずないから。
※以下の話は愛蔵版やコンビニ売りの再録物等は除外して聞いてください。
マンガ単行本の定価はレーベルで概ね決まっています。ジャンプコミックスは410円。うちの電撃コミックスは550円。きらら系のKRコミックスは860円。エロマンガの単行本だと900円や1000円が多いですね。
値段が安い方が買われやすいので、どこも本当は定価を安くしたい。でも、実際問題として、他のレーベルはジャンプコミックスみたいには売れないわけです。するとどうなるか。「レーベルとして想定している部数で利益が出るよう定価を設定する」ことになるわけです。定価が高いのは(想定)部数がしょっぱいから。オタクの足元を見ているからではないと思います。
ちなみに、マンガ単行本における作画修正や加筆など描き下ろしに相当する部分には、一切原稿料が発生しません。これらは、基本的に全て作者自身のサービスになり、単行本が売れないとジリ貧です、マジで。
これは雑誌によりけりです。全然出さないところ、一部(イラストだけとか描き下ろし原稿だけとか)出すところ、新規分は作画修正を除いてすべて出すところなどいろいろあります。同じ会社内でも雑誌が違えば変わったりしますので、一概に言ってしまうのはどうかと思います。
2007-12-20
■[お仕事]年末の多摩坂さん
ご無沙汰しております。多摩坂です。大人の事情で更新をしばらく自粛していたのですが、某人から「白菜鍋はもう飽きたYO!」と言われたのでぼちぼち再開します。
さて。今月は電撃大王・ガオ・マ王・G's magazineの月刊連載組に加えて、隔月の萌王に季刊の黒マ王、さらに新連載2本とシャナ4巻の単行本作業が重なるという、デッドリーな仕事量でした。このさいなのでこのエントリで一気に紹介したいと思います。
電撃黒マ王 (デンゲキブラックマオウ) 2008年 02月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/12/19
- メディア: 雑誌
まずは昨日発売された黒マ王VOL.2から。
表紙&巻頭の、木谷椎さんの「灼眼のシャナX」です。今回は原作で描かれていない大戦の序盤、フレイムヘイズ兵団副将ベルワルド vs 九垓天秤先手大将ソカルをマンガにしてみました。この2人に気合を入れすぎて、マティルダとヴィルヘルミナを描く時間がなかったり、関係者趣味に走りすぎです。原作10巻のファンには是非見ていただきたいところ。
新連載。緋鍵龍彦さんの「唐傘の才媛」です。メガネのヘタレ男が難儀な女性陣に気に入られて、それはもう非道い目に遭いまくるというお話。まだ粗削りでちょっと読みにくいですが、これから伸びる子だと思いますので、しばらく様子を見ていただけるとこれ幸い。
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: 雑誌
続いて明日発売の電撃大王2月号です。
新連載。おかゆまさきさんと真田鈴さんのタッグでお贈りする、ちょっと(?)Hな学園ラブコメ「森口織人の帝王学」です。内容は書いてしまうと面白くないので、是非現物を読んでいただきたいです。
先月出した単行本がもう5刷という、びっくりするような勢いで売れている(ありがとうございます)冬川基さんの「とある科学の超電磁砲」。今月は不良能力者と黒子の戦いの続きです。目的のためには手段を選ばない、黒子の無茶ぶり全開の36ページ。
1月に単行本の4巻が出る笹倉綾人さんの「灼眼のシャナ」。長い長い鬱展開を抜けて、ようやっと一息つけます。吉田さんもかわいいですが、今月のシャナさんの破壊力はちょっとすごいですよ?
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/12/26
- メディア: 雑誌
次は26日発売の電撃萌王2月号です。
深山靖宙さんの「乃木坂春香の秘密」です。ピアノのコンクールに出場する春香を応援しに、美夏といっしょにロンドンに行きます。今月は春香さんが出てきませんが、その代りにすごい勢いで美夏祭りの様相を呈しています。
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/12/27
- メディア: 雑誌
次。27日発売の電撃マ王2月号です。
小梅けいとさんの「狼と香辛料」です。原作に忠実にじっくりと進めていますが、中世の歯磨きや食事内容など、細かいところで時代考証を加えて描いていたりします。原作と並べて読むと発見があるかもしれません。
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/12/27
- メディア: 雑誌
次は同じく27日発売のガオ2月号です。
水島空彦さんの「ななついろ★ドロップスPure!!」です。如月先生が情報を出し惜しみしていたせいでこんがらかっていた状況が、先生の解説で整理されます。
吟遊詩人さんの「バッカーノ! 1931」です。都市伝説上の存在であった「線路の影をなぞる者」が姿を現し、乗客を惨殺することで、さらなる混乱が列車を包みます。
電撃G'smagazine (デンゲキジーズマガジン) 2008年 02月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 角川 (メディアワークス)
- 発売日: 2007/12/27
- メディア: 雑誌
最後はさらに同じく27日発売の電撃G's magazineの2月号です。
しゃあさんの「CLANNAD」です。今月は春原の寮の寮母さんである美佐枝さんのお話です。しゃあさんが某ドラマに影響されていた関係で、岡崎くんとラグビー部が昔懐かしい熱血スポ根風味になっているのはご愛嬌です。
以上、計10本、280ページが今月の掲載分です。
※おまけ
シャナ4巻では久しぶりに登場のしゃなたんが喋るらしいですよ……?
2007-11-24
■[料理]水を入れないかんたん鍋
多摩坂です。奥歯の神経が炎症を起こして悶絶したり、商業編集をやる以前からつきあっていた作家さんと袂を分かつことになったりと、公私ともにたいへんな今日このごろです。
さて。先日作った肉じゃががえらくうまかったこともあって「ひょっとすると鍋も水を使わない方がうまいんじゃ?」などと思い立ち、夕飯で試してみました。
今回の材料は白菜と豚バラ肉と日本酒だけ。あと土鍋を使います。作り方も簡単。
(2)白菜のすき間に豚バラ肉をはさみこみ
(3)日本酒を大さじで何杯か適当に振りかけて
(4)蓋をして火を入れ、日本酒と白菜の水分だけで蒸し煮にする
以上です。仕上がりはこんな感じになります。
ポン酢に一味を振ったタレでお召し上がりください。豚肉のエキスと日本酒を吸い、その上それらにも負けない自身の甘味を主張する白菜が絶品です。
簡単なのでぜひ一度お試しください。
■[編集]“コミュニケーション”は“ディスコミュニケーション”から始まる
見るからに人の目をひきつけ、「一度見てしまうとそのことを誰かに話したくなってしかたがない作品」というのがあります。その一方で、おもしろいおもしろくない以前の問題として、「見ようという気がまったくおきない作品」というのもあります。
前者にあって後者に足りないのは、往々にして「演出」です。もっと掘り下げて言うと、「人間は感情の動物であり、感情でしか人は動かない」ということに対する理解の差、といった感じでしょうか。今日はそんな話をします。
自分たちがつくるものに対して、最初、お客さんはたいして興味がないどころか、まったく興味がない。そこから、はじまる。
「良いものを作れば売れる」というのは作り手の願望であって、事実とは異なります。どんなにおもしろくても、興味を喚起することができなければ、手に取ってもらうことすらできないのです。
派手なCM。煽情的なコピー。刺激的な画。人気のある作家・俳優。ショッキングな出だし。あるいは萌えと属性と肌色の乱舞。
すべては作り手と視聴者の間に横たわるディスコミュニケーションの溝を埋めるための努力であり、視聴者の興味を喚起し、心を動かすための演出です。認知させ、興味を持たせ、手に取らせる。内容以前の問題として、そこまで持っていくことができないと、勝負にすらならないのです。
さて。次に「一度見てしまうとそのことを誰かに話したくなってしかたがない作品」について考えてみたいと思います。
「Simple -憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向な日々-」の「ニュースの定義」という記事に、次のような言葉があります。
19世紀アメリカの近代的ニュース編集の開拓者、C.A.デイナのニュースの定義は、「ひとをおしゃべりに駆り立てる何か」である。ニュースとは、我々の感情を揺さぶるものでなければならない。
上で語られているのはニュースのことですが、この言葉はすべての娯楽に通じるものを持っています。そしてここで重要なのは「ひとをおしゃべりに駆り立てる何か」が「我々の感情を揺さぶるもの」として語られているという点です。
ものを作るということは、突き詰めれば、ものを通して人の心を揺さぶるということにほかなりません。その振動はディスコミュニケーションをコミュニケーションに変え、その感動は視聴者の口コミを介してコミュニケーションの輪を広げていきます。
視聴者の心を揺さぶり、ファンになった人々の自発的な活動がコミュニケーションの輪を広げる。そんな作品を作っていきたいものです。
2007-11-19
■[料理]海軍式の肉じゃがを作ってみた
多摩坂です。なんの気なしに読んだ竿尾悟「コンビニDMZ」が面白かったので無性にミリメシが食いたくなったのですが、手近なものがなかったので、代わりに帝国海軍発祥と伝えられる肉じゃがを海軍式に作ってみることにしました。
材料は牛肉薄切り、じゃがいも(メークイン)、たまねぎ、こんにゃく、砂糖、醤油、ごま油です。「海軍厨業管理教科書」によると、作りかたは
一:油入れ送気
二:三分後生牛肉入れ
三:七分後砂糖入れ
四:十分後醤油入れ
五:十四分後蒟蒻、馬鈴薯入れ
六:三十一分後玉葱入れ
七:三十四分後終了
備考
二:合計三十五分と見積もれば充分である。
となっています。海軍の肉じゃがで面白いのは、水を入れないことです。なお一の「送気」とは蒸気式の釜に蒸気を送って熱することを指します。火を入れることだと思っておいてください。
ごま油を入れ、弱火で3分加熱した後に牛肉を入れます。火力は弱火と中火の間くらいで。
4分炒めたら砂糖を加えます。
3分たったら次は醤油です。焦げつかないよう注意してください。
4分後にこんにゃく、じゃがいもの順に加えます。水分を逃がさないよう、ふたをして加熱します。たまにかき混ぜてください。
17分後にたまねぎを加えます。
3分たったら完成です。今回は大きなたまねぎを使ったので余分に火を入れましたが、中くらいの大きさのものを小さめに刻めば3分でも大丈夫だと思います。
牛肉・砂糖・醤油と関西のすき焼き専門店と同じ手順で加えていっているので、牛肉には味がよく染み込んでいます。じゃがいもはふかし芋のようなホクホクした感じに仕上がります。とてもおいしいです。こんにゃくは少し大きめに切って入れたほうが味が楽しめるように思いました。
簡単でとてもおいしく仕上がりますので、みなさまもぜひ一度お試しください。