2008-01-01
■[その他]年越しの宴
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年は更新が飛び飛びでしたので、今年はなんとか毎日更新したいと思います。
さて。昨日から今朝にかけて、フランさんに誘っていただきましてだんげろうずさん&かーずさん幹事による忘年会に参加してきました。
総勢107名。読売新聞の福タンさんや白泉社の飯田孝編集長といったような方々がさらりといたりする恐ろしい宴でした。個人的には愛読している「だったらイケるぜ!」の管理人のとらさんとお話しできたのが嬉しかったです。
※おまけ
■[雑学]ラノ漫 私選名言100
Webの更新が少ない正月こそ読み応えのあるエントリを! ということで、趣味と実益を兼ねて今まで蒐集してきた名言を、100個選んで並べてみました。仕事柄マンガやものづくりに関する言葉が多いです。正月中のひまつぶしになればこれ幸い。
001.大きくする方向に考えなきゃだめだ。最初はバカでもいいから、でかいことから考える。でかくて楽しい方から考えるのが、編集者の資質じゃないか ― 白井克哉
002.現場がおもしろかったっていうのは最悪だ ― テリー伊藤
003.まずボールをコントロールする、それがすべての基盤だ。もしボールをコントロールできないなら、ボールを追って走る事になる。それは別のスポーツだ ― ヨハン・クライフ
004.ぼくは、カメラマンの想像力が一番はっきりあらわれるのは、対話をどう撮るかだと思う ― 伊丹十三
005.屈折のない心、含羞のない心、これは我慢がならない ― 伊丹十三
006.流行りを追う人は、受信を絶やさず、我が道を進む人は、送信を絶やさず ― 吉崎観音
007.模型というのは単に縮尺しても模型にならない ― 田宮俊作
008.下手な写真は、被写体への接近が足りない ― ロバート・キャパ
009.しょうもなくはないよ。君たちのやっていることは新しい時代を切り拓いているんだ。貴女の作品は絶対いいよ! どんどん描きなさいよ! ― 岩田次夫
010.設定で大切なのは、説得力であって、リアリティではない ― 作者不詳
011.売れてるものはなんでもあざとい ― 久米田康治
012.出来ていない、ということは、その技では人は倒れないということです。人の倒れない技など何の意味もない ― 中村日出夫
013.奥義は凡技に始まり、凡技は奥義に終わる。始めに奥義無く、終わりに奥義あり。なるならぬ鍵は鍛錬が握る ― 遠山寛賢
014.アイデンティティ? そんなものはフィクションですから。捨てたほうがいいんです ― 玄侑宗久
015.ニュースとは「ひとをおしゃべりに駆り立てる何か」である ― C.A.デイナ
016.分からない奴が雁首揃えて考えたところで正解なんかでっこないよ。多数決で未来は決まるのか? ― 切込隊長
017.どこにでもある退屈な日常を、それでも面白く書くのが才能 ― 太田克史
018.ゲームの基本というのは、碁とか将棋であって、あれに色がついていてもあまり意味はない ― 横井軍平
019.すごい商品を作るな。売れる商品を作れ ― 横井軍平
020.出版界のなかで「誰にも真似のできない事業領域を確立する」ことが私たちの目的です ― 佐藤辰男
021.キャラクターは作品である前に商品。「これが新しいんだ」と力んでも、観客に受け入れられなければ意味がない ― 貞本義行
022.武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つことが本にて候 ― 朝倉宗滴
023.選ぶということは、なにかを捨て、なにかを残す。そういうこと ― 作者不詳
024.つかない編集と一緒にいるとこっちまでつかなくなるのよ ― 西原理恵子
025.結局、「よく作られた物語」ってのは、現実世界の持つ圧倒的な「中途半端さ」を恣意的に排除して、人の心を動かすパーツだけを効率的に整理・再構築したところにできあがるわけで ― 高遠るい
026.「面白い」ってのは感性よりも知識や情報量に基づくものだと思います ― 氷川へきる
027.いつだって時代は過渡期だし、キャンバスは真っ白なんだよ ― 小谷正一
028.戦争に勝つために必要なのは判断力であって、イデオロギーではない ― ナポレオン・ボナパルト
029.上流階層は努力が報われると信じており、下流階層は努力をしても意味はないと信じている ― 内田樹
030.雌伏の時期を人生設計に織り込めるヤツは強い ― 唐沢俊一
031.法隆寺も法輪寺も薬師寺も、学問も何もない職人たちの時代に造られたもんや。学者は後からいろいろ理屈づけしただけや。だから学者というものは職人の後からついてくるものや ― 西岡常一
032.失敗は気づいたときに直すことや。隠したりごまかしたらあかん ― 小川三夫
033.才能だけではスターにはなれない。才能はみとめてもらわなければはじまらない ― アル・ライズ&ジャック・トラウト
034.人間は複雑なものを好む。シンプルすぎるものは信じられない。だが、うまくいくのはシンプルなアイデアだ。強力なアイデアには優美なシンプルさがある ― アル・ライズ&ジャック・トラウト
035.すべての人間を満足させるようなアイデアは、浮ついて中身がない、ということは覚えておいたほうがいい ― アル・ライズ&ジャック・トラウト
036.じょうずになるとか学ぶとかいうことにはリスクがある、とぼくは考えるんです ― 糸井重里
037.ポテンシャルこそがものごとの価値のすべてなんだ、ということにぼくが気づいたのは、赤城山の埋蔵金を調べた時なんですよ ― 糸井重里
038.マーケとかではぜんぜん人は動かないし、感情でしか人は動かない ― 糸井重里
039.実は嬉しいことも楽しいことも、全部ストレスなんだよ。哀しい、苦しいだけじゃない。子供が遠足楽しみにしすぎてお腹痛くなったりするじゃない? ― 佐々木勝俊
040.俺が教えてもらったことで、印象に残ってるのは「笑いは空気だ」ってこと以上に、「ディレクターは全部説明できなくちゃいけない」ってこと ― 片岡飛鳥
041.それはそうだ、絵を描く商売なんだから、絵の下手な奴は悪人だよ ― 作者不詳
042.「それは誰かがやっていないか」「それは誰を幸せにするか」「それが自分にとって面白いか」 ― 小山薫堂
043.Q「マンガ家として大切なことってなんでしょう?」 A「創作は美しい、って心に念じていることじゃあないですか」 ― 荒木飛呂彦
044.チンピラの立ち話で結構。チンピラが立ち話をしていて聞いてみたら面白かった、それの何が悪い ― 松本人志
045.編集者のする一番大きな仕事は、描き手を選ぶことだと思う。そして次の仕事は、任せることだとぼくは思う ― いしかわじゅん
046.要領の悪い落語家は“どうしてこんなことを咄の中に入れるのか”と思うような無駄なところが多い ― 立川談志
047.クリエイターってさ、ある意味バカになって、ノーガードで自分の実存をぶつけなきゃいけないところがあるでしょう。そこがお客を感動させる原動力にもなる ― 竹熊健太郎
048.物欲しげな顔で自分の作品を『偉い人』から『評価』してもらえることを期待してる新人諸君、作家志望者諸君へ。気をつけろ。君の仕事は『読者』を楽しませることだぞ。それだけは絶対に忘れるな ― 賀東招二
049.編集者って経験を積むにつれてなんか格好つけちゃったり、だんだんラグジュアリー化していっちゃうんです ― 原田隆
050.ブレイク率を運勢に括るとしたら、ツイてないプロはツキを管理する必要があると思う ― 球作
051.ブランドとは、なにが「いいもの」なのかわからない人たちの代わりに、その選択の意思決定を代行するツールである ― 三宅秀道
052.30までくれてやれ、好きなことやってるんだから。自分の人生の10年間くらいあげてもいいじゃない、漫画に ― 福本伸行
053.「楽しいと思ってること」を疑ってみるっていうのは大切なことなんじゃないかな ― ケラリーノ・サンドロヴィッチ
054.みんなね、「こんな映画見たことない」という言葉が聞きたくてしかたがないんですよ。観客は楽しみたいだけで、そんなことは二の次なんですけどね ― 作者不詳
055.「編集とは何か」ってよく訊かれるんですけど、結局字のとおり、集めて編むんです。人を集めたり、ものを集めたり、原稿を集めたりして、何かを編み上げる。「無」からは絶対にできないんです ― 松田哲夫
056.自分たちがつくるものに対して、最初、お客さんは、たいして興味がないどころか、まったく興味がない。そこから、はじまる ― 岩田聡
057.インスピレーションをまっている余裕などありません ― チャールズ・シュルツ
058.なぜ自ら己の欠陥を暴露するのですか。客が見たいのは奇術なのです。奇術師とは不思議さを売るセールスマンではありませんか ― 松田道弘
059.イメージすることができたならば、それは実現したのと同じこと ― デビッド・カッパーフィールド
060.どこまでも自分は普通であろうとする努力は大切だと思います。それは、世の中でヒットしたものを見た時に、直感的にいいなと思えることです ― 久保雅一
061.美醜によって、人の値打ちを計るのは残酷かもしれませんが、美醜によって、好いたり嫌ったりするという事実は、さらに残酷であり、しかもどうしようもない現実であります ― 福田恒存
062.みんなと逆のことをやれば、だいたい正解である。大多数の人間は間違っている ― 金出武雄
063.その時代時代のもっとも優秀な才能は、もっともギャランティが大きな業界に集まる ― 作者不詳
064.企画には「ポジティブプランニング」と「ネガティブシミュレーション」が重要 ― おちまさと
065.政治はアートなり。サイエンスにあらず。巧みに政治を行い、巧みに人心を治めるのは、実学を持ち、広く世の中のことに習熟している人ができるのである。決して、机上の空論をもてあそぶ人間ではない ― 陸奥宗光
066.おいしいものを食べるには、料理を作る人、食べる人、そして食べられない人が必要である ― 作者不詳
067.ボクは絵もうまいし話もうまいからイジメられなかった。才能があれば何でもないコトです。才能がないのに食い込んでくるからややこしい ― 水木しげる
068.「ゲーム」とは、つまるところ参加者に対して強制的に“意志決定”を行わせるための仕掛けに他ならない ― 馬場秀和
069.これは経験してきて分かったことなんですが、説明が難しいゲームは売れません ― 安藤武博
071.ほら、まだ見てくれだって悪くないだろう? こんな靴を作れる職人はもういないよ。昔の良い靴ってのはホントに長くもつように出来ているんだ。今の靴は、デザイナーの夢を満たしているだけじゃないかな ― 作者不詳
072.株式市場では、願望で動く人は失敗するだろう。成功したいのなら現実を直視することだ。そして現実はしばしば冷酷であり、願望とは一致しない ― 是川銀蔵
073.条件違反にすごいものなし ― 山田ズーニー
074.普通に描けばどんなに狙った設定だろうが長者番付に入るほどの収入は生み出せない。愚民だろうが豚だろうが大衆は常に正しいのです。その原動力が知りたいのですよ ― xx
075.地図は土地ではない ― アルフレッド・コージブスキー
076.世間には怖い才能の奴がいるかもしれない。そう想像したら部屋から出て仕事をするしかなかった。そこで何回も向こうずねをひっぱたかれるような目にあわないと、自分の技術なんて上がるわけがない ― 富野由悠季
077.友枝さんがなぜ偉いかっていうとね、初めて観た人が感動するの。涙こぼすんですよ。古典芸能だって、知識なんかなくても、何か胸を打つものがなくては本物じゃない ― 白洲正子
078.どんなによくできた物語でも、それ自体は作品の「売り」にならないことが多い ― 作者不詳
079.漫画家は「新しい悪」を描けないといけない。そうしないとその悪に対峙する「正義」が描けない ― 長崎尚志
080.編集者は読者の顔が見えなくてはいけない。頭の中も胸の底も、いや財布やポケットの中身も見えなくてはつとまらない ― 長野規
081.いつの時代もどこの世界でも愛情と笑いに勝てるものを私はまだ見たことがないです ― 板羽皆
082.読者を手玉にとってやるぞ! という気持ちを忘れないように創っています。読者が期待しているストーリーの芯は外さないようにしてその上で、さらに何かデカイ仕掛けを創ることができれば理想でしょう ― 許斐剛
083.机の上に本を並べて、言葉を探している時、ライバルの声が聞こえる。「足を使わなくちゃいいネームは切れないぜ」汗を流して見つけた言葉だけが、読者の胸に届くのだ ― 山口貴由
084.強くないものを強いと言うな。凄くないものを凄いと言うな。心血を注いでいない偽物になんか、誰が感動するもんか。美しくないものを誰が語り継いでいこうとするもんか ― 板垣恵介
085.マンガにとって一番大事なことは、人気を取ることです。同じ作品が、人気を取れば光り輝く……。人気がなければくすむ。ガキのマンガ家も、人気を取れれば自分の能力以上にバケられるんだ ― 本宮ひろ志
086.みんな物語の始まりと終わりに引きずられすぎ。途中が大事。途中こそが面白いんだよ ― 菅野博之
087.「売る才能」のないゴッホは、生涯マーケットに絵が並ぶことはなかった。奥さんが敏腕セールスマンだったダリは、巨万の富を築いた。その間にあるのは、絵の価値の差ではなく、社会的な環境だけだ ― 三等兵
088.多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ ― スティーブ・ジョブズ
089.大衆はいくつもの手をもつ。その手は美しい花を求めるのと同時に、血と殺戮に拍手を送る ― 作者不詳
090.約束の中で保護されるということは、同時に、約束によって殺されてもいくということだ。それがいやなら、大樹の陰に寄らなければよいのである ― 阿佐田哲也
091.お前やさんまは笑いを取りに行こうとする。それが当たり前になると帯番組はマンネリになる。だから一番山のところで叩く。そうすれば何かを考えるだろう。それがマンネリ解消になる ― タモリ
092.懐に現金を忍ばせて見に行ったら、いまの現代芸術といわれるものはほとんどが、理屈とともに流れ落ちていってしまうのではないだろうか ― 赤瀬川原平
093.学校で教わる基礎はどこでも通用する。でも、どこでも通用するものって、評価はされないのです。個性ではないものだから、オリジナルな仕事だとは見做されない ― 斉須政雄
094.アマチュアとプロフェッショナルは、お互いの欠点を補い合って協調できる。しかし、マニアとプロフェッショナルは絶対に協調できない。特に、自らをプロフェッショナルに並すると思っているマニアは手に負えない ― 佐藤大輔
095.できるかできないかは、どの方法をとるかではなく、誰を起用するかでほぼ決まる ― 作者不詳
096.現場には、何時間会議しても絶対出てこない出来事や、作家には一生書けないような笑いの奇跡がときどき生まれる ― 高須光聖
097.勝つと全員気分が良い。誰が手柄にしてもいいの。負けると誰かが誰かの責任にする。悪口雑言だらけ。それはホントに気分が悪いし、哀しくなるしね。だから勝ちたいの ― 大岩賞介
098.ぼくはメロディを大事にします。いいメロディというのはやっぱり長持ちするんですよ。奇をてらったものでは、何度も聴いているうちに、いやになってしまいますからね ― すぎやまこういち
099.やっぱりね、私はマンガは売れた方が良いと思うんです。それはイコール楽しい、面白いってことじゃないか、っていうのがあってね ― 高橋留美子
100.考えてみれば、ペンとインクと紙があって、マンガ家と編集がいるだけで世の中が変わる、少なくともゴキゲンでわあわあ世界を渡っていけるなんて夢のようですよ。たとえは悪いですが、偽札造りを共謀しているような、ある種の痛快さがこの商売にはあります ― 沢考史
2007-12-24
■[料理]坂井三郎風すき焼き
よみがえる零戦の雄飛:
坂井さんは料理も上手。チョコレートの入った海軍式カレーライスはとても美味しい。キャラメル入りすき焼きも最高でした。水を使わず肉片をスキヤキ鍋に入れて焦げるまで炒めたらキャラメル1つと野菜を入れる・・・その手際の良い調理姿を見て「零戦の操縦もこんな感じで料理していたのかな?」とも思いました。
というわけで本日の料理は大日本帝国海軍の撃墜王、「大空のサムライ」こと坂井三郎氏のすき焼きです。
材料は牛肉薄切り、ねぎ、春菊、えのき、豆腐、しらたきとキャラメルを用意してみました。
鍋を熱して牛脂をひき、牛肉を投入します。
充分炒めた後にキャラメルを刻んで投入します。上の解説では1つとなっていますが、どう考えても少ないので3つほど加えました。
肉とキャラメルをからめてしばらく炒めた後、野菜などを投入。上の解説通りに作るとこれで完成ですが、食してみたところどうにもすき焼きらしくありません。というかキャラメルだけで味付けされた牛肉は、味も匂いもかなりアレです。
仕方がないので酒と醤油と出汁と砂糖(控えめ)で割下を作り、これを加えて味をととのえました。すき焼きに醤油を使わないとは考えにくいので、上の解説はその辺をはしょっているものと考えられます。
キャラメルの材料の水飴と牛乳のせいか、通常よりもまろやかで上品な甘味に仕上がりました。ただキャラメルの自己主張があるので、人によって好みが分かれるのではないかと思います。
海軍料理の性質を考えるに、割下の酒や出汁は余計だったのではないかと後になって思いました。正確なレシピが手に入ったらもう一度挑戦してみたいと思います。
2007-12-23
■[雑学]弾幕の薄い左舷(さげん)
今日は事務所に山積みになったマンガや同人誌を処分する予定だったのですが、雨が降っていたので休養日に切り替え。猫を抱いて終日寝てました。たまには何もしない休日もいいものです。
さて。デザイナーの杏東ぢーなさんのblogに次のようなサイトが紹介されておりました。
○みぎげん/ひだりげん ×うげん/さげん 専門用語正式呼称普及同盟
かつての『宇宙戦艦ヤマト』で、劇中人物が台詞で
「右舷/左舷」を「うげん/さげん」と
「みぎげん/ひだりげん」の方が、
世間一般ではマイナーとなり、
これに忠実なシナリオに対して「間違っている」と、
指摘する困った状況が後を絶たない始末です。
うーん。「右舷/左舷」を「みぎげん/ひだりげん」と呼ぶのは大日本帝国海軍と海上自衛隊だけでして。民間でも海上保安庁でも陸上自衛隊でも使うのは「うげん/さげん」の方のはずですし、辞書にも基本的には「うげん/さげん」しか載ってないんですよね。それに地球防衛軍や連邦軍といった、日本の海軍が母体になったとは考えにくい軍隊で「みぎげん/ひだりげん」を使うのも違うような気がします。
日本海軍や海自を題材にした作品で「うげん/さげん」を使うのは間違いですけど、このサイトみたいに一見「うげん/さげん」を全否定しているように見える主張のしかたもちょっとどうかと思った次第です。
※追記
■[編集]ライトノベルはイラスト化するシーンを選ぶべきか
※注:このエントリはフリーランスの編集者の、一個人としての意見にすぎません。電撃文庫の方針とは全然まったくこれっぽっちも関係ありませんので、ご注意ください。
Haenschen klein...:指定として軸がずれている
面白いのは、某編集氏によると「一番盛り上がるところはあまりイラストにしない。盛り上がるところから少しずらしてイラスト指定にする」のだそうです。同じことは複数から聞いたので、テクニックとしてかなり普及してるのではないかと思います。
「一番重要なシーンは挿絵にしない」というテクニックを私に最初に教えてくれたのは、田中芳樹の「纐纈城綺譚」でした。
この作品の挿絵は藤田和日郎氏が担当しているのですが、氏が巻末の解説か何かに書いていたと記憶しています(現物が手元にないのでうろおぼえですが)。
小説家は多かれ少なかれ文章でしか表現できないと思っていることがあるから、それを小説にします。だから本当に伝えたいと思っているキモの部分は文章でなければなりませんし、そこを絵にしてしまうのは僭越極まりない行為ということになります。
ライトノベルの場合も基本的には上記の事情を理解した上で絵にするシーンを選ぶべきです。ただライトノベルはイラストが非常に重要であるので、出し惜しみしていると商機を逃す可能性があります。ではどうするべきでしょうか。
ライトノベルの場合、「物語のキモ」と「読者が絵にして欲しがるシーン」とは意外とズレがあることが多いように思います。露骨な例をあげると、シャワーシーンだったりヒロインがデレたりする場面は、読者にとっては極めて重要かもしれませんが、物語的にはおおむねそんなに重要ではありません。
こうした「ビジュアル的には重要だが、物語的にはクリティカルでない」シーンを選んでイラスト化していくのがよいのではないかと考える次第です。
■[雑学]ヒトがトラを噛んだ話
MSN産経ニュース:中国の動物園でトラ殺される 毛皮はがされ発見
22日の新華社電によると、中国湖北省宜昌市の動物園で20日、絶滅の危機にあるシベリアトラ(アムールトラ)が殺されているのが見つかり、地元警察当局が捜査を始めた。毛皮をはがされた上、頭部や足も持ち去られていた。
愚地独歩かピクルのしわざじゃネーノ? という刃牙ファンにありがちな感想はさておき。「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」の典型的なニュース。動物園でシベリアトラが人間に襲われて殺されました。毛皮狙いだった模様。
ちなみに「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」は1882年「ニューヨーク・サン」紙に載った、アメリカのジャーナリストC.A.デイナの言葉。しばしばイギリス新聞界の王ノースクリフ卿アルフレッド・ハームズワースや「ニューヨーク・サン」紙の記者J.B.ボガートの言葉とされることがあるのですが、それはどうも間違いのようです。
さらにおまけ。書いていて今気付きましたが、C.A.デイナといえば前に書いたエントリで引用した「ニュースとは『ひとをおしゃべりに駆り立てる何か』」であると言った人と同一人物ですね。どちらも含蓄のある言葉です。
2007-12-22
■[お仕事]冬コミの海藍さん
多摩坂です。最近のお気に入りはほぼ日刊イトイ新聞の「京極夏彦はいつ眠るのか。」です。なんというか水木センセイ黒すぎ。
さて。冬の有明マンガ祭に例によって電撃大王も出展するのですが、テレカと紙袋に使われるイラストを海藍さんが描き下ろしているので紹介しておきます。販売場所は西館企業ブース、No.142「電撃屋」です。
ラフはこんな感じ。にわ母娘(とななせ)が縁起のいい恰好で皆様をお待ちしてます。
没ラフが何点かあるのでこれも紹介したいのですが、勝手にやって怒られたら困るので、今度聞いておきます。
■[編集]単行本のオビのお話
MORI LOG ACADEMY:オビはいらない
僕は文庫を買うことが多い。新刊を買うようなことはまずないので、オビがない本がほとんど。すると、カバーの下が間抜けにスペースがあいている馬鹿なカバーデザインの本が多数だ。デザイナはきっとこのジレンマに苦しんでいるだろう。編集者は、文字しか目に入らない活字人間だから、あまり気にしていない。営業の人はオビの「フェア」の文句しか見ていないし、オビで本が売れると信じている。もし、オビで本が売れているのが本当なら、「作者は怒れよ」と思う。
「新刊を買うようなことはまずないので」という余計な一言がかなりどうかと思うのですが、それはさておき。オビで本は売れるかというと、答えはこちら。
asahi.com:既刊文庫、仕掛けて売れ オビ変えたら60万部
刊行から13年たった文庫本が今年突然、累計60万部のベストセラーになった。きっかけは本に巻くオビの文言を変えたこと。発売から時間がたっても「仕掛ければ売れる」と業界を活気づけた。ロングセラーの定番本と読み捨てのペーパーバックに二極化している文庫の世界で、新しい“売れ筋”をどう作り出すか、関係者の試行錯誤が続く。
個人経営の小規模書店が共同仕入れなどをするための有限会社NET21は、昨年から文庫担当者の投票で1点を選び、共通のオビをつけて加盟40店舗で重点販売している。今東光『毒舌・仏教入門』(集英社文庫)、田辺聖子『川柳でんでん太鼓』(講談社文庫)といった渋い名作が、確実に売れるという。
このようにやることやれば結果はちゃんと出るわけで、そうである以上はオビを付けないわけにはいかないわけです。
オビ付きの本のカッコ悪さを嘆いたところで仕方がありません。オビがあることを前提にしてそれでもカッコイイデザインになるようデザイナーにお願いするなり、オビをとってもバランスがおかしくならないようカバーデザインを調整してもらうなりして対応していくしかないのではないでしょうか。